Tiny Dungeon ~next to generation~ 作:いどさん
ノトにゃん登場ですね!
時は少し戻って、入学式後。
「んじゃ、青葉も行ったし、うちらは教室にいこか―」
「はい、です」
うちらは学園長室に向かう青葉とわかれて教室へ向かって歩き始める。
「あー、別にうちに対してはそんなにかしこまらんでいいよ?同学年なんやし、別にうちは人族がどうのとか思ってないから。というかむしろ人族に興味津々や!」
「人族に、ですか?」
「うん、人族の技術はすごいからなぁ!そや、リノちゃんも儀式兵器持ってるやろ!」
正直、この子は付き合いが苦手みたいやからうちはリノのことをちゃん付けで呼ぶことにしていた。
そっちの方が親しみがあっていいやろうし。
「もち、ろん、持ってますけど」
何というか、毎回毎回会話がたどたどしいんよなぁ。
まあ慣れてくれば治ると思うけど。
「なあなあ、今度でええからじっくり見さしてくれへん?儀式兵器!」
「はい……構いませんけど」
「いっやっほう!念願の儀式兵器を拝めるで!」
とそんな会話をしていたら教室に着いたようだ。
「ここやね、剣クラス。ってそういやクラスは剣やんな?」
正直うちと青葉は正直どこがどのクラスかもわからずに並んでたから自分が並んでたクラスが剣やったんかどうかがいまだにわからんのやけど、リノちゃんがいるってことはたぶん剣クラスなんやろうな、と入学式中に考えて思った。
人族をわざわざクラスでわけるなんて言うえげつないこと、さすがにこの学園はせえへんやろと思ったからやけど、それは単なる予想であって確証があるわけじゃない。
けどそんなことは杞憂で、リノちゃんは頭を小さく動かしてうなづいて見せた。
やっぱ予想どうりやったってわけや。
「んじゃ教室は入ろか」
そういって二人で教室に入ったが、そこもまあやっぱりって感じでクラスにいた生徒の目線がすべてリノちゃんに向かった。
「おいおい、人族と同じクラスかよ」
「こりゃ完全に外れくじ引いたな」
「なんで人族なんかと一緒に授業受けなくちゃいけないのよ」
それぞれがそれぞれ、さんざんな言葉を交わす。
リノちゃんは俯いて、黙っているようだった。
流石のうちも見かねて、声を出した。
「あんたらなぁ!」
「何を騒いでいますの!」
そう、うちがしゃべろうとした瞬間、後ろからより大きな声が響いた。
後ろに立っていたのは入学式で見たピンク髪の竜族、言わずと知れたデモンハント、バリアリーフ・クリートその人だった。
「あなたたちも教室の入り口で何をしていますの、早く座りなさい」
正直驚きで声も出なかったが、バリアリーフの一言で教室も静かになっていた。
はい、ただ今!と言いながら、うちらはそそくさと適当な席へ移動し速やかに着席する。
そうして、教師バリアリーフによるホームルームが始まった。
やはり、バリアリーフはこの学園の教師でなんと私たちの担任らしい。
これはえらい人が担任についたもんやと私は驚いた。
他のクラスメイトもそのようで、さっき外れくじを引いただのなんだのと言っていた生徒も唖然としている。
そんなこんなで連絡事項をいくつかバリアリーフ先生が言った後、20分もしないうちにホームルームは終了し、各自明日に備えるようにとだけ言われ、本日の学校は終了した。
まあ当日はこんなもんやろと思ってたし、そもそも明日からすぐに授業っていうのもなかなかハードではある。
寮に届けてある荷物の整理などもしないといけないし、とりあえずは寮に戻るのが一番やろと思いうちはリノちゃんに声をかけた。
「んじゃ、寮にいこか」
こくり、と返事をするリノちゃん。
こういう仕草が何気にかわいいな、と思いつつ私たちは席を立つ。
「そういや青葉結局帰ってこんかったなぁ」
まあホームルーム自体がすぐに終わってしまったので間に合わなくても仕方ないといえば仕方ないんやけど。
「まあ明日になれば会えるわな」
そう、どちらにしろ彼もこのクラスなのだ。
態度から察するに別に学園長にとって食われてるわけでもないやろうし、別に心配することもないとうちは考えた。
