よう実 √松下   作:レイトントン

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生存と脱落の特別試験②

 生存と脱落の特別試験の内容を知らされた後日。池が「絶対に勝てる戦略を思い付いた」と宣ったため、篠原と本堂、宮本(山内は来なかった)と堀北、オレ、千秋で話を聞くことにした。

 

 内容は、リーダーとプロテクト対象の5名を残して仮病でリタイアするというもの。オレたちのクラスは現在39人。33人がリタイアし脱落者となることで33点はマイナスされるが、67点は確実に取れるという戦略だ。

 面白い戦略だが、堀北に『他クラス間で協力されたら勝てない戦略になってしまう』と諭され、池の案はボツになった。

 

「ビックリしたなあ」

「池くんがあんなに考えて戦略を練るなんてね。クラスメイトの成長は嬉しいものね」

「すっかりリーダーが板についてきたね、堀北さん」

 

 たしかに、堀北の成長は著しい。が、龍園や一之瀬、坂柳に勝つにはまだ足りない。オレの存在が邪魔をしているのだろう。

 いざとなればオレという最後の手段が残っている。それは余裕として強みとなることもあるが、堀北自身の地力を伸ばすには足枷でしかない。

 

 クラスメイトの成長のため、オレが実力を発揮しなければ済む話ではあるが、他クラスの生徒たちの存在がそれを許さない。

 あちらを立てればこちらが立たず。面白いものだ。

 

「あなたたちはこの後どうするの?」

「どうする?」

「ケヤキモールでもぶらつくか」

「というわけだから、またね堀北さん」

 

 堀北と別れ、オレたちはデートに繰り出す。クリスマスのイルミネーションが外され、普段の様子に戻ったショッピングセンターに新鮮なところはない。が、オレもこの2年間でそれなりに知人は増えた。犬も歩けばではないが、顔見知りに遭遇するのも不思議ではない。

 

「む……綾小路と松下か」

「葛城」

「こんにちは葛城くん」

 

 龍園クラスに移籍した葛城が買い物をしているところに遭遇する。

 そういえば、オレは葛城と話す機会は度々あったが、千秋は葛城と関わる機会はなかった。初めましてかもしれない。

 

「綾小路。例の件では世話になった」

「それはもう何度も聞いた。オレもプライベートポイントを貰っての対等な契約だ。おまえが気にすることは何もない」

「そうか? 済まない、感謝してもし切れないものだからな。だが、クラス同士の戦いでは手心を加えることはないから安心してくれ」

「ああ。全力で来い」

「元より、おまえ相手に手加減をする余裕などないがな」

 

 葛城の表情は明るい。坂柳の下にいるのは相当ストレスが溜まっていたようだな。もちろん、別の負担はあるだろう。初のクラス移籍者として、元のクラスの生徒からは白い目で見られる。

 が、坂柳の下に居続けるよりずっと晴れ晴れと生活できているようだ。

 

「龍園はオレを倒す気でいる。もし龍園の目論見が上手くいけば、Aクラスは坂柳のクラスになるわけだ。8億ポイントで坂柳のところに戻ることになるが、そのあたりはどう思っているんだ?」

「龍園には、坂柳がAに居続けるようなら、俺の拾い上げは不要だと伝えてある。が、聞く耳を持つ様子はない。困ったヤツだ、まだ移籍に足るだけの成果も出していないというのに」

 

 とは言いつつ、葛城は龍園クラスの学力向上や、生徒会の業務で龍園が不在の際、クラスの纏め役の一人として相当に貢献しているようだがな。謙遜なのか、自覚がないだけなのか。

 

「嬉しそうだね、葛城くん」

「どうやら、俺にはリーダーより補佐役が向いていたらしい。困ったヤツだが、支えがいがあるのもまた事実だ」

 

 葛城は初め、Aのリーダーに拘っていた。それを思えば、大きな心境の変化と言えるだろう。

 1年の入学当初にそれを自覚していれば、坂柳とももっと別の付き合い方が生まれていたのだろう。盤石で隙のないAクラスが生まれていたのかもしれない。まあ、無意味な仮定でしかないが。

