バカと無気力で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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清涼祭前

《ガッシューン》

 

「ぐ……」

「ぶぁ……」

 

 2人とも何時間戦ったのだろうか……

 パーフェクトノックアウト……というかガシャットライダーには回復アイテムが存在してて……私でも余裕で戦い続けられた。

 ビルドドライバーに挿さったんだよ、このデュアルガシャット。すごい。

 

「げ、限界か……流石にここまでやったのは初めてか……」

「30分を越えてしたのは存在してはじめてだ……」

 

 時間はとっくに登校時間を過ぎている。

 今から出たところで怒られるのは確実だ……けど、どうせ戦争しないのだから関係無い。

 

「流石に……ご飯食べようか」

「……ああ。何がいい」

「いいよ、私が作る……」

「……そんな死にかけで動くなよ。軽めのもん作ってやるから」

「いいって、料理くらい私が……」

「……しなくていいってんだろ。大人しく寝とけよ」

「能力の長時間使用で負荷ヤバいでしょ。やるから……」

「……オレがやるってんだろ!体調崩す前に寝とけ!」

「はぁ!?私がするって言ってるの!VNAでありながら支配する気!?」

「気遣いってのは支配じゃねぇって学んだろ!オレは姉さんの体を心配してだな!」

「それを言える体じゃないでしょう!?神に貰った体じゃないと私の生身に劣るっての学習しなかったの!?」

「それはオレが有り合わせで作った体だったからだ!このXXで分かれた体なら問題ねぇよ!」

「自由意志を支配するのは有り得ないけど仕方ない……」

「……まさか」

 

 譲らないシオンには仕方ない。

 私の疲労はライダーシステムで大幅に軽減されてるのに対し、シオンは固有結界とライダーシステムの同時使用。

 どちらが休むに相応しいかは明らかなのに。

 

【止まれ】

 

「ぐ……」

 

「なっはっはー。首から下、固定したから。流石に全部の線切るのは無理でしょ」

 

 私の能力は両儀か根源じゃないと越えられない。時を止めても吹っ飛ばしても戻しても、それを上書きして固定し続ける。

 現状シオンが根源の類で使えるのは直死の魔眼だけ。

 勝ったなガハハ、飯作ってくる。

 

 ♢♢♢

 

「フタガミ。これで何回目だ」

 

 ごちゃごちゃした日々を過ごしているとオレでもだんだんと遅刻癖がついてくる。

 今となってはもう試験召喚システムに自在に介入できると言って過言じゃない。

 学校のシステムで試しては無いがな。並行世界のをいくつか試して完璧だったから大丈夫だろ。

 

「……さぁ?結構日にちあるんでね」

「そうだな。俺も数えては無いが2日に一度だ。それに、今何時だと思ってる」

「……失礼、色々忙しく時間を確認できていません。お教え願えますか」

「16時半、放課後にして帰宅生徒もいただろう。すれ違わなかったのか?」

「……跳んできたもんで」

「あ?」

 

 口が滑った。

 

「……失礼。遅刻届けは、どこへ……」

「はぁ……流石にもう俺でも庇いきれんぞ。今までの分持って学園長室だ」

「……私だけで?」

 

 ドサ、と渡された遅刻届の束。

 毎日のように書いてた記憶はあるがここまで溜まるとは。

 20……30?いやまさかな。

 

「分かった。俺もついて行ってやる」

「ありがとうございます」

 

 学園長室に学年最大の問題児が大量の遅刻届持ってくとか絶対したくないだろ。何年生きててもそのシチュエーションは体験したくねぇよ。

 鉄人こと西村先生の同伴も取り付けた。

 そう、戦争負けた次の日は結局姉さんの能力で無理矢理寝させられてそのまま寝たんだよ2人とも。

 ……で休んで、次の日行くと担任が変わってた。代表はじめ他生徒は死んだ顔をしていたがオレにとってはプラスだ。

 が、マイナスも当然ある。ちゃぶ台がダンボール箱になってた。致命だろ。

 