「あのデモンハントが担任なら、そこにいる人族は一瞬でつぶされるな。なんたって竜族が苦手な魔族すらも相手にならないってことで有名なんだ、俺たちなんかよりもよっぽど劣ってる人族なんて簡単にやられて終わりだぜ」
「そりゃ言えてるな、模擬戦闘でも10秒も持たねぇんじゃねぇか?」
とそんなことを考えていると後ろからまたウザったい声が聞こえる。
こいつらは入学式で青葉が脅しを利かせた生徒とは別の魔族のようだ。
ほんまにこういうやつらはいくらでもわいて出てくるんやなとあきれつつ、うちは正直無視したままリノちゃんを連れて教室を出ようと考えた。
そうしてリノちゃんの方を見ると、おびえた表情を必死で隠しながらそのまなざしはくだらないことを言っていた魔族の二人組に向けられていた。
「あ?なんだ、気に入らないことでもあったか?」
「……っ」
ちょ、そこでケンカ売るんかい!?とうちは驚き、即座にうちも対応すべきかと考えていると、
「貴様ら、くだらないことで言い争うでない」
別の方面から声がかかった。
その声の方に目を向けると、魔族で長身の女学生が立っている。
「戦闘がしたいならこれから先、授業で模擬戦闘などいくらでもあるだろう。その時間に行え。相手が気に食わないのなら、私闘などではなく公式の場で、なおかつ実力で勝負したらどうだ?」
かなり上から目線での言葉だが、そこに差別的な意味合いはない。
あくまで公平な意見。
「は?お前何様だよ」
「おい、やめろ!あいつバレッド・ジンスだぞ!」
一人の魔族がその女学生に喰ってかかろうとしたが、もう一人の魔族が小声で押しとどめた。
名前を聞いてか食ってかかろうとしていた魔族は小さく舌打ちをして、二人ともども教室を出て行った。
一触即発の空気から抜け出して、うちは盛大にため息をつき一安心する。
「ちょ、リノちゃん。いきなりケンカ売るからびっくりしたで」
「……」
リノちゃんは黙ってうつむいている。
んー、なんというかなかなか心開くには大変な子みたいやなぁ。
うちはひとまずリノちゃんのことは置いておいて、口を挟んで留めてくれた女学生に声をかける。
「助かったわー、ありがとうな止めてくれて」
女子生徒もすでに帰ろうとしており、首だけこちらに向けて返事を返す。
「別に構わん。ここで戦闘を始められてはかなわんと思っただけだ」
「それでもやて。あ、うちはエル・ミラドールっていうんや、よろしくなー」
「……バレッド・ジンスだ」
そういってバレッドと名乗った少女は教室を出て行った。
「それじゃ、うちらもいこか」
というわけで、うちは俯いているリノちゃんを引き連れて教室を出るのだった。
---
俺と先輩たちは寮に入ってすぐに食堂の方に向かった。
俺が想像していた通り、この時間ノート姉さんはやはり食堂にいるようだ。
始めてはいる女子寮を目線だけ周りに向けて周りを見る。
流石にきょろきょろと周りを見るのはどうかとも思ったし何より男が女子寮にいるのだ。
人族以前にこいつ何してんの?的な目で見られるのが普通だろう。
そんな中で興味ありげに周りを見回すのは流石にいかがなものかと思ったので、さとられないように見回す。
とはいえ、見渡すほど広い建物というわけでもない。
入ってすぐの大きな階段には目を見張ったが逆に言えばそれ以外は何もない。
そこからすぐに部屋が並んでいるようだ。
まあ寮なんて言うのはこういうものだろう。
いやむしろ寮にしてはいささか豪華だと言っていいレベルである。
「食堂はこっちですよ」
とリンセ先輩に言われ俺は4人の後をついていく。
食堂の場所もちゃんと覚えておかなければ。
食堂に入るとすぐにノート姉さんは見つかった。
エプロン姿で給仕をしている。
管理人だからといってそこまで働かなくてもいいと思うのだが、と思いつつまあノート姉さんだからかと自己完結で納得する。
「あ、みんなお帰りなさい」
ノート姉さんがこちらに気付いたようで当然のように挨拶してきた。
この姿を新入生も見たんだろうなぁと思い浮かべるとちょっと笑えてくる。
まあ神界の銀月がお出迎えなんて、普通ならありえない光景だからな。
