パンケーキ探偵(予定)に憑依転生したんだが   作:阿鼻

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お待たせしました。間に挟む日常?回。
一応今後の為に必要な事です。主に最後。
攻略は次回になりそうです―――前回のあとがきでコミュで生まれた能力は次回持越しとか書いたくせに初披露まで行けなかったので申し訳ありません。
(多分)次回出します。




『コミュ』と『コープ』と

 

「というわけでコミュとはなんぞ。教えてイゴ先生、ラヴェ先生!」

 

 

 連続で獲得した『コミュ』についての確認のため、一度ベルベットルームへと訪れた。

 

 最初は向こうから呼ばれた形だったが、今ではこうしてこちらから訪れる事が出来る。ベルベットルームを訪れる方法に関しては『5』と変わらない様で何よりだ。

 道端にポツンと青い扉が浮かんでいて、"契約者の鍵"を所持していればそこから入ることができるんだが。

 

 何で次元の狭間に繋がるトンデモ扉が通学路にポンと立ってるんだろうな…?

 

 普通なら人目につかない路地裏なんかに出ると思うじゃないか。隠された秘密の部屋の入り口、みたいな。

 申し訳程度に道の脇に逸れてはいるけど、本当にそこで良かったのかベルベットルームよ。

 

 周りの一般人が存在感マシマシの扉の存在に誰も気付かずスルーしていく光景は流石に違和感が凄く、何とも言えない気持ちになった。鳴上さんやジョーカーも最初はこんな気持ちだったんだろうか。そのうち慣れるんだろうけどさ…。

 

 そんなベルベットルームは相も変わらず真っ青な和室もどきの六畳間で、中には電源の入らない炬燵を囲んだ住人達。

 ラヴェンツァは正座で足が痺れたのか、足を伸ばして物に触れない様にしている。可愛い。

 痺れた足にイタズラしたい気にもなるが、それをすると命が幾つあっても足りないので止めておこう…。足の痺れへのチョッカイ程度でコンセントレイト+エル・ジハードなんて物が飛んできて、全身黒焦げになんてされたらたまったもんじゃない。

 

 イゴールは正座にも慣れているのか気にせず茶を飲んでいる。寛ぎ方が実家の祖父とたまに帰ってくる孫にしか見えない。実際は主従の関係なわけだが。

 なんだかんだ今後世話になるわけだし、次回からお茶請けの菓子でも持参すべきか。

 プレーンのパンケーキだと緑茶には合わないか?抹茶パンケーキに黒蜜と餡子なら合いそうだ。…ずんだでも美味そうだな。後で考えて試作してみよう。

 

 

「おや、これは失礼。我々も知り得ぬ"未来"の一部を知る貴方なら既知かと思い、説明を省いてしまいましたな」

 

「ラヴェ先生……となると装いを変えた方が良いでしょうか。ペルソナ全書はこのままとして。やはり、スーツに眼鏡と博士帽ですね」

 

 ラヴェンツァが痺れがようやく取れたらしい足で立ち上がり、その場でくるりと一回転。なんと今口に出していた通りの格好に一瞬で早着替え。変身バンクなんてなかった。

 魔法少女かおのれは……いや、メギドラオンを筆頭にヤベー魔法ばっかり使えるんだったわこの子。

 

「ラヴェンツァは意外と格好から入るタイプなのか」

 

「相手を認識する事において視覚情報がどれだけ重要か。あなた方の世界でも昔、メラビアンという方が論じていますよ」

 

 早速教師っぽい事をしようとしてるのか、メガネをクイッと引き上げながら教えてくれるラヴェ先生。

 教壇はないし、更には黒板もホワイトボードもなく。彼女の正面にあるのは炬燵で、彼女の後ろにあるのは例のパンケーキの掛け軸だけだ。ココが本当に学校なら今からの授業は調理実習だったかも知れない。

 

「あー、前に爺さんに教えてもらったな。見た目やら仕草やらの目から入る情報が他人の判断材料の50%を超えてるって法則か。第一印象を良く見せるために格好からどうにかしろよって話で聞いたんだよな確か…。

 パッと見は、少しでもそれらしく見せようとして背伸びした子供……痛い痛いヤメテ!?その大きさの本の角はかなり痛い!!」

 

「このペルソナ全書は、人の心の力を写した本。人の心の重さと痛みを知りなさい」

 

「ゴメ、痛っ!ほんとゴメンって!」

 

 ペルソナ全書が俺の頭に何度も襲い掛かる。からかったのは悪いとは言え、微妙に気が短いのは後の双子の片割れの片鱗が出ているのか…さっき痺れている足触ったりしなくて良かった…。

