パンケーキ探偵(予定)に憑依転生したんだが   作:阿鼻

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日間ランキングにまで載せていただいて本当にありがとうございます…!

今回書いてて思ったのが、正直何の山も谷もない日常会話なら無限に続けられるなあと。でもそれをしちゃうとグダグダするしストーリー進まないし…
原作からして楽しい日常会話多すぎるんですよね。話は進めたいのに思い出が強すぎて削りたくないジレンマ…。




全員集合!TVの世界へ

 

 花村さんと鳴上さんの2人との顔合わせを済ませ、その後いくらか話をして流石に中学生には時間が遅くなるということで解散となった。

 

 次の日に後2人の仲間と合流して、一度テレビ世界に行こうという約束をした。もう一度クマにもお礼を言っときたいし。

 俺も事件解決の為にここへ来た為協力を申し出たのだが、花村さんが俺の年齢を理由に『いや危ねーから!マジで危ないんだよあの世界は!』と諭そうとしてきた。中身はともかく今の俺、中学一年生だしな一応…。

 そこでイゴールから話を聞いていたという鳴上さんが助け舟を出し、とりあえず一度どれくらい戦えるのかを見てから判断しようということになったわけだ。

 

 実際戦闘したのなんてクマに助けてもらう前に野良シャドウ相手に何戦かした位だから、サポートありで戦えるのはありがたい。ゲームのターン制バトルじゃなくて、現実通りのリアルタイムバトルだから勝手が全然違う。

 ペルソナで一撃で倒せればいいが、囲まれたらとんでもなく厄介なのは身に染みた。

 というか戦闘した感じ、どうも俺のペルソナって出力が低いような気がする。比較対象が前世のゲームだから実際にはどのくらいの差があるとかは分からないけれど、能力に目覚めたばかりでLVが低いせいだろうか。

 まだ他のペルソナも持ってないし、戦力カウントされなかったらどうしようか…なるようにしかならないか。

 

 家では義姉さんに2人に接触したことについて小言を言われたが、その内巽完二さんが行方不明になってしまった事の話題にシフトしたので特に問題は起きなかった。

 

翌日。

 

 約束通り、花村さんと鳴上さんに加えて、2人の女子もジュネス屋上のフードコートに集合していた。

 

 「初めまして!私は里中千枝!君が花村の言ってた子かー。へえ、ホントに中学生なんだ」

 

 「私、天城雪子。よろしくね。私たち以外にもペルソナ使いがいるなんて驚いちゃった」

 

 八十神高校の制服の上から緑のジャージ、赤のセーターを羽織った2人から自己紹介を受ける。

 茶髪で短髪の活発女子、黒髪ロングの大和撫子という風だ。

 

 「白鐘吾郎です。本日からよろしくお願いします。ペルソナの方は、目覚めたのは完全に偶然と言いますか…」

 

 「聞いてるよ、災難だったよねー。私も運命の人見れるって最初噂聞いた時ちょっとワクワクしてたのに、映ったのが女の人でさー。もうビックリって感じ!

 …この間みたいなトンデモ衝撃映像じゃなかったけどね」

 

 「ドキドキ純愛もののドラマを見ようと思ったらホモビデオ見せられたみたいな衝撃でしたね…!うっ、吐き気が……!!」

 

 まあ状況ほぼまんまなわけだが。発言が全部ソッチ系だったんだが…突・入だのハッテンだの……え、あれゲームとかアニメでもそのまま放送できたの?マジで??

 

 「里中、わざわざ掘り起こすんじゃねーよ!何か起こるかもって覚悟して見てた俺たちでもトラウマ級なんだぞ!?何も知らない純情中学生が無防備にアレ見た衝撃は計り知れねーわ!」

 

 「そっとしておこう…」

 

 「ご、ごめんって!!」

 

 「えーと、白鐘君…はお兄さんもいるんだよね。じゃあ吾郎君。やっぱりシャドウ出た?どんな感じだった?」

 

 「いや天城、それも普通にトラウマ案件だろ…。でも、ペルソナ使えるってことは1人で乗り越えたのか?俺たちみんな手助けしてもらって何とかだったってのに。おま、実は凄くねえ?」

 

 「実際に向き合って色々思うことがありまして。シャドウに言われた事にも大体全部自覚はあって。嗚呼、やっぱりそうなのかなって」

 

 「嘘だろ、そんなあっさり受け入れられるもんなのか…向き合う事が最初っから出来てれば自分のシャドウに襲われることも無いのか?わっかんねーな、前例が無さすぎるわ」

 

 「まだ中学生なのに、すごいな吾郎は」

 

 褒められるのは嬉しいんだが、まあ前世有りだからな…。

 それでも結構傷つくし、なんならシャドウからは『受け入れた』んじゃなくて『諦めた』とか言われてたし…ワイルド能力が完璧じゃないとか、出力低いのもしかしなくてもそれのせいか?

