転生巫女と呪いの部屋   作:空翔ける石ころ

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ふむ、一ヶ月弱か…早いな、うん

文章力の限界を感じました

ちなみにここからノープランです



四話

「…これが」

 

 ホグワーツ特急…!

 

 私は目の前の赤い列車に感動していた。

 

 今日は待ちに待ったホグワーツ入学の日。これからこの列車に乗れるというだけで、胸がはち切れるくらいに高鳴る。私ったら、ちゃんとホグワーツで生活できるのかな…。

 

 ドキドキしながら、私は列車に乗り込む。楽しみすぎて早く着いてしまったので、中はまだガラ空きだった。

 適当なコンパートメントに入り、扉を閉めて腰を下ろす。

 

 暇つぶしに日本から持ってきた本を開いたが、あまり内容が頭に入ってこなかった。

 あぁ、楽しみだな……早くホグワーツにつかないかな。というか、このコンパートメントに推しが入ってきたらどうしようオタク全開になる自信がある……。

 

 妄想を繰り広げてニマニマしていると、列車が汽笛を鳴らして動き出した。

 

 列車が動き出してから少したった頃。

 高ぶる気持ちを落ち着けるために窓から景色を楽しんでいたら、コンパートメントの扉をノックする音が聞こえた。

 

「ここ、君一人?相席いいかな」

 

「ど、どうぞ!」

 

 驚いて声が少し上擦ってしまったが、入ってきた男の子はさして気にしていない様子で私の向かいに腰掛けた。

 

 もしかしたら知っている人が相席に来るかもと期待していたが、残念ながら違った。とはいえ…ふむ、どこかで見たことがあるような人だ。褐色の肌に頭の形がわかるほどの短髪。紫を基調とした服装はなんだかとてもおしゃれだった。

 でも、こんな人物、原作や映画にいたっけ…?

 

「ありがとう。えっと、もしかして新入生?」

 

「そ…うですね。新入生です。あなたもですか?」

 

 正確には留学生だが、ホグワーツでは新入生扱いだ。

 

「うん、そうだよ。僕はアンドレ・エグウ、よろしく!よかったらもっとフランクな感じで話してほしいな」

 

「あ、うん!私は花山院音花。こっちだと、オトハ・カサンノインだね」

 

「カシャ…カシャノイン?」

 

「あはは…言いにくいよね。オトハでいいよ」

 

 花山院って発音難しいんだ。スネイプ先生ははっきり言ってたけど、さすが先生というわけか。

 

「なら遠慮なく。オトハは東洋人かい?」

 

「うん。実は私、マホウトコロからの留学生なんだ」

 

「マホウトコロ!日本の魔法学校だろう?すごいな、あそこはクィディッチがとても強いところだ」

 

「ふふ、そうだね。クィディッチ好きなの?」

 

「ああ、僕は幼い頃から箒に乗るのが好きなんだ。ホグワーツに入学したらクィディッチチームに入りたいと思ってるんだよ」

 

「わあ、素敵ね。頑張ってね!」

 

 とりあえず会話を続けてはいるが、私は少し別のことを考えていた。

 アンドレ・エグウ…聞いたことがあるような気がする名前だが、やっぱり原作にいた覚えはない。うーん、おかしいな…気のせいなのかな。

 

 アンドレのクィディッチ話に時々相槌を入れながらも、私はどこで彼を見たことがあるのか前世の記憶を必死に辿った。

 しかし、思い出せないままホグワーツに到着してしまい、結局モヤモヤしたまま初めての友達のアンドレと一緒に駅に降り立つのだった。

 

 

***

 

 

 私は今、大広間の扉の前に立っている。

 ここに来るまで湖でボートに揺られたわけだが、少しずつ見えて来るホグワーツ城にそれはもうめちゃくちゃ感動し、先ほどまでのモヤモヤが吹っ飛んでしまっていた。

 案内してくれたハグリッドやマクゴナガル先生をこの目で拝めたのも最高で、もはや泣きそうになっている。

 

 そして、マクゴナガル先生の合図でついに扉が開いた。

 

「わぁ…!」

 

 感嘆の声が口から溢れた。

 大広間だ…!ホグワーツ生も沢山いる…!天井すごい…本物の夜空みたい…!

