【完結】フロム・ヘル//ファンタズマ〜黒髪凶暴系美少女なACPP主が無双するアフター的なやつ〜   作:その辺の残骸

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ブレイク・ジ・ファンタズムⅠ

 地下都市アンバー・クラウン上層、セキュリティが完備されたマンションの一室にて。

 

「むむむ……」

 

 ソファに仰向けになり、アリスは携帯端末を凝視して、難しい表情で唸っていた。ストレートの艶やかな黒髪を背中で敷いている。

 過ごしやすい部屋着姿だ。透き通るような白い肌に映える黒のハーフトップにスパッツの上下で、お腹や可愛らしいおヘソが露出している。

 

 端末を片手に何をしているのかと言えば、複数の情報屋に頼んでいた調査の報告を読んでいる。

 表情から分かるように、結果は芳しくない。

 

 アリスが寛いでいるこの部屋は、スミカのセーフハウスの一つだ。ちょうど当人がシャワーを浴び終え、姿を見せた。

 

 タオルでピンク色の髪を拭くスミカ。文字通りの生まれたままの姿だ。全裸、フルヌード、すっぽんぽんである。

 背が高く、目を見張るほど均整の取れた肉体。おまけに絶妙に美しい筋肉の持ち主であるピンク髪の美女が歩く度に豊かなバスト揺れていた。

 

 スミカは局部も隠すこともせず、アリスの傍にやってくる。

 

「オレのほうで調べた分も両方とも成果なし、残念無念だ」

「アリスは悪くないのよ」

 

 身を起こしたアリスが悔し気に言うと、スミカは慰めてくれた。

 

 両方。それが指すモノの一つはウェンズデイ機関の残党。もう一つはスミカの活動を利用して、現在のクローム対ムラクモの勢力争いを拮抗状態に持ち込んだ何者かである。

 

 スミカと一緒に足取りを追っているが、どちらも成果が上がらない。

 自分達がパラノイア気味なだけで、ウェンズデイ機関のほうは本当にノルト・ハイランドで全滅したのかもしれない、そんな気もしてくる。

 

 問題は後者だった。痕跡の一つも見当たらず、不気味なのだ。

 

「時間さえあれば最後まできっちりやりたいんだが……」

 

 アリスは数日後には、アンバー・クラウンを離れなければならなかった。黒髪の死神少女はレイヴンだ。ひとつの場所には留まらず、戦場を渡り歩く。

 

 既に次の依頼がアリスを待っているのだ。主要地下都市圏から遠く離れた大破壊以前の遺構を探索する調査隊の護衛を頼まれている。

 

 この調査隊は二大企業に属さない独立した研究者の集まりで、調査内容そのものも両社の注意を引くものだ。もしもロストテクノロジーを掘り当てれば、あらゆる企業が血眼になってそれを確保しようとする。

 

 そこで調査隊は有力なレイヴンを頼り、ネストに依頼を出していた。

 出発にはまだ時間がある。しかし、長期の仕事な上に想定される危険は大きく、幅広い。依頼主とできるだけ早く合流して、入念な打ち合わせと調整をしておきたいのだ。

 

 調査隊の隊長にアリスを紹介したのは、スラムを彷徨っている所を拾ってきたアルゼナ修道院の院長だ。なので絶対に成功さなければならない仕事だった。

 

「さて、そろそろ昼飯の時間だな」

 

 立ち上がり、支度を始めようとするアリス。

 

「待ってアリス。明日はアリーナの試合でしょう。今日くらい食事の用意は私にやらせて」

「いいのか?」

 

 スミカの申し出に、やや心配になる黒髪の少女だった。

 

「任せて。実は単独行動中に練習していたの」

 

 スミカは自信満々に胸を張った。綺麗なバストの先端は首にかけたタオルで隠れている。一糸纏わぬ裸なので、腹筋や股間などは真正面にいるアリスに丸見えだった。

 

 窓のカーテンこそ閉じてあるが、プライベートでは真っ裸で部屋を歩き回ることも平気でする。それがスミカという女だった。美貌やスタイルに自惚れているわけではない。単に解放的な恰好が好きなのだ。

 

 スミカがそこまで言うのなら、断るのも野暮というものだ。アリスは任せることした。

 

「それじゃ頼むぜ。とびっきりのをな」

「任せて」

 

 踵を返すスミカ。白い背中や臀部が露わになった。鍛え抜かれた綺麗な背筋だ。ボリュームのあるお尻も筋肉で引き締められている。

 

 まさかこのまま裸エプロンで昼飯を作る気なのかと思ったが、それは流石に違った。

 

 素っ裸のスミカは素早く衣服を身に着けた。

 黒色のハイレグボディスーツにお尻や太股の肉感が強調されるタイトでローライズなジーンズ。

 外に出る時はジャケットを羽織るが、部屋ではこの二着だけ。着脱が容易なので、スミカのお気に入りだった。

 

