Tiny Dungeon ~next to generation~ 作:いどさん
お久しぶりです
最近忙しくて全く小説を書く時間があらずこんなにも時間が空いてしまいました(汗)
気づけば1年以上空いてる……(汗)
まあでもちまちまと書く余裕が出てきたので完全に自己満足ですがとりあえず書いていこうかと思います
もしまだ読んでくださってくれる方がおられるなら大変お待たせいたしました。
とりあえず前回の続きからです!
※落書きレベルの挿絵追加しました。
昔書いたキャラクターのイメージ画像があったのですが、
ちょっと出来があれなので書き直します←w
少々お待ちください。
「あれって……」
ヴェルは闘技場の観客席から青葉たちの模擬戦を見学していた。
昨日の夜にノートから話を聞いていたのだ。
そう、昨日の決闘の話を。
だからこそ自分の目で見てみたくなったのだ。
青葉の成長ぶりを。
だからこそ今日の仕事を急いで片付けて午後のこの時間を空けた。
実際は3回級の訓練を行っていた時から様子は見ていた。
皇女の実力が去年よりかなり上がっている。
私が最後に彼女の実力をみたのは丁度一年前だから、彼女、というより彼女たちの実力を見るのは一年ぶりなのだ。
この一年、とてもがんばって修練したのがよくわかる。
皇女だけではなく、あの5人全員がだ。
今では彼女らはトリニティ切っての実力者だろう。
それを見て満足した後、1回級の戦闘ももちろんみる。
そうして私はここにいるのだけれど。
みたのは青葉ではなくリノ・ルイヴィス・A・ヴァーモントの戦闘。
彼女は彼女で気になってはいた。
もちろん、かの人族代表の娘としてだ。
だがみてみればその戦闘は一瞬で終わった。
それも彼女の圧倒的勝利という形で。
しかもあの力……
「あれはかつての勇者の、ゲンの力……」
そう、彼女が使った能力はまさしく前の勇者であるゲンが持っていた魔力霧散化能力。
なんであの子がそんな力を持っているのだろう。
いや、どうやって手に入れたのだろう。
単なる儀式兵器の能力では成り立たない。
明らかに異常な力だ。
ヴェルは一気に険しい顔をしながら1期級の子たちを見つめた。
---
「なんだ、あれは……」
俺は唖然としながらリノを見ていた。
いや、俺だけじゃない。
俺を含めた戦闘をみていた全員が唖然としていた。
誰もが何が起こったのかわからない。
いや、あの能力を俺は知っている。
いや、聞いたことがある、というのが正しい。
あれはかつて師匠に聞いた、前勇者の……
いやそれもだ。
リノ自身が何かおかしいのが気になる。
明らかに目に光がない。
そして顔に表情がない。
リノ、お前は……
「も、戻りました」
考え事をしていたらリノが戻ってきた。
顔を見ると完全にいつも通りの表情をしている。
さっきとは全く違う、いつもの雰囲気をまとったリノだ。
「さ、さっきのはなんなんよリノちゃん!?」
エルが驚きと興奮の入り混じったような声でリノに質問する。
隣を見ればトレスも驚き顔を浮かべて興味ありげにエルの言葉に対するリノの返答を待っていた。
「あの、さ、さっきの、っていうのは」
「リノちゃんの戦闘やって!相手の魔法が突然消えたように見えたけどあれどうやったんよ!」
「あ、あれはあの、私の固有能力で……シャットアウトって、いうのです」
「シャットアウト?攻撃を遮断するのかい?」
「えと、あの」
「そこの1回級の生徒たち!戦闘が止まっているぞ!」
俺たちがリノに話を聞いている途中でラーロン兄さんの大きな声が飛んでくる。
さっきのリノの戦闘で場が止まっていたようだ。
「まあ話は後で聞こうか。今は授業を真面目に受けるとしよう」
「せやなー、とりあえずトレスはじめよか!」
トレスの言葉にエルが応じる。
教師であるラーロン兄さんの言葉を聞いて他の生徒も動き出したようだ。
二人は俺から離れて空いてる場所に向かって歩いていく。
さて、俺はどうするかな。
