「うわ・・・何か、凄いことになったね・・・」
「そうじゃな・・・ここまでやるとなれば、学園側もかなりの投資が必要じゃったんじゃろうに・・・」
翌日、お化け屋敷と化した教室を覗いて見て、正直驚いた。
薄暗い雰囲気といい、外観からでも伝わってくるほどに複雑そうな構造といい、
まさかここまでなるとは・・・
「やりすぎた・・・」
「「「「え?」」」」
「なんでもないよ?」
「とりあえず、これは三年側も結構本気だな。
相手も講習最終日くらいはハメを外したかったってところか?」
「こ、ここまで頑張ってくれなくても良かったんですけど・・・」
「そ、そうよね。頑張りすぎよね」
ごめんなさい。
「うっ・・・」
「咲夜?」
「・・・大丈夫よ・・・」
「雄二。わしらは旧校舎の空き教室に集合だったじゃったな?」
「ああ。三年はA~Fクラスの教室、俺達はFクラスの隣の空き教室でそれぞれ準備。
開始時刻になったら一組目のメンバーから順次Fクラスに入っていく寸法だ」
空き教室とFクラスの真ん中には大きい垂れ幕が張られていて、
雰囲気は伝わってくるものの中の様子は窺えない。
きっとあの中では常夏コンビや他の三年生達が僕らを脅かそうと準備していることだろう。
「・・・カメラの準備もできている」
ムッツリーニが鞄を掲げてみせた。
あの中には何台かのカメラが入っているようで、僕らはそのカメラを持って中を進んでいくらしい。
不正チェックと通過の証拠、あとは待っている人を退屈させないためだとか、
色々と理由があってカメラを使うことになっている。
「俺達の準備はカメラとモニターの用意と、組み合せ作りだな」
「あ。そっか。組み合わせを決めてなかったよね」
僕らは話をしながら旧校舎の空き教室へと入ることにした。
「坂本。ペアはどうするんだ?」
「組み合わせは折角だから、極力男女のペアになるようにするか。
その方が盛り上がるだろ」
「で、本音は?」
「翔子とペア組むように脅された腹いせに全員を巻き込んでやろうと思った」
腹いせかい!?
しかし・・・だれと組もうか・・・
「「「明久」」」
「ん?なに?」
「「「私と組んでください(組んで)」」」
「へ?」
『須川会長。我らが女神と組もうとする輩が・・・』
『連れて行け』
『はっ!調理法はいかように?』
『生爪フルコースだ』
『かしこまりました』
「お前等、いい度胸だ」
「よほど、死にたいらしいわね・・・」
「幽霊の仲間入りさえてあげようかしら?」
さよなら・・・FFF団。
『殺します・・・お姉様とペアを組むブタ野郎は誰であれ殺します・・・』
清水さんが向こうで呪詛の声を送り続けている。
立ち直り早いな・・・
いや、そうでもないか。僕を見た瞬間一瞬顔が青くなったし。
「とりあえず状況を見てから組むね」
「そうしてくれ」
?なんか幽香達がちょっとがっかりしてるんだけど・・・
「まさかの吉井君の選択にビックリだよ」
「ふぅ、吉井君の考えてることは全く読めないわね」
「・・・・・・鈍感」
色々と気を遣ったつもりなのに、なぜか工藤さんと木下さんに呆れられてしまった。
後霧島さん一応コレでも感はいいほうだよ?
「お姉様っ!肝試しのペアでしたら、美春が立候補します!」
「み、美春!?」
「さぁ、お姉さま!美春とペアを!!」
「もうっ! 離れなさい美春!ウチはアンタと組む気なんてなくて・・・」
ん?僕を見てるけどどうしたんだろう?
「悪いわね美春。ウチ、実はアキと組むことになってるの。
だから、またの機会にしてもらえる?」
僕の腕を掴んで満面の笑みで美波がそう言った。
「ですが美波お姉様!そんなブタ野郎が一緒では・・・」
「美春。アンタはウチが約束を破るのが大嫌いってこと、知っているでしょ?それなのに、まだそんなことを言うのかしら?」
美波がそう言うと、清水さんは悔しげに下唇を噛み締めて呟いた。
「・・・分かりました、お姉様。そういうことなら、この場は引きます」
「うん。分かってくれてありがとう美春」
「ですが、万が一そこのブタ野郎が参加できなくなったら、その時は美春と・・・」
「ごめんね美春。その時は、ウチはお腹が痛くなってる予定なの」
「お姉様は冷たいですっ!」
いろいろとおかしい・・・
美波に言われると、清水さんは涙を流しながら走っていった・・・
腹痛の予定って、なんて斬新な断り文句なんだろうか・・・
「そ、そういうワケだから、アキ。よろしくね?」
「?まぁ、別にいいけど」
「そ、そんなに遠慮しなくても、ウチにはアキで充分よ。
ウチはあんな作り物、全然怖くないし・・・」
「そ、そう」
震えてる時点で・・・いや、言うまい。
それならいいけど、できれば…離れてくれるとありがたいかも。
幽香達はそれを見て何か考えていたが、ため息をつくと何かを話し始めていた。