転生チートトレーナーはモブウマ娘を三冠にできるのか。   作:サイリウム(夕宙リウム)

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11:皐月賞の前に

 

とあるインタビュー会場、そこには多数の記者が集まっており、壇上には4組のウマ娘とトレーナーたちがいた。

 

先ほどまでここで行われていたのは皐月賞の枠番抽選、クラシック三冠が誇る最初の関門に出走することが許されたウマ娘たちが一人、また一人と壇上へと上っていき、自身の番号を定めていく。通常のレースであればその後一人一人に簡単なインタビューが行われ解散という流れだが、GⅠの中でもかなりの注目を集める皐月賞は、それだけでは足りない。

 

今後時代を作っていくであろうウマ娘を集め、彼女たちから意気込みを聞くという場が設けられたのだ。

 

 

(うぅ……。)

 

 

といっても約一名、死にそうな顔をしていたが。

 

彼女の名前はタヴァティムサ、昨年に行われたホープフルステークスにて1着を飾り、皐月賞に於いても現在1番人気。昨年ジュニア級GⅠを完全制覇したあの新人トレーナーの担当ウマ娘である。1番人気の名に恥じず、この会場の中で1番注目を集める彼女。見るものが見れば『なぜシニアトップレベルのウマ娘がここに?』とこぼしてしまいそうな肉体を持つ彼女であったが……。なんかもう酷い顔をしている。

 

 

(大外だぁ、18番だぁ。やだぁ!)

 

 

脳内でみっともないほどに泣き叫ぶティムサ。それもそのはずである。なんといっても先ほどの抽選で彼女が引いてしまった番号は18番。8枠18番という大外、大外れの番号を引いてしまったのだ。

 

彼女の得意とする戦法は"先行"。最適なのは逃げに近しい位置だが、先頭を走るには性格的に不向き。狙うは先頭ではない位置で最終コーナー付近までその場所を維持し、その後スパートをかけて最高速に到達すること。そのまま全てを抜き去ってしまうのが彼女の得意戦術だ。故にレース開始直後から比較的前で内側を取るのが好ましいのだが……。

 

 

(うぅぅ、やり直したーい!)

 

 

大外と成ればその難易度は跳ね上がる。内側に入ろうとしてもブロックされてしまう。これはティムサもホープフルで一度体験している。ジュニア級の時点でマークされ、戦法を研究されてしまっているのだ。皐月賞という大一番で対処されないはずがなかった。大外という内側に入るまで時間が掛かる場所、どう考えてもブロックされる未来しかない。

 

つまり彼女はこの時点で、他の出走者に比べ、最悪数百m余分に走らされることが確定していた。……まぁその肉体の仕上がりを見ればもっとハンデ付けてあげてもいいんじゃないか? と言ってしまう者もいるだろうが。事実この場に集まったトレーナーすべてがティムサの肉体に眼を向けており、その驚異的とも呼べる仕上がりに脱帽していた。

 

 

(本当にクラシック前半の娘か?)

 

(こっちも研究したから解る、アレは明らかに人間では不可能だった。けど実物を見せられれば納得しかない。)

 

(……なんかもう海外挑戦しても何食わぬ顔で勝って帰って来そう。)

 

 

指導者が秘密主義でないことも相まって、彼女の育成に関するデータはほぼ筒抜けである。しかしながらソレに目を通したすべての人間が、"実現不可能"と断じた。しかしながらここに実物を置かれてしまえば、納得するしかない。

 

全てのトレーニングに於いてその意義を伝え、どこを意識すれば最適なのかを伝え、狂気的ともいえる体力管理、時間管理を以て最大時間を維持する。通常のトレーナーが1の作業をする間に、10も20も進めるのがあのトレーナー。初年度に於いて既に頂点に到達しているのではないかと言うレベル。

 

 

(だがホープフル以後も"技術面"のトレーニングはそれほど行っていなかったように思える。)

 

(基礎関連に関してはもう芸術的だけど、そっちの知識面がまだ未成熟、って感じなのかな。)

 

(……でもまぁそれを弱点とは言えないんだよなぁ。あの肉体を見せつけられれば。)

 

 

自身の担当が壇上に呼ばれなかったトレーナーや、敵情視察のためにやって来たトレーナーたちは時に顔を合わせながらそんなことを考える。一部知識のある記者たちも同様のことを考えており、この世代のクラシックは『どうやってタヴァティムサに勝つか』というものになるだろうと皆が予想していた。

 

しかしながら本人は未だ自身の実力を正確に理解しきっていない、ほんの数%の敗北をとても大きなものと考えてしまい、未知という恐怖と不安に泣き叫ぶのみである。

 

 

(それに、それに! なんで『領域』持ちが3人もいるんですかァ!)

