そこまで距離はない。
しかし何も見えないこの闇は距離感覚を失わせる。
「けど、失敗したな」
先ほどの清水さんとの会話…
「決めるのは…本人、か。
昔映姫に言ったことを言われるなんてね」(苦笑
《生きている以上失敗はある。
それは人だけじゃない、神も同じ》
「ただそれを反省し、先に進むことが大事…だね」
《そう言うこと》
僕は立ち止り、手を差し出す。
すると何かに触れ、激痛が走る。
「なんか電力上がってない?」
《おまけに外と切り離されてる。最悪酸素が不足して窒息するよ?》
「早くしないと」
僕は痛みを無視して両掌を付ける。
「っ!!」
電子情報演算開始。
出力確認後、体を…意思を電子信号としてダイブ…
明久がやろうとしたことは手をプラグ、自身をキーボードと一種のハードとし、召喚システムのシステムとハードにアクセスをすること。
「……繋がった…後は…」
掌を壁に押し付け次々と情報を閲覧していく。
学籍…これは関係ないから無視。
生徒情報…以下同文。
ムッツリーニなら喜んで見そうだが今は関係ない…
市内の…ってミスって外にアクセスしちゃった!?
「くっ!!!!」
次々と流れてくる情報…それこそパソコン数百以上の情報だ…危うく億に行きそうだったが…
召喚システムのバグ、またはミスの検索。そして同時進行で過去のデーターの捜索。
またそのバックアップからの書きなおし、フィールドの調整、システムパスワードの解析…
明久は思考を分割し、それぞれに次々と情報を処理していく。
頬を伝う汗…焼けたような臭いを発しはじめた掌…
左眼は閉じ、右眼のみが世界を写していた……
「……あった!!」
まさか召喚獣の情報とフィールドの情報が合わず、それが原因でメインシステムにエラーが発生し、間接的に別の領域で走ってる観察処分者のデータに触れたためにフィードバックが発動していたとは…
とりあえず召喚獣の情報を書きなおし…システムのエラーを解除して…
「後は領域に空いた穴の修正…」
先ほどまで闇に覆われていた世界が少しずつ薄くなっていく…
「よし…雄二!!」
僕は外にいるであろう悪友の名を叫ぶと…
『アウェイクン!!』
雄二の声とともに壁に亀裂が入り…召喚フィールドが砕け散った。
「「「明久!!!」」」
妹紅、幽香…そして慧音が走って此方へとやってくる…そして…
「「「この!!馬鹿ぁああああ!!!」」」
「ひでぶっ!!!???」
慧音に掴まれ頭突き、そして繋がるように幽香に渡され傘のフルスイング。
そして止めの如く妹紅の助走付きのドロップキックが体を貫いた。
「……」
「「「……あっ…」」」
「…良い連携…だったぜ…」(ガクッ
「「「明久!?」」」
彼女達のコンボは残っていた体力をすべて奪っていくほどの威力だった…
「……あ…っ…」
ここは…
「あら、起きた様ね」
「……永琳?」
「そうよ」
眼を開くと…赤と青…
「明久、これ何本?」
訂正、永琳が指をVの字にしていた。子供か…
「2本」
「うん、問題はなさそうね」
そんな確認でいいのか?そう思って横を向くと…
「「「…」」」(首に『私は悪いことをしました』と紙をぶら下げ正座中
「……何してるの?」
「何って…怪我をしてるのに頭突きをかまし、傘で吹き飛ばし、ドロップキックをかましたバカな子たちに説教をしていたのよ」
永琳、顔笑ってるつもりだろうけど目が笑ってません…
「とりあえず無茶したわね、明久。
両手は電気で焼けただれ、おまけに脳に対して過度の負担をかけてるわよ?」
「あ~うん、心配かけてごめん…」
「とりあえず三人とも立っていいわよ」
そう言うと3人は紙を外し立ちあがる。
「イタタ…」
「明久…大丈夫かしら?」
「その…すまなかった…」
「いいよ…無茶したのは自分だしね」
「本当よ…人の体で電子世界にアクセスするなんて…」
そう話してるとトントントントンとドアにノックがされる。
「はい」
「失礼します」
そう言って入って来たのは…清水さんだった。
「「……」」
彼女は眼の前まで来るが何も話さない…
「…
「なにかな?」
返事をして…うん?吉井明久?
「……今日のことは…感謝しますわ」
初めてかもしれない…
「えっいや、こっちこそありがとうね」
「なにがですの?」
「君のおかげで間違いに気づけたこと」
「ふん、それくらい自分で気づけるようになりなさい」
「気を付けるよ」
「…それだけですわ」
そう言って清水さんはドアへと向かい…
「……少しですが…貴方は他の豚野郎とは違うようですわね…」
そう言って出て行った。
「あの子が男子の名を呼ぶの…初めて聞いたわね…」
「良かったじゃん、明久」
仲良く…は難しいけど、険悪…では無くなったんだろうな…
「それにしても…」
思い出すのは清水さんとの話…
いつか姫路さんや美波に答えをつげなくちゃいけない。
それは確実に彼女達を傷つけるだろう…
「でも…向き合って行かなくちゃ…ね」
それにしてもあの二人くらいだよ…
こんな僕を好きになるなんて。
…奇跡的に二人の好意には気づいた明久だが…偶々の偶然だったようだ。
明久は鈍感じゃなかっただと!?
ッと思ったがそんなことはなかった…