「・・・そろそろ夕飯だから、別の部屋に来て」
気がつけば霧島さんが声が聞こえてきた。
あれ?さっきお茶をしたと思っていたのに、もう六時過ぎみたい。
「よし。島田、秀吉。とりあえず古典はこのくらいでいいだろ。飯にしようぜ」
「うぅ・・・活用形ってなんなのよ。知らなくても生活には困らないのに・・・」
「まったくじゃ・・・能や狂言をやるわけでもあるまいし・・・」
美波と秀吉は雄二に古典でみっちりとしごかれた様子。
二人とも一番苦手としている科目なだけに、傍目にも疲弊しているのが分かる。
「・・・頭が痛いわ・・・」
「でも・・・前よりは解けたぞ・・・」
ここの二人もである。でもまぁ、最初よりはるかに解けている。
今度なにかご褒美みたいなのを考えよう。
「・・・生き残った!」
「ムッツリーニ君。また後でじっくりボクとお勉強しようね」
「・・・だが断る」
「二人とも?」
「「いえ!!何でもありません!!」」
工藤さんとムッツリーニは仲が良いやら悪いやら・・・
「・・・案内するから、ついてきて」
「楽しみだね!!あきひさ」(肩車中
「そうだね~」
やっぱり専属シェフとかいるんだろうか・・・
「……この部屋」
先頭の霧島さんが一つの部屋の前で立ち止まる。
そして、その部屋の扉を開けると、良い匂いは一層強くなった。
「す、凄・・・!」
「わぁ・・・」
「これはまた、贅沢じゃな」
一般家庭ではあまり見かけないようなサイズのダイニングテーブルに所狭しと並べらた料理。
北京ダック、鱶鰭は贅沢な姿煮。
チンジャオロースやホイコーロー、八宝菜に麻婆豆腐といった料理も中央の大皿に盛られているし、
それぞれの席に置いてある小さな蓋付きの茶碗のようなものは、もしや高級食材の定番、
ツバメの巣かな?
とても遊びに来た友人の為に用意される夕飯だとは思えないくらいに豪華だよ。
それにパエリアも?
僕は霧島さんを見ると彼女小さくうなずいた。
わざわざ用意してくれたみたいだ。
「ところで、ここで食事を摂るのはわしらだけかの?霧島の家族はおらんのか?」
「・・・うん。私たちだけ」
挨拶はしておきたかったな・・・勉強会で泊まらせていただくんだしね・・・
「翔子の家はそれぞれが自由に暮らしているからな」
「・・・うん。だから気兼ねしないで好きに過ごして欲しい」
雄二って何かと言いながら霧島さんの事知ってるんだね。
「……それじゃ、適当に座って」
言われた通り手近な席に座る。
うん、美味しそうだ。
「「「「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」」」」
「これはまた、絶品じゃな・・・!」
「お、美味しいです・・・!うぅ・・・また食べ過ぎちゃいます・・・」
うん・・・これは・・・隠し味にゴマをすり潰して入れてるのかな・・・
「おいしいね♪あきひさ」
「おいしいわね」
「あっフラン、口に付いてるぞ」
「ありがとう、妹紅」
フランのためにニンニクとかをはずした料理もあるみたいだ。
「・・・鉄分補給」
「翔子、この料理だけ味が違うんだが・・・」
「・・・私の手作り。おいしくない?」
「いや・・・」
ふふ、頑張ってるな・・・
僕には縁がない話だよ・・・
僕は手を・・・『あの事』を思う。
《明久、そんなこと本気で思ってるなら怒られるよ》
「(え?)」
《少なからず君のことを大切に思ってる人はいるんだから。
私だってそう》
僕は隣を見る。
楽しそうにご飯を食べる幽香、フラン、妹紅・・・
そうだったね・・・
「(うん。ありがとう、刹那)」
《どういたしまして》
さて、僕も楽しまなきゃ。