百合の間に挟まるつもりは毛頭ないんだが   作:とくめい

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アンケートありがとうございました。とりあえず続投という形で進めます。ゼーリエ様カワイイと、フリーレン出せとの方にもかなり入っていたので、なんとか考えてはみたいのですが……フリーレンはこの時間軸だとどうなんだ? フェルンと一緒に中央諸国辺りにまだ居ないかな(笑)


第十二話

「ふむ。子供という事を踏まえても魔力が少な過ぎる」

 

 開口一番そう言ってのけたのは、人生においての初のエルフだった。本当の事だけど、あけすけに言われて面白いことではない。

 

「おい、レルネン。間違いないのか……レルネン?」

 

 と思ってたら、横にいた爺ちゃんが膝から崩れ落ちていた。な、なんだ? 心臓の持病か?

 

「どうした」

「は、あ、いえ。失礼致しました、ゼーリエ様」

 

 エルフが怪訝そうにしてると爺ちゃんは慌てて立ち上がり居住まいを正す。よく見ると、こないだ学校に来てた爺ちゃんだった。

 

「お、お主は……女の子じゃったのか……」

 

 ああ。ラヴィーネの格好のままだからね。

 

「レルネンさま、お気持ちは分かります」

「ブルグ……」

 

 なんか二人して目を合わせて頷き合ってる……世代を超えた男の友情か。

いいネ(≧∇≦)b

 

「なんなんだ……」

 

 一方、エルフの方は釈然としない顔だ。長命種だから異性の機微には疎いようだ。ま、いくら生きててもそういうの分からない人っているよね(←自分は分かってるつもり)

 

 研修旅行的な感じでオイサーストまで来た俺達だけど、ラヴィーネとカンネはそのまま親父さんの屋敷へ。オレはブルグに連れられて大陸魔法協会の北部支部とやらに来ていた。

 

 今回の研修旅行はこれが主目的だという。……どういうこと?

 

「理由が分からん。本題に入れ、レルネン」

「は」

 

 すると爺ちゃんが懐から書類の束を出す。それは、オレがお婆ちゃん先生に渡したモノだった。

 

「この魔導書の魔法を実演してくれぬか」

「え?」

「実演してくれぬか」

 

 再度同じ言葉を放つ爺ちゃん。これは、アレか。有無を言わせず、というやつか。ブルグの方を見ると頷いてるし、エルフの方はふんぞり返ってつまらなそうにこっちを見ていない……なんかムカつく奴だな、あいつ。

 

「、……」

 

 頭がアツくなりそうになったけど、魔力を探知してみて冷静になれた。

 

 アイツ、化け物みたいな魔力量だ。爺ちゃんもブルグも凄いと思ってたけど、とんでもない。比べるのもバカらしいほどだ。

 

「ふん」

 

 こっちが探った事を分かったのか、エルフが鼻で笑う。『格の違いが分かったか? 小僧』とでも言われてる気分だ。

 

「……」

 

 ナイフを鞘から抜いて、エルフに向ける。爺ちゃんとブルグに緊張が走るけど、オレだってそんな馬鹿な真似はしない。する意味もないし。

 

 杖を取り出し詠唱をする。本当はもう必要がないんだけど、今回はお披露目が目的なようだ。なら、ちゃんと使わないと。

 

光を纏う剣の魔法(リヒッシュベーア)

 

 オレンジ色の光が灯り、それがゆっくり伸びていく。長さは一メートルほど。今のオレにはこれくらいがちょうどいい長さだ。

 

 本当はヒートサーベルをやってみたかったんだけど、高熱で焼き切るイメージで作ったらナイフのほうが溶けちゃったので仕様変更となった。高熱で溶けない金属のイメージが出来なかったせいだと思われる。

 

 でも、ビームサーベルのほうが実は使いやすいので結果オーライだ。このあたりは臨機応変に考えよう。

 

「ほお」

 

 すると、エルフが椅子から降りてこちらにすたすたとやってきた。無警戒なのは、自分なら絶対傷など負わないとの自信の現れなのだろう。オレ程度の魔力量だと、本当にムシケラ扱いなのかもしれない。

 

「ふむ。安定してる……なるほど」

 

 近くに寄ってしげしげと見ている。研究対象を見た学者のような。好奇心に目を輝かせてるそいつは、先ほどまでの高慢なエルフではなく、高校生くらいの子供のように見えてしまう。

 

「おい。ここの防御術式だが、なぜ均等に並んでいない?」

 

 ……だけど、ちゃんと見てるみたい。それに関しては適当だったのでそう答えた。

 

「では、一般攻撃魔法の出力だが……」

「ええ……」

 

 あ、これ長くなりそう。

 大陸魔法協会の創始者というだけあって、魔法に関しては妥協がないのかもしれない。

 

 一頻(ひとしき)りの質疑応答だが、ずっと魔法を出しておくのはかなり疲れる。しばらくすると、勝手に魔法が消えてしまった。と、同時にオレの体力も無くなったのか、膝からかくんと落ちてしまった。

 

「おっと」

 

 ゼーリエが素早く抱きとめてくれたので、倒れずには済んだ。

 

「少ないとは思っていたが、もう魔力切れか……ん?」

 

 すると、オレをその場に座らせた。

 

「レルネン、ブルグ。こちらを見てはならんぞ」

「畏まりました」

「は、はい」

 

 そう言って背中に手を回して衣服の中に手を入れる。

 

「あのう、セクハラは如何かと……」

「たわけ。幼女に欲情などするか」

 

 言葉のわりになんか優しい感じで手を当てている。これって、お婆ちゃん先生がやってたのと同じ?

