バカと無気力で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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久しぶり〜……でもないかぁ。


強化合宿 ④

「よし」

 

 2日目突入。

 Fクラスの私はAクラスと同じ部屋に投げ込まれていた。

 

「寝よ」

「せめて起きてろ」

 

 横になろうとすると即座に代表さんのツッコミが入る。

 

「……雄二、一緒に勉強できて嬉しい」

「お前はあんまりくっつくな。お前が1ミリずつ擦り寄るたびに野郎共の殺気が二乗されてる」

 

 まさかまさかのAクラスとFクラスの合同勉強。

 レベルも民度も桁違い。

 

「でも、なんで授業しないんだろ?」

「やるわけないだろ。お前、Aクラスの授業聞いて分かるのか?」

「ふん、僕にとってはAクラスもFクラスも変わらないよ。どっちも理解できないからね」

「隅で小学生のドリルでもしてろバカ」

「そこまで酷くないやいっ!」

 

 自信満々に小学生レベルのテストで60点くらいを叩き出した代表さんに言われるくらいだから、多分適切なくらいなんだろうな。

 

「そーだ霧島首席さん。Aクラスの授業ってどんなもの?」

「……普通。説明を聞いて、問題を解く。覚えたり、発音を練習したりする」

「翔子、多分フタガミは進め方じゃなくてレベルを聞いてるぞ。大方、そこそこの大学レベルはしてるんじゃないのか?数Ⅲなんて終わってるだろ」

「……まだ少し残ってる。けど、私は解ける」

「へいへい。フタガミもそんな事聞いてどうする?」

「んーん。その程度(・・・・)なら問題無いなって」

 

 数Ⅲ……多分いけるよね。シオンならね。

 

「……!」

「翔子」

「……なに、雄二」

「殺気漏れてたぞ」

「……フタガミが馬鹿にしたから」

「馬鹿にした風では無いし、だからって怒るお前じゃないだろ。何敵意持ってんだ」

「……雄二と親しく話してる」

「あのなぁ……クラスメイトなんだから話すだろ。クラス違うお前が異例なくらいだ」

「……クラスなんて関係無い。雄二と親しくして良いのは私だけ」

「したらクラスの作戦会議なんぞできないだろ。クラスメイトだって言ってるだろ。普通に話はするし、多少親しげにもなる」

「……ダメ。私以外と話すの禁止」

「無理だ。毎日顔合わせんだから」

「……雄二が私との約束を破るたびに一文字ずつ」

「あ?なんだ?」

「……婚姻届にサインをする」

「俺はお前と結婚なんかしねぇ!俺が進んでサインなんてするわけないだろ!」

「……愛子」

「はいはーい。『俺はお前と結婚』『する』『サイン』『だって』『普通に』『するし』」

「うおおおぉぉぉぉぉぉお!!!???工藤テメェ!今何流しやがった!?」

 

 2人の会話からツギハギで偽装音声を流すショートの……工藤?さん?

 

「中々いいでしょー?代表、もうちょっと時間くれればもっと精巧にできるからねー」

「……ありがとう。雄二、この合宿が終わったら、言った通りサインしてもらう」

「言ってねぇけどな!偽装は犯罪だぞ!詐欺だ詐欺!合宿終わったら死ぬなんてふざけるな!」

「『結婚』『詐欺』『は犯罪だぞ!』『偽装』『なんてするわけないだろ!』……どう?アツアツ?」

「クソっ!俺の発言が悉く裏目になっている!?」

 

 精度はともかく内容としては問題無く理解できそう。

 これでマジで書く事になったらどーなるんだろ。

 

「…………俺に任せろ」

「ムッツリーニ!まさか反撃の録音をしてくれていたのか!流石だ!ブチかましてやれ!」

「『翔子』『録音』『だからって怒る』『俺』『じゃない』『結婚』『したら』『お前と』『進んで』『毎日』『するし』」

「くっ……流石ムッツリーニくん……」

「…………工藤愛子、お前はまだ甘い」

「じゃねぇ!とんでもねぇ事言わせてんじゃねぇ!こんなもん残しやがったら許さんぞムッツリーニィ!」

「……雄二、愛してる……」

 

 やはは。録音編集による応酬。

 録音肯定読み録音音声とは中々レベルの高い偽装率をオールウェイズ出してくれる……

 

「てかんなコトしなくてもコレで良くない?」

 

 シオーン。おもしろそーだよー。こーりゅー深めるなら乗っとくべきじゃないのー?

