最初に君に会った時、私は君のことが大嫌いだった。
人の気持ちも考えず、自分が正しいと思うことを貫き続ける君が大嫌いだった。
でも、君を知って君と過ごして気づいた。
私は君が大好きだった。
もし……君にもう一度会えたら
その時は君に伝えに行くよ
ep.1 大好きだった君へ
「また……言えなかった」
俯きながら一人帰り道を歩く。
僕は自分の気持ちを伝えるのが本当に苦手だ。いや、どちらかと言うと苦手になっていった、と言った方が正しいのだろうか。
僕は昔何気なく発した一言で、見ず知らずの女の子を傷つけてしまった。
その時の彼女の顔が忘れられなくて、それから自分の気持ちは伝えないようにしようと思っていたのだ。
あの女の子は今どうしているのだろうか…と考えるのは彼女に失礼だろう。
とにかく今の僕は自分の気持ちもろくにいえず、友達もいない一人ぼっちなのだ。
「でも……ひとりぼっちの方が誰も傷つけないし誰にも迷惑かけないし…いいよね」
そんな言葉とは裏腹に、涙は止まらなかった。
すると後ろから冷めたような口調で誰かが喋りかけてきた。
「馬鹿みたい、迷惑かけない人なんて誰もいないのに自己犠牲すればなんとかなると思ってるの?」
知ったような口を、というか誰だと思い後ろを振り返ると知らない僕と同年代くらいの女の子が腕組みをしながら僕の事を静かに睨んでいた。
「誰だよ……というか、盗み聞きしてたのか?」と問いただすと、彼女はフッと笑い
「なーんだ。ちゃんと言えるじゃん、自分の意見。あとあれだけ大きい独り言なら聞きたくなくても聞こえるから。変な人に見えたよ貴方」
と、僕の隣に来ながら答えた。
「べ…別に僕は……僕が喋らなきゃ誰も不幸にならなくて済むし……」と目を逸らしながら言い訳をする。
ポソッと彼女が何かを言っていたが、僕には聞こえなかった。
彼女が突然立ち止まったので、僕も立ち止まって彼女の顔を見ると、表情を変えず淡々とこう告げられた。
「1つ忠告しといてあげる。別にアンタがこの先どんな選択をしようが別にどうでもいい。けど、自分の気持ちだけは殺すな。絶対に。自分の気持ちがわかるのは自分だけだぞ」
「なんで……その言葉を」
その言葉は一言一句昔の僕が女の子に言った言葉と同じものだった。
「昔知らない男の子に言われてね。それからその言葉が私の礎になってるって訳。今日は楽しかったよ、じゃあまた明日。」
一方的に明日の約束をされ、彼女は帰ってしまった。
「僕の気持ちなんて、しったこっちゃないくせに。だからあんなに無責任になれるんだよな。」
ただ、一つだけ引っかかることがあった。
「なんであの言葉をあの人が知ってたんだ?」
一方、彼女は空を見上げながら溜息を漏らしていた。
「あれで分からないってあの人鈍感すぎない? そんな鈍感? もしかして前途多難すぎる???」
……明日もいい日になりますように。
2人はそれぞれの気持ちを胸に帰路に着いた。