「くそ……!好き勝手しやがる!」
ザ・ワールドとスタープラチナを防御に回してやっと押せる程度。
時間停止なんてまるで意味が無かった。
たった4秒、並大抵の相手なら十分な時間だが姉さん相手には短過ぎる。
無力化するだけの威力、かつ殺さないようにとなると……選択肢が無さすぎる。
そもそも停止時間中スタンド2体で殴ってもビクともしねぇしな!絶対ライダーシステムより姉さんの能力だろ!
《マッスル化!》《高速化!》
パーフェクトパズルのエナジーアイテム操作でフィジカルを底上げ、部屋の机だの予備椅子だのを好き勝手飛ばしてくる。
「ぐ……!」
更にノックアウトファイターの攻撃力と手数。
何とか軽減するので精一杯だ。
しかも燃えてるのか知らんがスタンド像が削れてる気さえする。
くそ、フェーズ1や神秘の低い能力ではやはり足りない……
「クソがよぉ!『
万華鏡で5分間の安息を得る。
残した
「……やるしか無いか……」
暴走した相手に洗脳も無意味だろう。
並大抵の装甲なら貫通される。
「……いや、もういいか。姉さんも言葉が無いならただの人間と変わらない……」
《MAX!ガタゴトズッダンズダン!》
《ハザードフィニッシュ!》
「……無下限呪術。全ての攻撃は無限に阻まれ到達しない。
「……」
無限に対しても殴り続けてくるパーフェクトノックアウトハザード。
諦めの感情も無いな。兵器としての機能を行使し続けるだけか。
「そして呪術はマイナスの力。そしてマイナスならコレが最強」
ハザードトリガーが消失、ビルドパーフェクトノックアウトに戻る。
そしてその攻撃は無限に阻まれる。
「……!ぅっ……!?シオン!?」
「
「うぅ……頭いた……あのトリガー、プライムトリガーと同じものだと思ってたのに……」
「違ってたみたいだな。ま、島田たちを保護してたのは褒めてやろう」
フルボトルとエボルボトルにはそこまで差が無いクセに……
今後トリガーを使わせるのも危険だな。
「ああ……うん、なんか頭痛してヤバい気したから」
「迅速にオレのフェーズを上げる必要があるな。現行のライダーシステムでは限界がある」
「でも対処できたじゃん」
「……いつ誰が言ったか覚えてないが、存在する能力には必ずそれを超える手段が存在する。だからこそのプライム。他の世界に存在しない能力なら、誰をも超える力を獲得できる。その兆しがエボルドライバー……まぁどうでもいい。姉さん、残りやっといてくれ……少し疲れた」
「ん……」
♢♢♢
「はー……やー……トリガー、ハザードだっけ。エゲツないねぇ。けどフェーズ1以上って感じなのは意外だ。エボルボトルだからかな?」
ドライバーからガシャットギアデュアルを引き抜く……ん?抜けない……
「あえ?何で?」
「姉さん、自分も保護してるだろ?上から固まったんじゃないか?」
「ん……あぁ、そういえばしたけど……多分ガシャット使ってなかった気がするんだけどなぁ……」
【解け】
「お、抜けた。あぁ、多分ドライバーと装備品で纏めてしたから替えても適応されたんだ」
「……それはそれで新事実発見だな。発言時の意図が解釈されて適応されるとなると……」
「全然気にしてなかったけど普通に覆われてた。聞こえないのはいいけど見えてもらえると助かるなー」
「……直死でしか視えねぇよ。しかも線でざっくり。やれやれ……六眼も輪廻眼もダメだな。無限なんてゴミみたいなモンしか使えねぇし、すり抜け、吸収程度じゃあな……直死の源流どころか直死にさえ全く……」
シオンが裂けて壊れたソファにもたれて考え始めてしまった。
無限をゴミ呼ばわりは怒る人いそう。
でーも無限じゃ直死に勝てないんだよね。
さーてここでお勉強。
無限って何だろう?とんでも無く大きな数。それはそう。数えられないほど大きい?かもしれない。けどそれは成立しない。
自然数は+1する事で数え続けることができる。どれだけ桁が大きくなっても、数えるうちに宇宙が寿命を迎えても、+1し続けられる。
つまり数えられない数は無い。そして数えられない無限があるとするなら、無限-1が数えられる数の最大だ。けれど数は+1できる。
それは理論の破綻。無限には有限の存在が確定している。なのに有限は+1して数え続けられる。なら無限は数えられる。有限は+1するから数えきれない。思考のスタートから逆になっちゃった。
なら……存在する全てを殺す直死の前に、無限なんて何の意味も無い。
無限じゃ永遠に届かない。
「まぁいいや。さっきまでごめんね。お詫びに遺言は聞いてあげよう。誰にも伝えはしないけども」
完全に萎縮してる男3人に話しかける。
返答は無い。ただただ怯えている。
「なに?言うことないの?ここに来た時はあんなに元気だったのに。若いんだからまだまだ体力あるでしょう?」
魂高齢者の私より遥かに若く活動的な精神をしてるはずの男たちは互いを前に差し出すように怯えているばかり。
「反省できる知能があるならなんで初めからするかなぁ……アレかな、仲間を目の前で殺せば生存本能で知能が活性化されるのかな。なら5人いたんだ、あと2人殺して5倍の知性を作ろう。数は減る、知性は上がる。最高だ。そーやって世界人口を3桁くらいに押し込もう。互いを害さず、平和で、真に支え合える世界になる。シオンの望むところだね」
いわゆるバカが夢見る平和な世界。
RPGとかで見る最初の村。
へーわだよ。互いが善意と善意で協力し合える理想の関係。
私が……生命に望んだモノ。決して実現しない理想。
だから……私じゃないシオンに押し付けた……永遠。
押し付けたからには否定しない。
鏡越しの向こうになら、2枚の鏡の向こうなら、その世界も映るかもしれない。
「なーんてね」
【潰せ】
即座に潰れる生ゴミみっつ。
はぁ……誰だよ、こんなの産み出したヤツ。ゴミならちゃんと燃やしといてよね。ポイ捨て厳禁。
「シオン?おわったよ。部屋閉じるから出よ」
「……ん。よし、島田、お前は妹背負ってこい」
「じゃないわよ!こんな事しといて平気で外に出るわけ!?警察よ警察!自首して!」
「……やれやれ。姉さんがこうしなければお前らは5人に強姦された挙げ句どっかに捨てられて死んでたかも知らんのだぞ?自分の危機が過ぎた途端に正義ヅラか?ならマジェスティリバイブは確かに正義だな」
「何よ?ダメなものはダメに決まってるでしょ!?」
「……ま、それは正論だ……が、忘れとけ」
「……」
シオンがひと睨みすると、島田さんはふらふらと部屋を出ていってしまった。
「何したの」
「……拐われてからの記憶を抜いた。どうあれ面倒になるだけだ。部屋の中は頼むぞ」
シオンはピンクを背負って部屋を出る。
私も後を追って外に出て……部屋を覆っていた能力をゼロに圧縮した。
生ゴミの汚れも何もかもをこの世から消した。
指紋や匂いさえ残さず、その全てが消える。
「また何も残らないのかなー」
「……」
「……?」
「……気にするな、行くぞ。代表たちを待たせてる」
「ん。そうだね、結構空けちゃった」