僕と幻想郷と召喚獣   作:只今更新凍結中

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九雀柚月の心情

「疲れた……」

 

あのFFF団壊滅?の記事以降、数回ほど取材が来たので、僕はそれを断るのに疲れを感じていた。

 

「おはよう……」

 

今日は幽香達は永琳達に用事があるらしく一緒ではない。

いつも通りFクラスのドアを開け、

 

「あら、遅かったわね」

「……」

「どうかしたの?」

「ちょっと目を覚ましてくる。まだ夢見ているみたいだし」

「前も思ったけど明久、私にかなり失礼じゃない!?

私先輩よ!?と言うより私がなにしたって言うのよ!?」

 

何したって……

 

「先輩って弄ると面白い反応するから……」

「えぇ!!??」

 

本当、この先輩は変わらないものだ。

名前は九雀柚月。

名の通り九雀財閥の娘で……

 

「中学自体から姿変わりませんね」

「うるさいわね!?これでも結構気にしてるのよ!?」

 

中学2年くらい?(もしくはそれより前)から全く変わってない。

……いや、

 

「一応身長は少し伸びましたか。良かったですね」

「あ、ありがとう」

 

先輩は少し顔を赤くし、そして、

 

「ってちょっと待って、それって他は成長してないって言ってないかしら!?

言っとくけど胸も成長して……」

「先輩、少し羞恥心って持ちませんか?

それ以上にそんな事言ったら、僕セクハラで訴えられるから言いませんよ」

「あ……」

 

先輩は自分の発言の意味に気づいたのか胸元を隠す。

まるで僕が悪いみたいじゃないか。

 

まぁ、やはり其処だけは成長していたんですね。

 

「とりあえず、授業始まりますよ?」

「あ、またね」

 

一旦先輩には帰ってもらい、僕達は授業を受けていた。

前とは変わり、他の皆も真面目に授業を受けている。

雄二はそれを見て何かを考えているようだ。きっと次の試験戦争についてだろう。

 

「……そう言えば用事ってなんだったんだろう」

 

___________________

 

授業を受けながら私は昔のことを思い出していた。

吉井明久との出会いは単純。

よく漫画であるような出会いだった。

 

 

 

 

「だから興味ないって言ってるでしょ」

「でも一人じゃ暇でしょ?一緒に遊ぼうぜ」

私はその日ナンパにあっていた。

と言うか下心丸見えの男だったと思う。

 

「良いからこっちに……」

 

男はこっちに手を伸ばそうとし、

 

「嫌がってるんですから止めたらどうですか?」

 

横から現れた手にそれを阻止された。

それは私のと同じ学校の生徒で、

 

「あぁ?ガキは黙ってろ」

 

男はナイフを取り出し、その男子に見せびらかす。

 

「へへへ」

「……はぁ」

 

ほんの一瞬だった。

いきなりナイフの刃の部分が消え去ったのは。

 

「え……」

「次……」

「あ……」

 

男子は手を上げると、そこにはなくなっていたナイフの刃があり、

 

「うわぁ!!??」

 

男は悲鳴をあげながら逃げていった。

まさか、ナイフを素手でへし折ったの?

 

「大丈夫ですか?」

「え、えぇ」

「では気をつけてくださいね、先輩」

 

そう言って男子は歩いていった。

その後、私は帰るとあの男子について調べた。

そしたら見つかったのは新入生の一人であり、

 

「名前は吉井明久。

今の所学力普通、運動神経も普通よし少しいいけど特出と言うものはなし……」

 

いや、ありえないでしょ……

 

「……そういえばお礼言ってなかったわね……」

 

お礼ついでに話してみましょう。

 

 

_________________

 

次の日、私は1年のクラス前まで来ていた。

 

「おい、あれ九雀先輩じゃね?」

「あ、あの九雀財閥の?」

「……」

 

まさか1年にまで知られてるなんて……

私は少しショックを受けながらクラスを覗き込む。

 

「……いた……」

 

そこには女子生徒と本を持ち何か話す吉井明久の姿があった。

多分渡した所を見ると借りたか、かしてるかだろう。

 

「ちょっといい?」

「はい?って九雀先輩」

「あら、夜園の……」

 

親伝いでの顔見知り程度だがちょうどいい。

 

「吉井明久を呼んでくれない?」

「いいっすけど……他人の振りしますからね」

「わかってるわ」

 

あまり目立たないようにしたいのはわかるもの。

 

「お~い、明久」

「うん?なに、正人」

「先輩が呼んでるぞ」

 

吉井明久はこちらへと来ると、

 

「あ、あの時の」

「礼を言い忘れてたから。

どうもはじめまして、九雀柚月よ。先日は助かったわ」

 

私の名前を聞くとクラスが騒ぎ立つ。

本当いやね……それにさっきの女子は崎橋の所の娘じゃない。

 

「あ、別にいいですよ」

「でも礼儀としてね」

「そうですか。じゃあどういたしまして」

 

……あれ?

 

「……」

「どうかしました?」

「貴方、私の名前聞いてなんとも思わないの?」

「九雀ですよね?たしか財閥の」

「えぇ」

「で、それがどうかしたんですか?」

 

その言葉にまたざわめきが起こり、野園の男は大笑いし、崎橋の娘は無表情に見えたが少し微笑んでいた。

 

「え……」

「いや何で大笑いするのさ、正人」

「いや、明久らしいと思ってな。あ~腹痛て~」

 

 

 

_____________________

 

あれがはじめて明久と話したときよね……

彼は私を『九雀財閥の』柚月ではなく、『先輩の』柚月として見てくれた。

 

「私は財閥の娘としてじゃなく、唯一人の私として見てくれた吉井だからこそ守りたいと思った。同時に近くに居て欲しいとも」

 

ポツリと自身に確認するようにつぶやき、周りを見る。

よかった、聞かれていない。

だからこそ彼を勧誘してたんだけど……

 

「もう、それも無駄になるのね……」

 

昨日伝えられた言葉を思い出し、

 

「家を継ぐとはそう言うこと……自由なんて無いのよ」

 

私は空を飛ぶ鳥を眺め、最後の自由を果たすことを決めた。

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