そんなこと無いよ?mh3gやっててわすれてたわけじゃないよ~?
雄二がどっしりとバットを構えて、永琳の投球を待つ。
カウントは2アウト、ランナー1塁3塁だ。
僕が帰りきれば逆転、出来なければ延長、または負け……
重苦しい空気の中、雄二の目は強い光が灯っていた。
永琳は雄二の顔を見て、目を見て不意に微笑む。
そして真剣な表情に変わると同時に投球した。
『───ト─ライッ!』
ストライクの宣告が高らかに響く。
かなりの球速なのがわかる。
雄二の目を見て、先ほどの雄二とは違うと分かったのだろう。
『ボールッ』
二球目は低めに外れたボール。
雄二は手を出すことなく見送る。先ほどとは違い落ち着いている。
誰もが固唾を飲んで見守る三球目。
雄二は後ろ足に体重を乗せ、一気に爆発できるように溜めを作る。
永琳は腕を振り上げ投球する。
その球は剛球。そして雄二の手元近くで変化した。
カット・ファストボール!!
しかし雄二はそれを無視して軸足に体重を移し、身体全体でバットを振り、
『キィンッ!』
快音がグラウンドに響いた。
「「っ!!」」
その瞬間、僕達は次の塁に向かって全力で走り出す。
取られるかもしれない?そんなの考えてはいない。
アイツは、
打球の行方はセンターの奥の方にボールが飛んでいく。
センターの寺井先生が慌ててボールを追っていく。
ムッツリーニは3塁を蹴りホームへ、僕も2塁を蹴り3塁を目指していた。
「寺井先生っ!」
何と永琳が2塁近くまで上がり声を上げる。
その間に、ムッツリーニがホームを踏み、寺井先生がボールを投げると同時に僕は3塁を蹴った。
『『『吉井っ!?』』』
「明久っ!いったん戻れ!」
「そうだ。とりあえず同点になったんだ。まだ挽回できる!」
だが2アウトの同点。今このチャンスを逃せばどうなるか分からない。
「いっけぇー!!明久!!」
「行きなさい!!」
2人の声援を聞くと同時に永琳は先ほどまでの球が子供騙しの様な剛速球を投げた。
そしてそれをキャッチする鉄人も鉄人だ。
鉄人はブロックの体勢。
これはクロスプレイのためだろう。
体当たりでボールを零せば僕の勝ち。ブロックしたら鉄人の勝ち。
しかしだ。
「っっっ!!」
僕は姿勢を低くし、前のめりになって衝突に備える。
鉄人も同じように衝突に負けないように体重を前にかけようとした。
さっきの会話で勝利の糸口は見えていた。
「───っ!!」
僕は急速に横に跳び、回り込むように鉄人の前から姿を消した。
「っ!?く───っ!」
しかし鉄人も鉄人だ。
反射的だろうけど僕の跳んだ左に、ボールを持った右腕を伸ばしてきた。
まぁ、いつもあのFFF団を鎮圧しているんだ、彼らの中に僕のような行動をした人がいただろう。
ただ、それは
「なっ!!??」
僕は跳びながら左腕を伸ばし、片腕だけの力で地面を掴み、勢いを殺した。
流石にこの行動は予想外だったのか、驚愕の表情をした鉄人の手は眼前擦れ擦れを通っていく。
「っと!!」
僕はそのまま倒立のような格好を取り、腕の力で鉄人の上を飛び越え、
『スタッ!!』
静まり返るフィールド。
そして、
『───――――セーーフ!!!』
「よっしゃぁああーっ!!!」
「「「勝ったあぁぁぁあ!!!!」」」
僕は咆哮するように叫び、その声につられるよFクラスのみんなが叫んだ。
「やってくれたな、吉井」
鉄人は頭を掻き、立ち上がる。
「いけると確信していたんで」
「ほう、なぜだ?」
「だって先生言ったでしょ?
”教師は、お前達の模範を示し、在り方を見せる存在だ。
向かってくる生徒を真正面から受けずに、何を教えられると言うんだ?”
ってね」
今の物真似結構うまく出来たな。
「……ははは!!これは一本取られたな」
鉄人は豪快に笑い僕の背を叩いた。
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「教師対生徒の交流試合、3対2で2年Fクラスの勝利です!!礼!!」
「「「ありがとうございましたっ!!!!」」」
こうして交流試合は僕達の勝利で幕を閉じた。