今のリノの一件と俺のバレッドに勝ったという噂のせいで俺に誰も俺に模擬戦をやろうと言ってこない。
まあこの状況を作り出そうとしていたのは確かなんだが、このまま一人でいるとそれこそサボリだと思われてラーロン兄さんに怒られてしまうだろう。
仕方ない、ちょっと煽って見るか。
俺はそう思いながら自分の儀式兵器である刀を抜いて叫ぶ。
「誰か俺の相手になろうって奴はいないか!!俺の手は空いてるぞ!誰でもいい!」
俺はそれなりに大きな声で叫んだが、注目を浴びるだけで誰も俺お呼びかけに反応を見せない。
「それともバレッドに勝った俺は怖くて手を出せないか?」
俺は駄目押しとばかりににやけながら周りを見渡して言う。
「いいだろう、俺が相手になってやる」
「いや、俺がこの人族を潰す」
「法螺吹きもいい加減にしろよ、てめぇ」
すると何人かの神族や魔族の奴らが名乗りを上げてきた。
その様子を見て俺は小さくにやりと笑みを浮かべる。
リノがあれだけの人数を相手にしたんだ、俺も頑張らないとな。
そう心の中でつぶやきながら俺は言い放った。
「お前ら全員、まとめて相手してやるよ!!」
---
「そこまでだ!」
不意にラーロン兄さんの声が闘技場に響く。
俺たちにとって初の戦闘訓練の授業もすでに終盤に迫っていた。
トレスとエルの二人も模擬戦を終わらせており、俺も複数の魔族を相手に立ち回っていたのだがどうやら俺たちの本格的な模擬戦はここで終わりのようだ。
ちなみにトレスとエルの模擬戦だが、どうやらトレスが勝ったらしい。
俺も自分の戦闘をこなしながら横目で少し見ていただけなので、どんな試合になったのかは詳しくはわからないが、まああの銀髪を考えると順当といえば順当ではある。
「さて、授業の初めでも言ったように本日いい動きをしていた生徒を選抜し3階級との模擬選を行わせてやる。そして今日一番いい動きをしていたのは、バレッドジンス、貴様だ。」
ラーロン兄さんが指定したのはバレッドだった。
まあ今日一番多く模擬戦をしていたようだし、そも魔王の血族だ。
バレッドが選ばれるのは特におかしくはない。
俺も選ばれればいいなくらいには考えていたが、ラーロン兄さんはそういう身内贔屓をする人じゃないし、冷静に判断した結果だろう。
だがまあこれから少なくとも1年はあるんだ。
3階級の人たちと手合わせをする機会はまた何度でもあるだろう。
俺がそんなことを考えていると、ラーロンさんが続けて声を放った。
「そしてリノ・ルイヴィス・A・ヴァーモント、貴様もだ。」
えっ、と周りから驚きの声が上がった。
リノを見てみると、そのリノ本人も驚いて混乱しているようだ。
確認するかのごとく、俺はもう一度ラーロン兄さんのほうに目を向けると、ラーロン兄さんはあらぬ方向に目を向けていた。
だがしかし一瞬でこちらに向き直って話を続ける。
「両名は前に出てくるがいい。そして、模擬戦を申し込みたい相手を指名するのだ。勝て、などとは当然言わん。誰が相手でも構わん、胸を借りるつもりで申し込むのだな」
その言葉を聞き流しつつ、俺はラーロン兄さんが一瞬目を向けていたほうを見た。
「あぁ、なるほど」
俺は小さくつぶやきながら納得する。
そこにいたのは学園長こと、ヴェル姉さんだ。
たぶん、最初から見ていたんだろうけど気づかなかったな。
そしてラーロン兄さんが目配せをした意味。
それはつまり、リノの能力の再確認ってところだろうか。
あれは確かに、俺から見ても異常な力だ。
「青葉、二人の模擬戦が始まるよ」
トレスに声をかけられ、ふと我に返る。
「あ、あぁ」
気づけばすでにバレッドは模擬戦の相手を選んで開始の合図を待っている状態だった。
がしかし、リノのほうはまだ相手を選び損ねているようだった。
ちなみにバレッドが指名したのはリンセ先輩だ。
先ほどの戦闘を見て、戦ってみたいと思ったのだろう。
だが、リノはおどおどとしており、いまだに相手を決められずいるようだ。