「学園長、失礼します」

 

 西村先生がコンコンとノックをし、無駄に壮大な学園長室のドアを開ける。

 

「「げっ!?鉄人!?」」

「おや、西村先生、どうしたんだい……ん?そこの生徒は?」

 

 中にいたのは代表と吉井、奥にふんぞり帰るババア……おそらく学園長。

 

「坂本、吉井……!木下からは帰宅したと聞いているのだが?」

「ち、違う!帰る途中に急に明久が学園長に乗り込むとか気の狂った事を言い始めてだな!」

「ふざけるな雄二!違います!全く逆!同じ言い分です!」

「みっともない言い訳をするな!学園長の前だぞ!」

「まぁまぁ西村先生。そいつらを呼び付けたのは私なんだ。今回は流しな」

「……まぁ、そういう事でしたら。しかし何故このバカ2人を?」

「ま、ちょいと清涼祭でトラブルを起こさない様にと予め注意しただけのことさね」

「そうでしたか。ならば2人とも、今日は帰っていいぞ」

「「失礼します!」」

 

 全員の言い分が違う……それに担任に通さず生徒を直に注意するか?学園長が?

 どれ……少しだけ心を読ませて貰おうじゃないか……

 

「で?そこの子は何の用だい」

「はい。彼女もまた、吉井と並ぶ観察処分者。溜まった遅刻届の処理をお願いしたく」

「はっ、さっきの2人もバカだがこの短期間でそこまで遅刻するバカもそうそういないだろうね。この学園の生徒に虐待やヤングケアラーは確認されてなかったはずだよ」

 

 ……?虐待……?

 ああ、遅刻の言い訳を潰してるのか。

 

「すみません」

「すみませんで済むならわざわざ報告なんて要らないよ。バカが知ってるか知らないが、学校には停学、退学って処分もあるのさ」

「学園長、流石にそれは」

「西村先生、これは教育者として譲れない指針だ。西村先生にも都合があるだろう。業務に戻りな。ま、遅刻くらいでそうはしないから安心しな」

「……フタガミ、しっかり謝っておけよ」

 

 西村先生はオレの肩を軽く叩き学園長室を後に。

 

「では、どのような処分が?」

「そうさな。1人だけ設備無し、休憩、休日無しはどうだい?遅刻を取り返すには十分な時間が確保できる」

「流石にその条件は厳し過ぎませんか」

「私は著しく常識と意欲に欠いた害悪問題児を片手間に退学させる事だってできるんだよ」

 

 しわがれた顔がイヤらしく笑う。

 それも教育者として使用不能だろ。

 観察処分同様然るべき機関に訴えれば潰されるのはそっちだぞ。

 

「……はぁ、ならば如月ハイランドのチケットを持ち帰ってやる。それでどうだ」

「……どこでその話を?」

 

 一言で学園長の顔つきが変わる。

 さっきバカ2人の心を読んで見つけた答え。

 

「清涼祭。何やら影のあるイベントらしいじゃないか。学園のため、働いてやるのもやぶさかでは無いが?」

 

 この場には2人しかいない。更にこの話は外に漏れない。

 ならば多少素を見せても問題無い。

 

「ほう。遅刻の罰を逃れるためにそこまですると?」

「おや、信用できませんか」

「できないね。どこからその情報を仕入れたんだい?そう候補は無いはずだよ」

「ま、それは秘密だが、アンタの敵じゃあない。そしてこの学園の敵でも無い。オレにこの学園は必要だ」

「事実上タダ働きだ。そこまで学園にいたいのかい?」

「ああ」

「ふん、いいだろう。勝算はあるんだろうね」

「ああ。そこがオレからの交渉だ」

「話してみな」

 

 よし。

 オレは背後からエボルドライバーを手に、学園長に見せる。

 

