魔法少女桃神司   作:MOPX

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大団円!! 魔法の消滅!!

 

「うわああああぁぁぁぁああああぁぁぁぁ!!」

 

少女が絶叫とともに目を覚ます。

辺りを見渡しているが、何も心配することはない。

 

自分は少し、怖い夢を見ただけなのだ。

今は現実だ。

 

何の嘘も存在しない.

目に見える物はすべて本物。

混じりっけなしの爽やかな朝だった。

 

「桃神さん……!? 桃神さんは!? 柿原さんに苺谷さんも!!」

 

少女は少し錯乱しているようだ。

友人達の名前とともに、存在しないモノ(・・)の名前を呼んでいる。

普段はクールなキャラで押し通す彼女にもこうした面があるようだ。

少女らしい、あどけない一面が。

 

「みんな!? どこ!? どこに行ったのよ!?」

 

パジャマのまま飛び出そうとした少女は親に捕まった。

抵抗するより着替えた方が早いとみるや、支度を済ませ朝ご飯を()き込み勢いよく家を飛び出していった。

 

慌ただしくも、希望に満ちた一日が今日も始まるのだった。

 

 

 

 

「柿原さん!! 苺谷さん!! いた!! いたんだ!!」

 

少女は一時間目が始まる前に隣のクラスに突貫。

不思議がる二人へと体当たりする勢いで突っ込んで行く。

 

名前を呼ばれた二人は、心底驚いた様子だ。

余程怖がったか、『苺谷さん』の方などは『柿原さん』の陰に隠れてしまった。

 

「ん。ミノリンじゃん。わざわざ隣のクラスからどしたの? すげー汗だけど」

 

「桃神!! 桃神さんは!? あなた達は怪我してない!? モンスターは!? もういなくなったの!?」

 

「ひ……」と柿原がのけ反るも蒼乃はおかまいなし。

一息でしゃべりすぎてついにむせ上がってしまった。

 

「恵……蒼乃さんどうしちゃったの……?」

 

「さ、さあ……。保健室案件かな、これ」

 

露骨に距離を取られている。

微笑ましい朝に、少女が汗を撒き散らせながらしゃべる。

 

「桃神さん、学校には来てなさそうだった!! 河川敷かな!? こうなったら今から行って……!!」

 

「そ、その~。ミノリン……まことに言いにくいことなんだけど~」

 

「なに!? 桃神さん、こうしてる間もどこかで倒れてるかも!! 早く行かなくちゃ!!」

 

「その桃神さんというのは……どこの誰で?」

 

「はあ!? こんな時にふざけてんじゃないわよ!!」

 

「……。ふざけてんのはお前だろ」

 

苺谷が慌てて柿原の手を引く。

蒼乃は引き下がらず、なおも必死の形相である。

 

「桃神さん……最後まで戦っていたの……あ、私から何か出てきてそれと戦って……」

 

「あ、あの……蒼乃さん」

 

苺谷がおそるおそる口をはさむ。

横で不機嫌な顔をしている柿原に代わってのことだ。

 

「その『桃神さん』っていうのはどこの誰? 他の学校の人?」

 

「だから……!! 私のクラスに転校してきた……!!」

 

「転校生なんて、最近来てませんよ」

 

「え……」

 

心底、間の抜けた顔。

 

 

 

「そもそもこんな中途半端な時期に転校してくる人、そんなにいないと思います」

 

「そんな!! アホ毛が長くて自己紹介で魔法少女って名乗っていたのよ!? あなた達だって聞いたことあるって言ってた!!」

 

「え、えええ!? そこで私達を巻き込むんですか……? というか魔法少女……?」

 

朝の他愛のないやり取り。

こうして少女達の日常は紡がれていく。

何の変哲もないけど大切な日常が――。

 

予鈴が鳴る。

 

「ほら、自分のクラス帰りな。私達の仲だから水に流すけど他のやつにはやんない方がいいぞ、そのノリ」

 

「大方、夢でも見てたんだろ」と柿原は付け足した。

呆然と少女は立ち尽くす。

 

 

そう、これまでのことは全て夢だったのかもしれない。

けれど夢に意味がないなんて言い切れるのだろうか。

 

「違う……!! 違う違う違う……!!」

 

現実に『魔法』なんて存在しない。

けれど物語は見たものの心の中に確かに何かを残すのだ。

 

「現実に立ち向かう勇気」という名の『魔法』を――。

 

 

 

少女は今日も日常を過ごす。

心の中に残った『魔法』とともに――。

 

 

「違う違う違う!! 桃神さんは……いる!! 確かにいた!! 変なやつだけど……好きだった……私は……好きだったんだ……あの子のことが……」

 

――先生!! 隣のクラスの人が情緒不安定です!! 誰か連れてってください!! (ワハハハハ!!)

 

 

日常をともす笑顔とともに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は……認めない。だから……」

 

 

私は駆け出した。

 

 

 

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