そんな時、3階級の中から声が上がった。
「もし、お相手を選びかねているのでしたらわたくしがお相手いたしましょうか?」
その声は、今朝知り合ったもう一人の金髪の竜族。
ルルウ・アキ・カジュタから放たれた言葉だった。
「ふむ、リノ・ルイヴィス・A・ヴァーモント。貴様は第二の金竜が相手でも問題ないか?」
そしてもうあまり時間が無いようで、ラーロン兄さんがその提案に後押しをしてくる。
「は、はい。問題ありません、よ、よろしくお願いいたします。」
「えぇ、ではこのルルウ・アキ・カジュタが全力でお相手いたしますわ」
そして両名とも相手が決まり、模擬戦の準備に入った。
一組ずつではなく、同時に離れた位置で模擬戦が開始されるようだ。
「「開始!」」
そうして、審判であるバリアリーフ先生とラーロン兄さんの声が重なり、模擬選が始まった。
---
まただ。
俺はリノを見た瞬間、そう感じた。
模擬戦が始まって数分がすでに経過している。
当然、バレッドとリンセ先輩、そしてリノとルルウ先輩が戦っているのだが、俺はバレッドには悪いがリノから目を離せなくなっていた。
戦闘が始まってからのリノの様子が明らかに普段と違う。
おどおどした様子もなければ、おおよそ感情というものが全くないような冷徹な表情をしている。
ルルウ先輩の攻撃に対して、正確な動きでそれをよけ時に反撃する。
その様はどこか機械じみたような恐怖を俺は感じた。
そしてあのリノの謎の能力「シャットアウト」。
あれは今回でも十分すぎるほど発揮されているようだ。
ここから二人までは少し距離があるため、リノがさっきの戦闘で見せたようにシャットアウトと何度も口にしているかどうかはわからないが、やはりあの戦闘はどうにもおかしい。
リノが避けた攻撃は別段何も問題はないように思える。
いや竜族ならではの、それも金竜の気麟をまとった攻撃だ。
何の問題もなくとは言うが、その威力は異常なまでのものだった。
ルルウ先輩のふるう武器は斧だ。
単純に振りかざしただけでも地面に当たれば軽く爆発したように地面が震え砂塵が舞う。
その攻撃力は普通に考えれば異常だが、金竜ということを考えればおかしくはない。
だがもっと異常なのは、その異常な攻撃を数回リノが受けきっているという点。
3階級と1階級が戦っているのだ。
当然そこには当たり前のように経験の差が表れる。
だからどんなにがんばってリノが避けようと、それを踏まえてルルウ先輩は攻撃をしてくるため最終的に避けきれなくなり、リノは攻撃をくらってしまう。
ある程度実力差があると戦闘はどうしても予想しやすいものになっていく。
詰将棋のような状態になるのだ。
そして竜族を相手にした場合、その避けられなかった一撃がまさしく命取りになる。
にもかかわらず、リノはその攻撃を数回受けておきながら、何の問題もないように立ち上がる。
「やはり、気麟すらも消せるのか」
竜族の強みはやはり気麟だ。
それがなくなってしまえば、腕力のみの攻撃になってしまう。
それでも元の体力や筋力が竜族は高いため、攻撃力そのものは高いが気麟があるのとないのを比べれば天と地ほどの差があるだろう。
ゆえに、リノは未だにダウンしていない。
だが、
「結局はジリ貧だな」
俺はリノたちの戦闘を見てそうつぶやいた。
「そうやなぁ、さすがにこのまま押し切られるっていうのが目に見えてるわ。でも、やっぱ」
「うん、正直どうやってるのかはわからないけど、もともとなかったかのように気麟が消えてるね」
俺のつぶやきを聞いていたようで、エルとトレスが返事を返してきた。
二人もやはり俺と同意見のようだ。
と、その時リノが自ら前に出てきた。
おそらくリノ自身もこのまま押し切られてしまうことが分かっていたのだろう。
ゆえに、動いたのだろうけれど。
それが3階級にどこまで通じるのか、そう考えながらリノの戦闘を見るのだった。
---
(前に出てきた?)