 

「……なるほどの。お主、聖堂の一族か」

「……え?」

 

 せいどう……? どこか、で聞いたこと、ある?

 

「だとしたら、無理をさせたな。すまん」

 

 額にこつんとおでこを当てて謝罪してくるゼーリエ。けど、その時にはオレも限界だった。

 

「……」

「落ちたか」

 

 

 

 

 

≫≫≫

 

 

 

 

 

「ゼーリエ様」

 

 レルネンは(あるじ)に声を掛けた。無体なことはなさらぬと知ってはいても気になるのは仕方ないこと。しかも孫のお気に入りの子供なのだ。

 

 同様にブルグも心中穏やかではなかった。尊敬はしていても苛烈なところのある主に、子供の扱いなど出来るのだろうかと気が気ではなかった。

 

「なんだお前ら? 私が取って食うとでも思ってるのか?」

 

 一方、不機嫌そうな顔付きで二人を睨むゼーリエ。二人がどう思っているのかなどお見通しなのだろう。

 

「ゼンゼ」

「はい」

 

 広い部屋にするりと現れたのは、髪の長い少女だった。すっぽりと身体を覆うほどに長い髪は不自然に宙を浮いて、床に触れないようになっている。

 

「この童子を世話してやれ」

「はあ」

 

 髪が動いて、ふわりとトローペンを持ち上げる。細い髪の束を自在に動かすことが出来るのが、彼女の魔法だった。

 

「魔力切れですね」

「放っておけば数時間で目が覚める。ベッドにでも横にしておけ」

「承知しました」

 

 こつりこつりと足音を立てて退出するゼンゼ。広間にはゼーリエと二人が残った。

 

「むん」

 

 鞘から抜いたナイフに手を置くと魔力を込めるゼーリエ。そこには光の長剣が出来ていた。

 

「おお……」

「さ、再現した?」

 

 レルネンは一度見ただけで完璧に真似たゼーリエを讃えるように、ブルグは驚嘆をもって応える。前回作られたものはやたらと大ぶりな剣のようなモノだったが、今回出来上がったものは確かに光の長剣である。

 

「ブルグよ、もう一度試させよ」

「……御意」

 

 断れる道理はない。

 しかし、これを防ぎきれるかは確信も無い。

 

 ゼーリエの斬撃は、袖のところで止まった。しかし、それは不動の外套の負けを意味していた。

 

「『不動の外套』に傷が……?」

「なっ……」

 

 ブルグの纏う外套の一部が切り裂かれ、黒い霧になって消える。

 

「やはり一般攻撃魔法(ゾルトラーク)の貫通属性は強いな。旧態依然の防御術式では耐え切れんと見える」

「で、ですが。一般攻撃魔法の直撃でも耐え切る力はあります」

 

 ブルグの抗弁は一理有る。実際に一般攻撃魔法の飽和攻撃にも耐えたことはあった。

 

「前にも言ったろう。点の直撃と面での直撃では意味合いが違う。飽和攻撃といえども点の集合によるもの。線で切り裂く形には弱い」

「グッ……」

 

 弱点を露呈されて、ブルグは歯噛みする。ゼーリエより与えられて、極めるために防御術式を編み込み続けた末にこれである。

 

「まあ、そう腐るな」

 

 しかし、ゼーリエはそんな彼の心情などどうでもいいと言わんばかりだ。

 

「改良する余地を見付けられたのは僥倖だ。一度に己を両断するような奴が現れんとも限らん。励む機会が得られただけ儲けものだぞ」

 

 その言葉に、頭が下がる思いがしたブルグ。確かにその通りだ。死んでしまえば改良する余地など気にすることも出来ない。魔族にこのような手法を取るものが出てきてからでは対処しようもないのだから。

 

「少し所用ができた」

 

 そう言って広間を後にするゼーリエ。レルネンに後のことを任せると伝え、ふらりと外出してしまった。

 

 トローペンは程なく目を覚まし、レルネンに連れられてラヴィーネの父親の屋敷へと連れて行かれた。

 

「なあ、爺ちゃん」

「ん?」

「エーレは、どうしたん?」

 

 部屋を出た時に待っていたエーレは、膝から崩れ落ちていた。まるで残酷な何かを見てしまったように。

 

「……ままならんことも、あるんだよ……」

 

 そう、答えるしかできなかった、レルネンであった。




AIちゃんに無理を言ってトローペンのイラストを描いてもらいました。

いつものトローペン

【挿絵表示】



ツインテのトローペン

【挿絵表示】
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