 辞書みたいな分厚さと、硬い装飾の施された角が突き刺さっても痛いだけで済んでるところを考えるに、手加減だけはしてくれてるんだろうか。腕力だけなら案外見た目相応の可能性もあるし分からん。いや、考えたらチェーンソーブンブン振り回してるし見た目相応ではないな…。  

 もし全力なら頭ザクロジャムだわ、怖っ。

 

 

「楽しそうでなによりですが、この辺りで本題へ入らせていただきましょう」

 

「そうだな、頼む」

 

 イゴールが話の流れを修正してくれた。主人のイゴールが話せば従者のラヴェンツァはそれを優先するので、ペルソナ全書を引っ込める。本気で助かった。

 

 今持っているコミュは、特別捜査隊と鳴上さんで二つ。

 これがペルソナ5で言うところの『コープ』であるだろうって事は分かるんだが。

 特別捜査隊に参加したことで1つ手に入ったと考えると、個人との取引で発生するコープとはシステムが別物な可能性もあるわけで。ペルソナ5は怪盗団に入ったからといってコープが手に入るわけでもなかったし…。

呼び方が別なだけなのか、全くの別物なのかは知っておかないといけない。

 

「"コミュ"―――コミュニティとは、その名の通り他者との繋がりを示すものでございます。他者と関わり、絆を育み、各々が自分だけのコミュニティを築き上げる。絆こそが″心″を強くするのです」

 

「そして、ペルソナ能力は″心″を御する力。コミュニティを得て、絆を育むことこそがペルソナ能力を強くしていく…ワイルドの力を持つ者は、それが特に顕著に現れます。―――貴方は既にご存知ですね、トリックスター候補生」

 

「基礎的なところだけだけどな」

 

 現状俺が使えるペルソナはアルコーンのみなので恩恵はあまり感じられないが。ワイルドは本来ペルソナを多く持ち、それぞれに対応したアルカナの絆の後押しを受けながら強化していく。

 ナンバリングが違えど、ペルソナシリーズとしてそれが変わらないというのであれば知っている事に間違いはない。

 『2』から『3』になる際にシステムが大きく変わったらしいと言うのは聞いたから、それ以前がどうだったかは分からないけど。

 

 となると、やはり呼び方の違いだけか。

 

「俺が知ってるのは『コープ』だったんだ。何かのグループに属したら手に入るってものじゃなくて、何かしらの才能のある相手と取引したら、みたいな」

 

「取引…なるほど。一考の価値アリ、でしょうか」

 

 何故かラヴェンツァがしきりに頷いている。格好は教師風少女のままだが、戻さなくて良いのかソレ。レアな恰好見れてるP5ファンの俺としては嬉しいんだが。

 

「フム……協力者とはまた、面白い呼び名ですな。他者との関係も多種多様。キッカケにもよるとはいえ、そのような繋がりもございましょう」

 

「繋がりの種類か。それじゃあ呼び方なんて無数に増えそうだな」

 

 取引を前提とした繋がりがコープ、もう少し漠然とした繋がりがコミュ、ということだろうか?行き着く先で、真の絆を得ることが出来るってのは変わらないんだろうけど。言ってて小っ恥ずかしいな…。

 

「ありがとう。理解できた」

 

「フフフ…構いません。これも我らの務めですからな」

 

「私としては貴方のペルソナカードが、他の皆様と違い"紅い"理由についても聞かれるかと思っていたのですが」

 

 確かに他の皆はペルソナを呼び出す時のカードが青かった。俺の時だけ紅なのは…"アイツ"のせいだろ多分。俺のペルソナがアルコーンってのも何となく影響受けてるっぽいし。全く、どこで目をつけられたんだか。

 俺だけ違うって特別感あるし、色自体は好きなんだけどね。

 

「ソレは大丈夫だ、見当ついてるから。俺が何かしらの影響を受けてるのも分かってる。俺は既に『囚われてる』って俺のシャドウも言ってたしな…というかその件に関しては俺よりソッチの方が心配なんだけど」

 

「なるほど、いずれコチラにも干渉してくるかも知れないと。それも未来の知識からですかな?」

 

 干渉どころかベルベットルーム乗っ取られた上にイゴールは成り代わられてたんだが。なくてはならないサポート役がラスボスって普通考えたらほぼ詰んでるよな…。いつも思うがよく勝てたな怪盗団。

 流石はトリックスターってところか。俺もラヴェンツァには候補生とか言われてるが同じことを成し遂げろって言われたら正直厳しい。

 