わたくしはこの1階級の少女の動きにいささか不自然な印象を受けていた。
今まで防戦一方だったのにもかかわらず、このタイミングで突撃。
人族ですから呪文演唱に時間がかかる魔法は一部例外はあるにしてもほとんど使えなはずですし、それをしていた様子もない。
特に時間を稼いでいたわけでもなく、新たに勝機を見出したからこその突撃でしょうけれど、いったい何が狙いなのでしょう。
悩んでも仕方がないかとわたくしは思い、前に出る少女に対処すべく動く。
もちろんルルウは勝つことが目的ではあったが、今回はちょっと特殊な事情があるがゆえに見極めながら戦わなくてはならない。
「はぁぁ!!!」
そんなことを考えながらも当然相手には全力で斧をふるう。
「ふっ!」
相変わらずぎりぎりでこの子は避けていきますが、さすがにこの子の戦い方にも慣れてきましたしそろそろ本詰めと行きましょうか。
とわたくしは考え、全力で攻めに動く。
「はぁ!!」
「くっ」
「てぇい!!」
「はっ!」
何度も攻撃をかわし続けるリノだが、さすがに動きが遅くなっている。
さすがに体力の限界なのでしょうね、と私は思いここだ、という場面で必殺の一撃を放つ。
「ここです!シャイニングストライク!!」
そういって必殺技を放とうとした瞬間、左側に一瞬きらりと光りが見えたような気がした。
そしてリノは小さくつぶやく。
「シャットアウト」
私の必殺技から気麟が消え去っていく。
だがこの動きは最初から当然読んでいた。
今の体力ではこのまま腕力だけで振り回したとしてもさすがにもう防げまい、そう考えたうえでの必殺の一撃だった。
だが、しかし。
突然左側から強力な魔法が飛んでくる。
その一発はわたくしとリノさんの間を通り抜け壁に当たって爆発する。
が、問題はそこじゃない。
さすがのわたくしも今の一瞬。
動きが止まってしまったのですから。
「っ!!リノさんは!?」
先ほどの魔法は完全に隣で戦っているペアのどちらかが放ったものだ。
もしかするとリノさんの狙いはこれだったのでしょうか。
先ほどの魔法の勢いで土煙が待っていて前がまだはっきり見えない。
「シャットアウト」
そんな時小さくつぶやく声が、前から聞こえる。
思わず前に反応してしまい、わたくしは斧で土煙を払う。
が、前にはリノの姿は非ず。
ダダンッ!!
わたくしの真後ろから銃声が聞こえてくるのでした。
---
(勝った)
リノは心の中で淡々とそう感じていた。
あのタイミングを狙っていたのは確かだ。
私とあの竜族の先輩との戦闘力の差は歴然。
勝つ可能性があるとすれば、何か別の外的要因がない限りは無理だと判断した。
ゆえにあそこで突撃したのである。
傍目に魔法を放ちそうなバレッドの姿が目に入っていたから。
まだ土煙が晴れない中、私は戦闘モードを解除しようとする。
が、その時
「!!?」
右側から衝撃が飛んできた。
それを受けて私は思いっきり吹っ飛んでしまう。
突然すぎて何が起こったのかわからず立ち上がろうとしたその時、
ルルウ先輩が寝転がる私に向けて斧を構えていた。
(さっきのも避けられてた……)
つまりはそういうことである。
「勝者ルルウ・アキ・カジュタ!」
そういって審判であるバリアリーフ先生の声が鳴り響き、1階級、3階級の合同訓練は幕を閉じたのであった。
---
帰りのホームルーム。
俺たち1階級の初授業がすべて終わったのだ。
「本日は初授業お疲れ様ですわ。初日から戦闘訓練で疲れたかもしれませんがトリニティではこれからもっと厳しい授業が待ち構えていますので気を引き締めるようになさい。では本日は以上ですわ」
バリアリーフ先生の終了の合図で教室が騒がしくなる。
「さて、うちらも寮にかえろかー。さすがに疲れたしなぁ」
エルが俺の方に顔を向けながら話しかけてくる。
ちなみにエルは俺の前に席に座っていて隣はリノが座っている。
リノもこちらに顔を向けてエルの言葉にうなづいているようだ。
「というかリノ、体は大丈夫か?ルルウ先輩に吹き飛ばされていただろ」
「確かに、あの一撃は結構重たかったんじゃない?」
俺の質問にトレスも重ねて聞いてくる。
「大、丈夫、手加減、してくれてたから」
リノは特に問題ないらしい。
さすがというかまあその辺の力加減はわきまえているようだ。
「リノ・ルイヴィス・A・ヴァーモント」
そんな雑談をしているとバレッドがこちらに近づいて話しかけてきた。
「先ほどは済まない。周りが見えていなかった。私の魔法がそちらまで飛んでしまったが、大丈夫だったか?」
どうやら先ほどの魔法のことを謝りに来たらしい。
やはりこういうところ、バレッドは律儀だな。
「は、い、大丈夫です。むしろ期待、しちゃってたので」
「そうか、問題が無かったのならいい」