 

 

トレーナーという強い頼り所を見つけた彼女にとって、"大外"程度は何とかなる障害であった。これだけであれば今頃彼女は自信満々で『トレーナーさんに皐月賞あげちゃいます!』なんて言っていただろう。しかしながらその"大外"という何でもないハンデが、他の障害と合わさることで凶悪化する。(と思っている。)

 

自然とティムサの視線は、自分以外の三人のウマ娘へ。

 

 

 

「メジロのウマ娘として、恥じない走りをお見せしますわぁ。」

 

4枠8番。新たなるメジロの至宝、メジロブライト。

 

 

 

「さ、皐月賞の占いで凶が出てしまいましたぁ~~! ふんぎゃろ、ふんぎゃろ~~!!!」

 

1枠1番。神の御使い占い少女、マチカネフクキタル。

 

 

 

「走りたい。(……走りたい。)」

 

5枠10番、驚異の逃げウマ娘、サイレンススズカ。

 

 

 

全員が☆5級、既に領域と呼ばれる固有スキルのレベルを、4まで上げたウマ娘達である。彼女たちの言葉によくよく耳を傾けてみれば『そこまで警戒しなくても良くない?』と思ってしまいそうな感じではあるが、彼女たちの言葉なんか何にも聞こえていないティムサからすれば恐怖しかない。

 

しかも彼女は、ホープフルSでメジロブライトの『領域』を知覚し、トレーナーからその知識を与えられたことで感覚的にその存在が『領域』を持っているかどうか、またその『領域』の強度がどれほどなのかを何となく理解できるようになっていた。

 

故に。

 

 

(ぶぶぶ、ブライトさん! 明らかに強くなってる! というかここにいる全員が同じくらいの『領域』使い!? そんなレースで私大外? あわわわわ!!!)

 

 

大混乱の真っ只中である。しかも彼女のトレーナーが『ブライトさん以外のお二人が出走なさるのは正直想定外でしたが……、見る限り何とかなる相手ですね。大外と言うハンデもありますが気にせず参りましょう。』という言葉を彼女に投げかけていた。

 

ホープフルで『領域』持ちに追いかけられたという経験からその未知の存在に対して過大ともいえる恐怖を覚えている彼女にとって、トレーナーさんの"想定外"とはもう大事件である。メーデーである。"もう助からないゾ!"案件である。想定外の単語以外全部右から左に流れて行って、正直後ろの方なんて頭に入ってなかった。

 

 

一人はほわほわしながら鉈のような闘志を胸に秘め、一人は謎の奇声を発しながらトレーナーに宥められ、一人はいつになったらこれが終わるのかを考え、一人は何の心配もないのに勝手に悲観する。

 

 

カオスともいえる記者会見が、今始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『それでは定刻となりましたので、開始させていただきます。お時間限られていますので、皆様ご協力お願いいたします。』

 

 

司会の人の声が響き、会場が静かになっていく。

 

 

(よ、よし。私も落ち着かないと……。ここで変に慌てたりしてメロンちゃんみたいに大炎上するのはいやだ。)

 

 

 

誰にもバレないように深呼吸を繰り返しながら、精神を整えていく。もう決まったことだし、いくら三女神さまに嘆いても私の枠番は変わらない。桜花賞の事前インタビューの時に挑発的な答えをしたことが理由で大炎上し、大泣きしたメロンちゃんの顔を浮かべながら、何とか心を落ち着かせていく。

 

メロンちゃんは普段はいい子なのだが、調子に乗り始めると口が軽くなりとんでもない言葉を吐くようになる。お口大回転だ。以前のすごく調子に乗った私に比べればまだマシらしいが、案の定『自分以外みんなザコ』ともとれる様な発言をしてしまい、各種SNSで大炎上してしまった。

 

 