 未来で何が起きるかの詳細を伝えようとしたけど、イゴールに止められた。

 曰く、詳細な未来を知るつもりはない。あくまでも自分たちは客人の手助けする者であって、その行く末を都合よく変える事はしない。

 そもそもここに"白鐘吾郎"が存在する事で、既に運命は元の形を変えている為、下手に未来を知って行動すると裏目に出かねない。

 ただでさえ干渉を受けた以上いつ見られていてもおかしくなく、敵に情報を与えかねない。

 故に忠告、警告は受け取るが、未来で何が起きるかを具体的には話さないでほしい……との事だ。

 

 下手すりゃ世界滅ぶのにその内容を話せない。思ったよりキツいな…。

 しかも俺って存在が厄ネタになってないかねコレ。あんな杯一つに思うようにされるのは癪だし、気を付けとかないと。

 

「そんなとこ。備えだけはしといた方がいいよ。相手は"大衆の望み"の具現。まだこの時代ならそこまで力はないかもしれないけど、俺に近づいてきてるなら何かしらは準備中って事だし」

 

「ご忠告、ありがたく。この部屋も大衆の無意識に繋がってはいますが、まさかその普遍的無意識こそが敵に回るとは。

いやはや――――いつぞやの事を思い出しますな。人がどれだけ可能性の光を見せても、やはり影が完全に消えることはないという事でしょうか……フム、ある程度の備えは必要な様だ」

 

「忙しくなりますね。お姉様達にも情報を共有しましょう、主」

 

 未来を知らせる事はできなくても。何かが起こる、と知ってもらう事はできる。

 今は数年後も見据えて、準備をしてもらうしかない。

 

 俺は俺で改めて、目の前の事件の解決に集中しよう。

 

 

 

 

「ところでトリックスター候補生。コチラからも少しお願いがあります」

 

「お願い?そりゃもちろん、世話になってるし」

 

「では今後、空いた時間がある時で構いません。私を外に連れて行ってもらえないでしょうか。人間社会と言うものを一度見学したく」

 

「お、おお。別に良いけど。突然だな」

 

 予想外のお願いで少し詰まった。そのイベント(特別刑務)が俺に来るのか。いや、俺は牢獄には入ってないからタダのお出かけなのは分かるんだが。

 それは数年後ジョーカーがやるべきでは?その時は双子に分けられてしまってて覚えてないかもだが…。

 

「今ベルベットルームに訪れている客人で、もう一人のワイルド能力者は私の姉が担当しています」

 

「鳴上さんに聞いたな。マーガレットさんだったか」

 

 『Q2』にも出てきていたな。確か…イケニエ合体の担当だったり、通常の合体の際に事故で出てくる大人の女性がそうだったはずだ。合体事故のせいか頭に怒りのマークをつけてるイメージが強い。

 やっぱりラヴェンツァの姉だったのか。

 

「ええ、そのマーガレットお姉様から聞いた話なのですが。今あちらのベルベットルームには居候がいるそうなのです。その方が時々外に出かけているというのを聞き、興味を持ちまして」

 

「マリーさんの事か、俺も会ったことないけど。…そういえば何度か連れ出してるって話もしてた様な」

 

『Q2』だとすれ違い通信担当の子だったっけ。可愛い感じの黒髪の女性だったが何というかその…感性が独特な子だった気がする。濃すぎて内容までは覚えてないがポエムのイメージしかない。

 

 しかし参った事にお出かけと言われても、流石に東京ほど見る場所がない。

 『5』では人間界には"こういう場所がある"という情報を仕入れており、主人公にその場所の知識があれば案内できるといったイベントだった。

 ハンバーガーショップ"ビッグバンバーガー"の大食いチャレンジから始まり、映画にジム・教会など様々な場所を訪れる。合間にはビーチなんかもあったか。ここまでならまだなんとかなると思う。

 大食いメニューのある中華の"愛家"や、神に関連ある施設なら"辰姫神社"がある。

 映画館はちょっと遠いが隣の沖奈市まで出ればあるし、ジムは…これも沖奈まで行けばどこかしらにはありそうだ。

 ビーチも…河原はダメか。整った海水浴場じゃないが、海岸なら遠出すればあるだろ。

 

 問題はここから後だ。

 

 水族館、美術館、スカイタワー、メイド喫茶、デスティニーランド。果ては『5』主人公の活動拠点…″純喫茶ルブラン″だ。自宅に幼女を連れ込み…事案かな?