 

「ただ、今の資金力では次の特別試験……龍園くんたちのクラスは負けられないね」

「ああ。退学阻止のためのポイントは不足している」

「だろうな。だが、オレたちも容赦はしない。手を抜くことはないと思ってくれ」

「おや。裏切り者の葛城康平ではないですか」

 

 葛城と話していると、オレたちと同じようにケヤキモールに買い物に来ていたらしい森下に遭遇する。

 裏切り者とは、ストレートな言葉だ。それを受けた葛城は……顔を顰めるでもなく、苦笑いしている。

 

「久しいな、森下」

「ええ。葛城康平は龍園翔のクラスで、私たち元クラスメイトのことは忘れて仲良くやっていますか?」

「おまえたちのことを忘れたわけではない。龍園のクラスも、一部の生徒は俺を認めてくれている」

「そうでしたか。また居心地が悪くなって、次は綾小路清隆たちのクラスにでも移籍するつもりなのかと勘繰ってしまうところでした」

 

 相変わらずズバズバとモノを言うヤツだ。葛城も森下のことはよく知っているからか、裏切り者なんて言葉も重く受け止めずに済んでいるらしい。

 寧ろ葛城のことだ。正面から責められた方が気が楽、ということもあるかもしれない。

 そこまで考えての言葉だとしたら、やはり森下は坂柳のクラスの中でもかなり頭のキレる存在だな。

 

「しかし、葛城康平が移籍したことで私たちのクラスの人数は37名。龍園翔のクラスとは実に4人もの差が付けられています。どうでしょう、松下千秋。今回の特別試験の後、ウチのクラスに移籍なんて試みちゃったりしては」

「えっ、私?」

「ええ」

 

 千秋は自らが勧誘されたことに大いに驚いている。

 森下は相変わらず面白いヤツだ。

 

「あなたは単純に優秀ですし、あなたがウチのクラスにいれば綾小路清隆の手心も期待できます」

「そっちが本音か……でも、坂柳さんのクラスとはそれほどクラスポイントが離れているわけじゃないし、清隆くんと別のクラスになるし。メリットを感じないな」

「まあ、そうですよね。ただ、あなたたちはずっと一緒にいますからね。たまには離れてみるのも新たな発見があって面白いかもしれないですよ」

 

 森下がオレの方を盗み見る。

 確かにオレと千秋は付き合い始めて以来ずっと距離が近いままだ。

 オレはそれで構わないが、堀北同様、オレの手を離れることにより千秋自身の成長を促す可能性はある。

 まあ、離れるつもりはないのだが……

 

「ダメだ。千秋はやらない」

「娘が彼氏を連れてきた時の父親のようなリアクションありがとうございます。しかし、綾小路清隆にそれを決める権利はないのでは?」

「それはそうだな」

 

 が、オレがこうして意思を見せることで、千秋にアピールすることが肝要だ。

 千秋はオレの主張を受けて、改めて森下に拒否の言葉を突きつける。

 

「まあ、彼氏もこう言ってることだし、仮に移籍してもそれほどお得でもないからね。それに、2000万ポイントも使って引き抜くほど私の能力は高くないよ」

「そうですか、残念です。松下千秋を引き込めれば、綾小路清隆もそのうち私たちのクラスに移籍してくるかもと思ったのですが」

 

 オレの手心までもカモフラージュで、それが本当の目的か……強かなヤツだ。

 だが、オレが自分のクラスに移籍してくることを、あの坂柳が許すだろうか。そうは思えない。

 まあ、だからこそ森下単独での接触なんだろうが。

 

「面白い話をしていますね、森下さん」

「げっ、坂柳有栖」

 

 無表情で「げっ」とほざく森下。坂柳が不服そうなのも相まって、ちょっと面白い。

 坂柳は神室と鬼頭を伴ってこちらに歩み寄る。葛城の表情が明確に渋くなるのが見て取れた。

 