「ただいま、ノートさん」「うむ、ただいまだノートママ」「ただいま帰りましたノート母さま」「ただ今戻りました、ノート姫」
これもまた4人がそれぞれの返事を返す。
するとノート姉さんもこちらに気付いたようで。
「お久しぶりです、ノート姉さん」
俺もノート姉さんに挨拶する。
ヴェル姉さんともそうだったけど何気に会うのは久しぶりだ。
「青葉君、お久しぶりです」
久しぶりだったが、相も変わらない笑顔でノート姉さんは返事をくれる。
「女子寮に来たってことはヴェルちゃんとはもう話してきたんですよね」
「うん、入学式早々全生徒がいる前で呼び出しをくらったよ」
ちょっと皮肉交じりな返事を苦笑交じりに言う。
「そうですか、それじゃあらかた話は聞いてるんですね。こちらの都合ですいませんがお願いしますね。まあでも姫君も通った道ですから」
ノート姉さんは逆に申し訳なさげに笑いながら返事を返す。
「そういわれると、俺としては頑張るしかないよ。まあ慣れるまで大変そうだけど」
もうこの時点で昼時であるからには当然のように多くの生徒が食堂に集まっている。
その中の結構な数が、俺に対して不思議に思うような視線を向けている。
明らかに邪険にするような目線もその中にはいくつかあった。
「まあ今の3階級の子たちは姫君がここで生活していたことは知っていますからそれほど問題はないと思います。それに姫君のおかげで人族に対してもほとんど差別的な目線はもう持ってません。2階級と1階級の子たちが問題ですけど何かあったら僕に言ってください。もともとそういう意図もあって青葉君をここに入れたわけですし」
「うん、まあどうしようもなくなったら頼むよ」
ヴェル姉さんの時と同じ返しをする。
ひとまずは自分で頑張ってみないと、最初からノート姉さんを頼っているようじゃ何も変わらない。
「みんなご飯はまだですよね、空いてる席に座ってください。僕はみんなのご飯を作ってきますので」
「ノートママもまだ食べないだろ?」
「なら一緒に食べましょうよ!」
「そうですね、それじゃ僕の分も一緒に運んできますね」
そういってノート姉さんは厨房の中に向かっていった。
「それじゃ私たちは席についてようか」
「そうですね」
「あれ、青葉やん。こんなとこでなにしてん?」
皇女先輩の言葉にうなづいて席へ向かおうとすると後ろから声がかかった。
女子寮で俺の名を知る知り合いがいるとすればそれはここにいるメンバー以外だとおもに二人しか思い浮かばない。
それにあのしゃべり方だ。
振り向くとそこには当然思い浮かんだ人物が立っていた。
「エルとリノか」
二人で食堂にご飯を食べに来たようだ。
俺が頼んだ通りエルはきっちりリノのことを見ていてくれたらしい。
「昼ご飯を食べに来たのか?」
「いやまあそうやねんけど」
エルはここに俺がいることや、俺の周りにいる先輩たちを見て不思議に思っていおるようだ。
リノはエルの後ろに若干隠れながら様子をうかがっている。
「へぇ、さっそく友達ができるなんて私たちが心配する必要はなかったかな」
そんな中で皇女先輩が俺たちの話に入ってくる。
「えーと、先輩の方やんな?」
エルが俺に目を向け話しかけてくる。
「あぁ、白鷺皇女先輩、カミシア先輩、リンセ・ホワイトキャッスル先輩にニコ・テンプル先輩だ」
よろしくね、とそれぞれの先輩が言う。
「う、うちはエル・ミラドールって言います!新入生ですが、なにとぞよろしくお願いします!」
「あ、この子たちが」
「そうですね、リンセ。この方たちがのちの」
先輩の前で緊張したのか、声が詰まりながらエルが答える。
それを聞いたリンセ先輩とニコ先輩が何か小声で話しているのが聞こえたが、まあまた未来関係だろう。
「それで、後ろの子がもう一人の人族だよね」
皇女先輩の言葉にリノがびくっと体を震わせ、おずおずと前に出てきてリノは自己紹介をする。
「あの……リノ・ルイヴィス・A・ヴァーモントといいます」
「ルイヴィス・A・ヴァーモント……」
皇女先輩が驚き顔でリノの名前をつぶやく。
ほかの先輩は気づいていないようだが、やはり人族である皇女先輩はわかるか。
