雄二の朝と明久の誘い
side雄二
休日の朝。俺が目を覚ますと、
「・・・・・雄二、おはよう」
目の前に翔子がいた・・・
「・・・・・今日はいい天気」
「ん?ああ、そうみたいだな」
カーテンを開けると強い光に目を細める、そして再びと幼なじみの姿を見る。
今日は休日だからか、さすがにいつもの制服姿ではなかった。
寝ぼけているのかもしれない。眠気を振り払うように頭を大きく振って、翔子に向き直る。
「あらためて、おはよう。翔子」
「・・・・・うん。おはよう雄二」
「よいしょ、っと」
そういえば、どうして翔子が俺の部屋にいるんだ?
今日はコイツと何かの約束をしていたっけ?
寝起きのためか本調子ではないが頭で記憶をさかのぼる。ダメだ。全く覚えがない。なら約束ではないだろう。だとすると・・・・・・
ほかの理由を考えて、1つの結論にたどり着く。そうか、そういうことか・・・
「悪い翔子。俺の携帯とってくれ」
「・・・・・電話でもするの?」
「ああ、そうだ」
翔子が渡してくれた携帯を操作し、番号を押す。
コイツがここにいること。それは・・・
「ああもしもし?警察ですか?」
不法侵入しかない。
『ドドドドドドドドドド! ガチャッ』
「おふくろっ!どういうことだっ!」
「あら雄二。おはよう」
キッチンに駆け込むと、おふくろは洗い物をしながら朝の挨拶をしてきた。
「おはようじゃねぇっ!どうして翔子が俺の部屋にいるんだ!
おかげで俺は警察のオッサンに二次元と三次元の区別が出来ない妄想野郎と思われちまっただろうが!」
幼なじみが無断で俺を起こしに部屋に入ってきた、と告げたときの相手の反応は俺の心に深い傷を残してくれた。寝ぼけていたとはいえ、一生の不覚だ!!
「・・・え?」
俺の言葉をうけて、おふくろが何度か大きな瞳を瞬かせる・・・
「翔子ちゃんが・・・・・・?」
おふくろが頬に手を当てて困ったような顔をしている。
この態度だと、もしや翔子単独の行動か?おふくろの手引きじゃなかったのか?
もしそうだとしたら、いきなり朝から怒鳴るのは悪かったかもしれない・・・
「ああ、いや、怒鳴って悪かった。俺はてっきりおふくろがアイツを勝手に俺の部屋に上げたものだと」
「もう、翔子ちゃんってば奥手ねぇ。折角お膳立てしてあげたのに何もしないでいるなんて勿体な・・・あら雄二、どうしてお母さんの顔を鷲掴みにするのかしら?」
「やっぱり、アンタのせいか・・・!」
この母親には一度きっかり常識を教えてやるべきだろう。
「・・・・・雄二。お義母さんを虐めちゃダメ」
「止めるな翔子。俺は息子としてこの母親の再教育をしないといけないんだ」
遅れて現れた翔子が俺の腕を掴んで邪魔してくる。
なんとなく、翔子の言う『お母さん』の発言が普通と違うような気がするが、今は気にしてはいけない。というかツッコんではいけない気がする。
「・・・・・言うことを聞かないと、この本をお義母さんと一緒に読む」
「ま、待てっ!それは女子の読むものじゃない!早くこっちに寄越すんだ!」
翔子が取り出したのはA4サイズの冊子。
くっ、よりにもよってあの本か!ムッツリーニですら唸らせた至高の1冊が見つかるなんて最悪の事態だ!
っていうかどうやって見つけ出したんだ!?一緒に暮らしているおふくろでさえわからないような場所に隠したはずだぞ!?
「あら翔子ちゃん。それは雄二が歴史の資料集の表紙をかぶせて、机の2番目の引き出しの2重底の下に隠してある秘密の本じゃない?」
「わ、わかった。おふくろは開放しよう」
言われた通りアイアンクローを取りやめる。なんて汚い脅迫なんだ。てかおふくろにもバレていたのか・・・
「やれやれ・・・・。んで、どうして翔子が来てるんだ?」
「・・・・・約束」
「約束?今日俺となにか約束をしていたか?」
「・・・・・うん」
いつもの調子で頷いてポケットから小さな紙切れを取り出す翔子。どうやら何かのチケットのようだ。え~っと・・・・・
「あら。如月グランドパークのオープンチケット?しかもプレミアムって書いてあるから特別なチケットなんじゃないの?凄いわ翔子ちゃん、よくこんなもの手に入ったわね~」
「・・・風見が・・・友達がくれた」
「・・・・・・・・雄二、行こう?」
いやだと言いたいが・・・言っても聞かんだろうし・・・絶対裏に風見とかがいるだろうしな・・・
「仕方ない・・・まぁいいだろう」
だが、この程度の困難に屈する俺ではない!なんとかして脱出をしなければ俺の人生が・・・・・・・・
side明久
「あ、そうだ慧音」
重要なこと忘れてた。
「なんだ?」
「休みに如月グランドパークに行かない?」
「・・・・・・え?」
「ほら、優勝賞品でチケット貰ったからさ」
「いや・・・妹紅達は?」
「私らはパス。用事あるから」
そう、何だか用事があるらしく慧音と二人で行こうということになった。
「もしかしてなんか用事でもあった?」
「え、いや、ない!い、行く!!」
「うん、じゃあ今度の休みね」
「わかった!!」
よかったうれしそうで。しかし顔赤いけど大丈夫かな?
side妹紅
「今より会議を始めるわ」
今ここにいるのは私、幽香、アリス、咲夜、永琳である。
「今回みんなを呼んだのはほかでもない・・・」
「明久がお礼として慧音を誘ったの」
「だから私達は邪魔しないようするつもりだったんだが・・・」
「あの二人ね・・・」
アリスの言葉に私はうなずく。
「しかも同日に霧島さんも誘ったみたいで、彼女達とバカ集団がいるのは確実」
「妹紅、質問していいかしら」
「なに?咲夜」
「あの子たちホントに明久のこと好きなの?」
「確かにそうね・・・」
「私にはまるでお気に入りのおもちゃ程度にしか見てないように見えたのだけど・・・」
「永琳の言いたいこともわかるけど、一応好きらしい・・・」
私達は黙りこむ・・・
「一応私達は『相手は明久が』ということで同意してるけど・・・」
「出来るなら彼女達は・・・」
「まあその話は置いといて。今回の話は明久と慧音の護衛よ」
「秀吉の手を借りて手伝いとして混ざりながら護衛する、って感じね」
「あのクラスで味方って秀吉君しかいないのね・・・」
「まぁ、そう言うことだから」
「当日、頑張りましょう」
「「「「「おぉ~」」」」」
こうして時間は一刻と過ぎて行く・・・