 

 

――――翌日。

 

 アンバー・クラウンのアリーナは普段から盛況だが、この日の盛り上がりは別格だった。

 

 都市始まって以来の大規模テロ未遂から市民を救った英雄同士の対戦カードが組まれているのだ。しかも片方はトップランカーということもあり、チケットはとんでもない値段に跳ね上がっている。

 

 ウェンズデイ・スキャンダルの直前、侵入してきた武装集団に上層の市街地が占拠されかかる事件があった。

 

 武装集団は戦闘MTを中心とした編成で、その充実した武装と事件を起こした時期から、ムラクモとクロームが関与していたウェンズデイ機関なる組織ではないかと噂されている。

 

 駆けつけたシティガードと民間の有志――という建前で救援依頼を請けたレイヴンの活躍で武装集団は撃退され、その映像は生中継で市民に届けられた。

 特に後者の活躍は目覚ましいものであった。

 

 真っ先に救援に現れたのは、アンバー・クラウンのトップランカーである"皇帝"アンプルールが駆るエクレール。

 

 戦場に出ることは殆どなく、所詮、アリーナという競技の中での王者であると揶揄されることも多いレイヴンだが、実戦においても皇帝の実力は変わらず圧倒的であることを示して見せた。

 

 さらにもう一機、アンプルールに比肩する活躍をしたACがいた。それはアンバー・クラウンの外から来たレイヴンの機体だった。黒青色の中量二脚AC、デュラハン。

 

 デュラハンはACによる都市強行侵入事件の犯人を思わせるアセンブルということもあり、注目を集めた。

 

 世間的には犯人を自称する傭兵は逮捕され、侵入に際して人的被害が無かったこともあり、事件は解決したものと見做されている。アリーナの運営は迅速にACのオーナー、つまりアリスにコンタクトして相応の報酬と引き換えにアンプルールとのスペシャルマッチをセッティングした。

 

 以上がアリスがアリーナに出場することになった経緯だ。戦場の指定権はアンプルールにあり、廃市街が指定された。

 デュラハンがゲートを潜ると既にエクレール、黒と金色を纏った二脚人型タイプのACはビルの上に己の存在を誇示するように立ち、挑戦者を待ち構えていた。

 

 エクレールは標準的な中量二脚といえる。右手の射撃武器はマシンガン、背部武装はミサイルとグレネードランチャーという基本に忠実なアセンブル。

 

 抜きん出ている点といえば、レーザーブレードに高出力のLS-99-MOONLIGHTを用いていること。頭部がアンテナタイプ(HD-06-RADAR)であるため優れたセンサーとレーダー性能を持っている程度だ。

 

 パーツは最高品質の物をフルチューンしてあるとはいえオーバースペックというレベルではない。機体から放たれるプレッシャーは、純粋に自らを皇帝と称して君臨するアンプルールの覇気によるものだった。

 

 ライブ中継が始まると観客は挑戦者として宣伝されているデュラハンの姿に沸き立った。

 

 アリスが選択した武装はエクレールと全く同じだった。互いに二脚人型タイプのACであり、同じ武器構成。アンバー・クラウンの皇帝に純粋な操縦技術で挑む、そんな気概が観客を熱狂させたのである。

 

「それじゃ、いっちょやりますか!」

 

 アリス・ジャバウォックはチャレンジャーらしく振る舞うことにした。

 白いレオタードスーツでぴっちりと繊細な体を覆った黒髪の少女は、フットペダルを踏み込み、急加速。

 推力に任せて跳ね跳び、不動の構えを取るエクレール、黒竜のエンブレムを描いた王者に襲い掛かる。

 

 デュラハンがグレネードランチャーを肩に担ぎ、空中で発砲したことに動揺することもなく、エクレールは飛び立った。

 黒竜が翼を広げて飛び立つが如く、悠然と舞い上がるとマシンガンの洗礼で黒青色の挑戦者を迎え撃つ。

 

 試合は白熱した。アンプルールの戦闘は機体名通り、稲妻の如く苛烈な超攻撃スタイル。大抵の相手は瞬殺されてしまうため、見応えのある試合は極めて稀だ。

 

 試合開始から十分。両雄の実力は拮抗しており、互いに傷つきながら猛々しく力と技をぶつけ合っている。

 

「あんたのファンにゃ悪いけど、最強なんてものは幻想(ユメ)でしかないって証明させてもらうぜ!」

 

 デュラハンを駆り立てながら、黒髪の少女は吼える。既にレーザーブレードの間合い。

 アリスが操る黒青色の死神騎士とアンプルールが駆る漆黒の竜騎兵は互いに月光の刃を抜き放ち、最後の激突に突き進む。

 

――――そして、同時刻。アンバー・クラウンからそう遠くない地上の廃都市の地下で、戦略兵器クラスの大爆発が起こった。

 

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