書くだけで読まないのでどうか知らないんですが、皆さん使ってらっしゃる……?
「さぁ……ラストだ……!」
最後の勝負、代表2人による最終決戦。
「科目はどうしますか?」
「教科は日本史、しかも内容は小学生レベルの上限アリだ!」
「「「……!!」」」
目論みを知らない相手クラスがざわつく。
そりゃあそうだ、点数上限を取っ払ってまで点数での競い合いをさせてる学校のクラス代表同士での戦いに上限を付けようだなんて。
でもそれが最善。
相手の確実な弱点を握ってる以上、それを使わない手は無い。それを最大限活かせる戦術。
そう思うのなら観察処分者2人が負けたのもどうでもいい話。カメラマンと姫路さんには学年首席に肉薄する実力がある。Aクラスだからと負けは無い。
「では、テストを用意しなければなりませんね。この場で待機していてください」
そう言うと監督役の教師は教室を出て行った。
まさかそんな内容のテストがあるとは思えないから1から作りに行ったのだろう。
こんな時シオンがいれば作成内容をコントロールできたりするのにな……
「それでは、代表の2人は別室へ移動してください」
しばらくした後、先ほどの先生が2人を呼び出す。
試験への注意事項などが別教室で説明され、その様子をAクラスのクソデカディスプレイで我々も見ることができる。
問題内容も順次ディスプレイに表示してもらえるようで、全体で確認できる。
「いよいよですね……!」
「頼むぞ、雄二……!」
我々に出来ることはもう無い。
今後の並行世界は2つだけ。勝つか、負けるか。
そもそも問題が出る出ない以外の要因もある。
だから……結果は終わってからのお楽しみ。
「あれ、フタガミさん、どこいくの?」
「教室。寝てるから終わったら起こしてよ」
「テスト見ないの?」
「見たって結果は変わらないでしょ。意味無い事のために生きてるわけじゃないの」
「そっか……わかった。楽しみにしててよ」
「何で貴方がそれを言える……?まぁいいよ、おやすみ」
テスト時間フルで使うだろうから……1時間は寝られるはずだ。
大事な決定も難しい手段取ってるだけで意外とこんな簡単な問題で決められてるから小学生諸君、安心していいぞ。ゆっくり寝よう。
♢♢♢
「おいフタガミ、起きろ。決着、ついたぞ」
「んう……んあ、えーっと……ごめんなさいね、ありがとう」
「……須川だ。それよりほら、行くぞ」
「ありがとう」
寝てた私を起こしに来たのはバカではない人……須川……?
何故鼻血で顔と服が濡れているのだろうか。私を起こしにくるまでにどんな障害が……?
まぁいいけれども。さてさて……目論み通り勝ったか、相手が学習し直してて負けたか……
「さぁ行くぞ雄二!今生の未練は充分かぁ!」
「やめてください吉井くん!負けたのは坂本くんだけのせいではありません!」
「何故止めるんだ美波!姫路さん!僕にはコイツをコロンビアネクタイで着飾ってやる義務があると言うのに!」
「アキ!それは処刑法よ!」
「……?ねぇ、どういう事?」
「ああ……負けたんだ、坂本は」
「……はぁ……?はぁ!?負けたぁ!?」
「点数はあそこに表示されてる通りだ」
「ん……」
霧島翔子──限定日本史──97点
坂本雄二──限定日本史──53点
……バカだった。
惜しいとか、ケアレスミスだなんてレベルじゃない。
そもそも勝負になってない。
所詮……シオンの見立て通り……世間の評判通りのFクラスか……
「代表さん」
「く……フタガミか……」
「フタガミさんまで僕を止めるつもり!?」
「いいや。処刑は私がやらせて貰う。いつぞや言ったはずだ。負けたら殺すと。そして了承したはずだ。そのつもりだと」
「……ああ」
「よし、覚悟有りか。2つ選択肢がある。首を落とされるか、存在ごと潰されるかだ」
確かシオンが言ってたはずだ。負けたら殺すと。そしてそれを了承してたはずだ。
なら……両者同意。文句無いはずだ。
「さぁ行くぞ……あ……?あ、そうだ、鎌無いんだ……選択肢の一つが消えた。貴方は全身をゼロまで潰されて消滅する……勝負を引き受けて負けた罰。さよなら」
「……それは困る」
「ん……誰だっけ」
「……Aクラス代表、霧島翔子。雄二を殺すのは、困る」
私を止めたのは相手クラス代表。
非常に物静かでありながら、私の行動には強い嫌悪を感じる。
「何で……?勝者の貴女が、敗者を慮る必要は無い」
けどそんなものは関係無い、私の行動を止めるのは世界だけ……
「……約束」
「ん」
「……敗者は、何でも言う事を聞く」
「あ……そういうのあったな……いいよ、譲ってあげる。それが勝者の権利だ」
「……ありがとう」
規約を破ってたのはこっちだってのに、相手は律儀にお礼までする。
優等生は流石だ。確かな知性を感じさせる。
うんうん、こういうのだよこういうの。見てるか人類。こういう知性を人間って言うんだ。ヒト属なだけで調子に乗るなよ人類。
「じゃあどうぞ、霧島さん。私が責任持ってその約束を守らせよう」
「…………ッ!(ブッシャァァァァァァァァァァ!)」
「ムッツリーニッ!君の意志は僕が継ぐ!」
何かと血に沈みがちなカメラマンとそのカメラを手にするバカ。
約束の内容を知ってるのか……?
