膝の上からは穏やかな寝息が聞こえる。
それを聞きながら黙々と作業をし、少しの間ぼうっと時間を過ごす。
「ごめんね、アキと幽香と妹紅。迷惑かけちゃったわね」
いきなり美波がまた謝ってきた。
「ううん。別に迷惑でも何でもないよ」
「そうね」
「勉強するのは変わらないしね」
「・・・ありがと」
美波は僕の隣に座って葉月ちゃんの頭をそっと撫でた。
「んにゅ・・・」
「まったく、この子ってば・・・」
アキ君の隣に座って葉月ちゃんの頭を撫でる美波ちゃん。
葉月ちゃんはくすぐったそうに頭を動かしていた
「美波と葉月ちゃんってさ、仲が良いよね」
「そうね。悪くはないかも」
「見ていて微笑ましいかな(何時もこれなら文句ないんだけど・・・」
「何言ってるのよ。アキだってお姉さんと仲良いじゃない」
「・・・」
美波はあの一回しか見てないから冗談を言い合える姉弟、として見えたんだろうね・・・
「・・・あのね。アキ」
「ん?何?」
「ウチの部屋に置いてあった、あのぬいぐるみの事なんだけど・・・」
「ああ、あの大きなキツネのぬいぐるみ?」
「うん」
「それがどうしたの?」
「さっきウチの部屋を見た時、そのぬいぐるみが見えたでしょ?」
「あ、うん。写真立てか何かを持っている大きなぬいぐるみがチラッと見えたよ」
「その写真立てなんだけど・・・」
「うん」
「誰が写っていたいたのか、知りたくない・・・?」
「「・・・」」
「んにゅっ!」
「ひゃあっ!!」
その時、突然寝ていた葉月ちゃんが身体を起こした。
しかしすぐに横になり、眠ってしまった。
「寝ぼけてたのかな?」
「驚いたわ・・・」
「驚きすぎだろ」
「あ。今ので葉月ちゃんが手を離してくれたみたいだ」
「え?あ、ホントね」
「みたいね」
寝惚けて身体を起こしたときに手を離したようだ。
これなら帰れそうだね。
_________
「それじゃ、僕らもそろそろ帰るよ」
僕らはかばんを抱え立ち上がる。
「そう。 じゃあ、また明日ね」
「「「うん(えぇ)」」」
リビングのドアに手をかけ、玄関に向かおうとすると、
「・・・アキ」
「ん?」
「・・・ウチの部屋の写真・・・。・・・見て帰っても、いいから・・・」
「・・・」
ぼそりと美波はそう言った。
「それじゃあ」
リビングのドアを閉めて、玄関に向かう。
「美波の部屋の、写真、ね・・・」
「明久、見るの?」
「見るのか、明久?」
幽香と妹紅が聞いてくるが、
「・・・いや、見ないでおくよ」
彼女は見てもいいと言ったが・・・それは僕の口出すことでもないし、彼女の問題だ。
首を突っ込むものじゃない。
「そう。じゃあ帰ろうか」
「そうね、帰りましょう」
僕たちは玄関を開け、外に出た。
side美波
「あ、アキは見たかしら・・・
あの写真・・・見たら、流石にあの鈍感でも分かるわよね。それで、そうしたら・・・」
「んにゅ・・・」
「あ、葉月、起きた?」
「はいです・・・」
「それなら、きちんと着替えてお部屋で寝なさい。一人が寂しいなら、一緒に寝てあげるから」
「大丈夫です・・・
お姉ちゃんのお部屋から借りてきた写真があるから、寂しくないです・・・」
「・・・写真?」
「さっき、お兄ちゃんの写真をお姉ちゃんのお部屋から借りてきたんです。
だから、寂しくないです・・・」
「ええっ? じゃ、じゃあ、今ウチの部屋にある写真は・・・?」
私は急いで部屋に向かい写真を見るとそこには、
・・・美春に抱きつかれてるシーンの写真が・・・
「いやあああああ!!!」
_______
【時間はちょっと戻り】
side雄二
「あ、あのっ。そう言えば私、美波ちゃんのお家に忘れ物を!」
「してないから大丈夫だ。きちんと島田の家を出る時に俺が確認してきた」
俺は姫路に言う。
「あぅ・・・そうじゃなくて、えっと・・・じ、実は私、寄って帰るところが・・・」
「もう遅いし、明日にした方が良いだろ」
いい加減この会話もあきて来たな・・・
「はぅ・・・そ、その、美波ちゃんにお話ししなくちゃいけない事が・・・」
「いい加減にしろ、姫路。このままだと時間ばかりがかかるだろうが」
「だ、だって・・・」
「だって、じゃない。 さっきから聞こえている振動音、姫路の携帯だろ?
両親が二日連続で帰りが遅い娘を心配してるんじゃないのか?」
「め、メールはしておきましたからっ。だからお願いです坂本君。
行かせてください」
「ダメだ。明久にも頼まれてるしな」
・・・ここははっきりと言った方がいいな。
「・・・姫路、お前は明久のことどう思ってるんだ?」
「え、そ、その、も、もちろん、えっと・・・」
「好きなのか」
「・・・(コクリ」
「じゃあ何で信用しない?」
「え?」
「今の姫路の行動だ。お前はあいつの事が信用ならないのか?」
「そ、そんなわけじゃ・・・」
「じゃあなんでそこまでして戻ろうとする」
端から見てると信用できない人間が家に行ったから急ぐ人間、みたいだな。
「明久君は美波ちゃんと二人っきりで、どんなお話をしているのか気になりますし」
「言っちゃ悪いが二人じゃなくて風見達もいるぞ?」
「・・・あっ・・・」
こいつ絶対忘れてたな。
「とりあえず、あいつらが何話してようと俺はどうでもいい。だがな姫路」
「はい」
「お前、そのままだと本気で見捨てられるぞ?」
「え・・・?」
俺はそれだけを言うと歩き出す。
明久は確かに優しい。だがそれはある一定の水準でだ。
風見達やあの幻想郷での明久は生き生きとしていた。
それこそ・・・とてつもない慈愛を持って。
確かに姫路たちは先刻の事件(合宿での)で明久に許されている。
だが風見達にはどうだ?
それにあいつは言った。『友達だしね』と・・・
友達とはきっかけ次第では崩れてしまうものだ・・・
俺が翔子を離すようになったように・・・