「…またテメェか、処刑人」
「フン、俺以外に客はいねェだろうが。それに、その名は捨てたといったハズだぜ?」
「そうだったな…いつもので構わねェか?」
「ああ…」
唐突だが、諸君は起きたら別の人間になっていたという経験をしたことがあるだろうか。俺はある。ある日起きたら起き抜けに一発ブン殴られて、混乱したところを別の名前で呼ばれた。【ロシオ】と。
紆余曲折を経てワンピースの世界だとわかった俺は、毒親から逃げ出して海へ出た。といっても、東の海の辺境にある島から、ちょっとしか離れてねェ島に行っただけだが。この時は俺は本編に出てこないモブになったんだと思っていた。
ある程度成長して、指銃と鉄塊を使えるようにした。そこで仲間を集って海へ出た。ピースメインとしてな。その後も、海軍やモーガニアの海賊と戦ってるうちに見聞色と武装色をちょこっとだけ使えるようになった。そしてついに懸賞金がついた。そこには【処刑人】ロシオ、4200万ベリーとあった。その名前で思い出した。
あ、俺、ベラミーに殺されるヤツじゃん、と。
手をナイフで刺され、足を銃で撃たれ、酒瓶でおもっくそぶん殴られ、火をつけられた挙句、バネバネのよくわからん攻撃で殺されるかわいそうなヤツ、それ俺やん、と。
そこからは死ぬ気で鍛えた。グランドラインに入って、町から略奪するカスに片っ端からケンカを売っていった。このままいけば、運命を変えられる。鍛えた技と、仲間がいれば、勝てないものはないと、思っていた…
「ぎゃははは!!テメェのやり方はぬるいんだよ船長、いやロシオ!ここで死ねェ!!」
俺は、裏切られた。俺は当時、50人からなる海賊団の船長だった。それが1vs49になりやがった。俺に武器を向けるかつての仲間を、俺は泣きながら、殺した。鬱屈な気持ちで彷徨っていたら、【悪魔の実】を見つけた。俺はそれを食った。その実は、超人系【ナワナワの実】だった。やけくそになった俺は、かつての仲間の首をつるし上げた。それが海軍に見られてたみたいで、俺の懸賞金は8000万まで上がった。まぁ、もう関係ない。今の俺はウイスキーピークにいるただの飲んだくれだ。賞金稼ぎ共も、俺の懸賞額にビビって手を出してこねェ。
これで良いんだ。俺は、海賊、処刑人のロシオは、あの時死んだ。
「おい、次の獲物がきたぜ!」
「へっへっへ!そりゃあ良い!誰だ?札付きか?」
「ああ!なんでも、【麦わら】とかいう3000万の首だ!」
なんてこった…もう、そんな時期か…
「どうしたロシオ。顔色が悪いぜ?」
「…いや、なんでもねェ。」
正直、ウイスキーピークにいるのは、麦わらの一味を見てみたいってのもある。俺が嘗てあこがれた海賊に、未来の海賊王に会ってみたかった。しかし、俺は本来ここにいちゃいけねェ人間だ。俺は…
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「事情はさっぱり呑み込めねェが、長くペアを組んだよしみだ、時間を稼いでやる…!行きな!ミス・ウェンズデー!!」
「行きな!ここを抜ければ船に乗れる!」
「ミスター・ナイン…!!ミス・マンデー…!!」
「「うおおお!!」」
「フン、オフィサーエージェントに勝てると思うな!ノーズヴァンs」
ー死に縄、一本括りー
「ぐああぁ!?」
「あんまり動くと、余計苦しいぜ。さっさと落とすか…」
ゴキィ!
「!?ミスターファイブが、あんなにあっさり…!誰!?」
「…ミスウェンズデー、アイツは飛び切りヤバい…!嘗てグランドラインで名をはせた海賊、【処刑人】ロシオ、懸賞金8000万ベリー!!」
手を貸すつもりは、なかった。でもミスターナインの、ミス・マンデーの覚悟に、思いに、動かされた。
「なっ!!そんな大物が、なんでミスターファイブを!?」
「なんで、か…それはお前らが、命を賭してそこの嬢ちゃんを守ろうとするその意思が、カッコよかったから、だろうなァ」
それはかつての俺が憧れ、手に入れようと足掻いたものだから。
「な、なにが目的だい?」
「なに、気まぐれだ。それより、すげぇ勢いで突っ込んできてる麦わら帽子と剣士は、知り合いか?」
「?知り合いだけど、ルフィさんもゾロさんもどこにも…」
ドゴォォォン!!
「「ん…?」」
言い忘れてたが、これは俺がもう一度、最高の仲間と共に海を駆ける物語だ。
ロシオみたいな即退場するキャラ、好きなんですよねぇ。