いろいろと調整しなきゃなんでもう少し待ってね。
私こと八雲藍は非常に困っている。
「……」
私をジッと見つめる7才位の少年。
この少年は紫様が連れてきた外の世界の少年であり、
一度現世に帰ったはずなのだが何度も幻想郷に戻ってきている人間だ。
「……なにか御用でしょうか?」
いつも紫様が気にされている少年。下手な扱いは出来ないな。
「この尻尾って本物?」
どうも明久様(こう呼んだほうがいいだろう)は
私の尻尾が気になっていたようだ。
「えぇ。私は九尾狐ですので」
「へ~」
上手く理解はしていないようだが、説明しても理解できないだろう。
「藍さま~お茶入れてきました~」
「あぁ、ありがとう」
「はい、明久様も」
「ありがとう。あちちっ」
明久様はお茶が熱かったのか息を吹きかけ冷やす。
「そう言えば明久様。どう言ったご用件で?」
ここは隙間の中。はっきり言って精神的によろしくは無いはずだ。
「お姉さんが起きてるかな~って見に来た」
お姉さん、多分紫様のことか。
「そうですか」
「あと二人に会いに?」
「なぜ疑問系なんですか?」
「来れるか分からなかったから」
危険を冒してまで来るような用事があったのだろうか?
「お姉さんが二人の事話してたからあいたくなったんだ~」
なんとも不思議、と言うよりも欲に忠実と言うべきか。
しかし話からして年齢と精神年齢にズレを感じる。
「そうですか」
「敬語」
「はい?」
「なんか敬語は困る」
ん?
あ~、要するに敬語をやめてくれと言う意味か?
「ですが……」
「なんか遠い気がするから却下!!」
「あ~善処します」
遣り難い少年だ。どうもペースを乱される。
「あ、明久様来て下さい」
橙は明久(言われたからそう呼ぼう)の手を取り引っ張っていく。
「藍さま、外に出たいのですが」
「わかった」
隙間を開くと橙は明久を連れて出て行く。
「……はぁ」
なんともまぁ不思議な少年だ。
でも……紫様が御執心する理由も何となく分かった気がする。
私は隙間を開き橙達を見る。
そこには……
「……」
動物の山。橙はそれを必死に崩していた。
「ど、どうしたのだ?橙」
「あ、藍さま。明久様が~!!??」
仕方なく一緒に掻き分けると、中から明久が現れる。
「し、死ぬかと思った……」
「動物達を呼んだら、皆明久様に飛び掛りましたからね」(苦笑
「涎だらけだ……」
きっと嘗め回されたのだろう。
「仕方ない。早いがお風呂に入ろう」
「は~い」
「うん」
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「痛くは無いか?」
「うん」
泡を立て、私は明久の体を洗っていた。
さすがに獣臭さもそろそろ消えただろう。
しかし綺麗な肌だ。私でも嫉妬しそうだな。
「お湯をかけるぞ?」
「はい……」
髪も洗ったので頭からお湯をかける。
明久は湯を弾くように頭を振った。
「さぁ、冷えたら駄目だからな。
湯につかろうか」
「今更だけどでかいな~」
湯船に浸かりながら明久は周りを見てぼやく。
「僕の家のお風呂よりずっと大きい」
「そうか」
「それよりお姉ちゃんはなんで帽子をかぶったままなの?」
「あぁ……」
どうするか……耳が見えないようかぶてたのだが……
私は橙の耳を見ても問題なかったから大丈夫かと思い、帽子を外す。
尻尾を見てもあの反応なんだから気にするほうが変か。
「うわ~お姉ちゃんも耳があるんだね~」
「妖獣だからね。あと藍で構わないよ」
ポツリと呟いた言葉に自分でも不思議に感じた。
「うん、わかった」
「さぁ、あがろうか」
「は~い」
やはりペースを崩される。
しかし悪くない。
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「よし、これでいいだろう」
「ありがとう」
明久の髪も拭き終わり、私は尻尾の手入れをしようとすると、
「どうかしたか?」
「やってみたいな~って」
「いや、別に」
「髪とか洗ってもらったし……」
「……わかった。頼むよ」
【10分後】
「終わったよ~って、藍どうかしたの?」
「……いや、な、なんでもない」
結論を言おう。下手ではない、逆に上手すぎる。
私は息を整える。
まさかあそこまでとは……危なかった……
「もしかして痛かった?」
「え?あ、いや上手だったよ。大丈夫だ」
「よかった」
上手すぎて危なかったけどな。
「……ら~ん、ご飯……」
紫様が起きたようだ。
「おはようございます、紫様」
「おはよ~う」
「おはよう、ら……」
紫様は明久を見、
『パタン』
『ドタドタドタドタ!!!』
「おはよう、明久」
急いで着替えてきたのですね……
「ご飯作るから待っててね」
「は~い」
「え、紫様?」
「私が作るから大丈夫よ」
私は唖然とし、納得する。
はぁ、本当にこの子には紫様同様に、振り回されていきそうだ。
この考えは後、現実となった。
余談だが、この後私の名を呼ぶ明久に、紫様も名を呼ぶようにせがんでいた事を書き記す。
「今更だけどでかいな~」
を見て別のことを考えた貴方。
いいたい事はわかますね。
ちなみにタオルはつけてません。
温泉地等いった場合、タオルをお湯につけない様に気をつけましょう。