 

 「というか、吾郎君も引っ越してきたんだよね。そこの花村とか鳴上君みたく。大変だよねーこんな時期に」

 

 そう言えば調査した時にそんな話もあったな。花村さんは親がジュネスの店長になるから一年前にこっちに来て、鳴上さんは親の仕事の都合で引っ越してきたんだったか。2人とも親の都合といえばそうか…まあ境遇も似てるし仲良いんだろうな。

 

 「白鐘家って探偵家業やってまして。そもそもが今回の連続殺人について、警察に依頼されて…俺は探偵の補佐としてこっちに来た感じなんです」

 

 俺たちが八十稲羽に来た理由を話すと、全員驚いたような顔をした。

 探偵なんて普通にしてれば関わることなんてないし、それもそうか。

 

 「はー、探偵とその補佐役と来たか。警察も分からないなりに色々やってんだな」

 

 「ああ、ハイカラだな。本物の探偵に会うのは初めてだ」

 

 「探偵って、あの探偵?じゃあ、お兄さんが探偵さんなんだ。…吾郎君もだけど、随分若いよね?」

 

 「ええ。舐められることも多くて…中一と高一のガキが何様だーって感じなんでしょうね」

 

 「えー、カッコいいと思うけどなー少年探偵!こう、響きが」

 

 「まあ探偵王子なんて渾名があるくらいですし。それなりに名は知られてると思います」

 

 知る人ぞ知るって感じだが。性別はまあ…俺から明かすのも違うだろうし。本人も気にしているみたいだし、このまま行こう。

 

 「吾郎にはないのか?そういう通り名は」

 

 「まだ探偵見習いなんで。あくまで補佐役ですし」

 

 「頭良さそうだし、顔もかっこいい方だし、その内つくんじゃない?兄弟だから探偵王子2世!とかさ」  

 

  里中さん鋭い。ニアピン賞だ。

 

 「俺はそんな大仰なものは要らないんで…そうですね…『パンケーキ探偵』とかでいいですよ」

 

 「フワッフワなのが来たな名前的にも物理的にも!」

 

 「兄弟で落差すっご…」

 

 「吾郎君はパンケーキとか甘いものが好きなんだ?」

 

 「いやまあ、食べるのも作るのも好きなんですけどね。こう何というか、切っても切れない因果的な…」

 

 「パンケーキと探偵に一体なんの因果関係があんだよ…」

 

 ある意味元の明智吾郎の死因の大元だし。死んでるかどうかは不明だが。

 何故かベルベットルームの掛け軸もパンケーキだったし…いや、アレについては本当に何でだ…?

 

 「今度作りましょうか。家のシェフの真似事ですが、真似するのは昔から得意なんです」

 

 「さらっとシェフとか言い出したぞオイ。どう思うよ皆さん」

 

 「え、うちの旅館も似たような感じじゃない?」

 

 「そうだよ、雪子も大概だった…。いやちょっと楽しみだけどさー」

 

 「吾郎……(菜々子)の為に是非美味いパンケーキの作り方を教えてほしい」

 

 「可愛い系のヤツ教えますね」

 

 「助かる。ありがとう」

 

 「お前はブレねぇよなマジで…ま、いいか。

 ―――よっしゃ!とりあえず顔合わせも自己紹介も済んだし、クマのとこ行こうぜ。吾郎と吾郎の兄貴が話してた完二の情報をアイツに伝えりゃ、きっと居場所も突き止められんだろ!」

 

 異世界に落ちた人の場所を探るのに、クマの鼻が必要になると昨日聞いた。

 より詳しく探るためには、本人の情報が必要になる、と…。

 もう少し何か覚えてることがあればよかったのにと偶に思う。

 

 「ああ、完二を早く助けないとな。それに吾郎のペルソナも気になる」

 「おー、お手並み拝見!!ってやつだね!」

 

 「私もあんまり戦った事ないから。一緒に頑張ろう」

 

 「お手柔らかに」

 

 

 