「松下さんの引き抜き。単純な戦力の補強にもなりますし、綾小路くんの動揺を誘えるのは強力ですが、いかんせんコストが高すぎますね」

「だそうです。失礼しました松下千秋」

「今までクラスの方針に携わってなかった癖に、何やってんのよ森下」

「いやあ。松下千秋には勝手ながらシンパシーを感じておりまして。ほら、苗字がちょっと似てるし」

「関係あるの? それ」

 

 森下と話しているとコントが始まってしまうと判断したのか、坂柳は渋面を作る葛城の方を向いた。

 

「お久しぶりです、葛城くん。お元気でしたか?」

「ああ、おかげさまでな」

「それは良かった。そうですね、せっかくお会いできたので、少しお話ししたいのですが。お時間はありますか?」

「生憎予定が詰まっている。話すことはなにもない」

「それは残念」

 

 葛城は「すまないな二人とも」とオレと千秋に断りを入れると、不愉快そうにその場を立ち去った。

 また、会話の隙に森下もそそくさと逃げ出している。自由奔放なヤツだ。

 

「嫌われたものですね」

「当たり前じゃない。アンタ自分があいつに何したか忘れたの?」

「ふふ、もちろん覚えていますよ。葛城くんは私の顔も見たくないようですね」

 

 さして残念そうでもない坂柳は、本題とばかりにこちらへ目を向ける。

 

「こんにちは、綾小路くん、松下さん」

「ああ。坂柳たちも買い物か?」

「そうですね。そこに皆さんの姿を見つけたものですから。ここ最近は綾小路くんのことを見かけませんでしたから、お話しするには丁度良い機会かと思ったんです。随分と優秀な手駒を増やされたようですね」

「ああ、随分助かっている」

 

 オレの返答を受けて、坂柳は目を細めた。

 坂柳の情報収集はクラスメイトを放ってのものが多いが、特に山村は便利に使っている様子。

 坂柳の隠し札。だが、こちらにも対応策はある。坂柳はそれを指して言っているのだろう。

 山村を含む坂柳の目となる生徒の監視に対し、天沢と八神に依頼して何度か足止めをしてもらった。こちらの行動を掴ませないためだ。

 どうやら七瀬も動いてくれていたらしいが、彼女の真意は掴めずにいる。

 

「龍園くんや一之瀬さんとの話し合いは上手く行きましたか?」

「分かっているんじゃないのか?」

「どうでしょう。今回のリーダーは綾小路くんが?」

「いや、堀北に任せようと思っている」

「そうですか。それは残念」

 

 オレと坂柳の視線が交錯する。

 やがて彼女は小さく笑うと、踵を返した。

 

「もう行くのか?」

「ええ、色々と参考になりました。ありがとうございます」

 

 

 

 

「こんにちは、綾小路くん。堀北さんに松下さんも」

 

 待ち合わせのカラオケルームの扉を開けて挨拶してくれた一之瀬さん。それに続くのは、神崎くんと網倉さんだ。私たちも各々挨拶を返していく。

 朗らかに笑う一之瀬さんは、今までとどこか雰囲気が違って見えた。

 

「こうして面と向かって話すのは久しぶりね、一之瀬さん」

「私が色々雑務に追われて話せなかったもんね」

「ええ。龍園くんとの生徒会長交代の手続きとか」

 

 おお。堀北さん、いきなりそこに切り込むんだ。しかし、その質問がいずれ来ることは当然予想していたらしい一之瀬さんは、表情を崩さない。

 

「まあね。詳しいことは言えないけど。今日はそのことに関してというよりは、特別試験の話がしたいな」

「オレたちを呼んだのは、やはり特別試験対策か」

「うん。私たち、手を組めないかな?」

 

 清隆くんに呼ばれた時点で、一之瀬さんの提案内容は予想が付いていた。だから、私の言葉も滑らかに口から零れる。

 

「今回の特別試験は、一位を獲ったクラスしか得をしないよね。協力は難しいんじゃないかな?」

「そうかな? 2クラスだけなら組む余地はあると思うよ。特に、私たちとあなたたちのクラスならね」

 

 ……?

