Bクラス戦から二日経って、Aクラス戦について雄二からの説明が始まった
「まずは皆に礼を言いたい。周りの連中には不可能だと言われていたにも関わらずここまで来れたのは、他でもない皆の協力があっての事だ。感謝している」
…こいつは誰だ?雄二の皮をかぶった別人か!?
「なんだよ?ゴリラらしくない」
「いい加減その呼び方やめてくれないか?」
「…で坂本。どうしたんだよ、らしくねぇ…」
「ああ。自分でもそう思う。だが、これは偽らざる俺の気持ちだ。ここまで来た以上、絶対にAクラスに勝ちたい。勝って、生き残るには勉強さえすれば良いってモンじゃねぇっていう現実を、成績だけが全てとしか見てねぇ教師共に突き付けてやるんだ!」
「「「「そうだ、そうだ!!」」」」
でも努力ぐらいしようね…
「皆、ありがとう。そして残るAクラス戦だが、これは一騎討ちで決着を着けたいと考えている」
「どういう事だ?」
「誰と誰が一騎討ちをするんだ?」
「それで本当に勝てるのか?」
雄二の言葉に、教室中にざわめきが広がった。
side幽香
「落ち着いてくれ。それを今から説明してやる」
そうは言ってもどうするのかしら?
「まず、戦るのは当然俺と翔子だ」
代表同士の一騎討ち。まぁ、当然と言えば当然よね…でも、
「普通にやって今に雄二が勝てるわけ…」
『ヒュッ』(雄二が明久にカッターナイフを投げる)
『パシッ、ヒュッ!!』(妹紅がキャッチし投げ返す)
『ヒュッ!!』(私もついでに雄二にペンを投げる)
「うわっ!?何すんだてめえら!!」
「最初にやったのはお前だろ!!」
確かにそうね、それに…
「今度明久に同じことしたら…アテルワヨ?」
「マジですいませんでした」
「ま、まぁ、明久の言う通り確かに翔子は強い。まともに戦り合えば勝ち目は無いかも知れない」
だったら、カッター投げないでよ。
「だが、それはDクラス戦もBクラス戦も同じだっただろう?まともに戦り合えば俺達に勝ち目は無かったが、俺達は今こうして勝ち進んで来ている。今回だって同じだ。俺は翔子に勝ち、FクラスはAクラスを手に入れる。俺達の勝ちは揺るがない。俺を信じて任せてくれ。過去に神童とまで言われた力を、今皆に見せてやる」
「「「「おぉ~!!!」」」」
(((いや、無理でしょ…)))
あら?なんだか明久と考えが重なったような…
「さて、具体的なやり方だが…、一騎討ちではフィールドを限定するつもりだ」
「フィールド?何の教科でやるつもりじゃ?」
「日本史だ。ただし内容を限定する。レベルは小学生程度、方式は100点満点の上限有り。召喚獣勝負ではなく純粋な点数勝負とする」
ふ~ん、何か秘策でもあるのかしら?
「でも、同点だったらきっと延長戦だよ?そうなったら問題のレベルも上げられるだろうし、ブランクのある雄二には厳しくない?」
「確かに明久の言う通りじゃ」
「まさか運任せとか言わないよな」
「おいおい、お前達。あまり俺を舐めるなよ?いくらなんでもそこまで運に頼り切ったやり方を作戦などと言うものか」
「じゃあ、雄二は霧島さんの集中力を乱す方法を知っているとか?」
「アイツなら集中なんてしていなくとも、小学生レベルのテスト程度なら何の問題も無いだろう」
あら、まるで霧島さんのことなら知ってるような口ぶりね…
「雄二よ、あまり勿体振るでない。そろそろタネを明かしても良いじゃろう?」
「ああ、すまない。前置きが長くなったな」
「俺がこのやり方を採った理由は一つ。それは、『ある問題』が出ればアイツは確実に間違えると知っているからだ」
「ある問題?」
「ああ。その問題とは………『大化の改新』」
「大化の改新?誰が何をしたのか説明しろ、とか?小学生レベルでそんな問題が出てくるのかな?」
「いや、そんなに掘り下げた問題じゃない。もっと単純な問いだ」
「単純というと…起こったのは何時代かとか?」
「もしくは年号とかかのう?」
