正直者な君と臆病な僕   作:雪夏(せつか)

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西浜さんが転校して10年
僕は大人になって、社会人になった。
けど僕の気持ちが変わることは無い。
今もずっと君を思い続ける。


第二章〜新たな出会いと再会〜
ep.7 思いがけない出会い


「やばいやばい! 今日入社式なのに遅刻寸前なんだけど!」

俺は慌てて家を飛び出し、ぎゅうぎゅう詰めの電車に乗る。

これから毎日この電車に乗らなければいけないと考えると、憂鬱で仕方なかった。

 

西浜さんが転校してから約10年、僕は特にやる事も思いつかず、夢も特になく、ただただ流されるまま高校に行き、大学に行き、それなりの中堅会社で採用されることになった。

間違ってはいない、平凡な人生。

だけど自分はそれでいいと思っていた。

 

ふとドア付近に目をやると、明らかに様子がおかしい男性と青ざめながら体を震わせている女性がいた。

おいおいまさか、とバレないように見ていたが間違いない、あの人は痴漢されている。

どうする、助けるべきか……だけど、今ここで助けたら間違いなく入社式には遅刻するだろう。

入社初日に遅刻するなんて、会社からしたら悪印象でしかない。

だけど俺はその人を放っておくことは出来なかった。

 

言い逃れできないように写真を撮り、男性の手を掴んだ。

 

「証拠はあるからな。次の駅で降りろよ、痴漢野郎。」

次の駅に着き、俺はそいつと女性と一緒に電車を降り、駅員を呼んだ。

 

「この人がこの方を痴漢してました、証拠写真はこちらになります。」

 

「ありがとうございます、大変申し訳ないのですが事情聴取したいので貴方も一緒に駅員室にご同行できないでしょうか。」

 

「あっ、大丈夫です…けど、すみません電話だけさせていただけませんか?」

 

会社に今まであった事を伝え、遅刻する旨を伝えた。

 

「あの……すみません、本当にありがとうございます」

女性が泣き出しそうな声でお礼を伝えてきた。

「いいんですよ、困ってる人は放っておけなくて…」

「でも……もしかして今日入社式でしたか…? すみません……電話ちょっと聞こえちゃって」

僕は少し苦笑いしながらも

「大丈夫です、確かに今日は入社式ですけど…人助けする方が先ですし! むしろ今助けなかったらずっとモヤモヤしてたと思いますし」

 

「良かった……あっ、私も大学に遅れちゃう…電話しとかないと」

 

こうして事情聴取を受けたあと男性は警察に連行され、俺たちはやっとこさ開放された。

 

「あのっ…名前とかお伺いしてもいいですか……?お礼したくて…」

俺は少し戸惑いながらも

「えっと…七浦凌です。でもお礼は大丈夫ですよ。」

「そうですか…すみません。あっ、私は北見遥っていいます。東京大学の4年生で…」

「東京大学!?」

言わずと知れた最高学府である。

「そんなにびっくりすることの程じゃないですよ…もう4年生なのに就職先もまだ決まってないですし…」

「でも東大なら引く手あまたでしょ…俺そんなすごい大学出てないから分からないけど…」

 

「でも私、2つ上の先輩の事を尊敬してて、その先輩と同じ所に就職出来たらなぁって思ってます…! 凄いんですよ、首席で卒業したんですから…!」

この子の2つ上という事は俺の1つ上か、とぼんやりしながら雲の上のような存在のような話を聞いていた。

「じゃあ俺の最寄りついたから。またどこかで会えるといいね」

「はい! またどこかでお会いしましょう!」

この言葉がまさか本当になるなんてこの時の俺には予想だにもしなかったのである。

 

 




新登場!北見さん!
西浜さん…北見さん……
次出すキャラは東野さんとかにしましょうか?(笑)
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