「皇女先輩、その件は後で話します」
俺は小声で皇女先輩に注意を促した。
全員身内とはいえ、ほかの人に聞こえる可能性がないわけじゃない。
あまり他言して噂になどはしたくないのだ。
「あぁ、うん。わかった」
俺の意図をすぐ理解したのか、皇女先輩も小声で返事をくれる。
「リノ、か。こちらもよろしくな」
カミシア先輩の言葉を皮切りにほかの先輩もよろしくと声をかける。
「二人ともこれからご飯なんですよね、よかったら一緒に食べませんか?」
「あー、うちは構いませんけど」
そういってエルはちらっと、リノの方に顔を向ける。
リノは小さくこくりとうなづいた。
「んじゃ御邪魔させてもらいます」
そういって俺たちは食堂の席に着いた。
「悪いな、リノのことを任せて。助かった」
エルが席に座るタイミングを見計らって、俺はリノに聞こえないように小声でエルに言った。
「まあ構わんよ、あの子ほっとくと危なっかしいし」
ありがとうとつぶやき、俺はリノの隣の席へ座った。
そして、声を普通のトーンに戻して話題をふる。
「そういえば、教室で騒ぎがあったみたいだな」
「あー。あの時は肝を冷やしたで」
「何々、何かあったんですか?」
リンセ先輩が俺たちの話に首を突っ込んでくる。
俺とエルは教室であったことを大まかに説明した。
「大丈夫だったか?」
話し終わった後に再度声をかける。
「まあ何事もなかったといえばなかったしなぁ」
「相変わらずそういうゴミな連中はいるんだよなぁ」
気付けば全員がこの話題に入っていた。
「まあ、多少はましになってるんだけどね」
「青葉様にご迷惑がかかる用でしたらニコに言っていただければ排除しますが」
「いやいや、さすがにそこまでしなくても」
「……物騒な先輩やなぁ」
エルが小声で正直な感想をつぶやく。
「というより、そもそもなんでリノはそんな喧嘩を売るようなことをしたんだ?」
俺はリノに向かって問いかけた。
正直、入学式からしかリノのことを見ていないがそんな好戦的な性格には思えない。
「入学式の……」
「ん?」
「入学式の……仙城君を見て、私も立ち……向かわないとって、思って」
「あぁ」
つまりは、俺があの時魔族を威嚇して見せたから、ここではそういう態度を示さないと見る目は変わらないと考えたのか。
「わた、私は人族……だからそういう目で、見られるっていうのは……知ってました。けど……何もしなければ、何も言わなければ……何もされないだろうって高を括ってました。でも、そんなことは……なくて」
「それで、自分も態度を示さないとって事かいな」
エルの言葉にリノは頷く。
「……怖かったけど、それでも」
話を聞いていた、全員が複雑な表情を浮かべていた。
それは当然だろう。
ここはトリニティ、完全実力主義を歌った学園だ。
俺たちはリノという少女の実力を知らないが、それでも人族だ。
それなりの修練をしていたとしても普通なら魔族数人に囲まれたらまず勝ち目はない。
喧嘩を売ったところで対処しようがない。
ならどういう対応が正解なのか、それを思いつけないから周りの先輩とエルは複雑な表情を浮かべているのだ。
だがそれでも、俺はふっと軽く笑みを浮かべて言い放った。
「俺が守ってやるよ」
「えっ」
全員が俺の方に顏を向けた。
リノは驚いて声すら漏らしている。
「リノがそんな心配をしなくても俺が守ってやる。ついでに人族への差別の目も消してやるよ」
「え、あの」
戸惑っているリノに俺は隣の席から体をリノの方に向けて頭を撫でてやった。
「だから、俺に任せろ」
頭を撫でられたことが恥ずかしかったのか、リノは頬を染めて俯きながら小さくうなづいた。
「これだけ大勢の前で女の子を口説き落とすとは、なかなかやるじゃないか青葉。流石はパパの弟子だ」
「いやーびっくりしたで、やるなぁ青葉。こりゃこれから頑張らなあかんでな!」
「んふふーいいですね、リノちゃん。こういうとこから、のちの青葉さんパーティが生まれるんですね!」
「青葉さんパーティ?」
俺は自分の名前を言われて思わず聴き直した。
