バカと無気力で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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またしても何も……
申し訳ありません、清水美春の在籍クラスをEクラスと勘違いしてました。E→Dクラスへ修正します。


誤解戦争 その⑥

「……」

 

 学園長室から迷いなく帰路に……と思えば、何やら校門から学舎に似つかわしくない大勢が見えた。

 即座に身を隠し、仕方なく教室へ向かう。

 

「おう、どこ行ってたんだ」

「……疑問の解消。西村教諭はまだ戻ってなかったか」

「ああ。会ってたのか?」

「いいや。んで、クラスの半分が見えないが」

「まぁ……いつものことだ」

 

 教室にはムッツリーニと何やら紙を広げる代表と……女子2人、秀吉……くらいだ。自習と言っていたが、見えないのが半分とまで言ったのは優しすぎたか。

 

「呼び戻せるなら戻したほうが良い。不審者が大勢学園に入り込んできていた」

「不審者?」

「逃げたほうが良いのではないかの?」

「先生に知らせなきゃ!シオン、何とかなる?」

「……いや、別にテロリストじゃない。多分メディア関係だ」

「……なんだと?」

 

 物理的に害は無いだろ。多分。

 授業中だし、学園長室かAクラスの授業でも見に行くんだろう。

 学園の評判を落とさないためにも汚点はこの教室に押し込んで蓋をした方がいい。

 

『あ、こちらの様です!それでは、早速話を聞いてみましょう!』

 

 ……何故Fクラスに?

 

「あ、すみません〜我々、〇〇テレビなんですが、少々お時間をよろしいですか〜?」

 

 教室には一歩も入らず、廊下からの声掛け。

 総勢8人くらいか。カメラ4台。

 

「……代表、行ってこい」

「何で俺だよ」

「……要件だけ聞き出せ。映像は差し替えてやる」

「……お前、プライム以外にもなんかあんだろ」

「……黙っとけ」

「ったく……テレビが何用だ?話は先生が来てから……」

「この学園で暴力、殺人事件が起きたとお聞きしまして〜その詳細を〜」

「そんなものはありません。お帰り願えますか」

 

 ニヤニヤしながら話す相手に内心ブチギレてるだろう代表が冷静に対応する。

 

「ですがねぇ、ここの生徒さんからご連絡あったんですよ。ね!是非1日密着取材とか!ちゃんとギャラ代払うから!」

「お断りします。警察呼びますよ」

「あ、もしかして貴方がその犯人だったりしますか?それとも誰か知ってる?顔隠すから、ね、本当のところ話してよ!」

「……っ!」

 

 軽薄そうな男が代表に肩を組み雑に絡む。

 奴らからは見えないだろうが握り込んだ左手は近くの数人は瞬きする間にノックダウンも可能だろう。

 ……だがそれじゃあ思う壺だ。

 

「あ、テレビですかぁ?」

「おい、何で出てきた」

「……いいから、後はオレがやる」

「……」

「あ、なになに?何か知ってる?てか君可愛いね〜!スタジオで話す?」

「あ、ありがとうございます〜。けどスタジオは遠慮しますね〜」

「で、このクラスで起きた暴力事件!知ってる?結構酷いもんだったらしいんだけど」

「誰から聞いたんですかぁ?」

「あー、誰だったかなぁ?匿名だからね〜」

 

 ……名前までは出ないか。電話番号……公衆電話か。声……男、背はやや高め。やや嫌味っぽい喋り方……クラスの奴ではないな。

 だが学生なのは間違いなさそうだ。後で代表に聞くか。

 

「まぁいいです。で、知ってますよ、私、犯人」

「え、ホント!?誰々?」

「案内しますから〜廊下出てください〜」

「あ、このクラスじゃないの?いやーごめんねー疑ってー」

 

 形だけの棒読みもそのまま無視。

 廊下に出たのを確認して、他クラスのドアを姉さんが固定。

 これで他クラスの奴らは出てこない。授業中だしな、出てくるのはバカだけだ。

 

「じゃ、はっぴょーしまーす。この学園の三年生を日本刀でひと刺し、更に5名ほどをこの世から消し去った極悪人は〜……?」

「え……聞いてたよりよっぽどだ……大ニュースだみんな!」

「すげぇ!そんな奴がしれっと学生やってるとは!」

「万が一は逃げる準備しとけよ!ははははは!」

 

 大盛り上がりだなカスどもが。

 じゃ、姉さん、隠蔽と隠滅は任せてくれ。やり方は任せる。大量殺人犯を見せてやれ。

 

 ♢♢♢

 

「犯人、私です。貴方たち、もう帰れないよ」

 

 ん、8人くらい。

 距離は3メートルほど。

 

「「「……え?」」」

「うん、前から順番がいいかな」

「いやいやいや!冗談キツいって!他にいるんでしょ?番長みたいな人じゃないの?」

 

【捻れろ】

 

「……うっ!?うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」

「おおおお!?なっどうした!?何が起きた!?」

 

 手前の人の片腕を捻り切った。

 

「ん、どうしたの」

「マジか……お前だろ!何したんだ!」

「何、って?何の話?」

「この事態が見えてないのか!?腕がぶっ飛んでるだろ!」

「うん。とんでるね。で?」

「何したんだって聞いてんだ……!」

「何って何?私はさっきから喋ってるだけ」

「この……っ!誰か呼んでこい!他のクラスの奴らは!?教師はいねーのか!?」

 

 2人が後方へ逃げる様に、1人はFクラスに入ろうとする。

 カメラを持った1人は窓から飛び降りようとさえしてる。

 

「「「がっ!?」」」

 

