バカと無気力で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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清涼祭 ⑤

「あ、そう言えばフタガミ」

「ん……何?」

 

 客足はそこそこ戻ったものの最高潮というほどでは無いので、変わらず客寄せパンダと言う名の虚無を堪能していたのにポニーテールに話しかけられる。

 相変わらず何故シオンと関わりがあったのかイマイチ分かんないし……私は物理的なモノには即適応できるけど過去を見たりとかはできないからなー……シオンの方が最善を取れると思うの。

 

「そんな警戒しないでいいでしょ。それよりちょっと、アンタも着替えなさいよ」

「着替え……?ウェイトレスはもういいの?」

「それよりこっち。ウチや瑞希見てわからない?チャイナドレスに替えてって言ってるの」

「チャイナ……?」

 

 そう言ってポニーテールが出したのは青色のチャイナ服。

 教室を見てみると確かに女性陣は同じくチャイナを着ていた。いつの間に。

 

「チャイナかぁ……赤と青、縦割りの半分で用意してくれたら着る」

「何よそのこだわりは……」

「…………2分待て」

「ちょっ、土屋!?」

 

 せっかくならガシャットギアデュアルと同じカラーリングをと思っただけなんだども瞬間移動してきたカメラマンがポニーテールの待ってた青と紙袋から取り出した赤を迅速丁寧に両断。

 そしてプロの手捌きで縫い付けていく。

 

「おーすごい。流石カメラマン。シオンに匹敵するよ」

 

 手縫いとは思えないほど綺麗に繋ぎ合わせられ、元々そういうデザインなのではと思うほどの仕上がりになっている。

 

「…………条件は満たした!」

「言ってみただけなんだども、まぁ着るよ。ありがとう」

 

 2色になったチャイナ服を受け取る。

 着るとは言ったが着方が分からん。イメージ的にはこれ1枚だけって感じでいいのよね。

 

「まっ!まちなさい!何でここで着替えようとしてるの!?」

「…………(ブッシャァァァァァァ!)」

「え……や、え?ああ、犯罪か……衛生?」

「絶対違うわよ!アンタには恥じらいってものが無いの!?」

「着替え方が下手くそなのを恥じろと……」

「違うわよ!下着とか素肌見られていいのかって!」

「見て減るもんでもなし、この歳になると別段何とも……」

 

 私もう70超えてそうなんだよ。今更過ぎる。

 

「とにかく更衣室!常識でしょ!行くわよ!」

「む……そうだね。常識だ」

 

 腕を引かれて何処かへ。

 ついでに着方も教えてもらおう。

 

 ♢♢♢

 

「うん……意外と動き易いよね」

「布面積がそもそも少ないからね」

「まぁそれもそうか。じゃ、また客寄せしてるから」

「もういいわよ、中で働いてちょうだい。私と瑞希、アキと坂本も召喚大会だから」

「あ、同門対決……」

 

 絶望だなー……ありがちなのかな。どんどんDSAAに近く感じてくる。

 

「その間ウェイトレスと葉月をお願い」

「妹さんはどうして……?」

「葉月も手伝いしてるの。フォローしてよね」

「……まぁ、それは良いよ。分かった」

「ありがと。じゃあ行ってくるわね」

「同門で心の傷を負わないようにね」

「ある訳ないでしょ。傷を負うのはアキだけだから」

「それはそれでどうなの……?」

 

 仮にもクラスメイトを傷付けることに一切躊躇いが無いのは常識では有り得ないのでは……

 依然得体の知れないポニーテールを送り出し、教室に戻る。

 

「いらっしゃしませ〜」

 

 テキトーな挨拶しながらしれっと混ざる。

 

「お、戻ってきたか。すまないが厨房の方に行ってくれないか?」

「うん?シオンいるでしょ?」

「いや、そのシオンが呼んでくれって言うんだ」

「んー、了解」

「あ、葉月もお人形のお兄ちゃんに会いに行くです!」

「いいなら……いいけど」

 

 須川さんにホールを任せて厨房へ。

 そも何でこの子もシオンと私が区別できてるんだろ……今までこんな事無かったような……

 

