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男が『リベレイター』を構えてトリガーを引いた。
『リベレイター』は初期装備のアサルトライフルだが、汎用性が非常に高い。
ハイ・ランクのヘルダイバーもこれを愛用するものがおり、困ったら取り合えず『リベレイター』を持っていけばよいまである。
そして吐き出される弾、弾、弾。
ばらばらに引き裂かれるオートマトンの雑兵。
オートマトンとは恐るべき殺戮機械人形で、人類に対して非常に敵対的だ。
男はオートマトンの影響下にあるとある星系のとある惑星に降り立って、とある任務を実行中だった。
一人きりの任務ではない。
3人の仲間と共に任務に挑んでいる。
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庇護すべき一般人が数名駆け出し、逃げ出していく。
それを見届けた男は「よし」と呟いてゲート解放のボタンを押した。
すると横の鉄扉が開いて、そこからまた数名の一般人があらわれ、先程と同じ様に逃げ出していく。
彼らは科学者の一団ということで、ナントカという理由でこの惑星に滞在していたが、ナントカとかいう理由で逃げ出さねばならなくなった。
男たち4人のヘルダイバーはこの撤退を支援しなければならない。
『科学チーム救出』……それが任務だ。
ちなみに男は科学者たちが何を研究してるのか、なぜ逃げ出さねばならないのか、そういった理由を全くしらない。
説明はされたが何一つ読んでいなかった。
男が分かる事は引き金を引く事、敵を殺す事、民主主義を護ること。
ただそれだけだ。
──俺は戦う機械だ
男はそんな事を思うが、ふと脳裏に不思議な記憶が蘇る。
それは緑色の愛くるしい姿……
だがすぐにその記憶はきえ、男の頭に闘争の戦気が充満した。
敵の一団が輸送されてきたのだ。
「来たか、機械人形共! これが民主主義の味だ!」
男は端末を取り出し、スーパーデストロイヤーに軌道精密砲撃の戦略支援を要請する。
数秒後、遥か高空の機動戦艦から砲撃が放たれ、オートマトンの一団は木っ端みじんとなった。
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15分後、科学者たちは無事に全員逃げ出し、男は任務が成功したことに安堵した。
となりには最近ヘルダイバーとなったであろう新米の戦士(レベル1)が立っており、周囲を警戒している。
男もまた新米なのだが、隣の者よりは多少経験を積んでいた(レベル6)
残りの2人の仲間は既に帰還要請を出すべく、通信端末塔へ向かって移動中だ。
「よし俺たちも行こう」
男が言うと、新人ヘルダイバーが頷いて駆け出す。
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通信端末塔に辿り着いた。
ここには帰還の為に必要な通信要請を行う為の端末が置いてある。
なぜ敵地にそんなものが建っているのかは知らない。
男は "この世界" の事をよくわからないのだ。
細かい事なんて生きて(プレイして)いくうちに分かるさというカジュアルなマインドで生きている。
──『こちらペリカン1、着陸態勢に入る』
通信端末がそんな言葉を返す。
ややあってから、上空から輸送船が降下して、後部ハッチが開いた。
そこへ乗り込む4人のヘルダイバー。
この状況に至ってようやく任務が完全に終了するのだ。
作戦目標を達成しただけでは任務成功とはいえない。
「次も生きて帰ってこれるといいが」
男がそんな事を呟く。
するとこんな言葉が返ってきた。
「大丈夫、民主主義が私たちを守ってくれるわ」
先程声をかけた新米ヘルダイバーだ。
男は頷き──……
──民主主義ってこんなのだっけ?
などとふと思ったとか、思わなかったとか。