オリ主がアビドスの借金を頑張って返そうとする話 作:タンペペン
これまで投稿できなかったのもテストだったからです
疲れた……
「───あの、次の駅で到着ですけど……」
ガタンゴトンと揺れる電車内にて、彼女がそう呟いた。
「…………ふえ?」
その言葉の意味を理解するのに少し間が空いたのは、僕が微睡みの中にいたから。微睡みの中、脳の中でその言葉を反芻し、やっとこさ理解した。
「……え」
まじか、と飛び起きる。寝耳に水とは正にこの事か、と慌てて車内の電子路線図を確認すると、確かにそこにはあの地名がぼやけた視界の中にでかでかと大きく表示されていた。
矢継ぎ早に時刻を確認すると、時計は午前11時を回っていた。おかしい、さっきまで9時だった筈。つまり、それが示すのは……
「待って、僕……寝てた?」
蒼白くなった僕の顔を見て、彼女は少し溜め息を吐きながら頷いた。
「まじかー……危うく寝過ごす所だったのか……」
自分の自己管理能力の低さに思わず呆れる。そういえば最近あまり寝られていなかった。
ありがとう、と感謝を伝えつつ、大きく背を伸ばして欠伸を一つ。席から立ち上がり、電車から降りる準備をする。
「……本当に、行くんですか……?」
振り返れば、彼女が不安の色を滲ませながらこちらを見つめる。まぁたしかにあんな所には普通行きたくない。だけど、僕はやらなきゃいけないのだ。
「ああ、行くよ。ここまで案内ありがとね」
「そう、ですか……お気をつけて……」
『次は、時計台駅。次は、時計台駅。お出口は右側です』
時計台駅。……『ゲヘナ自治区』時計台駅である。
そう、僕はこれから───ゲヘナに行く。
……ゲヘナは、ただでさえ治安が悪いキヴォトスのその中でも更に治安が悪い地域。平然と爆破テロやら現金輸送車襲撃やらが毎日のように行われるトンデモねー場所である。
弾丸一発で死ねるくらい弱々な僕がそんな場所に行くとか本当に命知らずにも程があるのは分かっている。でも、行かねばならぬ理由がある。
先程も言った通り、ゲヘナでは当然のように重犯罪が横行しているので、指名手配されている生徒も多い。なんだっけ、ヴァルキューレだっけ?公安だっけ?まぁどっちでもいいがそこら辺の組織が懸賞金を結構な額出している。つまり僕が儲けるには絶好の地域なのだ。
バイトを初めてから1ヶ月が経過したが、バイトだけでは到底借金は返せない。かといって商売を始めるには時間が足りない。ギャンブルは論外。銀行強盗?流石にそれはちょっと……てな訳で確実かつ短時間でデカめの金を手に入れる方法としては賞金稼ぎが一番だ。
あ、あと因みに僕はキヴォトスの路線図とか全然知らないんで元ヘルメット団のバイトの娘に案内してもらいました。助かるぅ^~
───よし、じゃあ行くか。
覚悟を決めて、開かれたドアから駅のホームに降りる。さぁまずは駅の改札に向かおうとした、その瞬間───
「爆破ァ!!!」
───声と共にドカン、と弾けるような轟音が耳を貫く。
あまりの轟音に耳を塞ごうとした刹那───
視界が、世界が廻る。
「……は?」
一瞬の思考停止の後に、身体が宙に吹っ飛ばされてる事を理解する。
スローになった世界の中で何とか頭をフル回転させる。勿論何故吹っ飛ばされてるのかを考えている余裕など今はない。迫る地面、傾く視界……取り敢えず今僕がするべき行動は、受け身を取る事だ。
「ぐっ……!!」
全身が地面に叩き付けられる痛みに身悶えしながらも、何とか受け身をとって着地できた。まさか高校の受け身の授業がこんな所で役に立つとはマジで思わなかった。先生に受け身が出来るまで居残りさせられた時は殺意すら覚えたが、今は感謝しかない。ありがとう、岩田先生。
「だっ、大丈夫ですか!?」
さっきのバイトちゃんが慌てて此方にやってきた。
「大丈夫だ!!そっちこそ怪我してないか!?」
私は大丈夫です、とバイトちゃんが頷く。見るとどうやら電車の中に居たままだったらしいので怪我は無いようだった。爆発はあの改札辺りだけだったらしい。
良”か”っ”た”よ”ぉ”~……!!!
