オリ主がアビドスの借金を頑張って返そうとする話 作:タンペペン
曇らせタグが火を吹きます
曇らせってこんなので良いのかしら……?
正直書きたい事全部納得できる感じで書く事ができなかったです……悔しい……
追記:大幅に展開を変えました。書きたい事を書ききった感じです。更に賛否両論になる気がしますがこれだけは書きたかったので許して下さい。多分この話以降の話と矛盾は生じない……筈
「ふぅ……今日はこの位にしておきますか」
───机にトン、とシャーペンを置く。身体が勉強の終わりを感じたのか自然と凝り固まった筋肉を解そうと大きく背を伸ばす。
「ん~っ……ふわぁ~」
欠伸を一つ。渇いた脳内に酸素が満遍なく行き渡る感覚に気分が良くなりながら目を開ける。色とりどりの付箋が貼られたノートが目に入る。これが自分の努力の軌跡であると考えると、少し誇らしい。
チラリとスマホで時刻を確認すると、どうやら時刻は夜6時を回っていた。今、私は教室の隅っこで今日の映像授業の内容を居残って復習している。今日の授業の内容は結構レベルが高かった。
本来なら夕方4時位には下校するので、我ながら長いこと頑張ったと思う。もうユメ先輩は下校していて、アイツは今日は休みの日……の筈だが、ちょっとやらなきゃいけない事があると言って昼前に外に出てそれっきり。つまり、今この学校に居るのは私一人。
「……一体何の用事なんですかね」
アイツと出会ってから今まで一度もアイツが休みの日に私達と過ごす時間を欠かす事は無かった。アイツ曰く私達と過ごす日があるから毎日全力で頑張れるんだとか。
そんなアイツにとって大事な日を潰してまでやらなきゃいけない事とは一体……
「……私達との時間を潰してまでやらなきゃいけない用事とか、あるんですかね」
……誤解のない様に言っておくが、これはアイツが毎日全力で頑張れるエネルギーとなる日を潰してまでやらなきゃいけない用事とは何かという意味だ。
決してアイツと過ごすのが楽しみだったとか、アイツが居なくて寂しいとか、そんな意味を含んでいる訳では───
───『ホシノ!!今日も可愛いな!!……あ、ごめんなさい声にでてましイデデデデッッ!?』
───『ホシノ~!!大将からいいもん貰ってきちゃったぞぉ~!!なんとびっくりデザートの余り!!僕はいいからユメ先輩と一緒に食べな!!』
───『ホシノ!?大丈夫か!?……そうか、大丈夫ならよかった!!でも可愛いホシノさんを傷付けたオートマタは潰すね☆』
「……はぁ……」
───……まぁ、少しはあるかも知れない。
だって、アイツは休みの日はいつもこうなんだもの。裏表を考えるのがバカらしくなる程に、善意と好意をぶつけてくる。結構下心も混ざっているけど、それでもなお、今まで他人を全く信用していなかった私にとってアイツの言葉と表情はあまりに眩しかった。
……正直に言おう。私はアイツにどうしようもなく絆されているし、信頼だってしている。……たった数週間でこうなるなんて、我ながらチョロいとは思う。
だから……もうあの借金の契約も取り消したいと考えている。そもそもあんな馬鹿げた契約守れる筈が無いのだ。一年間で九億なんて支払える訳がない。そして払えないまま一年が過ぎたらアイツはきっと居なくなってしまう。
私が押し付けた借金と契約のせいで、アイツが居なくなってしまう。
……それは、嫌だ。
……嫌なのだ。
だったら、どうするか。
アイツは、私と学校生活が送りたいから、私に大切な同級生だと認められたいから、その手段として借金を返していた筈。それなら───もう認めている事を伝えれば、アイツが借金を返す理由も無くなるだろう。
「……」
……なんて都合の良い手のひら返しだろう。これがちょっと前まではアイツの事を見捨てようとして、アイツが条件を受け入れてからはどこかのスパイやら手先やらを疑ったりしていた人間の言葉か、と自分自身に呆れる。
でも、これがアイツにとっても私にとっても最善の選択だろう。
「……今日帰ってきたら伝えますか」
と、ここで勉強途中だったことを思い出すと同時に頭の中にあることが浮かび上がってくる。
「……あ、そういえば……」
それは、アイツの勉強の事。今までアイツがマトモに授業──といってもBDだが──を受けた様子を見たことがない。大丈夫なのだろうか。いくら全校生徒が三人しかいなくても学力が規定に達していない人間の卒業を許すほど優しくはない。きっとその内泣き顔で助けて~とか言ってユメ先輩に泣きつくだろう。
「……アイツに教えられる位には、しっかりやっておきますか」
まぁ、他人に教える事が自分自身にとっても一番学んだ事が定着しやすい方法らしいので、あくまでそれの一環として、だ。
────────────────────
「ただいま~」
さて、それから十数分後。私が丁度水筒の水を飲み終わった時に、ガラリと教室のドアが開いた。どうやらアイツが帰ってきたらしい。
お帰りなさい、と勉強道具を片付けてながらアイツの方に振り向く。