「えぇ、未来では青葉様のパーティも有名なのですよ。主様のパーティを補佐する次世代の戦士たちとして世界で名前が知られています」
「実感ないなぁ」
未来のことを語られて俺は苦笑気味に言った。
「なんの話をしているんですか?」
そんな時、声をかけてきたのは厨房から料理を運んできたノート姉さんだった。
「あ、うちら話に夢中で注文するの忘れてるやん!」
あ、とリノも小さく声を漏らす。
「テーブルに二人ほど増えているのが見えたので、二人分多く作ってきましたよ。寮のお昼のメニューは決まってますから」
ノート姉さんは笑顔で二人に応える。
「ていうか、よくよく見たらその銀髪……」
話に入ってきたのが誰なのか、エルはうすうす気づいたようで遠慮気味に声を出す。
「あ、自己紹介が遅れました。この女子寮の管理人をしてます、ノート・ルゥムです」
「ノ、ノート・ルゥムって神界第一王女、グランルナの!!?」
「まあ驚くよね」
苦笑交じりに皇女先輩が言う。
「う、うう、うちはエル・ミラドール言います!な、なにとぞよろしゅうお願いします!」
緊張してかエルはどもりながら声を出す。
「リ、リノ・ルイヴィス・A・ヴァーモント……です」
これにはさすがのリノも驚いたのか、声を震わせながらエルに続いて返事を返す。
「はい、よろしくおねがいしますね」
ノート姉さんはそんな二人に笑顔で返す。
「ノート母さま、今まさに青葉さんがリノちゃんを籠絡したところなんですよ!」
話を戻すようにリンセ先輩がうれしそうに声を上げる。
「ちょ、リンセ先輩!籠絡って」
「いやまあ間違ってはいないんじゃないか?」
そんな俺の反論を無視してカミシア先輩からリンセ先輩への援護射撃が来る。
「カミシア先輩まで!」
「まあさっきのはなかなかかっこよかったで、青葉」
「話を蒸し返すな、エル!おい、ほらリノが恥ずかしがって俯いちゃってるぞ!」
やんややんやと俺たちは騒ぎを繰り返す中でノート姉さんは笑顔で俺たちを見守っている。
黙ってるノート姉さんを不思議に思って俺は声をかけた。
「ノート姉さん、どうかした?」
「……安心しました。青葉君やリノちゃんがこの学園でちゃんと仲良くやれてるみたいで」
あぁ、と俺は納得する。
ノート姉さんはかなり面倒見のいい人だ。
どこをどうしたって俺たちは人族であり、それは変わりようがない。
そこがやはり心配だったのだろう。
「俺は大丈夫だ、そう簡単に折れはしないよ。リノもちゃんと守って見せる」
「はい、それでこそ私たちの弟子です」
そんな会話をしながら俺たちは昼食を食べ終わった。
---
学園長室を出た後、私、バレッド・ジンスは寮に向かった。
届けられている荷物を受け取って部屋を少し整理した後、ルームメイトが途中で部屋に来たので挨拶をしておいた。
魔族の女の子のようだが、私のことを知っていたようでかなり委縮させてしまったようだ。
ここでは同じ学園の生徒なのだから、気を遣わなくてもいいとは言ったが、態度を変えてくれるかどうかは微妙なところだ。
挨拶と同時にお昼ご飯でも一緒に食べないかと聞いたが、もう食べたのでということで断られてしまった上に部屋を出て行ってしまった。
私は別に魔王の血族のことを鼻にかける気はない。
もちろん、魔王の血族ということに誇りはもっているが別にそれを理由に偉そうな態度をとるようなことをする気はない。
正直、対等な関係の方が望んでいるので、ああいう態度は正直こまるのだが。
まあそのうち慣れるだろう。
時間は昼から少し過ぎている。
ルームメイトに断られてからもう少し片づけをしていこうと思ったがゆえに昼ごはんをまだ食べていない。
とはいえ時間的にはまだ食堂は空いているだろう。
そう思って私は食堂に向かった。
食堂にはまだそれなりの人数の生徒が残っていて私は空いている席を探して食堂を見渡す。
すると一つのテーブルに目がいった。
そこには予想外の人物が座っていたからだ。
「……仙城青葉」
先ほどまで抱いていた怒りがふつふつとまた上がってくる。
何故あいつがこの女子寮にいてしかも食堂で飯など食っている。
自分が何のために食堂へ来たのかも忘れ、私は目に留まったテーブルへ足を進めた。