ちなみにバレット対リンセはリンセの圧倒的パワーにバレッドが押されまくって、最後己の全力で打った魔法も空間割砕で反らされリンセには当たらずとどめを刺されて終わったらしい。
「さすがにバレッドはんも3階級の先輩は厳しかったみたいやなぁ」
「私も勝てるとは思っていなかったが、かなり実力差を思い知らされた。青葉との決闘もそうだったが、やはり自分がまだまだだということを思い知らされるばかりだったな」
小さく苦笑いを浮かべながらエルの言葉にバレッドが答える。
「さて、そろそろ帰ろか」
「そうだね、周りも帰り始めたみたいだし」
「すまない、俺はちょっと職員室に寄ってから帰る」
「ん?青葉なんか用事でもあるんかいな?」
「まあね、ラーロン兄さんに一言挨拶しにいかないと」
「ラーロン兄さん?今日の我々の戦闘訓練の教師か。知り合いなのか?」
「あぁ、俺に戦闘技術を教えてくれた師匠の一人だよ。というよりバレッドは一応名前くらいは知ってるんじゃないのか?あの人も魔王の血族のはずだが」
「ハデラ家、という意味で名前は一応知ってはいる。だがさすがに付き合いもないし名前までは知らないな」
「んじゃまあ青葉は用事あるみたいやし、うちらは先帰ろか」
「あぁ、トレスはまた明日。他はまた寮でな」
そういって俺たちは教室で別れるのだった。
---
俺は教室から出ると、ちょうど少し前に教室を出たバリアリーフ先生の背中が見えた。
それを追いかけ俺は先生に話しかける。
「バリアリーフ先生」
「あら、生徒仙城。どうしましたの?」
「ラーロン兄さ、あぁ、いえラーロン先生は職員室にいらっしゃいますでしょうか?」
「えぇ、まだいてるかと思いますが……。あぁ、あなたは生徒白鷺の弟子でしたわね。生徒ラーロンとも面識があるということですか」
俺は歩きながらバリアリーフ先生と話す。
というより、やはり先生は俺が師匠の弟子だということを知っているのか。
ヴェル姉さんから聞いたのだろう。
「生徒ラーロン?」
「あぁ、すいません。昔の癖が出てしまいました。今は教師ラーロンですね」
まあそれは当然か、師匠もここに通ってたし、今の師匠のパーティはここで集まったメンバーだって言ってたからラーロン兄さんも当然ここの生徒だったというわけだ。
と、そんなことを話しているうちに職員室についたようだ。
「少し待っていなさい、生徒仙城。今呼んできて差し上げましょう」
「ありがとうございます」
そういってバリアリーフ先生は職員室に入っていく。
するとすぐに先生は職員室からでてきた。
「今は職員室には不在のようですわ。もしかしたら理事長のところかもしれませんわね」
「そうですか、わかりました。では理事長室にも顔を出してみます」
「えぇ、ですがあまり学校に残りすぎて帰りが遅くならないように」
「わかりました。失礼いたします」
そういって俺は職員室を後にした。
理事長室の場所は最初に行ったから覚えている。
迷うことなく部屋まで進み、俺はドアをノックした。
「どうぞ」
「失礼します」
ヴェル姉さんが答えて俺は理事長室に入る。
すると、そこにはノート姉さん、ラーロン兄さん、オペラさんにウルルさん、それにアミアさんまでがそろっていた。
さすがに驚いていると、ヴェル姉さんから声がかかる。
「あら、青葉どうしたの?」
「あぁ、いやラーロン兄さんがこっちにいるかもしれないって聞いたから挨拶に来たんだよ」
「ふむ、確かに授業のときは話す機会がなかったからな。改めて久しいな青葉。貴様の成長は見させてもらった」
「えぇ、私も見てたわよ。かなり強くなったじゃない」
「ウルルたちも見たかったです……」
「まあ私たちはお仕事でしたからねぇ」
「私もちょっと見たかったなぁ」
「久しぶりラーロン兄さん、それでありがとう。ヴェル姉さんも」
「僕は決闘の時に見てましたけど、ほんとに1年でよくここまで成長しましたね」
「まあ姉さんたちのおかげでもあるよ。というよりラーロン兄さんが先生やってるなんて聞いてなかったんだけど」
「まあ急遽決まったからな、もともとは魔界に帰るつもりだったが、教員の空きができたからどうだと誘われたのだ」
「四界協定メンバーとしては正直トリニティにいる方が何かと動きやすいからいろんな意味で最適だったのよ」
「なるほど。それで?なんでまたその四界協定メンバーがそろってるの?」
「あー、えーと」
俺がその質問を振ると、だれもが一瞬沈黙になった。
ウルルさんは堪えていいものかためらいながらヴェル姉さんを見ている。
「リノの件、だろ?」
答え合わせをするかのように俺は溜息混じりに言い放った。
するとヴェル姉さんが苦笑交じりに答えてくれる。
「えぇ、まさしくね。さすがにあれを見ちゃうとこうして相談しないわけにはいかないのよ」
