七浦さんが大好きだから、七浦さんの幸せを願いたいだけなんだ
本音でぶつかれば…とか言うんじゃなかった……
1番それが出来ないのは私なのに……
「俺は……」
このまま俺の気持ちを曖昧にしたまま北見さんと接したら、彼女に失礼だろう。
北見さんは俺なんかを好いてくれてるのに、別の女性が好きだと言ってしまったのだから。
だからこそ、俺は西浜さんに俺の気持ちを伝えなくちゃいけないんだ。
俺は覚悟を決めた。
「西浜さん。業務後俺に時間下さい。」
西浜さんは一瞬戸惑っていたが、許諾してくれた。
業務後、俺は西浜さんと一緒にレストランに行く。
「どうしたの…?七浦くん、改まって……」
「あの…俺……俺…………」
怖い、逃げ出したい。
でも、ここで逃げたらダメだろう…
「本音でぶつかれば必ず道は見えてくると思いますよ。」
うん…そうだ。
「俺、ずっとずっと西浜さんが好きでした。」
「…………」
「分かってるんです、こんなこと言ったって西浜さんの迷惑にしかならないって。婚約者さんの方にも申し訳ないって……」
「なら……」
「でも…!! 西浜さんには僕の本音を伝えたくて……」
頭が真っ白になって、一人称も変わってしまっている。
「…………本音、かぁ」
「え…………?」
西浜さんは悲しそうな笑みを浮かべていた。
「………………ほん…とうは……」
西浜さんの声は物凄く震えていた。
「…………苦しいんだ…七浦くん」
「どうして……」
西浜さんが口を開こうとしたその時、西浜さんの携帯がなる。
その顔が青ざめているのを俺は見逃さなかった。
「で…電話……取るね…」
スピーカー越しで男の人の声が聞こえる。
「お前いつまで外いるんだよ、とっとと帰って俺の飯の用意しろ」
「で…でも……」
「は? 俺の言うこと聞けないって訳?お前なんか所詮親が金持ちなだけで、お前にはなんの取り柄もねぇんだから言う事ぐらい聞けよ。別れて困るのはお前の方なんだからさ。」
「ごめん……なさい…」
「チッ…早くしろよ」
…………なんだコイツ
「七浦くん…ごめんね……大丈夫だから…」
「大丈夫……?何が大丈夫なんですか?」
西浜さんは顔を俯かせていた。
「…………」
「俺の知ってる西浜さん、すっごくカッコイイんですよ。正義感に溢れてるけどとっても優しくて笑顔が取り柄の、俺が大好きな人なんです。」
「けど、今の西浜さんはずっと怯えてるじゃないですか……俺が言った事忘れちゃったんですか?」
「そんなわけ……」
……無いとは言えなかったのだろう。
「でも……私が彼と一緒になったらお互いに利益が有るから…みんなの為に……」
「西浜さん。」
「……」
「なんでそこまで考えてるのに自分の幸せは何も考えないんですか?」
「あ……」
「俺、西浜さんが幸せだと思ってたから今日は気持ちだけ伝えて俺の心に区切りつけようと思ってた。けど今は違う。そんな顔の西浜さん俺は見たくない。俺が絶対西浜さんを幸せにする。」
「わが…ままだよ……」
「わがままでもなんでもいいです、俺がそう決めたんだ。」
「ありがとう……でもごめん…私はやっぱり七浦くんの期待には応えられない」
「そう…ですか…………」
「私の事好きでいてくれてありがとう。七浦くんにはもっと素敵な人がいるよ」
ふと脳裏に北見さんの顔が浮かぶ。
「あっ、その顔は心当たりありそうだね…?今度話聞かせてよ」
「えっ……!」
西浜さんはあの時と同じ笑みを浮かべた。
「……はい!」
俺たちはまた別々の道を歩き始めた。
興が乗ってきたぞ〜