 

「……『翔子、愛してる。俺はお前の事以外考えられない。例え世界が夢に沈んでも、その先でお前を見つけてみせる。翔子、俺にはお前しかいない。こんな俺を受け入れてくれるなら、俺はお前の全てを愛そう』」

 

 ……これで、いいか……?疲れる……

 オッケーじゃない?言われる側としてどーなの?

 ……言われる側は姉さんだろ……どちらかに限定するならオレは言う側……キショ過ぎてオレのまま言えたもんじゃないが……

 

「……雄二っ……!私も、私も愛してる……!」

「あららー、フタガミさんだっけ、スゴイ破壊力だねー。録音より本物っぽかったよー」

「…………秀吉、後で頼みがある」

「儂を代わりにしようとしておるな!?仲間を追い込む為の演技はやらんぞ!?」

 

 やはは……面白み。

 

「いいよカメラマン。必要ならシオンに言わせてあげよう」

「…………助かる。後で必要な文をメモして渡す」

 

 ♢♢♢

 

「……もうやらねぇぞ、ムッツリーニ。あと工藤だったか、お前もソレ仕舞え」

「…………シオン、そこをなんとか」

「……やらん。諦めろ」

 

 姉さんめ、下らん事に能力使わせようとしやがって。

 

「あらー?フタガミさん、怒っちゃった?」

「……別に怒ってはいない。下らん事をするな、と言ってるだけだ。怒るべきはお前らだろ、何で覗きに来てた男子と普通に接してる?怒れよ」

「……私は雄二なら、いつ覗いても構わない」

「うーん、ボクもそうだねー、バレないようにするなら、かな?」

 

 ……やっぱりオレの思考が悪いのか?普通嫌がると言うか、よってたかって弾圧するんじゃないのか?

 

「じゃ、じゃあ工藤さん!」

 

 オレの常識を破壊する発言に吉井が意を決したように声をかける。

 

「ん?なに、吉井君?」

「き、君が──」

「ボクが?」

「お尻を見せてくれると嬉しい!」

 

 コイツはバカなのか?バカだな。純然たるバカだ。

 

「ぷっ、あはははは!吉井君はお尻が好きなのかな?それともボクの胸が小さいから気を使ってくれたのかな?」

 

 この工藤という女……テンション高めな姉さんくらい恥じらいが無いというか、オープンというか……バカ寄り……いや違うな、Aクラスの代表を代表呼びして互いに親しくしてるんだ、Aクラス……なのか……

 

「ちっ、違うんだ、別に変な意味は無くて──」

「明久君」

「アキ?」

「ひっ──ち、ちが──たす──」

 

 失言したバカは我がクラスの女子2名に連れ去られ、恐らく死んだ。

 ……どうせすぐ復活するんだろうが。

 

「はぁ、お前らもう良いだろ。勉強しろ。Fクラスは尚更だ。学力強化合宿で成長しないようなら普段からも無理だ。成長しろ」

 

 オレは寝るがな。

 

「おいキサマら!さっき吉井が出て行っていたぞ!何を遊んでるんだ!」

「あ……西村教諭……」

「……フタガミ。お前も点数に執着が無いのは分かるが、以前も言った通りだ。点数は誰もが強化できる武器。その機会をみすみす逃すのか?」

 

 壁に背を預けたところに西村教諭。

 

「……またしてもだが、言い訳はしない。事実だからな。吉井に関しては……それも済まない。オレも原因の一つだ。以後勉強する……他の奴らも、オレの責任において勉学に励ませる。すみませんでした」

 

