右腕吹っ飛んで病んでたら周りがもっと病んでた話。 作:あさあさ
その日。
一人の少年の右腕を犠性として。
その日。
少女たちの心に、陰りを残して……
◇◇◇
何やら、最近パーティーメンバーの様子がおかしい。以前より数倍増して介護をしようとしてくるコノエや、俺達を除く周りに対して過剰に威嚇するようになったスフレ。極めつけは最近ではダンジョンにすら出してくれなくなったヒルマ。
数日前までは何もなかったのだが、どうしたものか……
まぁ、こんなことを言いつつも、原因はわかっているのだが。
「カイさん。その、大丈夫ですか? なにか私にやれることはありますか?」
「今のところは何も。むしろ腕が取れる前よりも動かしやすくなったくらいだ」
義手のテストを行っている俺に心配の声をかけてくるのはコノエだ。
このパーティーでも最年少の彼女は、真っ白に染まった雪のような髪色をしており、この国でも有数の美人冒険者だ。しかし、その可愛らしい見た目からあなどるかれ、国でも最高峰の剣士で、最近になってその腕をメキメキあげてきた。
「っ、そんなこと!」
そんな彼女は、言い方は悪いが俺が腕を無くす直接的な原因となった人物である。大丈夫だとはいっているのだが、流石にパーティーメンバーが腕を無くしてしまったともなれば問題にもなるのか、ここ最近というものの、何かと世話をしてくるようになった。
「お前が何を言おうと、多分あの場でのお前の行動は間違ってなかった。それだけは誓って言えるよ」
先程は直接的な原因になったと、少しきつい言い方をしてしまったが、別に彼女は間違った行動をしたわけではないのだ。
「でもっ!」
「お前が自分のことを卑下すればするほど、お前を守った俺の価値は落ちていく。本当に俺のことを思うのなら、もうこれ以上自分のことを責めないでくれ。(なんか俺が悪いことやってるみたいでつらいから)」
「わかり、ました.」
そう言ってコノエは俺の部屋を出た。
「っはぁ.」
何やら納得いって無さそうだが、ひとまずは乗り切ることができたようだ。最近はこんなことばっかりだ。部屋で一人になった俺は、ため息を付いて考える。
確かに、腕を無くしたとき、俺は落ち込んだ。それはもう落ち込んださ。今までに極めた剣がすべて無駄になってしまったんだ。冒険者として、落ち込まないほうがどうかしてる。
でも、なんか、ね? ほら、お化け屋敷で自分より怖がってる人たちがいたら怖くなくなるじゃん? 周りが騒ぎすぎてて、今ではそう大したことと思わなくなってきた。実際は違うのかもしれないが、ひとまず周りが収まるまではそう思うことにする。
ーそれに、よく考えてみてほしい。御伽草子に出てくるような強大な敵と戦って、モブみたいなことしかできない俺が仲間を守ることができたのだ。たかが右腕一本ですんだだけ、ラッキーと言うものだろう。
―剣が使えないなら魔法を極めればいい―。これは、俺が腕を無くしたときに師から送られた言葉だ。この言葉を受けた俺は、その日から仲間に内密で魔法を極め始めた。それに、俺の適性は氷魔法だ。氷を利用すれば、今よりも、もしかしたら腕を失う前よりもハイスペックな義手を手に入れることができるかもしれない。まぁ、今はそれよりも。
パキッ
気づかぬうちに俺の部屋に侵入してるクソ野郎に対処すべきだがなぁ!!
いや、なんで勝手に俺の部屋入ってきてんの? 俺鍵渡したの今の状態でも比較的安心できる(できません)コノエだけなんだけど?
「杖に足を引っ掛けてしまった。一生の不覚」
「残念ながらとうの前から気づいてたけどな」
猫のようなことをやっている猫のような姿をした猫人の彼女は、シーフのスフレだ。いや、シーフがそんな簡単に気づかれんなよとは思うけど。
こんなんでも彼女は、索敵能力、及びに宝箱開示の能力においては世界最高峰の技術を持っている。
「てか、第一なんでこんなとこにいんの?」
「カイが腕をなくしたのは私のせい。なら、せめてこれからは私があなたのことを守りたい。守らなければいけない。それなら目の届くところにいるのは当然。第一、あの時カイがあいつを殺してくれなければ、とっくに私達は死んでる。すでに捨てたも同然なこの命。どうせなら救ってくれた人のために使いたい」
くっそ長いし重いし返答になってないし重いんだが。
ちなみに、今の会話からも分かる通り、彼女は単独でもなかなかの戦闘能力を有している。ソンナンチートヤチーターヤロソンナン!
「だからさぁ、俺が腕なくしたのにお前らは関係ないって言ってんじゃん。てかさ、ぶっちゃけ腕程度でなんでみんなそんなに騒いでんの? 義手の冒険者なんてそこら辺にいるわけだし、そもそも俺が気にしてないんだからもうほっといてくれよ!」
なかば怒鳴るような形になってしまい、いたたまれなくなった俺は、飛び出るように部屋を出た。
いや、別にそんな気にしてないんだけどね?気まずくなっちゃったからさ。
―思えば、この行動が彼女たちの決心を決める最後の後押しをしてしまったのかもしれない。
今後、今まで以上に彼女たちの
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