(まぁトレーナーさんが動く前にメロンちゃんが自分で土下座動画をあげて鎮火してたけど……。)

 

 

その動画を見ながら『今度からはちゃんと大人、私を頼ってくださいね。』と言うトレーナーさんは記憶に新しい。正直"そのため"に危ない発言をちょっとしてみたくなる気持ちもあるけれど、さすがに迷惑を掛けるのは違う。そんなことを考えていれば自然と気持ちは落ち着いてきていた。

 

そんな時、ちょうど私への質問が飛んでくる。

 

あんまり頭の出来が良くない私にとって、その場で適切な答えを返すことは完全に不可能。前もってトレーナーさんが頭に詰め込んでくれた内容を思い出しながら、それを受ける。

 

 

『タヴァティムサさん、皐月賞への意気込みをお願いします。』

 

「あ、はい。……前走のホープフルステークスと同じ距離のレースですが、やっぱり三冠に続くレースの一つ目なので非常に緊張しています。対戦相手の方々も強敵ばかりですので……、自身の走りを全力で行い、応援してくださる方々に応えられるようにしたいです。」

 

 

ほんの少し、隣を見ながらそんなことを言う。

 

そしたらやっぱりと言うか、恐れていた事態と言うか。案の定滅茶苦茶怖い瞳をしたブライトさんと目が合ってしまった。

 

ひ、ひぅ! 普段は眼を細めてるのにほんのちょっとだけ開いたそこからじっと見てるのこわいぃ! というかその隣にいる人は何故か招き猫背負いながら謎の呪文唱えてるし! 私の隣にいる緑の人小声で「走りたい」しか言ってないよー!

 

 

(や、やばい人しかいない!)

 

 

しかも全員『領域』持ちなんでしょ!? トレーナーさんの目線的にも絶対そうでしょ! 私もなんか解るもん! 絶対そうだって! というかシンボリルドルフ会長! あなた『時代を作るウマ娘が持つ』って言ってたんですよね!? なんで同じ世代にこんなポンポンいるんですか! どれだけ『時代』を作ればいいんですかこれ!

 

 

『先ほど強敵ばかり、と仰られていましたが、他出走者の中でより注目されていらっしゃる方はどなたでしょうか?』

 

「あ、あ~。えっと……。」

 

 

正直に言えばここにいる三人だけど、明らかになんか名指ししたら駄目そうな人が2人いるよね……。なんか呪文唱えてる"フクキタル"って子はもしかしたら呪ってくるかもしれないし、私の隣にいる"スズカ"って子はなんかもうずっと「走りたい」しか言ってない上になんか目がヤバくなってきてる! こわい!

 

こ、ここはまだ許してくれそうなブライトさんで……。

 

 

「やっぱり、ブライトさんかな、と。」

 

「……。」

 

「ホープフルステークスの時に後ろから追われた時はすごく"怖かった"ですし、もっと自分も頑張らなきゃな、って思ったので。」

 

 

よ、よし。なんとか捌けたぞ! これで大丈夫……、ほわッ!

 

め、めっちゃブライトさんに見られてる! 見られてるよぉ! 駄目だった! 『みんな同じくらい』っていい感じに誤魔化せばよかった! たちゅけて! たちゅけてトレーナーさん! め、メジロに消されちゃう~~!!!

 

 

『ではメジロブライトさん、お言葉を頂けますか?』

 

 

「はい~。……やはりホープフルステークスでは、不甲斐ない走りを見せてしまったと反省しております。今日この日まで、あの5バ身差をどうすれば縮められるかを考えておりました。今度こそは、今度こそはこの名に恥じぬ走りを、皆さんに。そして何よりティムサさんにお見せしたいですわ~。」

 

 

眼が! 眼が! お口笑ってるし、口調もほわほわしてるけど眼が笑ってないよ~ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。」

 

 

ほんの少し息を吐きながら、心に残る緊張を吐き出していきます。

 

抽選会場のインタビューの後、あのメジロブライトさんとそのトレーナーから『求められていたように感じまして、少し"プロレス"をしてしまい申し訳ありませんでしたわ~。』と謝罪された記憶がまだ新しい今日この頃。

 

ついに皐月賞の日がやって来ました。

 

