「はぁぁぁぁぁぁ〜〜〜……疲れたぁぁぁぁぁぁぁ……」
「ん、今日はやけに遅かったな?どうだった。惜しかったか?惨敗だったか?」
何故か不要な要件をこなし帰宅。
普段何もしないだけにかなり疲れた……
「んー……惜しかったけど惨敗だった」
「何だそれ」
「結果は2勝3敗。カメラマンと姫路さんが勝って、観察処分2人と代表さんがボロ負け」
姫路さんは当然、カメラマンも科目によって勝利確定といった風だったから事実上完敗。
男装女装男子に任せてればワンチャンあったけど……そのマッチングは私が好きくない。
「……ま、そんなもんだろな。で?遅くなったのは何だ?罰ゲームか?」
「ううん……なんか映画見てた……」
「は?映画?なんで?」
なんで、なんてのは私のセリフだ。
「知らないよ。誘った人、シオン知ってたんだけども。何したの?」
「……あ?何でオレを知ってる?誰だ?」
「ポニーテールの子」
「……島田か。いや……知らないな。少なくともオレは名乗ってないはずだ。オレ達が転生する前のオレ達が……何かしらしてたのかもしれんな」
「ぶあ……原因不明か……」
流石に心当たりはないよねー……私達が来てからまだ数日しか経ってないし……
「まぁ……名指しで誘われるくらいならいずれ判明するだろ。それよか、なんで姉さんの能力ありきで負けたんだ?ちょいちょい止めるくらいならバレやしないだろ」
「や!それよそれ!このドライバー!エボルマッチとか言ってんだけども!?不良品渡した!?」
「あ……?いいや?エボルボトルを使用可能なビルドドライバーを引っ張ってきただけだが……ダメだったのか?」
「や……変身はできたんだども……変身しただけというか」
「……そりゃあそうだろ。変身だけならオレがこもる必要ないだろ」
「それに行き着いたのは降参してからだったの!決戦前に渡すならワンチャン使えると思うじゃん!」
「……悪かったよ。その内システムに介入できるよう調整する……」
私がまさか自分の能力じゃなくドライバーを使うとは思ってなかったのか、ドライバー改良案が出される。
「んで、そっちの調子はどーなの」
「ああ。一応エボルドライバーの復元には成功した。エボルプライムの変身も可能だろう」
シオンがテーブルに置いたのは前の世界で見たエボルドライバー。
前の世界ではブラックホールの必殺キックでぶっ壊したのによく復元できたもんだ。
「おーすごい!蹴り壊しといてよく再生できた!」
「……近い世界を探してイジるだけだ。で、今あるボトルはフウシャ、ラビット、タンク、ライダーシステム。まぁこの4本でもこの世界なら破壊できるんだが……」
「じゃあしようよ。勉強やだし」
「いや、そこがミソなんだがな」
「ん?」
「前言ったかも知らんがな、オレはこの世界で更に進化する」
「こんな平和な世界で……?」
シオンが能力で進化したのは……何度か転生した中で前の世界が初めて。
プライムを回収する、というのが進化だとした限りだけれども。
「へーわってのは1番維持が難しい。平等でなければ争いは起こり、均等であれば競い合いが始まる。生存競争に生きてる以上、どっかで何かの争いは起こる。事実上、試召戦争なんて大人数の戦争が勃発してるだろう」
「やー……生存競争だから細かな競い合いから避けられないってのは分かるけど……学校行事じゃん」
「そーだ。学校行事でわざわざ争いを起こしてる。この世界でなくとも運動会だのコンクールだのあるだろ。あれも学校が、地域が、国が起こしてる争いだ。それだけ人間も争い続けてる。ならそれは進化の兆しだ。何処かに越えられない地点があって、それを超えれば進化する」
「うーん……例えば?」
「この世界の人間に魔術は使えない。魔力を生み出す事も無い。ならば誰か、魔力を生み出す事ができれば?それは現存する同種を超える進化だ。他の世界に無いマジェスティリバイブが進化の例だ。プライムはあくまで外的要因。それを取り込んで進化せしめたのはアーチャーだ。成長を越えた進化。それが永遠への第一歩だ」
現存する同種の上限を超える……
ん……?それは進化というか別の生物になると言う事では……?
「ほーん……まぁいいや。で?ドライバー復元してシステムには介入できそ?」
「ああ。もうおおよそは解析できてる。ボトルに落とし込めば可能だろう」
「おーすごい。もう負けちゃったから3ヶ月意味無いけど」
もうしばらく使い道が無い。
「……あ」
「……ほ?」
「あああああああああ!忘れてたぁぁぁぁ!そうか!負けたクラスは3ヶ月宣戦できないのか!何のためにオレはここまで急いだんだ!?今日に間に合わないなら3ヶ月あったと言うのに!」
「えぇ……」
「……いや、まぁいい。逆に言えば3ヶ月、やりたい放題って話だ。どうする?そこまで学校が気に入ったなら行っててもいいぞ?」
「やだ」
「即答すんなよ……」
シオンはこの3ヶ月を使ってエボルドライバーも魔改造するつもりだろう。
現状、最強のプライムトリガーは没収されてるわけだから……
「あのポニーテールと会いたくない。あのピンクに会いたくない。あのバカに会いたくない。あの代表と会いたくない」
「姉さん……何回世界巡ってんだよ……ある程度人間……どころか生物に耐性付いたろ?」
「無理、いるだけならいいけど喋るとかなんかしてるの見るのは辛すぎる。画面越しならいいよ」
「……無理か。まぁいいよ。今晩だけくれ。システムをボトルに落とす。明日遅刻するけどそれ以降元通りだ。内申点とかどうでもいいだろ、就職しねぇし。貯金無限だしな」
「ん、いいよ。今何千万あるんだろうね?」
「しるか。そこまでは無いだろ。数百万だろ、知らんけど」
「100万残しとけば期待値700万になるんだもんねー……最低でも200万……月100万つかう生活考えたことある?」
「……10万もないな。そもそも家賃も光熱費も発生してないからな。食費、生活必需品、嗜好品……5万でどうかってとこだ。食費なんてほぼねぇしな」
「私達食べないからねー……」
「……オレ達で人間なのギリギリ姉さんだけだしな」
「そうか……私以外は単独でで何かしら転生なり蘇生なりしてるなこれな」
シオンは私の別人格が勝手に肉体作ったり憑依したり分身したりでそもそも人間じゃないし、単独で異世界に跳べる抑止力、ほぼ雷の化身となった抑止力、シオンと同じ能力持ちの最高の魔導書。
知らん間にとんでもないメンバーになってるな。そりゃあ時計塔も狙いに……はて。そういえば時計塔、途中から見なくなったな。何でだ?
「ま、人間かどうかなんてどうでもいい。とりあえず次だ。あ……いや、一回試しとくか。姉さん、ドライバー持って帰ってるよな」
「そりゃもちろん。黒歴史誕生だよ?」
「学校行かねぇくせに」
《フウシャ》
「お?」
シオンがボトルを振ると世界が塗り替えられ──
「固有結界……無限の剣製?この世界は潰したはずじゃ……」
見渡す限りの荒野、宙に舞う無数の歯車、地面に突き刺さる無限の刀剣……
「ん?なんか景色変わった?」
「別世界に来たからだろうな。まぁ能力は同じだ。さぁ、少し試しておこう」
《エボルドライバー!》
新規能力を実戦で平気で使うくせにお試しなんて……よっぽどプライムトリガーがキテるな……仕方ない、付き合おうか。