「FクラスはAクラスに“試験召喚戦争”を仕掛けようと思う!!」
壇上で自己紹介をしていた雄二のいきなりの提案。だが、いきなり言われても現実味のない提案にクラス中から非難の嵐が巻き起こる。
「勝てるわけがない!」
「これ以上設備が落とされるなんて嫌だ!」
「姫路さんが居たら何もいらない」
「もこたん付き合って」
「断る」
「ゆうかりん罵ってください」
「……シニタイノカシラ?」
「うおおおおおおおおおお!!!!!」
何だろう、カオスだ…
試験召喚戦争は大まかに言えば、生徒が行うテストの成績によって試験召喚獣の強さが決まる。そして試験召喚獣を使って擬似的な戦争を行う。相手のクラスの代表を討ち取ったクラスが勝者だ。
試験召喚獣は戦争中の道具と思ってくれていい。
しかし雄二の提案は端から見れば無謀としか思えない発言である。
片や2学年の成績が悪かった人たちが集まったFクラス。
片や2学年の成績上位の人たちが集まったAクラス。
戦力の差は明白だった。
「そんなことはない。必ず勝てる、いや、俺が勝たせてみせる!」
しかし雄二は非難の嵐を撥ね退けるかのごとく言い放った。提案した僕が言うのもなんだけど、何か根拠があるのだろうか?
「このFクラスにはAクラスに勝てる戦力が揃っているからな。今からそれを説明してやる!」
そうゆうと雄二は少し間をおいて、ある一カ所を見た。
「土屋。畳に顔をつけて姫路と風見のスカートを覗こうとしてないでこっちに来い」
「……!!(ブンブン)」
「は、はわっ!?」
「あらあら…」
「ゆ、幽香?…」
「?どうしたの明久?覗かれてないわよ?」
「……くっ」
「いや、よく手を出さなかったな~って…」
「…すぐに切れてると迷惑かけるもの…」
「そうか…」
まあ話は戻してっと、土屋は畳の跡を隠しながら雄二の元へと行く。
「こいつ、土屋康太は知る人ぞ知る人間、寡黙なる性識者(ムッツリーニ)だ」
「……!!」
雄二の発言に、クラスのどよめきが走る。
彼は土屋康太という名前では別段有名ではない。だが、ムッツリーニとなると話は別だ。その名は男子生徒には畏怖と畏敬を、女子生徒には軽蔑の対象として挙げられている。
「ム、ムッツリーニだと!?」
「馬鹿な、奴がそうだというのか!?」
「だが見ろ。あそこまで明らかな覗きの証拠を未だ隠そうとしているぞ…」
「あぁ。ムッツリの名に恥じない姿だ…」
「……」
まぁ男の子として仕方ないけど、盗撮とかはやめてほしいと思うよ…友人として。
「姫路の事は説明するまでもないだろう。みんなだって、その力は知っているはずだ」
「えっ? わっ、私ですかっ!?」
「あぁ、主戦力だ。期待している」
姫路さんは成績上位の人だから当然だね。
「そうだ、俺たちには姫路さんが居るんだった!」
「彼女なら、Aクラスにも引けをとらない」
「あぁ、彼女がいれば何もいらない」
「あと風見幽香もAクラス並みの点数保持者だ」
「そうだ!!幽香様がいた!!」
「ゆうかりいいいいいいいん!!!」
「明久…ねえあれヤッテイイ?」
「…ダメだからね?」
「藤原妹紅に関しても、古典、歴史関係はAクラス並みだ」
「「「「もこた~~~ん!!」」」」
「幽香の気持ちわかるかも…」
「アハハハ…」
「木下秀吉だっているし、俺も当然全力を尽くす」
Aクラスの優子さんという双子の姉と演劇部のホープという要素で有名な人物。そして、雄二は…?
「坂本って、確か小学生の頃は神童とか呼ばれてなかったか?」
「それじゃあ、実力はAクラスレベルが4人もいるって事かよ? もしかしたら、やれるんじゃないか?」
「あぁ、なんかやれそうな気がしてきた!」
やっぱ雄二は人をまとめるのがうまいな…こういうとこは悪友として認めてるんだけど…
「それに吉井明久もいる!」
その瞬間、クラスの時間が一時停止した。やっぱり余計なひと言があるね…
静まりかえる教室…なんで僕の名前を言うかなぁ。
「誰だ? 吉井明久って?」
「知らねぇよ」
雄二の発言に上がりかけた士気が一気に下落する。まわりのクラスメイトはざわつき始めた。
「そうか、知らないなら教えてやる。そこにいる奴が吉井明久で、学園史上初の観察処分者だ」
雄二は僕を指さして言わなくてもいいことまで言った。雄二の奴・・・
「・・・・・・それって、バカの代名詞じゃなかったっけ?」
まぁ、普通そういう評価だよね…
「あぁ、学年1のバカの屑だ」
そこまで言うかこのゴリラ…
「ほう…ゴリラ…そんなに燃やされたいのか?」
「そうね…肉片にして花の肥やしにしようかしら…でも花がかわいそうね…」
「し、しかし明久は教師の許可をもらって俺たちより召喚獣扱ってる分操作技術だけなら学年1だ」
「それってすごいのか?」
「あぁ、盾くらいにはできる」
妹紅と幽香を止めてるのをいいことにひどい言いようだな…
「これだけの有名人が揃っているんだ。お前ら、勝って当然だろ?」
「そうだ! これだけの人物がいるんだ! 絶対勝てる!」
「もしかしたら打倒Aクラスも夢じゃない!」
「そうだ! 俺たちに必要なのは座布団じゃない! リクライニングシートだ!」
「まずは俺たちの力の証明としてDクラスを征服したい。皆、この境遇には大いに不満だろ!?」
「「当然だ!!」」
「ならば全員筆を執れ! 出陣の準備だ!!」
「「おぉぉぉぉぉっ!!」」
「俺たちに必要なのは、卓袱台じゃない! Aクラスのシステムデスクだ!!」
「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」
「お、おー・・・・・・」
雰囲気に押され、姫路さんも懸命さが見て取れるように小さく拳を挙げる。
何だろう…僕には不安しかないよ…