自身の想定、正確に言えば史実と言う知識とは違い、『マチカネフクキタル』さんや、『サイレンススズカ』さんと言った強敵が既にGⅠに出場してきているという問題もありましたが、それ以外は十全にことを進めることが出来たと感じています。

 

しかしながらどうしても不安は募るというもの、出走者のために用意された控室が並ぶこの廊下で一人考えを纏めていきます。彼女たちの前では常に指導者としてあるべき姿であらねばいけません。緊張などもってのほか、何食わぬ顔で勝利を願い、送り出し、真っ先に彼女たちがゴール板を駆け抜ける。それが理想です。

 

 

「トレーナーさん、着替え終わりました。」

 

「あぁ、ありがとうございますティムサさん。では失礼しますね。」

 

 

学園の制服から勝負服に着替えた彼女に呼ばれ、控室に入ります。同性のトレーナーでしたら着付けなどのお手伝いもできるのでしょうが、やはり異性となると難しいところがあります。幸い自身が担当させて頂く方々の勝負服は比較的装着の難易度は低いようで、安心しているのですが……。

 

 

(もしそのあたりが複雑な勝負服となると、同性の係員の方などが対応してくださるのでしょうか。)

 

 

そんなどうでもいいことを考えながら、いつものように彼女を"眼"を通して眺めます。ホープフルからの約4か月、ある程度皆さん体が出来上がったということでより"トレーニング強度"をあげさせて頂きました。その分の成長幅もありますが、ティムサさんの場合賞金額から既にレースに出る必要がなかったため、全ての時間をトレーニングにつぎ込むことができました。その結果が、此方です。

 

 

〇ステータス

 

『タヴァティムサ』 ☆1 (調子:絶好調)

 

芝S ダートE

短G マB 中S 長B

逃D 先S 差C 追F

 

スピード A- 

スタミナ C+ 

パワー  B+

根性   C

賢さ   B

 

スキル:なし

 

クラス:シルバー

 

主な戦績:ホープフルS

 

 

 

特筆すべきは、なんといっても適性値S、彼女は現在芝、中距離、先行を極めています。ゲームに於いて適性値Sというのは、因子継承でしか手に入れることの出来ない才能のようなもの。因子継承が出来ない私たちにとって永遠に手に入らないものです。

 

しかしながらそこはチート、しっかりと自身の身には彼女たちへの指導方法が刻み込まれており、この4か月でその全てをティムサさんたちにお教えしました。途中重賞レースなどに出走したクマさん、スタッフさんは未だ3Sに到達していませんが、先日桜花賞を勝利したメロンさん。そしてティムサさんは無事にたどり着くことができました。

 

 

(発動するタイミングを彼女たちに委ねることになるスキルよりも、此方の方がより安全に勝利を拾うことができますね。)

 

 

そして、適性値だけではありません。しっかりとステータスの方も向上させることができました。流石に適性向上の練習を行っていたため上昇率は控えめですが、それでも十分勝ち残ることができる数値と言えるでしょう。ざっと確認いたしましたが、ティムサさんよりも速いウマ娘は同世代には存在しません。

 

安心して送り出すことができます。

 

 

「調子は……、良さそうですね。安心いたしました。」

 

「はい! 抽選の時はちょっとどうなるかと思いましたけど……、なんかもう吹っ切れました! それにメロンちゃんたちに続かなきゃダメですからね!」

 

 

先ほど考えていたように、現在私が担当させて頂いているウマ娘さんたちは順調に勝ち星をあげています。スタッフさんが短距離の重賞を、クマさんが中距離の重賞を、そしてメロンさんが宣言通り桜花賞を取りました。

 

少々ドーベルさんのより洗練された『領域』に困惑したようでしたが、ふたを開けてみれば最後の直線で差し切って3バ身差の勝利。調子に乗っている時の方がパフォーマンスが良いということが解った今、出走前に天狗になるレベルでおだてたおかげか、非常に優秀な成績を収めることができたわけです。

 

 

(クマさんは難なく勝っていらっしゃいましたし、スタッフさんもあの史上最強マイラーとぶつかりながら無事勝利を収めてくださいました。まぁ短距離でしたのでこちらが有利、ということもありましたが……。勝ちは勝ちです。)

 

 