「うぇっ!?ホシノ居たのぉ!?よっしゃ!!可愛いホシノにお帰りって言われる、これ程の幸せがあるだろうかいや無いぃぃ!!(隙の無い反語)」
「……帰ってきたばかりなのにテンション高いですね……」
「そーか?そうだなぁ……そうかもなぁぁ!!だって今日は休みの日なのにユメ先輩とホシノとあんま一緒に居られなかったし……まぁ用事があったからしょうがないけど今日は学校に帰っても一人だと思っててな……
だから、思いがけずホシノが学校に居て、しかもお帰りって言ってくれてとっても嬉しいのさ」
「ッ!?」
ドキリ、と心臓が跳ねる。顔が瞬く間に紅潮していくのを感じる。もういい加減慣れたと思っていたのに。やっぱりその笑顔は反則だ。さっきまで何を喋ろうとしていたのかさえ忘れてしまった。
「……どしたんホシノ?」
「な、なんでもないです!!えーと、そうだ、今日あった用事って、どんな用事だったんですか?」
顔の紅潮を誤魔化す為に、取り敢えず今気になっている事として一番に思い出した疑問を口に出す。
「ほら、どんな用事かとか教えてくれなかったじゃないですか……気になるんですよ」
「……いやぁ、別に大した事はやってないぞ」
「……へ?」
「まー、簡単に言えば大将の手伝いかな。緊急で対応しなきゃいけない要件が入っちゃってね。ほら、大した事なかっただろ?」
……何だ、だったら良かった。特に何も危険な事はやってなかったようだ。
「というか、え、待ってそれ……ノート?勉強途中だったの……!?じゃ、邪魔してしまったか……?」
「いえ、もう終わりにしようとしていた所なので大丈夫ですよ。」
「はえ~スッゴい……こんな時間までお疲れさま」
貴方も他人事じゃないですよ───そう、言おうとしたその時、クロが前のめりになって───
「え──?」
バタン、とまるで糸が切れた人形のように倒れた。
「クロッ!?なんでッ!?なんでいきなりッ!?大丈夫ですか!?返事して下さいクロッ!!!」
必死に叫びながら何とか立たせるために左肩を組ませようと取り敢えず左腕を掴んだその瞬間───
「───血の、臭い?」
コイツの左腕から、微かに、しかし濃い血の臭いが鼻の奥をツンと刺激した。
「まさか……っ!!」
反射的にクロの長袖の上着を脱がす。すると、そこには───
「そん、なっ……」
包帯が左腕にきつく何重も巻かれていた。そして、その包帯はまるで鮮やかな赤い絵の具をぶちまけたかのような夥しい量の血で染まっていた。
「どうし、て……っ」
鼓動が鳴り止まない
思考が蒸発していく
呼吸がまともにできない
「この、っままだ、と」
───死ぬ?
「いや、だ、」
「いやっ、だめ、なんで、っ」
「やめて、いや、なんで、血、やだっ」
───……ホシノ?
「まって、やだ、ゆるして、ごめんなさい、」
───ほ、ホシノ?
「しゃっきん、かえすから、わたし、ぜんぶ、」
「だ、だから、いかな───」
「───ホシノっ!!」
「……く、ろ……?」
「大丈夫だ!!僕は死にゃしない!!良く見てみろ!!血はとっくに止まってる!!!貧血で倒れただけだ!!」
「ほ、ほんと……?」
「ほんとだ!!」
「……よかっ、た……生きてて……本当に……」
─────────────────────
「はい、お茶」
「……ありがとうございます」
あれから三十分程経過した。場所は移動して今私とクロは保健室に居る。クロを保健室のベッドで横にさせて、私がその側の椅子に座っているという形だ。
「……落ち着いた?」
「はい……恥ずかしい所を見せてしまいました……」
「いや、まぁあれは僕も悪いし……」
「……取り敢えず、先程の件について聞きたい事は山ほどあります」
「…………」
「……だけど、一番聞きたいのはこれしかありません」
「…………」
「……なんでッ、なんであんな酷いけがをしたんですか!?さっき言ってたじゃないですか!!大将のお手伝いだって!!あれはウソだったんですか!?」
「いや、あれはウソじゃない。」
「大将のお手伝いで!!あんな大きい傷ができる訳ないでしょう!?」
「……緊急の要件ってのは、食糧輸送トラックを不良の襲撃から守る事だった。あの傷はその時に受けた弾丸で出来た傷だ。」
「ッ!?そ、そんな……でも、弾丸一発でできる傷なんて微々たるものの筈じゃ……」
「……まぁ、頑丈さには個人差あるんだろ。ホシノが周りと比べて頭一つ抜けて頑丈なように、僕は頭一つ抜けて脆いのかもな。ま、その代わりの『赤冠』だからプラマイゼロってとこじゃない?」
「っ……」
「あ、そうそう。そいつらは指名手配犯達でもあったからな、大将からもらった報酬金と公安からの謝礼金で結構稼げたんだぞ!!既に全額借金返済に宛てておいたから宜しく!!」
「っ……!!そんなに無理して借金を返さなくても!!もう私は──」
「……言っただろ?僕が借金を返すまで僕は不審者なんだ。あと契約でもそうなってる。血判だって押した。」
「でも、でも……っ!!」
でも───
───なんだ?
