〜ボクが犯人でない理由〜
「ボクが犯人だって?とんでもない!」
「でも、通報されるのに二分の間がありますよね?」
「たった二分じゃないですか!」
「そのたった二分が重要なんです!」
「うぐ………」
「………確かに、通報時間に空白があるかもしれません」
「その間、何をされていたんですか?」
「そ、それは………」
「やっぱり別のことをしていたのでは!?」
「だから違いますって!」
「………ビックリ。無駄に揺さぶるな。見てみろ裁判長が今にも木槌をお前の頭に振り翳そうと………」
「ひ、雛菊弁護士!妙な事を言うのは辞めてください!その様な不埒な事を私がするわけ………」
「(こ、心当たりあるのか………)」
「と、とにかく!証人は証言を続ける様に!」
「(逃げた………)」
「でもそれは目の前で起きたことに唖然としていただけなんです!」
「唖然としていた?それは事実ですか?」
「そりゃあ目の前で人の土手っ腹に包丁が刺さったら唖然とするでしょう?」
「ンン、当然ですな」
「しない方がおかしいと言えるでしょう」
「(みんな揃って肝っ玉が小さいのか?)」
「安心しろビックリ。唖然としないのは普通じゃない」
「しょ、所長まで………」
「と言うかですよ!」
「そもそも、ボクには彼を殺す動機がない!」
「そ、そんなの分からないじゃないですか!今から調べたら何か繋がりが出てきたり………」
「ふうむ………。どうなのですかな亜内検事?」
「有り得ませんなぁ。今のところ、証人と被害者に動機になりうる繋がりは皆無。新米弁護士の戯言ですなぁ」
「と、言う事ですよ弁護人?」
「(こ、ここぞとばかりに調子に乗ってるぞあの検事)」
「悔しいならとっとと証拠品を突き付けてやれ」
「言われなくてもやってやりますよ………!」
「ま、参ったぞ………。またもや矛盾が見つからない」
「………ビックリ。証拠はちゃんと見ろ」
「え?」
「動機になりそうな物が証拠品にないかちゃんと中まで見るんだ」
「中まで………?」
《証拠品ファイル》
・弁護士バッチ
これが無いと誰も俺を弁護士とは認めてくれない。
・黒杉泰三の解剖記録
死亡時刻は、12月30日。
午後10時から11時の間。
腹部を刃物で刺された事による失血死。
刺し傷には別々の刃物で刺された痕跡あり。
・刺身包丁
刃渡り30センチメートルほどの包丁。
被害者の血と被告人の指紋が検出。
・現場写真
腹部を刺された被害者がカウンター側の棚にもたれかかる様に倒れている。
腹部には刃が見える刺身包丁が突き刺さっている。
・黒杉泰三のノート
お金を貸した人間の名前とその金額が書かれてある。
矢張政志 50000
………………
「うわっ!中までビッシリだ」
「どうやら被害者は相当数の人数に金を貸していたらしい」
「………あれ?この名前。髪尾斬人?ご、五十万円?」
「トイチと考えると借りた日から見てゆうに一千万だな」
「………借金て怖いスね」
「そもそも金を借りる事が可笑しいと気付いて欲しいがな」
・黒杉泰三のノート
お金を貸した人間の名前とその金額が書かれてある。
矢張政志 50000
髪尾斬人 100000
・救急への通報履歴
10時5分 髪尾斬人
10時8分 矢張政志
《人物ファイル》
・雛菊一成(45)
俺の尊敬する所長。
・矢張政志(40)
今回の依頼人。
やけにだらしないような気がする。
居酒屋黒杉のバイト。
・黒杉泰三(52)
今回の被害者。
居酒屋黒杉を経営していた。
・亜内文武(68)
ベテランのようだが貫禄は感じない。
・髪尾斬人(39)
美容師。
平凡そうな人。
「そもそも、ボクには彼を殺す動機がない!」
意義あり!
「……………亜内検事!」
「な、何ですかな?」
「被告人の動機は借金である、と仰いましたね?」
「え、ええ………」
「ではこちらはどう説明されますか?」
「それは………お金を貸した人の名前が書かれた被害者のノート。!こ、これは!証人の名前があるじゃないですか!」
「え、ええええええええええええ!!!」
ザワザワ
ドンッ
「借りた金額も、期間も被告人より長くその額は既に一千万超え!亜内検事が仰った通りこれは立派な動機になります!」
カット!