 

 ―――――テレビの中

 

 

 

 「驚いた。あんなところから入ってたんですね…監視カメラなんかには映らないんです?」

 

 「あ、確かに。人目しか気にしてなかったけど、人がテレビに入っていく映像なんて残ってたらマズいよね…」

 

 天城さんが同意してくれる。

 

 ジュネスの家電売り場の液晶テレビからテレビの世界へ入り込む。普段人目はないとは言え、あれだけ大胆に入り込んでたら気付かれる可能性はあるだろう。

 

 「出入り口とか、あとはさっと大きい鞄に入れられちまう様な小さいもんのコーナーには、結構カメラあったりするんだけどな。

 そりゃテレビ周辺にだってないわけじゃないけど、在庫が合わない窃盗の疑いとか、壊されてたーみたいなことでもないとカメラ映像なんて見ねーのよ。

 客なんてみんなこの辺に住んでるから顔見知りで、盗みなんてした日にゃ噂がすぐ広まって村八分。不審者なんてなかなか出ないしな」

 

 「なるほど」

 

 「従業員がそういうの言っていいんだ。ジョーホーローエーってやつじゃないの?」

 

 「ダメだけどしゃーねーだろ。お前らなら悪用もしねーし」

 

 「ここだけの話、という事にしておこう。クマ、いるか」

 

 霧の中に話しかける鳴上さん。そういえばいつの間にか俺以外全員メガネかけてるな。こんな濃い霧の中でちゃんと見えているのだろうか。

 前は何も見えない中で無茶苦茶に進んだから迷ったんだよな…。あれ、実は詰みかけてた?

 

 「クマはずーっとここにいるクマよー。今日来たのは新しい子の紹介ね。それともカンジクンの情報分かったクマか?」

 

 「どっちもよクマさん。新しく仲間になってくれる吾郎君」

 

 「吾郎でいいよ。この間は助けてくれて本当にありがとう。怒ったりしてごめん。コンゴトモヨロシク」

 

 「ゴロー、ヨロシククマね!あ、お近づきの印にコレ上げるクマ!」

 

 差し出されたのは赤いメガネ。こう、なんというか…ウ〇トラセブンの変身メガネみたいな。目尻にむけて吊り上がってるメガネだった。悪くない。

 とりあえず受け取ったのでかけてみた。

 

 途端に、今まで見えなかったものが見えてくる。

 

 「…!霧が晴れた!」

 

 ネタを引っ張るのも何だが、ある意味劇的ビフォーアフターだ。

 視界が霧のせいでほぼゼロだったのが一気に開ける。

 

 周りを見渡すと、四方を囲むカメラに照明器具etc。ここはまるで…

 

 「スタジオ?マヨナカテレビってまさか…」

 

 「ああいや、どうもここで撮られてるとかそういうのじゃないらしい。俺らも考えたんだけどな。こっちの世界に詳しいクマが違うっつーんだ」

 

 「なにかを『トル』とか、そういうのはコッチにはないクマ。毎回この説明せなあかんとかね」

 

 違ったらしい。探偵業してるのに恥ずかしい…補佐だけど…。

 

 「吾郎君は最初なんだから許してあげなよそれくらい」

 

 「こっちの世界に入った人の心の中が映っちゃうらしいの。私の時もそうだったらしくて」

 

 「……ハッテン僕の街?」

 

 「お願いだから一緒にしないで!!?」

 

 まあ、女性だしハッテンはないか…。流石に失礼だった。

 

 「天城のは逆ナンだったんだ」

 

 「なにそれ詳しく」

 

 「聞かないで!?」

 

 いや気になる。シャドウの暴走ってことなんだろうけど気になる。

 もしかして俺のも映ったりしたんだろうか。

 俺がテレビに落ちた時には、巽さんの番組も消えていたし…流石にないか。

 

 

 「とりあえずセンセイからカンジクンの情報聞いとくクマね。……え、コンプレックス?それだけ?」

 

 「あとは『漢らしさ』ってのに拘ってる感じ?なんか必死だったよ」

 

 「ムムムム、鼻クンクン全ッ開ックマッ!!