「……じゃあ、雄二」
「なんだ」
「……雄二、私と付き合って」
おっ……公開告白だ。昨今晒し上げの意識が高い中ですごいな。
「お前……まだ諦めてなかったのか。他に良い男、色々いるだろ」
「……諦めない。私には雄二しかいない」
「やめとけよ、こんなバカに」
「……やめない。というわけで、今からデートに行く」
「はぁ!?今から!?テメェ何考え……ッ!?」
「……拒否権は無い」
どこからか取り出したスタンガンに煙を上げる代表さん。
まぁ、約束は何でも言う事を聞く。拒否権は確かに無い。
「おめでとう、霧島さん。貴女の言うこと、今後も私が保障しよう」
「……ありがとう、フタガミ」
「ウタネでいいよ。ごゆっくり楽しんで」
「……うん」
「ちょっと代表?この後の始末はどうするの?」
「……それは、優子に任せる。じゃあ」
「代表ー!」
霧島さんは代表さんを引きずって出てった。
木下のお姉さんは笑いながらもそれを咎め、止めはしなかった。
「さて……どうしようか、交渉大臣」
「何その呼び方。バカにしてる?」
「ん……そんなつもりは無かった。何て呼べば?」
「木下でも優子でも好きに呼べばいいじゃない」
「じゃあ木下さん。Fクラスの負けだけど、代表の首は約束で渡せなくなった。どうしよう。私の首で代わりになる?」
「何でそんな戦国時代なのよ……別に構わないわ。代表もあれで満足してるようだし、私たちからは何も」
「そう。だそうだけど、Aクラス諸君も構わない?今だけだよ、私がこう言ってるの。明日になってFクラスが暴れても私は知らんぷり」
「「「……」」」
「無いわ。Fクラスはそれでいいの?観察処分者が指揮取ってるのに」
「「「……」」」
「そ。じゃあ解散ね。中々楽しめたわ」
終わり──
私のカンはそう言ってる。この戦争はここで区切り。3ヶ月、私はあの教室で過ごすことになる──
「よぉし、では我がFクラス諸君。遊びは終わりだ。これからFクラスの補習についての説明を始める!」
「え……鉄人……き、キサマ、今、何といった……?」
「吉井、西村先生と呼べと何度言えば分かる。まぁ、今日はお前らにとって傷心の日だ。今回だけは許してやる。ではもう一度言うぞ。今回Fクラスが敗北した事によってFクラスはこの俺が担当を持つこととなった!この一年、死に物狂いで勉強させてやるからな」
『『『んだとォォォッ!!?』』』
なるほど……敗北クラスは……最底辺のランクダウンは教師の変更……シオンが惚れ込む性格だ、どこまで正しい方向にストイックなのか計り知れない。雑にやり過ごすなんて事はできないだろう……
「まぁ聞け。確かにお前らはよくやった。まさかFクラスがAクラスと鎬を削るとは思わなかった。お前たちの努力、執念は見事なものだ。それは素直に賞賛してやる。でもな、いくら『学力だけが全てじゃない』と言っても、学力は人生において強力な武器の一つだ。決して蔑ろにして良いものではない。学校に来られている以上、それは平等に与えられた訓練できる武器だ。ならばそれを鍛えないなど有り得ない」
「……」
学力。即ち労力の結晶。資格や学歴など、継続的に力を発揮する事も少なくない。
やりたい事をするなら、才能で決めるのではなく……決意を示せ。
資格とは、それをやるという意志の強さ。単なる才能と思い付きではその後の保障はできない……選ぶ側にとって、重要な要素。それを軽視はできない。