 目を見開いてキョロキョロしながら歩いていると、アンドレが苦笑しながら小声で話しかけてくる。

 

「オトハ、前見ないと危ないよ」

 

「えへへ…だってもうとても素敵で」

 

 語彙力の喪失を感じながらも小声で答えた。

 上級生や先生方の視線を浴びながら真ん中に集まると、椅子に乗せられていた古い帽子が歓迎の歌を歌い出す。映画にはなかったこの歌も聴けるなんて…推しのライブってこんな気持ちなのかな。

 

 不思議な音程の歌を聴き終わると、組み分けの儀式の説明が始まった。

 

 そうだ、ホグワーツ城に夢中になって組み分けのこと忘れてた…。ということは、これから推し達の運命の瞬間を見れるということ…!

 

 ずっと感動で夢見心地だった私は、ここでようやくハリーやドラコを探して周りを見回した。

 しかし…

 

 『あ、あれ?』

 

 つい日本語が出てしまい、隣にいたアンドレが不思議そうにこちらを見てきて慌てて口を噤む。依然として組み分けの説明をしているマクゴナガル先生には聞こえなかったようで、とりあえずほっとした。

 

 いや、まって?ハリーもドラコも居ない…?

 私はもう一度周りを見回したが、ロンやハーマイオニーのような知っている人たちは誰一人見当たらなかった。…何だか嫌な予感がする。

 

 混乱している間に組み分けの儀式が始まっており、考え込んだ私の耳にはっきりとマクゴナガル先生の声が聞こえてきた。

 

「次、トンクス・ニンファドーラ!」

 

 !?

 トンクス!?トンクスと同級生…?まさか、ということは…

 ようやく気づいた私は思い切り叫びたくなった。

 

 

 世代が…世代がちがああああう!!!

 

 

 もちろん儀式の最中なのでどうにか堪えるが。

 あぁ、何でこの可能性を考えていなかったんだろう。トンクスが一年生ということは、ハリーやドラコは今…4歳?原作の7年前??

 

 

 なんてこった…ハリー達に会う前に卒業じゃないか!!!

 

 

 誰か嘘だと言って…。

 

「ウィーズリー・チャールズ!」

 

 ああ…チャーリーもいる…。

 チャーリーが速攻でグリフィンドールに組み分けられていくのを眺めながら、私は放心状態になる。

 ハリポタの世界に転生したと思ったら日本だし、ホグワーツ留学というチャンスが巡ってきたと思ったら世代違うし…これでも前世はだいぶ大変な思いしてきたのに今世もあんまり思い通りにいってない気がする。転生して元気に生きていられるだけありがたいことなのかしら…。

 

「カサンノイン・オトハ!」

 

 急に名前を呼ばれて思考を現実に戻される。気づけば組み分けで残されたのは私だけだった。私は慌てて前に出て、皆と同じように椅子に座ろうとしたところをマクゴナガル先生に制された。

 

「この度ホグワーツでは、日本の魔法学校マホウトコロと交換留学を行うことになりました。これは伝統であり、異文化交流を目的としたものです。そして、こちらが日本からはるばる来てくれたオトハ・カサンノインです。皆さん、これを機会に積極的に他国の文化を学びましょう」

 

 ひえ〜、全生徒の前で紹介されるなんて聞いてないよ…。

 たくさんの注目を浴びドキドキしながらも、マホウトコロ代表として私なりの礼儀と挨拶の意味を込め、私は一つお辞儀をした。

 

「「「おお〜」」」

 