あいつは気に入らない。
ヴェル様に気にかけられ、あのような言葉を言わせたのはあいつだ。
あいつは何が何でも私の力で叩き潰す。
「おい、貴様」
そうして私は食堂にいた仙城青葉に声をかけた。
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食器を片づけてきますね、と言って立ち去ったノート姉さんを除いて俺たちは食後の休憩を取っていた。
「んで結局、なんで青葉がここにおるんよ?」
当然思っていただろう質問がエルから出てきた。
「まあいろいろ事情があってな、俺も女子寮に入ることになった」
ため息交じりに俺は言い放つ。
「え、ちょ女子寮にって、マジかいな!?」
「うん、まあ一応学園長の指示だ」
「あー、入学式で呼び出されてたのってこの件かいな」
「まあ、理由についてはいろいろあるんだけどそれはおいおい話す。悪いけど、今は納得しといてくれ」
「いやまあ、うちは……複雑やけど、なんや事情があるみたいやし納得するんもやぶさかじゃないけど、ほかの子が黙っとらんのちゃう?」
「それはもはや頑張るしかないな」
「ま、その辺は私たちも気にかけておくし大丈夫だろ」
カミシア先輩が軽い一言で話に入ってくる。
「ノートさんもいるしね」
皇女先輩もそれに続いて言う。
まあこの辺の先輩たちが俺たちの味方でいてくれることはかなり大きいだろう。
ありがいことこの上ない。
「すまないが、リノもよろしく頼むな」
「わ、私は大丈夫、です」
リノはすんなり納得してくれたようだ。
「てか青葉、なんでノートさんみたいなすごい人と知り合いなんよ!」
「え、あぁそれはな」
「おい、貴様」
ノート姉さんのことを聞かれそれにこたえようとしていたとき、突然声がかかった。
声の方に顔を向けると、長い黒髪をなびかせた長身の魔族の女の子が立っている。
その鋭い眼は完全に俺に向いていた。
どうやら俺に用があるようだ。
「あれ、バレッドはんやん。どしたん?」
エルが気軽な声で返事をした。
バレッド……そういえばさっきトレスが言っていた名だな。
魔族の中でもトップとされる魔王の血族の一人だとか言ってたか。
「エル、といったな。私が用があるのはそこの男だ。あなたには用はない」
そういって一呼吸置いた後に言葉をつづけた。
「貴様、仙城青葉だな」
「あぁ、そうだ。そういうあんたはバレッド・ジンスか?」
「私のことを知っているのか」
表情は一切変えず淡々と言葉を紡ぐバレッド。
なぜかは知らないがこいつはかなり苛立っているようだ。
「教室でリノとエルが世話になったようだな、助かった。ありがとう」
「貴様に礼を言われる筋合いはない。あの場で騒ぎを起こされてもかなわんと思っただけだ。そんなことよりも」
「なぜ貴様がここにいる?ここは女子寮だぞ?」
なるほど、これが本題のようだ。
食堂に来てみれば人族の男がいた。
それに不信感を抱いてわざわざ聞きに来たってとこか。
「いろいろと事情があってね、女子寮に入ることになった」
「なに?」
「事情だよ、悪いけど理由は今は話せない。でも少なくとも俺が望んでここにいるんじゃないってことだけはわかってくれ」
何を言っているのかわからないといったようにいぶかしげな顔をバレッドは浮かべる。
「事情だと?そんな理由で異性と一つ屋根の下で暮らせと?そんなバカげた話があってたまるものか!」
バレッドは怒りが爆発したように声を上げた。
周りに残っていた生徒たちも何事かとこちらを見ているようだ。
まあ正直な話をすればその意見は全く持って正論ではあるだろう。
俺はともかくとしても、女子寮に住む女子生徒からしたらたまったものではないだろう。
「おい、新入生。あんまりこういう場で堂々と騒ぐのはどうかと」
「カミシア先輩」
そんなことを考えていると、聞き耳を立てていたカミシア先輩が口を挟んできた。
だが俺はカミシア先輩の名前だけを言って先に続く言葉を遮る。
この件は俺が片づけなければならにことだ。
正論云々は置いておくとして女子寮で生活することになった以上、こういう話はこれから絶えないだろう。