 そのどれも叶わない。

 廊下もクラスの範囲で空気の壁がある。教室にはもちろん入れない。

 他クラスからは見えないし……Fクラスにも半分以上が出てってるから目撃者は少ない上、なんかこっち見ないように指示受けてるみたい。

 

「何をした!?訴えるぞ!」

「何って……な……ん……ですか。まるで私がやったみたいに。私、さっき……から言ってますよね、喋っ……てるだけ。証拠が……あるんですか?私が、この場から、一歩も動いてな、いのにその人の腕を、捻ったり……した、なんて。確証はなくてもそれらしい証拠、あるんで……す、よね?無い……のに言うの?私のせいだと?無責任に?」

 

 証拠は無い。

 いいや、あるにはある。私以外にそれをできる可能性が無い。

 悪魔の証明。私ができないことを証明はできない。

 

「まぁ、言った、もん……ね。もう帰れないって」

 

 最初のは失血でもうほとんど動いてない。

 そろそろ2人目いこうか。

 

【潰れろ】

 

「ギッ!?」

 

 両膝を内と外、しっかり押し潰して紙くらいの薄さにした。正面から見たら浮いて見えるよ。

 けどそれも一瞬。変な音立てて倒れちゃった。

 

「あらら……」

「ひぃぃぃぃぃ!?バケモンだ!?か、カメラ!さっさと映せ!全国にコイツの顔を拡散しろ!」

 

【無駄無駄】

 

「うわぁ!?」

「カメラまでぶっ潰された!?」

 

 シオンの能力で映像は差し替えられてるけど……一応潰す。

 私が知られるとどうも世界が『ヴィーナスだーころせー』ってなっちゃうし。

 

「ねぇ、人間。なんでこんなことしたの?理由、聞いとくよ」

「り、理由……?」

「あるでしょ、ナマモノが何かするなら、それは生存本能から派生する何かの方向性があるはず。まさか無い?まぁ、無いなら無いでいいよ。生存本能無いなら死んでも変わらないってこと。それはそれで、永遠だ」

 

 理由無し。価値無し。

 死んだ方がいい……ではない。生きていない方がいい。

 生きてる意味が無い。

 

「じゃ、サヨナラ」

 

 ♢♢♢

 

「代表、大体でいいんだが、背の高めで嫌味な男、心当たり無いか?」

「いや……それよりテレビどうしたんだ?」

「消した」

「は?」

「イキモノとしては足りなかった。で、男だよ。名前や電話番号は分からなかった。声の再現ならできる」

 

 どうせこの世界のモブだろう。基本世界に存在したかさえ怪しい。

 そんなことより奴らを寄越した奴の特定が先だ。

 

「再現?あぁ、合宿でもしてたな。秀吉と同じやつ」

「ああ。『〇〇テレビの皆さんにニュースです。文月学園の生徒が殺人を犯していることが分かった。ただ一学生の僕では返り討ちにされてしまうかもしれない。Fクラスを調べてほしい』……とこんな感じだ」

「さっきの奴らが言ってた内容と同じだな。そんで、その声はおそらく根本だろう。奴め、まだ懲りてなかったか」

「根本……?どいつだ?」

「Bクラス代表だ。お前も忘れたのか?」

「……あぁ、そういえばそんな奴いたな。忘れていた」

 

 確かに、記憶と合致するな。

 文房具ぶっ壊して不意打ちぶっかましてきた奴だ。

 だがまさか外部の人間まで使うとはな……そのせいで8人死んだが。

 

「だが何のために?ただの憂さ晴らしならいいが」

「よかねーけど、俺たちの補充の邪魔だろ」

「はぁ?んな事して何になる。憂さ晴らし以外の何物でもない」

「いいや、ムッツリーニの新情報だ。Bクラスも俺たちFクラスへの戦争準備を進めている」

「……理由は?」

「恐らくは自分の権限を取り戻すためだ」

 

 忌々しい、と溢す代表。

 

「半分八つ当たりだな。先の覗き主犯格を潰すとなるとある程度正当性もある」

「ああ。だがこの戦争は尚更回避しなければならない」

「Dからも逃げるくらいだからな。当然だ。だが逃げられないだろう。Eクラスと違って奴らに戦争を止める意味が無い」

「そうだな。このままならBクラスとの戦争は確実。そして負ける」

「……それを黙って待つお前ではないだろう」

 

 Bクラス代表、根本恭二。

 奴の陰湿さはどこぞの3年生を越えるかもしれん。

 そんな奴が自分の立場をと奮起するなら、取れる策は少ないだろう。

 

「Dクラスと戦争する」

「……はぁ」

「なんだよ」

「Dクラスにも負けそうだから回避したんだろう?何故?」

「負けそうなのと負けるのとでは違うだろ。Bクラス相手なら絶対負けるが、Dクラスならまだ可能性がある」

「お前……またオレと島田……美波に恋人のふ……ヨリヲモドセト?」

「なんだ、理解が速いじゃないか」

「姉さんほどじゃないがな」

「?」

「いや、気にするな。んでだ。要は先にDクラスと戦争して、補充を終えたタイミングでBクラスもぶっ殺す手筈ってことだろ」

「まぁそんなとこだ。Bクラスも諦めてくれりゃ上等だ」

「……はぁ。だったら清水を焚き付けるのが最優先事項。出来るのはオレだけ……か」

「そうだな。やるだろ?」

「やるさ。必要ならな。全く……」

 

 ふん……と鼻を鳴らし、万一さっきのテレビの件が漏れてないかを確認に教室を出る。

 

「いやいや待て待て、さっきのテレビの消したってやつも説明していけ」

「消した、以上の説明は無い。いつぞやの不良を思い出せ」

「……その内後悔するぞ、お前ら」

「お前の過去か?オレの未来には無いな」

「勝手にしろ」

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