 オレのフウシャボトルの力を知っているからだろうが、オレの点数に関してはスルー。

 だが、それはそれとして武器を研ぐ機会を逃すなというのも正論だ。成長しろと言ったのもオレだ。この世界の成長とは、すなわち学力を意味するからな。

 

「おい……俺は土下座しろと言ったんじゃないぞ。そのせいで俺が辞職になったらどうしてくれる」

「……そうなったら、死ぬまでオレが面倒見てやる。何でもできるだけの金と能力は用意できる」

 

 オレのせいなら……このレベルの精神性になら、姉さんの貯金100万を残し、全ての金額と望むプライムを譲渡してやる……その上で争いを起こすようであれば期待外れ、責任を持って殺してやる。

 

「はぁ……まったく。坂本、霧島。代表のお前たちが責任を持て。お前たちならこの合宿の目的も分かるだろう」

 

 そう言って西村教諭は立ち去った……

 

「まぁ……なんだ、フタガミ。とりあえず土下座やめろ。ムッツリーニが死んでる」

「……あ?西村教諭の圧力で?」

「いや……そのスカートで土下座するとだな、その、見え──がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?目が、目がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」

「……雄二。浮気は許さない」

「ち、違う!俺は何もパンツや太ももを見ていたわけぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「……雄二。雄二。雄二」

「……なんで血の海?おい、Aクラス代表。お前の彼氏以外にも男がほぼ全員沈んでるんだが、お前のせいか?」

 

 明らかに致死──以前ムッツリーニの持っていたスタンガンと同等以上のものを致死レベルで押し付けられた代表が死んでるのは別に構わない。原因は分かりきってるし、復活することも分かってる。

 が、他の男ども──AもFも何故血の海に沈んでるんだ……なんなんだ……

 

「……フタガミのせい」

「……オレぇ?」

「……ワザと下着を見せて、誘惑した」

「……こんなもんで?」

 

 スカートを捲って見せてみる。

 デフォルトも良いところな白の無地。なんもないぞ、こんなの。

 それでも血の海は広がっていく。

 

「……そういうのがダメ。男子には、刺激が強すぎる」

「……?無いだろ。男子高校生はよほどのクズじゃなければ理性は女のソレより遥かに強い。現状高校生以下なら下着で寝てても問題無いと言える」

 

 衛宮士郎は卿に唆された上で動けない半裸の姉さんに布団を掛け部屋を去った。

 女性下着を洗濯させ、性的衝動を肯定する言動を見せた上で何もしなかった。

 多分男女逆にして同様のシチュエーションなら姉さんでさえ触れるくらいはするだろう。知らんけど。

(しないけども?)

 今となってはそうだが、人生1周目での話だ。

(……揺らぐかも?クロノにした気もするし)

 だろ。

 だと言うのに相手は気を緩めない。

 

「……フタガミは考えが甘い。現に雄二たちは覗きに動いてる」

「……知ってるよ。だからこそ覗きは防ごうとしてるだろ」

「……アナタはどっちの味方」

「……オレはオレの味方でしかない」

「……じゃあ、今夜もこっちの味方?」

「……オレは頼まれた事をやるだけ」

「……そう、なら私からもお願い。アナタは私の約束に責任を持つと言った。これは雄二の浮気防止」

 

 ……約束?責任?何のことだ?

(あー、アレだよー戦争の。勝った方が1つ命令できる罰ゲーム。Aクラス代表さんと代表さんが付き合うこと)

 ……あぁ、オレの知らん間の事か。なら尚更どうでもいいな。

 

「じゃあそれは尊重してやる。この合宿、浮気はさせない」

 

(それ……若干違くない?)

 

「……ありがとう。でも」

「でも?」

「……当然、フタガミが雄二を誘うことも許さない」

「……そんな事があれば多分鬱入ってる時だから遠慮無く殺してくれ」

 

 そうでもしないと多分代表が先に死ぬ。

 ……勉強するか。

 今晩のため一応……な。テストしねぇから反映されねぇけどな。

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