「それは……確かAクラス戦で使ってたやつかい?」

「エボルドライバー。コイツを使って、試験召喚システムに介入する許可が欲しい」

「システムに介入だって?ふざけんじゃないよ、そんなもん認められないね」

「正式に許可を貰えれば駒としてチケットを回収する。そうでないなら……オレは何をするかわからんぞ?あのバカ2人で本当に勝てそうか?ん?」

 

 この交渉はほぼオレの勝ちだ。

 この話が外部に漏れるなら不利なのは学園長。今までの全てを失うことになる。

 

「……その介入ってのはどうするんだい。まさか私に調整しろなんて言うつもりじゃないだろうね」

「まさか。調整はこちらで終えている。欲しいのは許可だけだ」

「終えてる、だって?もう使えるのかい?」

「ああ。何日遅刻したと思ってるんだ?」

「それの仕込みで遅刻を……わかったよ、この部屋だけ許可する。見せてみな」

「おっ、流石学園長。西村先生を従えるだけの知性はあるな。では……試験召喚(サモン)

 

 出てきた召喚獣は黒髪ロングの金ピカ……チッ、どっかで見た人間だな。やり直せんか?コイツだけは許せん。

 まぁそれはそれとして良い流れだ。後は変身ができれば……

 

《エボルドライバー!》

《フウシャ》《試験召喚システム》

《エボリューション!》

 

 ドライバーを装着、ボトルを振らずに装填。

 すると召喚獣にも同様のドライバー、ボトルが装着される。

 

「ほう?」

 

 学園長も興味を示した様子。

 そしてハンドルを回す。

 

《Are you ready?》

 

「変身」

 

《プライム!》《プライム!》《エボルプライム!》

《フッハッハッハッハッハッハ!》

 

 オレがエボルプライムに変身すると、召喚獣も同様に変身、同じ姿になる。

 

 ──双神詩音──28点

 

「姿を変えられるのは分かったが、点数は貧相なもんだね。それだけかい?」

「今んとこはな。今後、オレはこの能力を使って進化していく」

「進化ねぇ。で?それがどう勝算になるんだい」

「ああ。今できる分だと相手の武器をコピーして装備できる。同様の攻撃力でな。即死させたりもあるが観察処分者としての操作性ならまず負けは無い。あのバカ共も点数は伸ばせるだろうが確実では無いはずだ。オレなら相手と同じ点数で攻撃できる。相手と同じで、それを確実に上回る」

「ちょっと待ちな、聞きそびれたんだが、今即死って言わなかったかい?」

「ああ。システムを介して毒を流し込む……ま、言うなら相手をバトルからデリートする。使っていいなら使うが、不審に見られても困るんだろ?」

「その姿が既に不審何だけどねぇ」

「……それもそうだな。コスプレって事にならないか?」

 

 その点は考慮してなかったな。

 姉さんも普通に変身して受け入れられたとか言ってたから平気なもんだと。

 

「どうだろうねぇ……そこまで奇々怪々な姿だとねぇ……姿を変えるのは召喚獣だけってのは無理なのかい?」

「……どうかな。このボトルを使って変身してシステムに介入しているからな。姿を変えずに変身させられれば、召喚獣の方は問題無いか?」

 

 試験召喚システムのボトルが無ければただの破壊兵器だ。それは互いに望むところじゃないだろう。

 ……どうにかして姿を調整するか。

 

「そうさね。召喚獣の装備は人により様々、顔が見えないのが少し気になるが、そのベルトくらいなら問題にはならないだろうね」

「了解だ。じゃあそれについては清涼祭に間に合わせる。許可を得られた、と言う事でいいな?」

「仕方ないねぇ……構わないよ、許可しよう」

「よし。じゃあオレはボトルの調整に帰る。また遅刻する」

「代わりにちゃんとチケットを回収するんだよ」

「はぁい。チャオ」

 

 遅刻がすんなり受け入れられるあたり、コイツもコイツで柔軟性は高いのかもしれない。

 さて、何はともあれ許可は得たので変身時に装甲を纏わないようにするか……それは変身か?まぁ、いいか……目的は召喚獣だしな。

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