「は?何を言っているんだい?」
僕の言葉に、新郎の格好した男は呆れたように手を上げる。
その顔には笑顔が張り付いているが、目には明らかに相手を見下した視線を映している。
「これはね君のような奴が関わることの到底できないことなんだよ。
何より……」
男は柚月に視線を送り、
「その
女は家のために使われる、それが現実だ」
「っ!!」
男の言葉に柚月は唇を噛み締めるも反論できなかった。
なぜなら今現在の自分の状況がその言葉の通りだからだ。
「……」
いつも思う、なんで彼らはこうも僕の気を逆なでするのが好きなんだろうか?
しかしそんなくだらないことよりやらないといけない事がある。
「はぁ、一々泣かないでよ」
「泣いてないわよ」
「だったら鏡用意しましょうか?柚月くらいの身長の鏡ならすぐ見つかると思うけど」
「ねぇ、明久。貴方は私を助けに来たの?それとも弄りに来たの?」
「えっ両h……」
「ごめん、言わないで」
はて、なんでまた泣きそうになってるんだ?
「お前、人の話聞いてるのか?」
「聞いてないですよ」
「てめぇ……」
男はこちらへと踏み込んでくると拳を振るってきた。
僕はそれを首をそらして避けるが……
「……ボクシング経験者?」
「あぁ、これでも大会で優勝したこともあるし、免許もある」
「ならこの行動はおかしいのは理解してるよね?」
正当防衛等ならまだしも、プロの人間が行為的にこういうことをすればライセンス剥奪だってありえる。
周りも黙って傍観してるあたり事実だろうし。
「大丈夫だよ、バレなきゃいいんだからね!!」
男は次々と拳を突き出し、僕は柚月に当たると危ないので距離をとっていく。
「俺と君とでは住む世界が違うんでね!!君程度がいなくなっても問題ない!!」
「……」
繰り出された拳を避けると、その拳は後ろの壁を崩す。
その穴から抜かれた手を見ると、何やらつけているようだ。
「すごいだろ?強度はチタン合金以上、しかし衝撃吸収もできるから壁を殴ってもこちらは怪我なし。
軽量だからこんな感じでグラブにできるってわけだ」
「……武器が可哀想だね」
「なに?」
「いや、言っても意味ないか」
「てめぇ!!自分の立場がわかってんのか!!」
『バシッ!!』
「なっ!?」
僕は男の拳を受け止め、指に力を込める。
『ミシッ!!』
「がっ!!??あ、ありえねぇだろ!?」
とりあえず邪魔なので壊しとこう。
「さて、僕は今から君を殴ることにするよ」
「なっなんで!!!」
僕は右拳に力を込め、呟く。
「ひとつはなんとなくかな。あんたが気に入らないだけかもしれない。
もう一つはさっきからの言葉にムカついたから」
しかしそれよりももっと重要なことがある。
「そして何よりあんたは柚月を侮辱しすぎたんだよ」
「あ、あぁ……」
男は後ろに下がるが、僕もその分前に出る。
「最後にあんたは……柚月を泣かせた。
殴るには十分の理由だ!!」
振り上げた拳は男の顎にあたり、高々と舞い上がる。
なんか砕いた音がしたが、落ちてきた男は生きているからまぁいいか。