「さてと、私も皆様の手伝いに行きたいのですが……」
「……」
「静か……というより無口な方ですね」
咲夜は構えを取る仮面をつけた人型の異形にそうぼやいた。
(こちらの今の火力では倒せませんね)
咲夜はナイフを投擲するも異形を貫けず弾かれる。というよりも現時点で数本、ナイフがダメになっている。
「これでも特注のナイフなのですが……あなたの体を貫くことはできませんか……」
咲夜がぼやくと異形は踏み込んできて拳を振り抜く。自ら周りの時間を緩やかにし、避ける咲夜の後ろにあった柱を……
『ドゴンッ!!!!!!』
異形の拳は軽々と砕き、粉砕する。
咲夜の攻撃は全く効いた様子はなく、異形の攻撃は避けられる。
一見対等に見える状況だが咲夜の方が圧倒的に不利だった。避けるということはそのたびに体力を消費する。
異形はほぼ自然体……何もしないで咲夜の攻撃をはじいていくのだ。
「……殺人ドール!!!」
咲夜はナイフの陣を展開し、そのナイフは異形へと飛んでいく。
異形はそれを無視してゆっくりと咲夜へと近づき、そのうち一本が仮面を貫いた。
仮面にヒビが入っていき、その下から現れたのは時計のような目……機械のような肌だった。
「……なるほど、機械ですか……しかも下手な金属より硬い」
そう咲夜は異形を観察し、答えを出すと違和感に襲われる。
「……時間が……まさか」
咲夜は異形を見、そしてその目を見て苦笑する。
「まさか貴方も時を……」
次の瞬間、異形は咲夜の目の前に現れ拳を振り抜いた。
その拳は咲夜の頭を捕らえ……
『グシャッ……』
異形は赤く染まったこ……ぶ……
次の瞬間、異形は咲夜の目の前に現れ拳を振り抜いた。
咲夜はそれを体をかがめ避ける。
「……」
異形は拳を眺め、そして不自然に周りを見ていた。
「あら、バレていましたか?」
咲夜はそう言うと一枚の時計の柄の描かれたスペルカードを見せる。
「本当に怖い一撃ですね……おかげで同じとこで5回は
咲夜は苦笑し、異形を見る。
「私の能力は元々時を止める、時間の流れの緩急くらいしかできませんでした。時間の流れを戻すなんてもってのほか……
しかし修行に成果でしょうかね……それとも明久のおかげなのか……時を支配できるようになった。
でもそれには膨大な霊力が必要で使ってしまえば戦闘はできません」
咲夜はスペルカードをひらひらと振り、
「そこで考えたのが霊力の貯蓄です。私の霊力がそれを使うに足りないならそのスペル自体に霊力を溜め込めばいい……
そしてこのカードに溜め込んだ時間は約1年……範囲はこの教室くらいと狭く短い時間ですが……」
咲夜は懐中時計を見、刃のない柄だけのナイフを取り出す。
「その短時間だけならすべての時間が私のものとなる」
咲夜はそれを異形に投擲し、異形は刃もなくましてや効くはずもないナイフに咲夜に向かって足を進める。
しかし次の瞬間まるで何かが体を貫いたように体がふらついた。確認するとそれは体を貫き固定している刃だった。
「そして私自身の今の霊力は自由。どうですか?明久に習って作った霊力の刃は……まだ15本程度しか一回に作れませんがね」
そう言って咲夜の持つナイフに刃が形成される。それは淡い光を放ち……
「オマケで柄には破邪の呪印を刻んでいます。では……さようなら」
咲夜はそれを空に向かって投げドアの方へと向く。刃は重力に従い、異形へと……
「……磔の異形……あなたにはお似合いでしょうね」
咲夜はそう言って部屋を出ていった。
さぁ次回から明久視点?です。