逆転裁判F   作:暁桃源郷

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裁判は基本的に地の文がありません。
会話で想像しながら読んでください。


法廷②

【同日 午前9時30分 地方裁判所 第2法廷】

 

カンカン

 

「これより、矢張政志の審理を開廷します」

「検察側、準備完了しております」

「べ、弁護側も準備は完了していまふ!(か、噛んだ………)」

 

「おいおい、大丈夫か?」

「な、何とか………」

 

 証人席を挟む二つの長机と証人席の正面にある裁判官席。

 それぞれにそれぞれの役割を持った人間が揃う。

 今日の法廷………相手は新人潰しで有名の亜内検事だ。

 

「弁護人、名前は確か………日造君でしたかな?」

「は、はい!」

 

「何でも今日が初めての弁護だとか………」

「う………。はい………」

 

「弁護人がその調子では先行きが不安ですな」

「あはは………」

 

「………。そうですね。裁判を始める前に、本当に準備完了しているか、確かめさせてもらいましょうか」

「え!?(冗談じゃない!既に頭の中真っ白だぞ………)」

 

「簡単な質問をするから、答えてください。まず、この事件の被告人の名前を。………言ってみなさい」

 

・矢張政志

・雛菊一成

・日造一

 

「それは………、矢張政志ですかね、やっぱり」

「その通り。そんな感じで落ち着いて答えればよろしい。じゃあ、次の質問です。今日の裁判は殺人事件ですが、被害者の名前を教えてください」

 

「(………それなら楽勝だ。控室でずっと調書を読んだし。………あれ?ヤベ!緊張でド忘れしちまった!)」

「おいおい。まさか被害者の名前も知らねーのか?あんだけ調書見てたろ」

「その………ド忘れしました!すいません所長」

 

「ったく。事件の事は法廷記録に書いてある。常にチェックしとけよ」

「う、ウス………。(………法廷記録ね)」

 

《証拠品ファイル》

 

・弁護士バッチ

これが無いと誰も俺を弁護士とは認めてくれない。

 

・黒杉泰三の解剖記録

死亡時刻は、12月30日。

午後10時から11時の間。

腹部を刃物で刺された事による失血死。

刺し傷には二度別々の刃物で刺された痕跡あり。

 

《人物ファイル》

 

・雛菊一成(45)

俺の尊敬する所長。

 

・矢張政志(40)

今回の依頼人。

やけにだらしないような気がする。

居酒屋黒杉のバイト。

 

・黒杉泰三(52)

今回の被害者。

居酒屋黒杉を経営していた。

 

・亜内文武(68)

ベテランのようだが貫禄は感じない。

 

「(こんなものか………)」

「答えてもらいましょう。この事件の被害者の名前は?」

 

・白杉三泰

・雛菊一成

・黒杉泰三

 

「えーっと………黒杉泰三さんです」

「………よろしい。では、彼はどうやって殺害されたか?被害者の死因は………?」

 

・鈍器で殴られた

・首を絞められた

・腹を刺された

 

「腹に刃物をグサっと行かれて………」

「その通り。じゃあ、質問はこれくらいにしてそろそろ審理を始めましょう。君も、大分落ち着いてきたみたいですからね」

「はぁ………。(んな訳………)」

 

「………さて、日造君のおかげである程度事件の概要は分かりました。では、亜内検事」

「はい」

 

「凶器は刃物とのことでしたがどの様な物だったのですか?」

「凶器はこの、刺身包丁です。店のキッチンから発見されました。刃には被害者の血も付着しております。」

 

「ほぉ」

「更に、この包丁の柄には被告人の指紋がベッタリと残っておりました」

「ふむう………。証拠品として受理します」

 

・刺身包丁

刃渡り30センチメートルほどの包丁。

被害者の血と被告人の指紋が検出。

 

「………これだけでも、被告人の犯行は決定的だと思います」

「えぇ!?」

「お待ちください、裁判長。まだ検察側の立証は終了しておりません」

 

「ど、どう言う事ですか?亜内検事」

「事件当時、被告人の犯行を目撃していた人物がいるのです」

 

「(な、何ぃ!?)」

 

カン

 

「ほう………。それは面白い。では、その人物を入廷させて下さい」

 

 裁判長の命と共に法廷の扉が開く。

 すると、ゆっくり、ゆっくりと証言台へ向かう一人の男。

 エプロンを着け、腰やポケットには大量のハサミや櫛が並んでいる。

 

「証人、名前と職業を」

 

 亜内検事の指示と共に証人が笑う。

 

「髪尾斬人(カミオ キルヒト)。美容師をやってます!」

 

 カン

 

「それでは証人、見た事を証言してもらいましょう」

 

〜目撃したこと〜

 

「ボク、仕事が終わったら居酒屋黒杉でいつも晩御飯を食べるんです。この前もいつも通りに食べに行きましたね。いつもみたいに不味い料理を食べてたら驚きましたよ。バイトの男が黒杉さんと言い争いになったと思ったら一発刺身包丁で奥までブスッと………。そのバイトはそのままスタコラ逃げていきました。確かに被告席の男でしたね、はい」

 

「ふむう。なるほど………」

「因みにこちらが現場写真です」

「受理します」

 

・現場写真

腹部を刺された被害者がカウンター側の棚にもたれかかる様に倒れている。

腹部には刃が見える刺身包丁が突き刺さっている。

 

「……………。(け、決定的じゃねーか!)」

「ふむう………。それでは弁護人、尋問をお願いします」

「じ、尋問?」

 

「ビックリ………。お前、今まで俺の隣で何見てたんだ?弁護側には証人に尋問する権利がある。証言の食い違いって奴を証拠品って銃弾で撃ち抜いてやるんだ」

「く………食い違い?」

 

「犯人が本当に矢張政志じゃねーなら証人の証言には何か食い違いがあるはずだ。そこを付けばいい。見つからねーなら揺さぶってみるのもオススメだせ」

「分かりました………。とにかくやってみます」

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