僕の私的な金稼ぎの為に案内したのに爆発に巻き込まれて怪我するとか理不尽過ぎるし、彼女の仲間達になんて申し開きすれば良いのか分からないんだよなぁ……
「それより自分の身体の心配をしてください!!あちこち赤く腫れてますよ!?切り傷も出来てますし!!……キヴォトスの人間にしては弱くないですか!?」
「キヴォトス人の頑丈さには個人差があるんだろ!!心配しなくても僕は大丈夫だ!!問題無い!!」
そういうもんですか……?と、なんだか納得いっていない表情のバイトちゃんに、お前らが頑丈過ぎるんだよ……と心の中で呟く。
さて、安否確認が出来た所で、何故改札が突然爆発したのかを確認……と、言っても、もう答えは出ているようなモノだけど。
「ハッハッハ!!さぁ温泉開発の時間だぁ!!!さぁさぁどんどん掘り進めてしまえ!!」
黒煙が晴れ、改札だった場所の向こう側に見える複数の人影。他の人影より一回り小さいその人影から、威勢の良い声が響く。側には、その小さな体格とは対照的なまでに大きくゴツいドリルを積んだクルマがギラリと先端を鈍く光らせている。
……ゲヘナのグループでもかなりアタオカな組織、『温泉開発部』。その部長、鬼怒川カスミがそこには居た。
「あれは……確か、温泉開発部の部長!?なんで温泉開発部がこんな所に!?」
バイトちゃんが困惑した声色で叫ぶ。……当たり前だ。この様子を見るにバイトちゃんはあくまで温泉開発部は温泉が湧き出そうな場所を開発する部活だと思っているのだろう。まぁ間違ってはない。ただしコイツらにとっては温泉が湧き出そうな所というのは『温泉の匂いがする場所』──ほぼキヴォトス全域である。
「ハッハー!!そこのキミはゲヘナに来るのは初めてか!?ならば教えてあげようじゃないか!!そこに温泉があるから我々が居る!!そして温泉が無くても我々が居る!!それが我々温泉開発部だ!!」
くそァ!!!狂人どもが!!周りの奴らもそうだそうだと言いたげな顔をしやがって!!バイトちゃんがHuh?って言いそうな表情しているじゃねぇか!!
「……仕方ない、アイツらは基本的に関わらなければ害は無い。別の駅まで送ってってあげるからそこから帰っていってくれ。」
「わ、分かりました……」
釈然としなさそうな表情のバイトちゃんを尻目に、付近の地図を確認する。ここから一番近い駅はあの駅だから、そこまでバイトちゃんを送って───
───待てよ?鬼怒川カスミって確か……懸賞金掛けられてたよな……?しかも結構大金が……
「……く、クロさん……?」
「……悪い、本当に申し訳ないんだが、付近の駅まで先に一人で行っててくれないか。」
「な、何を……するつもりですか……?」
「……僕がここに来た理由は話しただろう?そして鬼怒川カスミは多額の懸賞金が掛けられている指名手配犯だ。」
「まさか……!!」
……やるしかない!!!