「シオン?何ー?」

「ああ……ってなんだその服装……」

「チャイナ」

「……まぁいいだろう。でだな、男共も調理覚えたからムッツリーニと須川に任せてオレもホールに出ようと思う」

「……?何言ってんの?バレちゃうじゃん」

 

 同じ顔だからどっちか見えないように厨房とホールで役割分けたのに……

 

「だからどっちをどうするかって話。変装する」

「ほーん……どっちでも……というか、変身でしょ。そっちがしなよ」

「……そうだな。身長伸ばして髪色変えて……くらいでいいか」

「いいんじゃない?どうせバレないようするんでしょ」

「当然だ……じゃあ」

 

 シオンがオーロラカーテンに消え……すぐに戻ってきた。

 出てきたのは青髪ロングの…… 桃付けた帽子被ってる……誰?

 

「なん……誰……?」

「わー!お兄ちゃんすごいですっ!」

「……髪色が思い付かなかった。ピンクも青も許されるならこれでいいだろ」

「モデル誰なの……?いくら好きだからって桃の帽子だなんて……」

 

 シオンの頭には黒帽子に桃がまるまる乗ってる意味不明なもの。

 確かに桃のチューハイを好んで飲んでたけどそれはセンスが……着てるチャイナも空色のロング?だし……

 

「……なのはの世界に紛れこんでた別世界の天人」

「誰……?」

 

 天人なんていたか……?

 吸血鬼と……偉人の生まれ変わりくらいしか心当たり無いぞ……

 

「姉さんが発狂して滅ぼした方の……聖王の代わりにされたガキいただろ。てんしってやつ」

「ん〜……?あー!豆まきの子か!」

「ああ。アイツが成長したらこんな感じだろうって事」

「まーいいとは思うけど……名前何にするの?」

 

 前の前の前の前くらいだなその世界な。銀さんの前のなのは世界か。

 いくら次元犯罪者から助けたとはいえ勝手にその後を予想されて変装されるのはどうなんだろう……

 

「いや、まぁどうする……昔の偽名でいうならアミナか。漢字は……亜美菜……とかでいいか」

「なんか絶妙……」

「……変な字は使ってない。今日限りだしいいだろ」

「いいけどどこでそんな名前……」

「ヴィヴィオの学園祭にソラと行った時だ」

「学園祭もあったっけ……段々現実味を帯びてきたね」

「何がだ?」

「次元世界最強10代女子に首落とされるの」

「……オレもそれ思い出してたが、流石に大丈夫だろ」

「お兄ちゃん、死んじゃうですか?」

「……さてな。お前の前では死なねぇよ。お姉ちゃん帰ってくるまでホールの手伝い頼むな」

「はいですっ!」

 

 シオンでさえ苦い顔をする予想。

 やだなぁ……首落とすのと眼球刺すのだけは今後も勘弁してほしい。それ以外ならまぁ……

 

「よし、姫路たちがいない間はとりあえずこれで出るからな。ムッツリーニ、それでいいな?」

「…………構わなッ……構わない」

「……流石に血を料理に混ぜるなよ。一応お前には残酷な事かもしれんが……オレは男だからな」

「…………なん……だと……!?」

「行くぞ姉さん」

「あ……うん」

 

 私でさえ察するほど絶望しているカメラマンを放ってホールへ。

 アレ寝起きに口からゴキブリ出てきた時くらい絶望してたけど大丈夫かな……

 

「いらっしゃいませー!2名様ですね?はい、あちらの席へどうぞ!」

「いらっしゃいませー、えーっと、そちらどうぞー」

 

 このどちらを私と見るかで理解度が計れる。

 

「お、代表、終わったか」

「お前誰だ?このクラスにお前みたいなのはいないはずだが」

「アミナですよ……っても無理か、オレだよ。フタガミウタネは1人だけだ。だろ?」

「もうお前に関しては俺は何も言わん。精々貢献して邪魔しないでくれよ」

 

 2人になったり身長髪色を変えてと変幻自在のシオンに代表さんはもう言葉を持たない様子。

 やろうと思えばなんでもできるからなシオンはな。

 

「……オレはいつでもこの店を潰せることを忘れるなよ」

「シ……アミナ待ちなよ。この店は続けて」

「まぁそのつもりだ。じゃ、次はオレの番だ。秀吉!行くぞ!」

「先ほどから聞いてはおったが、本当にシオンなのじゃろうな?」

 

 シオンが1人必死に接客してた男装男子を連れてった。

 やれやれ……アミナのままで行くんだ。会場では戻るんでしょうね?

