バカと無気力で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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清涼祭 ⑨

「ふざけてんじゃねぇぞ!何があったかしっかり話せ!」

「「……」」

 

 学園に戻ってごちゃごちゃして……

 拉致された事について代表さんに私とシオンが空き教室で説教を受けることに。お店ほったらかして……

 正座……足痺れ……感覚なくなってきた。破裂するなこれな。

 生物は血液システム脱却してくれ。圧迫に強くなれ。

 

「姫路たちに何も無かった事は褒めてやる。お陰で店の妨害も対応できたからな。だがアイツらが何も覚えてないってのはどうなってる!下手すりゃ一生モンのトラウマだ!何事も無く終わらせられると思うな!」

「……話すことは簡単だ。だが起きてしまった事実は既に認識されている。お前ら人間の倫理観では測れない」

 

 誘拐されたけど正当過剰防衛で全員返り討ちで皆殺しにした上で存在消した☆って言うのは簡単だけど……それが異常なのは私でも分かる。

 もう世界にそれは認識されてる。今更記憶を戻したり生き返らせたりしてもその前には戻らない。

 

「シオン、何が言いたい。犯罪者が言うように仕方なかった、なんて金太郎飴の様な言い訳でもするのか?」

「……そう言うか、お前が誰にも漏らさない事を条件に交渉するしかない」

「なら話せ」

「だがそれは無理だ。決して口にしなかったとしてもお前の意識や態度は確実に変わる……人は真実を知った時に変化する生物だ。オレはお前たちを変えることを望まない」

「変化する?相互理解ってのは相手を知って変わることだ。俺は代表としてお前たちも知っておく必要がある」

「だ、代表さん、私が油断してたからなんだよ、悪いのは私だから、シオンそんなに詰めないで……」

 

 固めて逃げてれば穏便に済んだのにな……

 私刑がダメなのは分かってるんだけど……

 

「ならお前が話せ。はじめからな」

「う……」

「はぁ……俺はお前らを信用してる。悪意の無い自衛だろうことも想像付いてるんだ。話してお前らをどうこうするつもりは無い」

「……どこぞの執務官みたいな事言いやがって。良いだろう、話してやるよ。人類の進化に仇なすゴミの末路をな」

「えー……話すのー……?」

 

 私が発狂して1人、能力で3人。シオンが制裁で1人。殺した。で、私達以外の記憶を消した。暴れた跡は圧縮して消した。

 言うだけならこれで済む。

 済むけど……よほどの異常者でない限り……私達に近いレベルでない限りは……何かしら、変化する。せざるを得ない。

 

「ムッツリーニのカメラに映ってた奴らは全員殺した。死体はゼロに圧縮されて消えた。島田たちの記憶は消した。事実は以上だ」

「……信じられるとでも?」

「だから言っただろう。人は真実を知った時変化するイキモノだと。お前らの倫理観では測れないと」

「……殺した、ってのは」

「知ってるはずだ。ライダーシステム。生身の人間を殺すくらい訳ない」

「……ゼロに圧縮ってのは」

「空間を圧縮して消した。世界最大強度と圧力で潰すならゼロに押し込む事も可能だ」

「……記憶を消して、ってのは」

「単純に脳に記録された情報を消した。銘記された部分さえ消してしまえば再認はおろか再生もできない。当然、保存されない。お前もしてやろうか?それがオレ達にとって最も簡単な方法だ」

 

 少なくとも神秘の無い世界にいる人間には理解できない事象。

 私の能力なんてずっといるシオンでさえ解析できてないくらいだし。

 人の記憶は『銘記』『保存』『再生』『再認』の4工程。

 ノートに銘記して保存、それを再び見て再生、それが以前と同じか確認する再認。

 シオンが言うのは銘記の部分を消したんだろう。

 

「……それを話した上で、俺に黙ってろと言うのか」

「それしかない。が、縛りはしない。それは自由だ。話すのも仕方のない事。それは自浄作用として機能する。自分たちの害になるものを排除する働きはあって然るべきだ。が、そうなればオレも自衛としてこの学園を……街を、世界を破壊する」

「えぇ……壊すの?この世界で欲しい能力あるって言ってたじゃん」

「……欲しいかどうかは分からん。進化の可能性の話だ。だが居られなくなるなら去るだけだ。歌舞伎町にだって居られなかったんだ。初めてじゃない」

「む……」

「ひとつ……条件がある。それを呑むなら、黙っててやるよ」

「……良いだろう、言ってみろ」

「俺にもライダーシステムを作ってくれ」

「……ふざけてるのか?このドライバーはオレにしか使えない。お前らは当然、姉さんにだってな」

 

 シオン専用と断言されてしまったどこかの世界の誰かの能力。

 可哀想だけど仕方ない。どうせシオンと対面しても何かしらで殺されるだけ。

 

「じゃあウタネの使ってる方はどうだ」

「……ビルドドライバーにもある程度の使用条件はある。だが……そうだな、黙っておく事に加え、召喚大会でオレに勝てれば考えてやる」

 

 あ、こっちのも条件あったんだ?