コイツは契約を守ろうとしているだけ。
悪いのは───そんな契約を結ばせた私。
──う……ぁ……
荒くなっていく鼓動と呼吸のリズムに合わせてまるで罪状を読み上げるように契約を結んだあの時の記憶が甦る。
もしかしたら、あの時素直に受け入れていたら、何か違っていたのかも知れない。
でも、そうはならなかった。契約を結んだあの時あの瞬間から、こうなる事は決まっていたのだと。私の一時の不信が、コイツを地獄に落としたのだと。
出来る事なら、一人で傷付きながら借金を背負って欲しくない。契約なんて今すぐ破棄してしまいたい。
───そうだ、破棄してしまおう。言い出しっぺがどうとか、血判がどうとか、コイツが傷付かないでいる事より優先しなきゃいけないことなんて───
「それにさ、もし契約が無くても僕は借金を返してただろうから、そんなに気にしなくても良いぞ。だって、誰かが命張らなきゃこの学校は無くなる事確定じゃん。」
「そんっなこ……と……」
「学校の規模がどんどん縮小していってるから議員の選出も出来てない、議員が選出できないと連邦生徒会での発言権は無いに等しいから生徒会がアビドスを援助する理由が無い……ホシノも言ってたじゃん?」
「あ……」
「……結構詰んでるんだよ、この高校。カイザーとか関係無しに。砂嵐の被害で借金が膨れ上がって、その時点で既にバカみたいな額だからな。ま、カイザーがクソなのはそうだけど。」
「…………」
「で、だ。僕はホシノとユメ先輩に借金漬けの生活は似合わないと思ってるし、借金なんて気にしないで普通の学校生活を送って欲しいと思ってる。それに、僕は元々何処の誰とも知らない浮浪者で不審者だ。これ以上命を張る人間として適任は無いだろう?」
「っ違っ貴方はっ、私の、大切、な」
これ以上言わせちゃ駄目だと、コイツに喋らせてはいけないと、半ば恐怖のような焦燥が脳内を掻き回す。
何とかこの話を終わらせないと、
もう、後戻りできないような気がして、
でも何も言えなくて、
必死に何か言おうとして、
口が動かなくて、
早く、早く何か言わないと───
「無理しないで良い。僕は不審者、契約上そうなっているし、何より───」
───いやだ、
───やめて、
───だめっ、
───いわないでっ、
───だめ、
これいじょういったらもう、わたしは……っ
「もし僕が死んだとしても不審者であれば特にそっちには迷惑掛からないだろ?」
その瞬間、私の中でナニカが生まれた
─────────────────────
アイツが、自分の部屋まで帰っていった。
バイバイって言いながら帰っていった。
録に返事も返せなかった。
ずっと、ずっと頭の中でアイツの顔と声がぐるぐるまわっている。
死ぬかも知れないのに、私達の為に自己を顧みず傷付いて、戦って、見返りは私達と一緒に居たいなんてほぼ見返りとは呼べないもので、戦える理由は私達が可愛いからって……そんなの───
『───嬉しい、ですね』
「───?今、私は……何、を」
『まるで、妄想の中の私達だけのヒーローが、現実に出てきたみたい』
「───いや」
───なんで
───辛い筈なのに
───悲しい筈なのに
───そうあるべきなのに
「やだっ!!なんでっ、なんで!!そんな筈ないっ!!」
「なんでっ『嬉しい』なんて思って……っ!!そんなのっ……!!!」
「いやっ、嫌だ!!ウソっウソですっ!!私は!!わたしは……っ!!」
心の隅から涌いてくるどす黒く醜い喜びを、必死に、必死に理性で抑え込もうとして、でも防ぎきれなくて。
『私の為に傷ついても構わないと言える程好きでいてくれて───
「──嬉しい』」
「あ、ああ……ああああ……っ!!!私は、私は……っ」
抑えきれない感情の罪悪感の捌け口を無意識に探して、目についたのは───アイツが寝ていた保健室のベッド。自然と私はそのベッドの上に上っていた。今から行うことはアイツは全く求めていない事はわかっていても、生まれてしまった感情を『いけない感情』だと分かっている事を。本心ではないことを自分に言い聞かせたくて。
そんな自己満足の考えの果てに出てきた謝罪は───
「ごめん、なさい……っ」
───あまりに、薄っぺらだった。
─────────────────────
「ククク……まさか『崇高』の表出が可能な、しかも男子の生徒が居るとは……!!黒江クロ、覚えておきましょう……」
因みにまだ曇らせドーンの予定はあります
ユメ先輩全然出せてないのはマジで勘弁して……
崇高の解釈が難しい
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