「まずは皆に礼を言いたい!俺たちがここまで来れたのは何から何までお前たちの協力のおかげだ!常識では不可能と断ずる勝利を我々は勝ち取れた!この通り、改めて感謝する!」
「ど、どうしたの雄二?ら、らしくないよ……?」
「ああ。俺もそう思う。だが、これは俺の偽らざる本心だ。だがここまできた以上、絶対にAクラスに勝ちたい。勝って、生き残るためには勉強すればいいってもんじゃないって事を、教師どもに思い知らせるんだ!」
『『『おおおおお────ー!!!!!』』』
代表さんによるAクラス戦に向けての鼓舞。
ボルテージマックス、いよいよ最高潮って感じだ。
でも……シオンの予測だと、何をどうしても現状ではAクラスに勝てない。
シオンはその戦力分析に私情を挟まない。そして根性論も戦略に取り入れはしないが否定もしない。それすら考慮して……勝てないと断じた。
私もシオンの予測に不信は無い。
学力がそのまま戦力になる以上、Bクラス代表が50人いる、それ以上と考えるべきだ。無理だろうね。
「最後のAクラス戦だが、これは一騎討ちで決着をつけたいと思う」
一騎討ち……?
そんなバカな。無理に決まってる。Bクラスの代表でさえ200点……Aクラス代表ともなれば300……それ以上はあるだろう。
全力の姫路さんでさえ主席ではないそうだ。
「やるのは当然、代表たる俺と翔子だ」
「無理だ。それなら私がやる」
「無理じゃない」
「そんなハズ……」
「お前は俺ごときが翔子の足下にも及ばない、そう考えてる」
「当然でしょ」
「確かに翔子は強い。だが勝てないってのはDもBも同じ事。それを踏まえて!俺は勝つ。根拠は薄く見えるかもしれない。だが信じてくれ!俺はお前らがBクラス程度の設備で満足しないと信じてここまで作戦を立ててきた!ならば皆は!その作戦を呑み、Aクラスを手に入れられると信じたから俺の作戦に従った!」
『そうだ!』
『俺たちを導いてくれ!』
確かに、学力のみを基準とするなら、学期初期に最底辺が勝利することは無い。
だがそれは詐欺だ。いずれもAクラス並の戦力を持つ姫路さんやニンジャがいたからだ。
「質問だ。そこまで言うなら……勝機が、勝算が……それも確実なものがあるんでしょうね?フザケたものだったら私は協力しない」
確実な勝利と、一騎討ち。
そこまで言うなら確実な勝算がなければならない。
「ああ。勝負ではフィールドと勝負条件を限定する。勝負は百点満点の日本史、内容は小学生レベルだ!」
「ん……?なにそれ?それが作戦?」
上限無しのこの学校で満点ありの小学生レベル……なんだ?ここまで絞るなら確かに、確実な勝機を持ってるかたちだ……
「ああ、アイツは確実にひとつ、間違える」
「ん……」
「それは大化の改新。その年号を問う問題がでたなら、俺たちの勝ちだ」
「年号……?」
大化の改新……?なにそれ……?
サーヴァントで言うなら誰なんだ……
「大化の改新?625年でしょ?僕でも分かるそんな問題をまさかAクラス代表が間違える訳……」
「明久、大化の改新は645年だ。だが、それは翔子も同じ事。アイツは625年と間違える。それを狙う」
「あ、あの……坂本くん、その、仲が良いんですか?」
「ん?ああ。アイツとは幼馴染だ」
『総員!攻撃態勢!』
「なっ!?何故明久の号令で俺に照準を!?」
ピンク……えーっと……まて、いや、覚えたはずなんだ……えー……えー?だ……あ〜……?
その人の疑問によりクラス全員が上履きを構える。
なんで……仲が良いと思うんだ?そして何故攻撃態勢を取る?