 一之瀬さんの言葉の意味が一瞬分からず、思考を巡らせる。しかし、似たような経験から、私の思考回路は解答を導き出した。

 

「まさか……一之瀬さんもプライベートポイント優先の戦略を?」

「さすが、綾小路くんの彼女だね。頭の回転が速いや」

 

 龍園くんが坂柳さんのクラスと結んだ契約のように、クラスポイントを得る代わりに相応のプライベートポイントを渡す契約を行う、ということだろう。

 一位を獲ったクラスは、クラスポイント100が追加。二位、三位はマイナス50。ただ、今回の試験は他クラスとの協調は非常に強力に作用する。上手くハマれば、ワンツーフィニッシュも夢じゃない。

 どういうこと、と言わんばかりの堀北さんの視線を受け、私は例えを口にする。

 

「例えば、毎月75クラスポイント分のプライベートポイントを一位のクラスが二位のクラスに還元する。そうすれば、プライベートポイントの数値だけ見れば、互いに25ポイント分は得をすることになる……そういうことだよね?」

 

 ただ、あくまでプライベートポイント上の話。一之瀬さんのクラスは今885ポイントでCクラス。私たちBクラスとは実に365ポイントもの差がある。この時期に更に差が生まれるようなら、清隆くんの言う通りハッキリ言って一之瀬さんのクラスはもう脅威ではなくなるだろう。

 そして、プライベートポイント優先ということは、それすら一之瀬さんは織り込み済みだということだ。

 

「なるほど。プライベートポイントだけで見るなら、確かに2クラスとも得をするわね。でも、片方のクラスはクラスポイントで見るとマイナスよ。あなたたちのクラスでその負債を負ってくれるというの?」

「うん。それで構わないよ」

 

 一之瀬さんはあっさりと不利な条件を飲んだ。

 

「龍園くんと組んだ影響、かな」

「衝撃的だったよ。私には()()発想すら出てこなかった。私としては、龍園くんがクラスメイトを見捨てないのも意外だったし」

「だからこそクラスのリーダーとして認められているんだろうね。今や生徒会長だし、龍園くんのクラスリーダーとしての地位は改めて盤石と言えるよ」

「……協調するための方針は分かったわ。松下さんの言う通り、75クラスポイント分のプライベートポイント譲渡が条件で構わないかしら?」

「うん。あ、でも堀北さんたちのクラスは今39人だよね。こっちは40人。1名分はオマケしてね」

「構わないわ」

 

 一之瀬さんが提案したプランは、私たちにとって非常に都合の良い契約内容だった。それ故に、あっさりと同盟が結ばれる。

 

「神崎、網倉は問題ないか?」

 

 清隆くんが座る二人にも声をかける。

 

「ああ、問題ない。一之瀬の考えにはクラスの全員が納得している」

「反対はなかったのか?」

「寧ろ賛成派が多かったよ。帆波ちゃんらしいやり方だね、って。龍園くんと組んだのには驚いちゃったけど」

「そうだ。今回は龍園くんと組まないの?」

 

 私はつい口を挟んでしまった。龍園くんとは生徒会選挙で協調していたことだし、今回もそうなる可能性はあったはず。

 しかし、一之瀬さんは首を振る。

 

「龍園くんのクラスにこれ以上クラスポイントが付与されても、あまりメリットはないからね」

「というと?」

「私たちはプライベートポイントでクラス移籍を狙ってる。龍園くんみたいにね。でも、8億ポイントなんてそう簡単にたまる額じゃないのは分かってるつもりなんだ。プライベートポイントが8億に届かない時、少しでもその時のAクラスのクラスポイントが高い方がいいでしょ?」

「月初めに付与されるプライベートポイントが12万なら、私たち39人で470万。5ヶ月で1人分なら引き上げられる」

 

 目標額に僅か届かなかった時のため、上がるクラスのクラスポイントも高く維持しておきたい、ということだね。

 

