【完結】フロム・ヘル//ファンタズマ〜黒髪凶暴系美少女なACPP主が無双するアフター的なやつ〜 作:その辺の残骸
最終決戦に向けた資金稼ぎのためアーダン・シティでのバトルロワイヤルに参加することを決めたアリス一行。
アーダン・シティはガルムズ及びそのスポンサー企業と対立傾向にある地下複合都市であり、アリス達の身の安全を確保する意味でもうってつけの場所だった。
漆黒のキャリアーリグ、ナイトメアは長大な車列の脇を通り抜け進んでいく。バトルロワイヤルの観戦に集った人々による車列だ。
地下のシティ間連絡道路よりはマシだが、それでもアーダン・シティ到着まで二日はかかる長大な車列だった。
一方、バトルロワイヤル参加者は専用ゲートから都市に入ることができる。
ナイトメア居住ブロックのシャワー室にてアリスは全裸になった。
艶やかな黒髪に滑らかな白い肌。ほっそりとした少女の肢体は神秘的な美を帯びている。
そんな容姿のアリスだがシャワーを浴びる時は両手を腰に当て、脚まで軽く開いた尊大なポーズ。ある意味で台無しだった。
「ふーさっぱりした」と気持ち良さそうにタオルで体を拭い、ベルトなどパンクな意匠が入った白ゴスロリドレスを身に着けるアリス。
インナーもフリル多めのを選び、見えない部分も少女性と可愛らしさを徹底している。そのままパーティーに着ていける上質なドレスだった。
「なんちゅう長い列よ」
長く長く続く車列を横目にタイトミニのスーツ姿でオペレーターらしくなったウルスラは呟いた。自分が並んでいるわけでもないのにげっそりしている。
通常モードの操縦席でナイトメアを操縦している。もし万が一今のスーツでナイトメアを戦闘機動させる事態が起こると紫色のTバックが丸出しになる、リスクある服装だった。
オペレーター席はスミカ・ユーティライネンが座り、その務めを果たしていた。今日のスミカはバトルスーツ姿ではなく私服を着ている。
見惚れしまう凛々しいスタイルを引き立てる黒色のハイレグボディスーツにジーンズという服装だ。そこにジャケットを羽織っている。
ラフだが、それが活動的なスミカによく似合うとウルスラは思っていた。
ピンク髪の美女は不意に大きく伸びをしてハイネックのボディスーツから横が丸見えの巨乳が揺れた。
ブリッジのドアが開き、キンキンに冷えたコーラの缶を手にしたアリスが入室してくる。
「お疲れさん」
「ひゃあっ」
アリスがコーラを金髪メガネの頬に当て、情けない悲鳴を上げさせた。
「スミカもナビありがとな」
「これくらいお安い御用よ」
なお、スミカには普通に渡す。
「もう、普通に渡してよ……それにしても殺し合いを見物するためにこんなに人が集まるなんて異常よ、皆狂っているんだわ」
アーダン・シティへ続く道路の混雑具合はアーマードコアによる完全実戦形式のバトルロワイヤルの人気を物語っていた。
広大な廃都市一帯を戦闘エリアとして行うこのイベントでは敵ACの完全破壊が認められている。
アリーナでの試合のように装甲強度から算出したAPという持ち点が被弾によって0になれば敗北という、パイロットの安全への配慮は一切ない。
唯一、退避ゾーンに入った機体への攻撃が禁止されているのみ。ショッキングなシーンも生中継されるが、それが醍醐味であり観客を熱狂させいる。
このバトルロワイヤルでは撃破数と生存時間に応じた高額な賞金が支払われ、毎年百人を超える参加者で賑わっている。
腕に自信があるACパイロットや危険なスリルを楽しみたい一般人に犯罪者等々。
とにかくアーマードコアと見做せる規格の機動兵器を所有する様々な者達が集い、戦い、栄光を勝ち取ったり、無惨に死んだりしている。
二大企業崩壊によって世界が混迷に陥った今年は金が要り様な者が多く、例年以上の賑わいを見せていた。
「これから先、私の生きる世界はどうなっていくのかしら」
コーラを煽りながら、生まれた時代の退廃ぶりを嘆くウルスラである。死ぬまで贅沢できるコームを若いうちに稼ぎ、残りの人生を優雅に過ごすのが金髪メガネのオペ子の目標である。
そのためにもネスト残党が造り上げた極悪治安維持機構ガルムズとの戦いを無事に終えねばならない、と強く決意していた。
「なるようにしかなりませんわ。ヒトも世界も――――ところで、その殺し合いに可憐な少女を送り出したデカ乳の極悪メガネ女がいるそうですわね。何かご存知ありませんかウルスラお姉様?」
淑女の声音でウルスラに問うアリスであった。
「私だけど? だってアリスは殺しても死なないでしょ」
ウルスラ、即答である。アリスお嬢様は「まあ」と口元に手を当ててお上品はここまで。
「このオレ、アリス・ジャバウォックをなんだと思ってんだよお前はよ」
「ちょちょっとぉ! 痛い! 痛いってば!」
笑いながらも怒りを露わにして、オペ子の巨乳をバシバシと叩くアリスであった。
手元に鞭があったら、嗜虐的なお嬢様に変じていた。信頼してくれるのは嬉しいので乳叩きはアリスの照れ隠しでもあった。
乳叩きに満足するとアリスはスミカ・ユーティライネンに声をかけた。
「気になるのはナインボールだ。ガルムズがネストの残党というのなら、奴をけし掛けてくると思っていたんだが」
内心、ナインボールがいつ現れるか心待ちにしていたアリスである。
「それは私も気になっているの。再度の襲撃を警戒していたのだけどネスト崩壊後、ナインボールは一度も姿を見せていないわ。
それに襲撃した施設から抜き出した情報にもナインボールやハスラーワンに関するものはない」
やはりスミカも懸念していた。
「まっもし現れてもぶった切るだけだ」
「アリスらしいわね。頼りにしています、レイヴン」
全てのレイヴンが畏怖する赤と黒の死神をアリスは畏れない。それがスミカには途方もなく頼もしかった。