「リノの固有スキル、シャットアウト。どういうものだと思う?」
「あ、それシャットアウトっていうんだ」
アミアさんが意外そうにそう突っ込む。
みんなスキル名すら知らなかったようだ。
「おそらく勇者ゲンほど無差別なものではあるまい。あれは認識した対象を消すという能力だろう」
「でも、そんな魔法は存在しませんから、やはりリノちゃんは」
「かつての選定者、ということでしょうか」
「お兄ちゃんと同じ、かぁ」
「まあ話を聞く限りだとその可能性が高いかなぁ」
そんな話をしていると、コンコンとドアをたたく音が聞こえた。
「どうぞ」
とヴェル姉さんは客人を部屋に通す。
すると入ってきたのはルルウ先輩だった。
「あらあら、みなさんお揃いですねぇ」
「ごめんね、ルルウ。呼び出しちゃって」
「いえ、構いませんよ」
「一応ルルウの意見が聞きたくてね、どう思う?あの子」
その話の様子を俺たちは静かに聞く。
あのタイミングでルルウ先輩がリノの相手に申し出たのは意図があったということだ。
「感覚で言えば、ゲン君と戦っているのとほんとに近い感じでしたね。実際気麟を何度も消されましたし」
「やはりそうか」
「ただ、最後のあの一瞬、私はあの子を見失ってしまいました。おそらく気配そのものを消したのではないかと思います。そんなことはゲン君にもできなかったので、何とか銃撃を斧で防いで反撃しましたが、結構危なかったですわ」
「第二金竜を追い詰めるほどか、中途半端に何も知らない3階級と戦わせては負けかねんと思い第二金竜を当てたが……」
「でもラーロンくんの判断は正しかったと思います。3階級が負けてはさすがにメンツもあるでしょうし、元勇者と一番戦いなれているという点では間違いなくルルウちゃんが適役だったんじゃないかと」
やはりリノのあの能力は話に聞いていた元勇者の力に近いらしい。
だからこそこうやって四界協定メンバーが顔を連ねて相談しているわけだが。
「まあでもとりあえず様子見しかないわね。みんな、一応注意しておくくらいの気持ちでお願い」
「はい!」「あぁ」「了解です」「えぇ」「わかりました」「ほいさー」
「青葉も、よろしくね」
「了解」
そののちも少し雑談に花を咲かせてその後、理事長室を出た俺とルルウ先輩、ノート姉さんは寮に向かって歩いていた。
「そういえば、さっきノート姉さんが元勇者と戦い慣れてるって言ってたけど、あれはどういう意味?」
「あぁ、あれはですね。ルルちゃんは元勇者ゲンに育てられたからなんです。確か戦闘の仕方も全部ゲンに教えてもらったとかで」
「竜族の第二王女が元勇者にね。何かいろいろ事情がありそうだ」
「まあその辺のルルの事情は後々お話いたしましょう、姫君も交えて」
「戻ったら急いで夕飯の準備をしないといけませんしね」
そんなゆったりとした話をしながら寮への帰り道を歩いていると、前に見知った人物を見つけて声をかけた。
「お、トレス!」
声をかけられたトレスはこちらを向いて近づいてきた。
「やぁ、青葉今帰りかい」
「まあな、なんだかんだで話し込んでいたし」
「おっと、そちらは確かリノちゃんの対戦相手の」
「ルルウ・アキ・カジュタですわ」
「それで……!!?」
トレスはルルウ先輩を見たあと隣を見て突然固まった。
まあ神族の第一王女がいればそりゃ固まるか。
「神族第一王女、ノートルゥム……」
がしかし、俺は驚きで固まっていると思ていたトレスの表情は全くの別物で、苦虫をかみしめたように顔をゆがませていた。
「!?おい、トレス?」
俺は突然表情を変えたトレスに驚きを隠せなかった。
「あぁ、いやすまない。今日はもう失礼させてもらうよ」
俺の呼びかけにそれだけ言ってトレスは男子寮の方に歩いて行った。
「なんだったんでしょうか?」
「あの子は確か……」
その時、ノート姉さんはなぜか少し申し訳なさげな顔をしているのだった。
そんなことが起こりながら、俺たちは寮へを帰り着いた。
---
夜、俺は夕飯を食べるために食堂に向かっていた。
食堂に入るとやはり俺は女子寮の中では異色の存在のようで、周りからはいろいろな目線を向けられる。
不思議そうにするもの、明らかに異物を見るような目をむけるもの、中には興味深そうに見てくるもの、様々だ。
まあそれは仕方ないか。
それでも明らかに敵意のある目線は少ないように感じた。
昨日は先輩たちやリノ、エルがいたしバレッドとの一件があったから気にしてる余裕はなかった。
だが実際、かなり覚悟はしていたが思った以上に周りの目が普通だ。
注目の的であることは間違いないのだが、そこまでいやな目線ではない。
俺は少し予想外な周りの反応にはてなを浮かべながら席に着いた。
すると、おそらく先輩であろう人らが3人ほど突然俺に話しかけてくる。
なんだ?
