私は自分が大嫌いだった。
昔は自分の意見があってもいえず、ただ周りに合わせて生きていればいいと思っていた。
だから、どんなに理不尽なことがあってもただ耐えればいいと思っていた。
あの子に会うまでは。
だからこそ苛立ちでいっぱいだった。
やっと会えたと思った彼は昔の私みたいに周りに合わせて理不尽に耐えていたから。
どうして私はこんなに頑張ったのに、お前がそうなってるんだよ。
けれどもやっぱり、彼は変わらずヒーローだった。
「いやぁ…ヒーローになれると思ったんだけどなぁ……こんなにみっともないヒーローいないよなぁ」と君は言うけれど。
「本当に君は…昔と変わらないね……いつでも君は私のヒーローだよ」
この言葉が聞こえてなくてよかった。
でもこの関係はもう終わってしまうだろう。
「あっ、あのっ…もしかして…もしかしてですよ……? あの時……」
いつ気づくんだろうなとは思ってたけど……よりによって今日だとは。
私は笑えているか分からない顔で「また明日」と七浦くんに言った。
もう、会うことは無いかもしれないのに。
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予想に反して、昨日の大騒動があったにもかかわらず僕がいじめられることはなかった。
先輩から怒鳴られたりするんじゃないかとビクビクもしていたが、一向にその気配がないので、僕はそっと胸をなでおろした。
「西浜さん…何してるかな……会いたい…な」
彼女の名前を口にするだけで胸がドキドキする。
そうだ、今日は僕から西浜さんに会いに行こう。
放課後、僕は西浜さんのクラスへ向かう。
すれ違いざま、また陰口が聞こえた。
「ねぇ、西浜さん転校しちゃったんだって〜…」
「からかいすぎたかな? まぁでもいいか〜」
「……え?」
僕は真っ白になった頭で西浜さんのクラスに向かう。
優しそうな男の先輩がいたので、西浜さんの事を聞いてみる事にした。
「あっ、あの…西浜さんって……」
先輩は少し俯いた後、「今日いきなり転校するって言って…さよならも言わずに帰っちゃったよ」
そんな…そんな馬鹿な
気がつけば僕は西浜さんを探していた。
「西浜さん…!!どこ!」
けれど探せど彼女は見つからず、僕は膝から崩れ落ちた。
「僕…まだ言ってないよ……」
最後に向かった場所はあの日女の子を助けた公園だった。
10数年経つが、何一つ変わっていない。
ベンチを見ると、彼女がいた。
「西浜さんっ!」
彼女は泣き出しそうな顔で僕を見つめてきた。
「なんで! なんで転校するって言ってくれなかったんですか!」
「だって……私のせいで七浦くんに迷惑かけたし…せめて居なくなる時くらいは……迷惑かけたくなくて」
「黙っていなくなられる方がよっぽど迷惑ですよ。」
僕は西浜さんの隣に座った。
「なんで……転校するんですか?」
「父親の出向先がここよりずっと遠いところで…家族一緒に引っ越した方がいいだろって話になったからね…ごめん、伝えられなくて」
僕はそれ以上何も言えなかった。
僕は…僕は……
やっぱり臆病者だ。
「僕…絶対西浜さんのこと忘れませんから。だから……」
僕は涙を堪えきれず、震える声で続けた。
「西浜さんもっ…僕の事忘れないでっ……」
「馬鹿だなぁ君は…忘れるわけないでしょ?」
西浜さんは笑って答えた。
「またいつか、会えるといいね」
「はい…絶対いつか……会いましょうね」
僕達の学生の時の約束は思いがけず果たされるのだが、それはまた別のお話。
今のところバッドエンドだなおい