「待て!落ち着けお前ら!今俺をやればAクラスどころかDクラス設備さえ手に入らないんだぞ!それに俺は……幼馴染ってだけだ」
「まぁ、今回だけは見逃してやる。待つんだ須川君。雄二の命は今日勝つまでだ」
「了解。吉井隊長!」
「だから何でお前らは明久の指示に従うんだ!」
何やら知らないけど代表さんの命はまだ持つ模様。
まぁ宣戦さえできれば最悪私とシオンでCだかそこらのクラスなら取れるから妥協にはなるけどな……
「まぁ皆落ち着いて?とりあえず勝算があるんだから代表さんに従おう。私情は全部終わってからで十分間に合うでしょう?理性的な行動して?」
さもないと殺す。
「そうだ放せ。これから宣戦だ。今俺をやればお前らもこの教室のまま一年過ごすことになるぞ?」
「く……この卑怯者め……皆!構えを解くんだ!逃走警戒も解いていい!逃げたらそれはそれで残り一年殺す時間ができる!」
今日逃げたら一年間探し続けるつもりなのか……
「はぁ……よし、ヤロウども待機だ!我がクラス精鋭部隊で宣戦に向かう!」
♢♢♢
「おお……本当にこれが学生に与えられる設備か……?」
Aクラスの設備はもう圧巻の一言だった。
絶対に勉強に必要無いレベルの机、絶対に学業に必要無いレベルの椅子……何だアレ、椅子っていうかセレブが別荘で座ってそうな……
他にもパソコンや冷蔵庫……この教室を写真に撮って高級ホテルですって貼り出しても文句無いレベルだ……普通に住める……というか管理局上官レベルだ……
「まーそう羨むなよ。もうすぐ俺たちのものになるんだぞ」
「誰の物になるですって?」
「あ、秀吉?ついに自分の性別に向き合ったんだね!」
「何を言う明久よ……ワシはこっちじゃ」
「私は木下優子。盲目もいいところね。で?何が目的なの?紅茶でも淹れましょうか?」
見下し風味全開の相手。
「ああ。もうすぐ俺たちのものになるんだ、それくらい淹れて貰おうか」
「もうすぐ?貴方たちは何年この学校にいるつもりなのかしら。100年では足りないわよね?」
「はっ、もうすぐってのは今日明日って意味に決まってるだろう。俺たちFクラスは、お前たちAクラスに試召戦争を申し込む!」
「ふん、Bクラスにまぐれ勝ちして調子に乗ってると痛い目に会うわよ」
「ああ。だから戦争は一騎討ちで行いたい」
「一騎討ち?」
「クラス代表同士の1対1。どうだ?」
「うーん……面倒な手間を省いたくれるのはありがたいけど……何が狙いなの?」
学力上位であって最底辺相手にも即決はしない慎重さ。
「もちろん、俺たちの勝利だ」
「代表相手に勝機アリかぁ。でもそうね、代表が絶不調でそっちが何か姑息な策を弄するなら万が一もあるかもね。面白そうではあるけど……Aクラスはこの学園の顔なの。万が一にも負けるなんて事は許されない。通常通りの戦争なら」
「……受けてもいい」
「わ、代表?」
男装女装男子のそっくりさんの後ろに現れた物静かそうな人。
「……雄二の提案を受けてもいい」
「え?いいの?代表」
「……うん。その代わり条件がある」
Aクラス代表は代表さんを見て、姫路さんと……私を見る。
「……」
澄んだ瞳で私を……
「……っ、何?私、そんなにブサイク?」
ついその目に手が出そうなのを抑えこむ。
「だ、代表、Fクラスでも失礼なことしちゃダメだよ」
「……そんなつもりはなかった。ごめんなさい」
「……?じゃあ何だったんだ……」
「で、霧島さん。条件って?」
「……うん、負けた方は何でもひとつ、言う事を聞く」
告げられたのはありきたりな罰ゲーム。
「ムッツリーニ!まだカメラは早いよ!てゆうか負ける気満々!?」
「…………!」
バカは何やら騒ぎ始めてる。
何故バカはもうもうるさくなるのだろうか?
「じゃ、それに追加。5対5の勝負にしよう。それなら私も納得」
「……優子」
「無いとは思うけどもし万が一にも代表が負けたら相手の言いなりなんだよ?」
「……私は負けない」
「はぁ。どうかな、坂本雄二くん?」
「いいだろ。ただし科目はこちらで決める」
「ん〜、まぁ、それくらいはいっか。時間はどうする?」
「1時間後、10時からでいいか?」
「……わかった」
「よし。じゃあ一旦戻るか。明久、ムッツリーニ抱えてこい」
「もう死んじゃってるんじゃないかな」
血だまりに沈むカメラマンとそれを引き上げるバカ。
戦争しないのか……一騎討ちじゃあ、このボトルもドライバーも使えないな……