「お、ビンゴだ秀吉。お前の言う通り、その年号を問う問題が出たら俺達の勝ちだ」
そんなにうまくいくのかしら…
「簡単な問題なんだが、翔子は確実に間違える。そうしたら俺達の勝ちとなり、晴れてこの教室とオサラバって寸法だ」
すごい自信ね…それよりさっきから気になってたけど…
「あの……」
「なんだ?姫路」
「坂本君って、霧島さんと知り合いなんですか?」
それよ。さっきからアイツとか言ってるしね。
「ああ。アイツとは幼馴染だ」
「総員狙えぇぇぇぇーーーっ!!!」
あ~またこいつらは…
「なっ!?何故須川の号令で皆一斉に武器を構える!?」
「黙れ男の敵!Aクラスの前にキサマを殺すッ!」
「俺が何をした!?」
「男とはッ!『愛』を捨て『哀』に生きる者成りッ!それをキサマは汚らわしき欲望を以て気高き才色兼備の霧島翔子を唆し、我等の鉄の掟を踏みにじったのだッ!」
「「「「「「我等異端審問会の血の盟約の下、異端者に死をッ!!死をッ!!」」」」」」
…ハァ…ここにはバカしかいないのかしら…
…いなかったわね…
「訳分かんねぇ!何だよ血の盟約って!?つまりどういう事だよ!?」
「「「「「霧島翔子と幼馴染なんて羨ましいじゃねーかこの野郎ッ!!!!」」」」」
くだらないわね…
「それ言ったら明久はどうなる!!風見と藤原と幼馴染で、上白沢先生や八意先生とも聞いてる限り仲いいんだぞ!?」
「な!?雄二おま…」
「「「「吉井ィィィィーーー!!!キサマも異端者だ!!!!」」」」
『シュカカカカッ!!!』
「お前ら…」
「貴方達…」
「「明久に手出したらどうなるか解ってるよな(わかってるわよね)?」」
はぁ、呆れてこの頃溜息が多いわ…
「あの、吉井君」
「ん?何?姫路さん」
「吉井君は、霧島さんみたいな娘が好みなんですか?」
「へ?そりゃ霧島さんは美人だけど…好きではないかな」
「……」
「けど好みかと言われたら…って、えぇっ!?何で姫路さんが僕に対して攻撃態勢取ってるの!!そして美波!?君は何故教卓なんて物騒な物を僕に投げつけようとしてるのさ!!僕が一体何をしたと!!」
「吉井君にはお仕置きが必要な様ですね」
「覚悟しなさいアキ。その性根を叩き直してあげるわ!」
「それならまずあんた達は言葉について習ってこい!!」
「あと話を聞くってこともね」
私と妹紅は二人を抑えつける。
記憶が確かなら姫路って子もうちょっとまとも子だと思ってたけど気のせいだったのかしら…
side明久
なんとか命の危機を脱出すると、
「まぁまぁ。落ち着くのじゃ皆の衆」
秀吉が声をかけ、
「冷静になってよく考えてみるが良い。相手は『あの』霧島翔子じゃぞ?いくら幼馴染とはいえ、男である雄二に興味
があるとは思えんじゃろうが」
「まぁそれもそうだな…」
「むしろ興味があるとすれば…」
さっきまで暴走してたFクラス男子が一斉に姫路さんを見る。
「な、なんですか?もしかして私、何かしましたか?」
「いやいや。別に何も」
「何もしてないけど、何かされる可能性が…」
「え?」
「「「「いいえ、何でも!!」」」」
「???」
やっぱりみんな噂を鵜呑みにしてるみたいだね…
噂は所詮噂なのに…
「とにかくっ!俺と翔子は幼馴染で、俺達が小さい頃に俺がアイツに間違えて『大化の改新は625年』って教えていたんだ」
「貴様ッ!!まだ幼くて何も知らない純粋無垢な霧島さんに嘘の情報教育を施していやがったのかッ!!」
「何て外道な奴なんだ!!」
「………許されざる行為…」
「えぇーい、もう何とでも言え!!取り敢えず今は黙れ!!話が進まん!!」
どんまい、雄二。
「アイツは一度覚えた事は絶対に忘れない。だから今、学年トップの座にいる。しかし、今回はそれが仇となるんだ!」
雄二が黒板をバンッと叩いて皆の注目を集める。
「俺はそれを利用してアイツに勝つ!そうしたら俺達の机は…」
「システムデスクだっ!」
そううまくいくかな…