後輩いびりの類か?
などと俺は少し警戒していたのだが……
「ねぇ君、皇女ちゃんに聞いたんだけど白鷺先輩の弟子なんだって?」
「え?あぁ、はいそうですね。姫さんは俺の師匠なので」
おぉ!とかうわぁ!とか先輩たちは驚きの声を上げる。
俺は思ってもいないことを突然聞かれその反応にも驚きながら返答する。
「ほんとなんだぁ!先輩の弟子ってことはやっぱりかなり強いのかな!私、一度先輩と模擬戦したことあるけど全く歯が立たなかったもん」
「そうだねぇ、皇女ちゃんも強いもんねぇ。勝てる気がしないよほんと」
「うん、すごい」
「いえ、自分はまだまだですよ」
「でもいいなぁ、私も白鷺先輩に弟子入りして訓練してもらいたいかも」
まさか師匠がここまで人気だったとは。
さすがだなぁ、あの人は。
「む、青葉か」
そんな雑談を交わしているとバレッドが近づいてきた。
彼女もこれから夕飯のようだ。
「おやおや、もしかして昨日決闘したっていう魔王の血族ちゃん?」
「たぶんそうだと思う」
先輩らはバレッドはバレッドで気になるようだ。
それに昨日の一件はやはり全校生徒の中でも噂になっているらしい。
まあ昨日女子寮の食堂であれだけ騒げば噂にもなるか。
「よぉバレッド。今から夕飯?」
「あぁ、そうだ。あ、そのもしよければだが、一緒にいいだろうか?」
「もちろん、構わんよ」
「ありゃ、昨日やりあったとは思えない感じだね?」
俺とバレッドの会話に先ほどの先輩の一人が入ってくる。
まさしく昨日の今日の出来事だ。
ここでまた騒動が起こるかもと先輩たちはもしかして心配していたのだろうか。
「昨日の一戦で、私は青葉のことを認めましたので。それに約束もありましたし、もうこれ以上青葉に何か言ったりすることはありません」
「へぇ、雨降って地固まるというかなんというか」
「確かに、ちょっと意外」
「そりゃまあうちらは白鷺先輩の件で女子寮に男子がいるっていうのはなんていうか慣れてるからあれだけどねぇ」
「でもまあ、私たちはもうご飯食べたし二人の邪魔しちゃ悪いからそろそろ行こっか」
「いや、二人の邪魔って俺とバレッドはそういうのでは」
「まあまあ」
「一緒の席に座っていいか?って聞いてた時の血族ちゃんの顔を見てるとねぇ」
「先輩がた、さすがにそれは反論させていただく」
俺の講義は聞き流され、バレッドが反論しようとした瞬間に先輩たちは歩き出した。
「決闘から始まる、恋もある……と思う」
最後に相槌しか打っていなかった先輩がとんでもないことをつぶやきながら去って行く。
もう一人の先輩が去り際にこそっとバレッドに何か耳打ちしていたようだが、さすがに俺には聞こえなかった。
最後に一人はまたねーといいながら手を振って去って行った。
「まあとりあえず飯食うか」
「あ、あぁそうだな」
バレッドはなぜか少し頬を染めてそっぽを向きながらそっけなく俺に返事をした。
先輩に何を言われたのやら。
---
「がんばれ、後輩ちゃん」
名も知らぬ先輩に去り際にそんなことを言われて私は思わず頬を染めてしまった。
いや、まだ別に青葉の事が好きだとかそういうわけではない。
多少好意はあるもののそれは恋愛のそれとは違う。
ある意味で尊敬に近い感情、のはずだ。
そう自分に言い聞かせながら平静を装う。
いや、そもそもこの程度のことでどうかしてる自分が少し恥ずかしかった。
青葉はことあるごとにこちらに話を振ってくれるのでそれにたどたどしく対応しながら頼んだメニューが来るのを待つ。
「お待たせいたしました」