 あれ、なんか拍手されてる…。

 私のお辞儀でなぜかどよめきが起きた。…そんなに珍しいもの?なんかヴォルデモートが「お辞儀をするのだ」とか言ってなかったっけ。

 

 そんなことを考えながら、私はやっと組み分けの椅子に座り帽子を被る。

 

「ふーむ…さすがマホウトコロからの留学生といったところか。魔法に関する関心と沢山の知識、強い信念と自分を持っている。冷静に物事を考える傾向がある傍ら、目的のために手段を厭わない大胆さも持ちうる…」

 

 …何だか聞いた感じ、どの寮にも行けそうな雰囲気だなぁ。

 

「確かにどの寮にも適性があり、どこに入っても上手くやれるだろう」

 

 わ、すごい、本当に思考が読み取られたみたい…!

 

「そうだな…マホウトコロではどの寮だったんだい?」

 

 そう問われて私はマホウトコロの寮を思い浮かべる。

 

 マホウトコロではホグワーツと同じく4つの寮に分かれており、それぞれ四神の名前がついていた。

 私が所属していた『青龍』は、真面目、冷静さ、誠実、保守的などの特徴があると言われているが、私的には世渡り上手が多い印象だった。

 

「ふむふむ…世渡り上手か。それに則って決めるならばレイブンクローかスリザリンだが…」

 

 わあ…どっちも魅力的だな。私は結構本が好きだし、レイブンクローなら本友達ができそう。スリザリンは言わずもがな、最推しの寮…!

 まあ、その最推しがいなかったわけなんですが…

 

「だが、やはりここは私の直感を信じるとしよう。お主は何よりも、礼儀と思いやりに溢れている。だから…」

 

推しのくだりは読み取られず、組み分け帽子が叫んだ。

 

「ハッフルパフ!!!!」

 

 その瞬間、ハッフルパフの机から歓声が起きる。私は満面の笑みで机に向かい、熱い歓迎を受けた。

 

「ようこそハッフルパフへ!」

 

「よろしくね、留学生ちゃん」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 つい癖でお辞儀をすると、また拍手が起きてしまった。しばらくはお辞儀するだけで喜ばれそう…。

 

 それにしてもハッフルパフかぁ…!他の寮も興味があったが、元々留学前から私が入るならハッフルパフかなと思っていたので、これはこれで嬉しい結果だ。寮が決まったことでホグワーツの正式な一員になれた気分になり、私はまた高揚を感じる。

 

 組み分けの儀式が終わったことで、校長の挨拶が始まった。

 

「諸君!また新学期がやってきた。新入生達はようこそ、ホグワーツへ。上級生達はおかえり、また会えたのう。さて、ここ数年は幸運にも胸を撫で下ろすことが出来ておる。生き残った男の子、ハリー・ポッターは無事じゃ。何年後かにはハリーもホグワーツに通う年になるであろう」

 

 やっぱりハリーはまだ幼いんだ。自分がホグワーツにいる嬉しさと、ハリー達に会えない落胆の気持ちが私の中でせめぎ合う。

 

「それに先ほど紹介があったように、今年はマホウトコロから留学生が来てくれた。きっとまた今年も楽しい一年になるじゃろう。では、わしの話で眠ってしまう前に食事にしようかの。それでは、歓迎会の始まりじゃ!」

 

 ダンブルドア校長がそう挨拶を締めて手を叩くと、目の前に豪勢な食事がずらりと出現した。

 わぁ、美味しそうだな。マホウトコロで魔法には慣れたが、映画や原作で見たホグワーツを間近でみられるのはやっぱり感動ものだ。

 

 私がどの料理から手をつけようかと迷っていると、隣に座っていた金髪美少女が話しかけてきた。

 

「初めまして!私、新入生のペニー・ヘイウッド。あなたと同じ寮になれるなんて素敵だわ!ぜひ日本のこと、色々と教えて頂戴ね」

 