「龍園から、学年末試験はおまえたちと龍園のクラスが戦うと聞いた。なら、必然的に俺たちは坂柳のクラスと戦うことになる。俺たちは勝つ。勝たないといけない」

 

 神崎くんの言葉も合わさって、一之瀬さんたちは私たちがAに上がるのを望んでいると理解する。クラスポイントを重視しないといっても、月初めに付与されるポイントは極めて重要だ。学年末試験、一之瀬さんたちは死に物狂いで戦うだろう。

 だから、対戦相手が坂柳さんのクラスと決まった時点で、協調すべきは私たちのクラスと定まった。

 

「覚悟のほどは分かったわ。一度持ち帰らせて検討させてもらいたいのだけど」

「もちろん構わないよ」

 

 ひとまず、共闘する方針で話は纏まりそうだ。組んだ場合、一之瀬さんのクラスが隣に来れば50点は確定となる。ただ、問題は隣にならなかった時だ。

 

「清隆くんはどう思う?」

 

 そう問いかけると、周囲の視線が清隆くんに集まった。清隆くんは頼んでいた梅昆布茶を啜り喉を潤すと、改めて口を開いた。

 

「千秋は? 良い手だと思うか?」

「うん。今回の試験、共闘することで得られるメリットは相当大きいよ。攻守で関わる位置関係になれば、プロテクトによって5人×10ターン、50点の獲得が確定するし」

「それは大きいよな。なら、もし攻守に関わらない箇所に位置したらどうする?」

 

 清隆くんの問いかけに、私と堀北さんは考え込む。

 

「池くんの策を採用するのはどうかしら。リーダーとプロテクト対象の5人を残して、全員リタイアするの」

 

 仮病で、とは他クラスの一之瀬さんたちがいる前では言いづらいからだろう。そこを濁しつつ、堀北さんはそう口にする。

 

「なるほど。プロテクトを確定で成功できる人数まで絞り込むんだね。脱落者の分……堀北さんたちのクラスなら33名、私たちのクラスは34名。その分はマイナスされるけど、確実に67点ないし66点が獲得できる」

「ええ。素でそれ以上の点数を取られたらお手上げだけど、学校が設定している難易度は3段階しかないわ。難易度を上げようとしたらポイントを使用しなければならない。難易度1の問題が一番多用される形になるだろうし、難易度最低でも正答率はそれほど高くないんじゃないかしら。正答率が高い問題ばかりなら、プロテクトの旨みも少ないしね」

 

 この作戦の弱点は、今述べたように素で67点という点を上回られる可能性があること、そして作戦がバレやすいという点にある。

 攻撃側の対象者が5人しか選べないんだから、攻撃しようとした段階でこの策が使われたことは露呈する。残った3クラスが協調すれば、攻撃対象者を教え合うことで確実に50点以上を稼がれてしまう。あとの18点を自力稼ぐのは、そう難しいことじゃないはず。なにせ10ターン中に平均2人以上で正答もしくはプロテクトに成功すれば良い。

 

 組まれたら勝ち目がなくなる戦略だから、普通ならボツにする。

 けれど、一之瀬さんのクラスと協力できるとなれば話は別だ。

 

 私たちのクラス、一之瀬さんのクラス。対角線にあるそれぞれのクラスがこの作戦を使用することで、坂柳さんと龍園くんのクラスは協力できず、対応策を取ることもできない。せいぜい、後追いで同じ作戦を執るくらいだろう。

 

 けど、後追いで同じ策を取るにしても時間が要る。そうなれば、ポイント差は回を追うごとに増えていくため、この手は取れない。

 

「なるほど。その策で行くのか?」

「……何か不安な点があるかしら?」

「さあな。今回の指揮はおまえたちに任せる」

「まるで先生だね、綾小路くん」

「先生はやめてくれ」

 

 清隆くんの言葉に引っかかりを覚えつつ、私たちはカラオケルームを離れた。




最新巻に間に合わなかった…
3年生編1巻面白かったです!!
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