「……なぁ、鬼怒川カスミ。」
「む?何だ?見ての通り私達は温泉開発の真っ最中なので邪魔はしないで貰いたいのだが……」
「お前、指名手配犯だろ?」
「む……確かに私は多方面から指名手配されているが……まさかとは思うが私を捕まえて風紀委員会に突き出そうと言うのかね?ハッハッハ!!」
「ああ───
『赤冠転輪』
───そのまさかだ。」
「ハ?」
鬼怒川カスミの座っている戦車に向かって一直線に跳んで行く。まるでスキップするように、一歩一歩近付く。うん、やっばり赤冠モードは心がハイになる。なんか気持ちいい。
「部長!!」
すると、異変に気付いた開発部のメンバーが彼女への道を塞ぐように一直線に固まる。一斉に銃口を向ける様はまるで軍隊だ。バイトちゃんには申し訳ないが、やはりカクカクヘルメット団とはレベルが違う。鬼怒川カスミのリーダーとしての実力の高さが伺える。
だが、それが命取りだ。
「なっ、消え───がッッ!?」
前方に注意を向け過ぎると、不意に来た横からの攻撃に断然脆くなる。というわけで、超高速で横に動いて温泉開発部メンバーの脇腹にっ……ドーンッ!!
「何が起こっ──ぐぁッッ!?」
ドーンッ!!
「クッソォ!!このや───ギャッッ!?」
ドーンッ!!
───そんなこんなで大体その他の奴らもほぼ瞬間移動っぽいのを織り交ぜながらドーンッ!!して倒した。いやはや、まさか一発も銃弾を食らわないとはねぇ!!流石赤冠さん!!……そろそろ赤冠さんにに頼りきりじゃなくてもそれなりに強くなれるようにしないと……っちゅーわけで、只今カスミさんとのマンツーマンです。
「……後はお前だけだ、鬼怒川カスミ。」
「ハッ、ハッハッハ!!まさかキミがこんなに強いとはな!!名前を教えてくれるか!?」
「……黒江クロ」
「そっ、そうか!!クロか!!なぁクロ君!!キミは私や温泉開発部への恨みなどではなく、私の懸賞金が目当てなのだろう!?」
「……そうだけど、それが?」
「つまるところ、キミはお金が欲しいというわけだ!!それも、一度で多額の金を、リスクを犯してまでキミは得たいのだろう!?ならば取引をしようじゃないか!!」
「……どういう?」
「これから私達温泉開発部がキミの賞金稼ぎを手伝ってあげよう!!一人で賞金稼ぎは限界がある!!それに私達の温泉開発にそこまで嫌悪の表情があるわけではなさそうだからな!!」
「勿論嫌だったら拒否しても良い!!だが、今ここで私達が捕まってしまったらどうだろう?確かに一度は大金が手に入るかもしれないが、その後は?あの戦闘を見ていると、かなり手慣れた手つきで何回もあのような戦闘を繰り返していると見える!!つまり、それほどの戦闘を繰り返してなおまだ金が足りないのではないか!?つまりキミは多額の借金を抱えている!!そうだろう!?」
「……すごいなお前」
「ハッハッハ!!光栄だな!!兎に角、今すぐに手に入る大金か、後から安定して手に入る大金か。選択の強制はしない!!クロ君が選びたまえ!!」
……なんだこいつ……(畏怖)
エスパーか何かですかね……?
うーん、なんかコイツの出した条件を飲むと多分僕は風紀委員が来た時の体の良い時間稼ぎに使われそうな気がするんだよなぁ……勿論コイツは嘘は一つも吐いてないし、多分契約通り賞金稼ぎは手伝ってくれるのだろう。
どーしよ……正直裏があるとはいえ協力者が増えるのは有難いし……かといって風紀委員を相手にするのは命が何個あっても足りないし……
「うーん、ちょっとま───」
───瞬間、辺りの雰囲気が一変する。
「───え」
また何か起こったのか……と溜め息を吐くと、なにやらカスミの様子がおかしい事に気付く。
「あ……ああ……」
全身がガタガタ震えてるし、声もまともに出せておらず、目も潤んでいる。
これは、まさか───
「……何故か大半は気絶している……気絶していないのは鬼怒川カスミと……男?ここで何があったの……?まぁいい、来たからには手短かに終わらせる。覚悟しろ、鬼怒川カスミとそこの男。」
嘘でしょ……?待って僕ヒナと戦うの……?キヴォトス最強の一角と……?ゲヘナシナシナシロモップと……?
……嘘でしょ……(絶望)
カスミってこれでいいんですかね……難しい……
あとこのヒナちゃんは徹夜で判断力が鈍っております
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