 にしても空色かー……ソラもイメージしてるのかな。

 

「で?どっちが勝ったの?」

「ああ、俺だ」

「坂本ね」

「そうですね」

「は……?2対2だよね?」

「そうだが?」

「え……何が起こったんだ……」

 

 代表さんの勝ちを支持するポニーテールとピンク。バカは何も言わない。

 特殊敗北でもあるのか……?

 

「でも正直ウチは助かったわ、なんか見せ物みたいで苦手だったのよね」

「あ……すみません、自分の都合で……」

「いいのよ、お安い御用ってやつ。けど坂本、アキ。ウチらに勝ったからには絶対優勝しなさいよね」

「当然だよ、絶対勝つ!」

「……?バカは負けたんじゃ……?」

 

 おかしい、さっきの話だと代表さんの一人勝ちだったはず……

 

「勝ったのは俺だが、ペアでやる以上明久も勝ち上がりなんだ」

「雄二がバカな事しなければ僕はやられなかったよ!?」

「ま……勝ったところで反対側にシオンが待ってるけどね」

 

 優勝はシオン。

 誰もシオンの力に届かない。

 

「そうだな。あの力をどうにかしねぇと」

「雄二、何か良い作戦無いの?」

「三年生Aクラスを1人で倒してしまいましたから、相当強力ですよ」

「木下は見てただけだし、坂本が何とかやれば良いんじゃない?」

「今んとこ無い。フタガミ、えーっと、なんだ」

「ウタネでいいよ」

「ウタネ、なんか無いのか?」

「さぁ……私だって試験召喚システムがどんなのか知らないし……」

「じゃああのベルトは?お前も使ってただろ。正直悪目立ちしてるぞ」

「悪目立ちで済むんだ……アレはエボルドライバー。2つの要素を組み合わせて進化していく究極のベルト」

「……お前が2人に増えたのは事実だから厨二病とは笑わないがな。じゃあ何か、試験召喚システムとなんぞやを組み合わせて進化するってか」

「別に試験召喚システムには限定しないけど……そんな感じ」

「じゃあお前の持ってたのを貸してくれ。それで対等だろ」

「んー……私のだとアレだよ、Aクラス戦の時にしたみたいに自分が変身して恥かいて終わりだよ。召喚獣に使うならシオンの試験召喚システムエボルボトルを使わないと」

 

 ボトル名長いな。サモンボトルとかでいいでしょもう。

 

「もうないのか?」

「無いと思うよ、アレだってシオンが急ピッチで作ったものだから」

「ち……いやまて、作った?アレは学園長から貰ったんじゃないのか?」

「ん?なんで?ベルトがシオンのなんだからボトルも作るに決まってるじゃん」

「確かにな……あのババァならあのベルトも大々的に発表するはず……」

 

 ババァって……仮にも自分の生殺与奪を握ってる人物をよくもまぁ。

 

「じゃ、じゃあさ!何か特徴とか無いの?そこから攻略法がわかるかも!」

「あ、それいいかも!アキ、中々やるじゃない!」

「んー……残念だけど、それも無いかなー……シオンは私の鏡みたいなもんで、相手の能力と自分の能力を足して戦う。シオンは相手をたった1人の反逆者として孤立させる。勝てやしないよ」

 

 相手の能力を全て使い、更には他の能力も自在に操る。

 相手は自分を含む全ての能力と戦う事になる。それは事実上、世界全てを敵にすること。この世の全てを敵にして勝てるなら、と思うけどその力もシオンに使われる。

 私みたいに殺される前に全てを終わらせてみせるなら、ってくらいかな。

 

「……いいや、それだ」

「ん……?」

「雄二、何か思いついた?」

「ああ、上手くいけばシオンを超える。作戦は少し詰まるまで待て。とりあえず今は喫茶店だ。さっきの宣伝のおかげもあって大盛況だ!気合い入れてけよ!」

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