もう二度と同じレースに出たくないとスタッフさんに言わせるほどの強敵だったようですが、あの方の主戦場はマイル。短距離に降りてくることもあるでしょうが、スタッフさんの直線の加速力は目を見張るものがあります。スキル習得の練習を始めた場合、彼女が一番最初に『末脚』を入手しそうなほどですし……。

 

 

(っと、今はティムサさんのことを考えねば。)

 

 

「皆さん優秀な成績を収めてくださいました。しかしティムサさん、決して気負い過ぎないように。しっかりと動じずに走り抜ければ負けることはありません。自然体で参りましょう。」

 

「はい! 頑張ります!」

 

 

元気いっぱいで素晴らしいですね。……さて、では今回のレースの復習と参りましょう。

 

本日の第10R、皐月賞は芝2000mの右回りのレースとなっています。場所は勿論中山で、天気は晴れ。芝状態も先ほどの発表から良と出ています。ほぼホープフルの焼き直しの様なレースになりますね。

 

 

「違うところは……、枠番。」

 

「その通りです。前回も外側でしたが、今回は大外18番。そして前回に比べ研究が進み、よりマークされているでしょう。」

 

 

自身は練習内容の公表はしていますが、担当の彼女たちの戦法などについては一切漏らしていません。しかしながら彼女たちが出走したレース映像を見れば自然と対策されてしまうものです。ほぼ確実に内側へと入る道は閉ざされると思います。

 

故にこのレースは他の方よりも長く外周を走る必要があるわけですね。

 

 

「接触などを避けある程度の距離を置くとなると、展開にもよるでしょうがプラスして100m程度、最悪1ハロン(200m)程度多く走ることになるでしょう。」

 

「200m……。改めて聞くと結構な距離ですよね。」

 

「はい、ですがそれを想定して準備してまいりました。これまでの練習を思い浮かべれば無事走り抜けられるかと。」

 

 

抽選があった後は、ほぼその練習に時間を費やしました。そもそもスタミナ的に2000mでも2200mでも走り抜けることが可能です。菊花賞の3000mとなると流石にもう少しスタミナが欲しいところですが、今の彼女でしたらこの程度の不利は気にしなくても良いレベルです。

 

軟な鍛え方はしていない、という奴ですね。

 

 

「ほかに気を付けることとすれば……、あの三名でしょうね。」

 

「ブライトさんに、フクキタルさん。あとスズカさんですね。」

 

「その通りです。」

 

 

彼女たちは所謂ネームド、固有スキルという『領域』を持つ彼女たちは決して油断できる相手ではありません。ステータスだけを見れば確実に勝てると断言できるのですが、もし負ける可能性があれば彼女たち。そう言わせるほどの恐怖があります。

 

 

「メジロブライトさんは、その末脚と持久力が脅威です。ホープフルの時と同様に距離を取ることに意識してください。マチカネフクキタルさんは爆発力。おそらく"形さえハマれば"ブライトさんを優に超える末脚で猛追してくるでしょう。少々不思議な方ではありますが、気を抜かないように。」

 

「はい!」

 

「そしてサイレンススズカさんですが……。決して惑わされないように、とだけ。」

 

「惑わす、ですか?」

 

 

はい。先日見せていただきましたが、皆さん未だ"覚醒"。自身の真の強さを発揮できていないように思えます。おそらくブライトさんがそれに一番近く、一番遠いのはスズカさんでしょう。未だ幼さと言いますか、何をしでかすか解らない怖さがあります。

 

 

「彼女の戦法は逃げ。それもただ先頭を走り続ける大逃げです。もしかするとティムサさんと同じように先行策でくるかもしれませんが……。逃げられた場合、決してペースを崩さぬように。最初にゴール板を駆け抜けた者が1着なのです。自身の軸がぶれそうなときは、一呼吸置いて落ち着くことを意識してくださいね。」

 

「わ、解りました!」

 

 

 

 









〇ネームドの反応

・ちょっとふざけてしまいました~。……でも"気持ち"は本当ですよ?
・くっ! また負けた! オークスでは、絶対……。え、もう出ないの? マイル行く? ……あ(察し。)ガ,ガンバッテネ。
・トレーナーさーん! スタッフさんに負けちゃいましター! 次は勝てる様に、もぉーっとガンバリマース!(覚醒開始)
・ふんぎゃろ!
・走りたい……、あとトレーナーさんどこ……、ここ……?




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