そのたびに先輩の手を借りていたらきりがない。
「まあ正直、俺もそう思うけどな。残念ながら決定事項だ。学園長の指示でもある」
「ヴェル様の指示だと!何故ヴェル様がこんな人族を!」
その一言で周りに座っていた皇女先輩やリンセ先輩の顔色が変わる。
リノとエルは心配げな顔で俺たちを見ている。
「私は認めないぞ、仙城青葉。人族の男が女子寮に入るなどありえない!」
「とはいえこちらにも理由と事情がある」
苦々しい顔をバレッドは浮かべた。
こちらとしてはバレッドの言い分もわからなくはないため少し申し訳なくなる。
だがバレッドは一度目を閉じ、心を落ち着かせて一呼吸置いた後に言い放った。
「……勝負をしろ、仙城青葉。私が勝てば、貴様は女子寮を出ていけ。お前が、お前自身でヴェル様の指示を断れ」
何を馬鹿な、と周りの先輩たちは思っているようで顔をしかめている。
正論だとは思ったが認められている以上、バレッドの言い分はただのわがままでしかない。
事情があり、それを学園側が許可している以上それは正式な決まりなのだ。
「ふむ」
俺は考える。
下らんわがままだというのは簡単だろうが、少なくともこの女子寮の中には俺のことを聞けばそう思う人もいるだろう。
かといってこの勝負、俺が勝っても直接的なメリットは一切ない。
そして負ければヴェル姉さんからの頼みごとを取り消さなくてはならなくなる。
単純に見れば、リスクしかないというわけだ。
だが
「いいだろう、受けよう」
それでもこの無茶な提案を俺は受けることにした。
テーブルに座っていた俺以外の全員が驚く。
「ちょ、ええんかいな青葉!?」
エルは真っ先に声を上げる。
「大丈夫だ」
とエルに俺は軽々しく答えた。
がそれがバレッドには気に喰わなかったようだ。
「ずいぶんと余裕だな」
睨みつけるように言葉を放つバレッドに気圧されないように俺はバレッドを見つめる。
「何を騒いでいるんですか」
そんな時に騒ぎを聞きつけたのか、ノート姉さんが厨房から出てきた。
「管理人、か。神界第一王女ノート・ルゥムに尋ねる。あなたもこの人族の男が女子寮に入ることを認めているのか?」
それを見たバレッドはノート姉さんに声を投げかける。
「はい、認めてますよ。今年は男子寮もかなりぎりぎりですし、一応事情もありますから」
俺の言葉が嘘ではないということが分かったのか、より顔をゆがませる。
「だが私は認めていない。女子寮に男がいるなど納得できないのでな。だから今しがた決闘を申し込んだ」
「決闘、ですか?……管理人としてはとてもそんなこと認められません」
やはりノート姉さんは止めに入る。
それは当然だろう、女子寮の管理人として学生を受け持っているのだ。
そこにいる生徒たちが喧嘩を始めるなどと言い出したら止めるに決まっている。
「何故だ!ここは女子寮だろう!男がいるなど明らかにおかしいではないか!」
それでも食って掛かるバレッド。
よほど俺のことが気に食わないらしい。
つまりこの件をノート姉さんが制してバレッドを引かせたとしても、いずれまたすぐに同じようないざこざが起こるというわけだ。
それなら早めに対処しておく方がいいだろう。
そう思って俺は二人の会話に割って入っていく。
「悪い、ノート姉さん。俺からも頼む。バレッドと決闘させてくれ」
「青葉君!?」
ノート姉さんは驚きと困りが混ざったような表情で俺を見る。
「その代り、ノート姉さんに決闘の立ち合いを頼みたい。何かあった時、ノート姉さんがいれば大丈夫だろうし。バレッドもそれでいいだろう?」
「私は構わない。むしろ神族王女のノート・ルゥムが決闘の結果を証明してくれるのだ。これ以上ないほどの立会人だ」
バレッドも二つ返事で言葉を返す。
自分の力に自信があるんだな。
微塵も自分がまけることなんて考えちゃいない顔をしてる。
「青葉君はいいんですか?」
「あぁ、構わない。それと悪いけど俺が負けた場合はちゃんと約束を守れるようにしといてくれない?」
「……えぇ、わかりました。立ち合いも約束も僕が保証します」
流石はノート姉さん。