 

 水族館なんてこの近くにはない。これも沖奈まで行けば小さい場所ならあるか…?とはいえ望まれるような物ではないかもしれない。美術館も同様だ。

 スカイタワー。これは実質スカイツリーだが、東京でもない八十稲羽にそんな立派な塔はない。珍しくもない鉄塔がちょっとあるくらいだ。

 メイド喫茶。あるわけがない。普通の喫茶店すら沖奈まで行かないとない。

 デスティニーランド。元ネタは口に出すのは憚られるし、これは流石に諦めるしかない。ジュネスも田舎ではテーマパークみたいだとは言われたりもするが、流石に比較にならない。

 ルブラン。…美味しいコーヒーもカレーも出せる店はない。作れはするが流石に本職には勝てないし…。パンケーキなら可。―――自宅?義姉さんや家の人になんて説明すりゃあ良いのさ…。

 

 結構難易度高くないか?俺が車運転できる年齢になったならまだしも、田舎の本数の少ない電車やバスに後は徒歩で行こうと思うと限度がある。ここまで来ると人間社会というか、八十稲羽の昔ながらの良さみたいな体験の方向に持っていった方がいいのでは。

 

 そんな事を考えていると、悩んでいるのが伝わったかラヴェンツァが微笑みながら助け船を出してきた。

 

「可能な限りで構いません。今貴方がいる場所でどういう営みがあるか知ることだけでも、私には大きな収穫になります。そうですね……では先ほどの話にも出ましたが、『取引』をしましょう」

 

「取引?」

 

 連れ出す代わりに何かもらえるって事か。特別刑務と同じならスキルカードとか?アルコーンに使えるんだろうか。

 

「貴方には外の案内含め、私の"勉強"に付き合って頂きます。私からは、そうですね…。

このペルソナ全書を改造して、貴方の今後に役立つ専用の全書にしていきましょう。具体的にはペルソナ・コピーに対応させます。これでワイルド能力未覚醒の貴方でも、ある程度ベルベットルームの機能を使うことが出来るようになるでしょう」

 

「マジか、そんな事出来るのか!?」

 

 願ってもない。ベルベットルームの機能…合体やアイテム化は無理なはずだが、他の機能が一部でも使えるというのであればそれは大きなメリットだ。

 

「ええ、多少の時間はかかるでしょうが。まずは貴方のコピーペルソナをストックできるようにしましょう」

 

「コピーのストック…?ペルソナストックみたいなモンか?」

 

「その認識で問題ありません。完全な覚醒が為されてない今、所持できるコピーペルソナ数は……恐らく現在コピーしているペルソナと、出来てもう一体のみといった所でしょうが。貴方は現状、場に出たペルソナしかコピー出来ずその場任せな戦闘しか行えない。

ストックがあれば過去にコピーしたペルソナを自らの形として、貴方のペルソナに映し出すことが出来るようになるハズ。通常のワイルドと同じとはいきませんが、力に多様性を持たせられます。

当然元のペルソナが一体でしかない以上、今までと変わらず合体などは出来ませんが」

 

 十分すぎる。サブに一枠あるだけで取れる戦術は大幅に広がる。回復用やバフデバフなどサポート用に一体ストックしておけば安心感もあるし。

 

「分かった、取引成立だ。是非頼む」

 

 そう答えると、ラヴェンツァは微笑みながら一歩下がる。

 そして、歌い上げるように言葉を紡いだ。

 

 

 

 

 

「我は汝…汝は我…

 

汝、新たなる契りを得たり。

 

 

 

契りは即ち、まことを知り運命へ抗う一歩なり。

 

 

 

我、″剛毅″のペルソナの生誕に祝福の風を得たり

 

運命を破る、更なる力とならん…

 

 

――――私としても、初めての『絆』となります。これからよろしくお願いしますね?トリックスター候補生」

 

 

 

 





『剛毅』の『コープ』を手に入れた!コピー・ストックの能力を手に入れた!!

なおこの後「それ実際に言ってたんだ…目の前で言うと恥ずかしくない?」
みたいな事言って顔面にペルソナ全書が叩き込まれた模様。残当。

『コミュ』ではなく『コープ』なのでコープアビリティ扱いとして少しずつベルベットルームの機能が一部開放されていきます。
ペルソナ課題はコピーしかできない現状出せないので、お出かけでコープレベルが上がる感じに。好感度はパンケーキとか料理の差し入れで稼いでください。

あんまり攻略にダラダラ時間かけても描写難しいし、番長のコミュレベルやステータスもあるし。次の攻略で完二を助けだしてもらいたい所(一話で収まるかは不明)

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