 シオンの事だから私に使える世界の選んでくれたんだろうけども。

 

「これ以上条件を追加するのか」

「……別にオレの保身のためじゃない。これはオレの教訓だ……道を選ぶなら、それに足るだけの資格を示せ。意味のないかもしれない苦痛と労力をもって」

「それに何の意味がある?むやみに時間を浪費するだけだ」

 

 シオンの条件は不可能と言える。

 

「……オレもそう思っていた。だがそれだけではない。それを経て資格を示したなら自業自得だと結論が出る」

「……?」

「たまたまできるからやらせた……本人も乗り気だった……その結果、死至る過ちを犯す。せっかく平和な世界に生きられるんだ、その過程を超えて資格を示せるのなら仕方の無いこと。納得するしかない」

「それアレか!緑茶艦長か!何でシオンが知ってるの!?」

 

 黒いのが居た戦艦の艦長のセリフだ!あの時は私だけだったはず!

 

「……オレが何度姉さんの記憶を呼んだと思ってる。闇の書が覚醒するまでにはそれくらい把握していた」

「えぇ……それくらい言ってよ……」

「……言ったとてどうなる。何も変わらない。知った事は元に戻らない」

「そーだけどー……知るの大事だよ」

「……まぁそれもそうだ。とりあえず代表。この事件を知ってるのはオレ達にクラスの一部だけ……被害者たちは記憶も無い……何とかしておけ。その上でオレに勝ったなら……お前のプライムを考えてやる」

「プライム?」

 

 知らない単語に代表さんが首を傾げる。

 仕方ないな。私が解説してしんぜよう。

 

「シオンのアイテムだよ。私のドライバーもプライムと言える」

「言えねぇよ。プライムってのは元々不可逆。たまたまワカメにくれてやる時にアイテム型にすれば取り外しは出来ると気付いただけだ」

「つまりこれは……ただアイテム貰ってるだけ?」

「姉さんはそうだな。他は例外無く不可逆に付与する」

 

 ナンバーズは確かに全員『能力』として付与した感じだったな……

 それで次の世界、聖杯戦争の世界では確か……知性最下層の生ゴミに納得した死を与えるため、シオンが『全ての行動が裏目になり、悲惨な死を遂げる』共通点を捻出してベルトをプライムとして手渡した。

 結局は誰も死なず……は間違いだけど、殺されずにはいた。

 今思い返すと殺すべきだったな。シオンもえっちゃんもいたけど……

 

「じゃあなんだ、『プライム』ってのがお前の意味不明な『能力』ってヤツで、それは他人にも使用できると」

「……半分正解だな、代表。プライムはオレの能力の踏み台に過ぎない。オレが与えた能力をソイツが更に使いこなし、改良し……進化したものをオレが1枠で使う。それを永遠に繰り返す」

「お前は他人の力で進化した気になってるのか?」

「……口を慎め、とは言わない。それを否定はしない。オレはあくまで中立。相手が望むからプライムを与える。与えたからには相応の対価を貰う。プライムでしてる事はそれだけだ。元々プライムを使おうが使うまいがオレが負けることなんて無いんだからな」

 

 シオンの能力に負けは無い。

 何故なら常に相手と極めて同じ能力を使用できるからだ。同じ手でじゃんけんするようなもの。

 プライムは相手が両手で出せるようにする。

 シオンはそれを並行世界の能力認定して出してきた手を片手であいこにする。そしてもう片方の手で勝つ。

 

「もし俺にプライムを与えるなら何だ?」

「さてな。まだお前を知ってるわけじゃない。何でもいいと言うなら適当にくれてやるが、せっかくなら使える方がいい」

「優しいじゃないか」

「勘違いするな。お前じゃなく、オレが回収して有意義なもの、と言う意味だ」

「身勝手だな」

「顔が良い奴は振る舞いが勝手らしいぞ」

「けっ、そーかよ。じゃ、約束忘れんな」

「ああ。せいぜい頑張る事だ」




清涼祭長くないか?これも全てシオンの自分語りのせいなんだがこれを無くそうと苦心しつつ結局は誰かに同じ事を語ってる。
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