 おおおおお、なんか当たりの予感!?ナイスフォローねゴロー!みんな、着いてくるクマ―――!!」

 

 巽さんの居所を突き止めたらしい。クマがテンションを上げて、その短い脚で必死に走っていき、俺たちが着いていく……いや、あの脚なのに結構速いな、クマ。

 

 

 クマに案内され辿り着いた場所は、熱い湯気の立ち昇るサウナだった。

 

 巽さんのシャドウらしき声が聞こえたが、割愛する。思い出したくない……。

 進まないと助けられないのに、足を進めるのを体が拒みそうになる。

 サウナで汗だくになっているはずなのに、鳥肌が立つってどういう事だ。自分の体なのにもう分からない。

 

 鳴上さんも花村さんも似たような状態だった。多分熱気で汗をかいているが、冷や汗を流しているようにしか見えない顔色になっている。

 

 それでも、助けるためにはやっぱりやるしかないと。全員が中へ足を踏み入れて――――即座にシャドウに襲われた。

 

 ここで一つ驚いた。ペルソナ5で襲ってくるシャドウは全員最初は名前こそ分からないが、全員見た目はペルソナその物だった。大衆のイメージだってシャドウの姿形に関わっているという。

 だからこそ、というわけじゃないが。主人公(ジョーカー)は交渉でシャドウをそのままペルソナとして自分の仮面に加えていけたわけだ。

 

 それがここではどうだ。岩に仮面が引っ付いて、上から手がポンと飛び出ていたり。口だけついて、ベロを伸ばしてくる球体だったり。なんだこいつら。これが人の心の化け物なのだろうか。

 

 そんな驚きに思考を取られ、俺はペルソナを呼び出すのが一手遅れてしまった。

 

 

 その遅れた、本来なら致命になりかねない一手は。どうやら外れではなく、大正解の類だったらしい。

 

 「イザナギ!」

 

 「来い、ジライヤ!」

 

 「行くよ、トモエ!」

 

 「おいで、コノハナサクヤ!」

 

 

 俺以外の全員がペルソナを呼び出す中で。

 彼らのペルソナを見て…この世界で“自分以外のペルソナ能力を見て”初めて。ようやく、自分のペルソナの『力』を理解した。

 

 どうやら俺のペルソナの力が弱いのと、ワイルド能力が完全覚醒してないのは別の問題だったようだ。つまりワイルドの問題は未だ分からない。

 

 ペルソナに関しては頭を悩ませるまでもなかった。

 俺が単純にペルソナの力を把握してなかったってだけの話だ。しかも基礎スペックが把握できてなかったんだから、お話にもならない。そりゃあ弱いわ俺。

 なんにせよ、これからだ。

 

 「ゴロー、ゴローも早く戦うクマ!囲まれるクマよ!!」

 

 サポートに入ってくれてるクマから声が飛ぶ。

 

 急にペルソナの使い方を理解したものだから、また動きが止まってしまっていた。

 何体かのシャドウが一気にこっちに突っ込んでくる。

 クマだけじゃなく、皆が動かなかったこっちに檄を飛ばしているのが聞こえる。

 

 「避けろ」とか、「頑張れ」とか。皆一斉に言っているのに、何故か全部聞き取れる。

 頭がよく働く。周りの流れている時間が遅く、自分が速く動けているように感じる。

 

 今こっちに来てる岩にパピヨンマスクのついたシャドウの弱点は…多分ガル系だ。横目に、花村さんのペルソナの攻撃を受けて動きが固まっているのが見えた。

 自分のペルソナの戦い方は理解した。シャドウの弱点も把握した。後は勝つだけだ。

 

 さあ…俺の実力を…見せる!

 

 

 「映せ……アルコーン!!」

 

 

 手元に現れた、()()カードを握りつぶす。

 現れたのは、俺のペルソナ。

 全身が鏡で出来たような―――――人形(マネキン)だった。

 

 

 




 ようやくラストに少しだけ主人公のペルソナのお披露目です!
 色々候補はありました。もちろん、明智吾郎といえば「ロビンフッド」と「ロキ」だとも思います。でもこのパンケーキ中身違うし…となって没に。
 ペルソナ4に因んで八百万の神やら妖怪やらで他にもあったんですが、やっぱり明智吾郎はペルソナ5出身だから、そっちの関連を使いたいなと。
 という事で色々関連深いグノーシス主義から引っ張ってきました。

 『アルコーン』…出典:グノーシス主義 
 神的存在だが、「偽の神」で格は低い。何なら多数存在する。……が、第一のアルコーンと呼ばれる存在だけは別物。
 〇〇〇〇〇〇とも呼ばれる―――――。

 あなたの次のセリフは「やっぱり厄ネタじゃねーか」と言う!
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