「ボクがそんな事で殺人に走ったって言うのかアンタは!犯人は被告人席に座っているアイツなんだ!」
「そもそも、貴方の証言は先ほどからおかしかった。貴方の証言では被告人が刺していたのに、どう考えても刺してないじゃないですか!」
「レザーカット!」
ザワザワ
カン
「どうやら、髪尾さんには証人の価値はない様ですな」
「(よし、このまま押し切ってやる!)証言に信憑性がない以上、被告人が犯人であると言う検察側の主張は成り立ちません!」
「………どうですかな、亜内検事?」
「……………」
「無いようですね。それでは、判決を………」
待った!
「………………」
「しょ、所長?」
「べ、弁護側から待ったがかかるとは………。何か問題がありましたかな?」
「………ビックリ。まだ溶けていない謎がある」
「溶けてない、謎?」
「ナイフが深々と刺さった相手に何故一度抜いて別の刃物を抜く必要がある?」
「!そ、そうだ!その隣の弁護士さんの言う通り俺が抜いて刺し直す必要がないじゃ無いか!」
「どうなのですかな?弁護人?」
「え、えー………」
「落ち着け。俺が教えてやった事を全部今口にしてみろ」
「えーと、弁護士はピンチほど太々しく笑え?」
「………後は?」
「発想は、逆転、させる………もの(そ、そうだ!今考えるべきは奴が違う刃物を使った理由じゃ無い。どうなれば、別の刃物が必要になるのか)」
「では、答えていただきましょう。証人が別の刃物を使った理由を示す証拠とは?」
《証拠品ファイル》
・弁護士バッチ
これが無いと誰も俺を弁護士とは認めてくれない。
・黒杉泰三の解剖記録
死亡時刻は、12月30日。
午後10時から11時の間。
腹部を刃物で刺された事による失血死。
刺し傷には別々の刃物で刺された痕跡あり。
・刺身包丁
刃渡り30センチメートルほどの包丁。
被害者の血と被告人の指紋が検出。
・現場写真
腹部を刺された被害者がカウンター側の棚にもたれかかる様に倒れている。
腹部には刃が見える刺身包丁が突き刺さっている。
・黒杉泰三のノート
お金を貸した人間の名前とその金額が書かれてある。
・黒杉泰三のノート
お金を貸した人間の名前とその金額が書かれてある。
矢張政志 50000
髪尾斬人 100000
・救急への通報履歴
10時5分 髪尾斬人
10時8分 矢張政志
《人物ファイル》
・雛菊一成(45)
俺の尊敬する所長。
・矢張政志(40)
今回の依頼人。
やけにだらしないような気がする。
居酒屋黒杉のバイト。
・黒杉泰三(52)
今回の被害者。
居酒屋黒杉を経営していた。
・亜内文武(68)
ベテランのようだが貫禄は感じない。
・髪尾斬人(39)
美容師。
平凡そうな人。
・現場写真
腹部を刺された被害者がカウンター側の棚にもたれかかる様に倒れている。
腹部には刃が見える刺身包丁が突き刺さっている。
くらえ!
「これは、現場写真?」
「先ほどの矢張さんの証言を思い出してください」
『大将がすっ転んじまってよ、キッチンで俺が使ってた刺身包丁が腹に突き刺さったんだ!』
「転んで刺さった。これだと遺体はどうなりすか?」
「それは………床に寝そべるのでは………あれ?」
「そう。しかし実際はカウンターにもたれかかる様に倒れている。それだけじゃありません。現場の床に血はほとんど垂れていない」
意義ありィ
「そ、そんなの被告人の勘違いで………」
「ならば、もう一つ亜内検事にお聞きします。被害者の傷口から何か検出はされましたか?」
「い、いえ、特には………」
「ならば、矢張被告人が使っていた包丁が刺さったと言う事実は無かったのです」
意義ありィ
「し、しかし実際傷口は包丁と一致して………」
「あの店は飲食店です!同じ包丁などいくらでもある!」
待った!
「俺からも一ついい?」
「どうしましたか、被告人?」
「いやぁ、思い出した事があってさ。あの店長悪戯好きでも有名でよ、そういえば倒れた時も血が出てなかったような………。てか、あれ俺がいつも使ってた奴じゃなくて手品によく使う玩具だった気もするんだよな」
「……………証人」
「おう」
「そう言うことは早くいいなさい!」
「ほぎゃあ!?」
ザワザワ
ドンッ
「裁判長。証人に玩具を隠滅する暇は無かった筈だ。弁護側は今すぐに現場と証人の店の調査を依頼する」
「分かりました。亜内検事!」
「は、はいィィィィィィ!!!」
「………それでは、結果が届くまで一旦休廷とします」