本来なら間違いなくこんなふざけた決闘止めるべきであるのにもかかわらず、俺の意をくんでくれたようだ。
申し訳ないけど、こういうところはほんとにありがたい。
「なら時間は本日の夕刻だ」
すぐにでも決闘をしたいとでも言いたげなバレッドは今日の夕方を指名してきた。
時間にしていえば数時間後だ。
「場所は?」
「闘技場は使えませんから、丘の方ならできるとは思いますが」
「まああそこくらいしかできそうな場所はないな」
「ですが、広さ的にも十分かと」
いつのまにか先輩たちも会話に参加する。
「なら場所はその丘で、だ」
「わかった」
「立ち合いも受けましょう。ですが二人とも、私が危険だと思った場合はすぐに止めに入ります。そうなった場合は抵抗しないように」
ノート姉さんは真面目な声音で俺たちに言い聞かせるように言った。
まあ今の言葉はおもにバレッドに対してだろうけど。
「わかってる」
「了解した」
二人とも同時に返事をする。
それに続いてバレットが俺に向かってつぶやく。
「私はお前を倒す。そしてヴェル様に私の実力を証明して見せる」
そういって、バレッドは踵を返して歩いて行った。
「いやいやいやいや、なんや大変なことになってるやん。大丈夫なん青葉?」
エルはかなりあわてているようだ。
リノも心配げな目線を俺に向けている。
「まあ大丈夫だろ、それより悪いねノート姉さん。俺のわがままを聞いてもらって」
「正直こういうことを管理人の僕が了承するのはかなり問題があるんですが、まあ今回のことを止めてもバレッドさんはまた青葉君と衝突するでしょう?」
「まあそうだろうね。俺は自分から喧嘩を売る気はないけどあちらさんはいつでも売ってくるだろうから、買うなら早いに越したことはない」
「青葉君がそう思ってると思ったから僕も了承したんですけど」
ノート姉さんは心配そうにこちらを見てくるが、大丈夫だってと俺は軽く答えた。
「けど、正面から堂々と言ってくる子がいるなんてね」
「確かに、びっくりしちゃいましたよ」
先輩たちはみんなやれやれといった感じである。
「ニコがあの生徒を消してきましょうか?」
「いやいや、大丈夫ですってニコ先輩」
「けど青葉君、あの子もかなり強いですよ。さすがにヴェルちゃんほどじゃありませんけど、かなりの魔力を持ってます」
「だろうね、立ち振る舞いもそうだったけど魔王の血族らしいから」
「ほんとに大丈夫なのか?」
魔王の血族という単語を聞いてカミシア先輩も心配げな声を上げる
「まあ何とかしてみせますよ。それにこの学園に来てすぐにこんなところで躓いてちゃ先には進めませんしね」
それじゃ、とりあえず戦闘準備してきますとそういって俺は食堂を一人で後にした。
やっと説明が終わって小説らしくなってきたような気がします;w
小説らしくかけているかどうかは置いておくとして←
小説書いておいて何言ってんだって感じなのですが、リノの口調がまだなんというかなれません;
だから多少おかしいところがあるかもですがそういうとこは見つけ次第直していきたいと思います。
今回は、主人公である仙城青葉に関してもうちょっと詳しく書いときます。
儀式兵器は刀。
進化はまだしていません。
ちなみにゲンの根性刀のような伸縮したり消えたりだとかの能力もありません。
姫の弟子ですが姫と出合ったのは1年前くらいです。
時系列的には姫がトリニティを卒業してすぐ、ですね。
そこから姫にくっついてトリニティ以外の世界をぐるぐるしたりします。
とはいっても主人公もこのころは当然学生なのでちゃんと学んだのは長い休みの間(夏休みとか)だけです。
まあそれでも学校をさぼったりなんだりはしていたので実際はそれより日数的には多かったりするおですがそれは又本編でw
姫との出会いとかも書く予定なのでそのときにまた詳しく書きます
まあだいぶ先の話になりそうですがw
さて、ここからやっとストーリーがちゃんと動きはじめますね
次回はがっつり戦闘ですw
やっと戦闘シーンまでたどり着いたって感じですけど←w
ぶっちゃけ作者まともに戦闘シーンなんて書くの初めてなので次回はより温かい目で見守ってください←ww