すると、夕飯が運ばれてきたようで私は声のした方に顔を向ける。
「ルルウ先輩」
「どうもです、青葉さん。晩御飯をお持ちしましたよ」
どうやら青葉の知り合いらしい。
なんだかんだで青葉はなぜか知り合いが多い。
ここの管理人である神族王女のノート・ルゥムとも知り合いのようだったし、なぜだろうか。
それになぜか綺麗所がおおい。
「青葉の知り合いなのか?」
「あぁ、まあね。知り合ったのは今日の朝だけど」
「そうか」
「先輩はまたお手伝いですか?」
「えぇ、時間があるときはほとんど手伝っていますね。これもずっと続けてることですし」
「あ、そうか、バレッドは丁度戦ってたからわからないか。今日リノの対戦相手をしてくれた先輩だよ」
そういわれてあぁ、と気づく。
「初めまして、ですね。ルルウ・アキ・カジュタと申しますわ。よろしくお願いしますね」
「バレット・ジンスです」
互いに軽い自己紹介を済ませ、ルルウ先輩は一応手伝いとはいえ仕事があるので俺たちのご飯を並べて去って行った。
そうして二人で食事を食べ始める。
「うまいなぁ、やっぱりノート姉さんのご飯は」
「?これは管理人が作っているのか?」
「そうだと思うよ、あの人はルアンさんと同じで面倒見のいい世話好きな人だから」
「とても神族王女とは思えんな」
「それは誰もがノート姉さんを見ればいうセリフだよ」
ここで私は人族である青葉がどこで神族王女と知り合いになったのかを聞こうかと思ったのだが、そんなことより私は青葉に話したいことがあった。
今日の朝の青葉の様子を見てから考えていたことで、たまたまだがこういう機会ができたのだ。
話してみてもいいかもしれんと、食堂で青葉を見つけたときに考えがよぎってきた。
そうして話す機会をうかがっていたが、ここらで話してみても大丈夫だろう。
「あー、その青葉」
「なんだ?」
「今日、たまたま早朝に訓練しているのを見かけたのだが、あれは毎日やっているのか?」
「あぁ、師匠の教えでね。日々の努力が実力につながるって毎日自主練をするように言われてるんだ」
「その自主練なのだが、私もその……参加してもいいだろうか?」
「自主練に?」
「あぁ」
そう、青葉に昨日負けてから私は私自身をもう一度鍛え直さなくてはいけないと思った。
でないと、うかうかしていたら青葉以外の者にも負けることになりかねない。
この学園はそういう場所だということを立った二日で思い知ったのだ。
「あぁ、別にかまわないぞ」
「っ!そうか!」
青葉の返答に思わず声を上げてしまった。
なんだ、私はこんなにも青葉と自主練することを期待していたのか。
「では明日から頼む」
「あぁ、よろしくなバレッド」
「うむ!」
そのあとは何時から始めるだとか普段どんな自主練をしているだとかで話が盛り上がり、食事を終えそれぞれの部屋に戻ったのだった。
というわけで
前回トレスやらエルのお披露目的なことを書いておきながら全スルーという体たらく←
二人の活躍はちょっと待ってね(汗)
(決してトレスのバトルスタイルが思い浮かばなかったとかじゃないんだよ!決して!←www)
久々の投稿なのでとりあえず1万文字ちょっとあげておきます。
ここまで書くのに文字数を使いすぎな気がするのでここからはテンポを上げていこうかと;w
ここまで来てやっと次迷宮試験ですよ、、、
というわけでここで第二章の半分がやっと終わったわけですが;w
これからもちまちま更新していければと思うのでよろしくお願いいたします。
また止まったらすいません(汗)
気長に待っててください(汗)