「は、初めまして!えっと、さっきマクゴナガル先生が紹介してくださったけれど改めて、オトハ・カサンノインです。よろしくね」

 

 お互いに挨拶をすると、彼女はにっこりと笑った。

 優しそうな子…!アンドレとは寮が分かれてしまったので新しく友達ができるか少し不安だったけど、話しかけてもらえてよかった。

 

 にしても可愛い子だなあ。

 そう思ってつい彼女を見つめていると、また頭の中にモヤモヤが出現した。

 

 あれ…?この子どこかで…ていうか、アンドレの時と同じ…。

 

 さっき発覚した通り、原作とは世代が違った。しかも、親世代や孫世代ですらなく、トンクスやチャーリーと同級生という謎の年だ。

 

 ペニー…ペニー・ヘイウッド…アンドレ…

 

 フォークを手に取ったまま考え込んでいる私の耳に、上級生達の会話が飛び込んできた。

 

「さっきの組み分けでステラ・シルヴェスターって子がうちの寮に来たよね」

 

「ほんとに?ジェイコブ・シルヴェスターと同じ名前じゃないの。あの、呪いの部屋を探して退学になった…」

 

 お…お…

 

 

 思い出したあああ!!

 

 

 呪いの部屋。

 その言葉を聞いた瞬間、頭がクリアになった。

 

 呪いの部屋だ!呪いの部屋を巡って冒険するっていうハリポタゲームがあった!確か…『ホグワーツミステリー』、通称『ホグミス』だ。前世で某イラストコミュニケーションサイトのハリポタ二次創作を漁っていた時に見つけて、面白そうだしやろうと思ったら死んじゃったんだった…。

 

 衝撃でフォークを取り落とし、ペニーがこちらを覗き込んできた。

 

「オトハ?大丈夫?」

 

「あ、うん!何でもないよ…!」

 

 そうか。アンドレもペニーもホグミスのキャラクター…ということは、さっき聞こえてきた会話にあがっていた『ステラ・シルヴェスター』って子が、いわゆる主人公なのだろう。

 

 まさか、そんなマニアックな時代に飛ばされていたとは…。よりによって履修前だったので、これから起きる出来事を何も知らない。

 元々私は原作ブレイクする気満々でホグワーツに来ていた。だって推し達には幸せになって欲しいもん、当然だよね。

 

 呪いの部屋を探すっていう文面だけで大冒険待ったなしではあると思うが、残念ながら知らない未来をどうこうはできない。しかし、どうやら主人公もハッフルパフのようだし、きっと関わろうと思えばいくらでもできるはず。

 

 …よし、首を突っ込みまくろう。原作に関われなかったのは残念だが、私はこの世界が大好きだ。たとえ世代が違くとも、私はみんな幸せに、あわよくば完璧なハッピーエンドを目指したい。私はハピエン厨のオタクなのだ。

 私という異分子が紛れ込んだ時点で、もうすでに何かしら運命に歪みがあるかもしれない。だったら、私の存在を価値のあるものにしたいよね。

 

 そう心に決めたら、なんだかワクワクしてきた。一体、どんなことが起こるだろうか。いろんなことを経験して、ちゃんと日本へのお土産話をつくらなきゃ。

 

 お母様に「青春してきなさい」と言われたことを思い出す。

 

 よーし、せっかくのホグワーツ、目一杯楽しむぞー!

 

 私はそう決意を固め、美味しい食事に舌鼓を打つのだった。

 




プロローグ、完


ここからは本編に名前が出てきた通り、「ハリー・ポッター:ホグワーツの謎」(ホグミス)というゲームの物語を舞台とした二次創作になります。ハリポタの原作や映画をご存知ならゲームを知らなくても読めますが、モチのロン息をするようにネタバレが入りますので、その点よろしくお願いします。

本来ゲームの主人公となるキャラクターもオリジナル名で登場しています。

その他注意事項はあらすじ部分にありますのでご確認の上お読みください。
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