「そうはいきませんよ!なんとしても監視の目を掻い潜って、今まで通りの楽しい学園生活を送ってみせます!」
「……お前には悔い改めるという発想は無いのか」
この場に限れば、私も先生に同意だ。
このクラスの生徒に社会を登る力は無い。どっかに転がってた仕事を惰性で続ける未来しか無いだろう。
それが悪いとは言わないが……本人の納得する未来になるかとも言えない。
「ま、とりあえず今日はよくやった。明日からは存分に学業に励め。授業とは別に俺の補習を2時間は設けてやろう」
「くっ……!いいだろう鉄人!次の戦争にこそ勝って、とっとと地獄の生活から這い上がってやる!」
「ほう、いい啖呵だ。ならば貴様には更に特別コースを用意しておいてやる」
「ぐあっ!言うんじゃなかったっ!」
バカは謎にやる気を見せ自爆している。
2時間追加の授業なんてそこらの学生を超えてるのに……
「じゃ〜アキ、今日のうちに約束のクレープ食べに行こっ!」
「え?み、美波、それは週末って話じゃ……」
「だ、ダメです!吉井くんは私と映画を観に行くんですっ!」
「ええっ!?姫路さん、それは話題にすら上がってないよ!?」
これがハーレムか。
おかしいな……エリオも衛宮士郎も……あの男女比で何故こうならなかったんだ?
「に、西村先生!あ、明日からなんて言わないで、今日から!今から補習やりましょう!思い立ったが仏滅です!」
「『吉日』だ、バカが」
「そんな事どうでもいいだろ!それを今から教えろ!鉄人!」
「ふむ……歴代一のバカがそうやる気を出したのは嬉しいが……まぁ無理をするな。今日くらい存分に楽しんでこい」
「くっ!おのれ鉄人!僕が苦境にいると知った上での狼藉だな!?こうなったら卒業式には伝説の木の下で釘バットと共に貴様を待つ!」
「はは、斬新な告白だな、オイ」
なんか感覚バグってるけど普通襲撃が真面目に想定されてるのっておかしいよね……?前確かシオンが包丁叩き落としたとか言ってたし……
「アキ!こんな時だけやる気になって逃げようったって、そうは行かないからね!」
「ちっ、違うよ!今は本気でやる気なんだってば!」
「吉井くん!まずは私と映画を見るんですよねっ!」
「があっ!姫路さん!?それは雄二とじゃなくて僕となの!?」
「……?坂本くん?何の話ですか?私はずっと吉井くんのこと──」
「アキ!いいから来なさい!」
とは言え、流石にバカが可哀想になる絵面だ……
何の得も無いが以前昼食を奢った恩がある。多少は庇えるだろうか。
「まぁ待ちなよ、観察処分者、行きたければ行けばいい」
「フタガミさん!?僕にお金無いって知ってるよね!?」
「だからさ、私が出してあげようって話。そう言う思い出は可能な限り作っておくべきだよ」
「え……?」
ポケットの財布から札を数枚取り出して差し出す。
映画見てご飯食べて……くらいなら余りある額だろう。まともな学園生活させれば正義の味方みたいにならずに済むだろう……
「何いってんの!アンタも行くのよ!」
「は……?私……?」
何故かポニーテールに呼ばれてしまう。
言いたか無いが、私別にそこまで親しくないだろう……?
「吉井くんっ!早く行きますよ!」
「わああっ!待ってよ姫路さん!肩が抜ける!」
「ああっ!待ちなさいよ!ほら、早く来なさい!」
「何故……?」
「置いてくわよ!……シオン」
「……は?」
これで単行本一巻分だぜ☆
単純にこの12倍+α!何年後になるんだ!