人類史の汚点がヒーローを目指すようです   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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初任務

「じゃあ今回の作戦の確認をするで」

 

「「おー!」」

 

「と言ってもうちらに危険はそんなにあらへん。ターゲットの関係者の尾行や。ターゲットと接触しているかもしれない程度の関係性やから普通にちゃう可能性も高い、ドンパチするような任務でも無いからな危険性は低いで」

 

「はいはーい! 尾行する人はどんな人?」

 

「リコ良い質問や、今回尾行する者は至って普通のパン屋の店主や。ただ小麦をもしかしたらターゲットから密売している可能性があるんや」

 

「小麦粉の密売ってこと?」

 

「リヴァそうや。小麦粉は政府が外国から仕入れるか国内企業が量を調整しとる。大きな会社は政府から小麦を買い、一定期間保管後小麦粉にしとるんやが、ターゲットは大陸から小麦を密輸入するパイプを持っとる可能性が高いんや」

 

「なるほど、政府としては小麦は管理対象なのにブローカーから密売品を買われたら困るってこと?」

 

「そういうことや。鍵になるのは小麦をどう入手しているかや、テレポート系の個性で長距離を転移させているのか、それとも小麦を産み出す様な個性を持っているのか、はたまた体積を小さくする個性で気づかれん様に輸入しとるんか」

 

「どちらにせよヴィランが関わってるのは間違いないね」

 

「うちらが、張り込みするパン屋は都内に5店舗展開しているチェーン店何やが、業績の上がり幅が他のパン屋に比べて少しばかり不自然や。気合入れて調べるで!」

 

「「おー!」」

 

 

 

 

 

 とりあえずパン屋に客として普通に入り、パンを一通り買っていく

 

「ありがとうございました」

 

「値段は少し安い程度やな」

 

「味はどうや?」

 

「···!?」

 

「リヴァどないした!」

 

「すっごく美味しい! 他の店舗よりもモチモチしていて食べやすいよ」

 

「なんや、美味いんか」

 

「とりあえず探知機、盗聴器とカメラを設置するね」

 

 そう言うと那智は停めてあったパン屋の車の底を軽く触れると探知機を取り付け、お店の裏口とかに盗聴器を、電柱に監視カメラをぱぱっと取り付けた

 

「ほんま早いな」

 

「指で溶接できるからね。ちょちょいのちょいですよ」

 

「複合個性は凄いね」

 

「えへへ」

 

「じゃああとはデータを本部に繋げて今日のお仕事は終了、ちゃっちゃと帰るよ」

 

「張り込まないの? 牛乳とアンパン片手に」

 

「そんな昔のデカみたいな事はしないよ。長い時間張り込んでもここはそもそも当たりかわからないし、普通に美味しいから売れてるだけかもしれないからね」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局初任務は他の調査を担当していた店がヒットし、那智達が調査をした店は白だった

 

 犯人は物質を小さくする個性で毎月改造されたミニバンを船で大陸に渡り、小麦を格安で仕入れて床下に隠して密輸入していたらしい

 

 他に違法薬物を密造している工場の見取り図を個性を使って探知して作ったり、違法入国の外人を保護して国に返したりという任務が続いたが、中学2年生になると危険な任務にも招集されるようになった

 

 例えばヴィランと繋がったヒーローの暗殺が最初の危険任務だった

 

 そのヒーローはヴィランから分け前を受け取る代わりにヒーローや警察側の情報をヴィランに流して逃走の手助けをしており、手口が悪質と判断されて処分となった

 

 雑居ビルの一室がヒーローの事務所であったので換気扇から公安製の催眠ガスを流し込み、音響探知機で内部の情報を確認したうえでピッキングして突入し、ターゲットに青酸カリのカプセルを飲ませて暗殺し、事務所の金庫を個性を使って解除してヴィランとの繋がりの証拠を押収し、窓を開けて換気して入口から堂々と脱出した

 

 銃を使ったりすると個性がバレる為極力ガスを使って無力化し、毒でターゲットを殺害する方法を多用した

 

 お陰でヒーローよりも暗殺者に向いていると室長から言われる始末

 

 ただそういった暗殺任務を1年間で5件成功させた事で公安の中で出世を続けた

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

 室長に呼ばれ、会議室に入る

 

「よぉリヴァ、相変わらずダサいTシャツ着てるな」

 

「可愛くないですか?」

 

「家事や戦闘技術、潜伏、調査、全てがハイレベルなのに何で私服だけは残念な外人みたいなんだ」

 

「良いでしょ別に···で、室長が呼ぶってことは何か任務何でしょ?」

 

「あぁ、雄英高校は知ってるな」

 

「国立の超難関高校ってのは」

 

「そこに通え」

 

「はい? 遂に痴呆になりましたか?」

 

「いやいや、お前の表向きの顔としてプロヒーローとして活躍してもらうプランは前々から上層部では決定していたんだが、ホークスみたいにぜーんぶ公安内部で成立させるのも色々と問題が多くてな。ホークスのサイドキックとかは公安関係者のお陰でできなくなったという苦い経験があるからな。リヴァは公安でガッチリ固める必要が仕事内容的にあるからな」

 

「まぁ暗殺ばっかりですからね」

 

「あー、あとパイプ作りだ。有望なプロヒーローの卵達と切磋琢磨しておいて有事の際に協力を依頼しやすくしたい。あとお前の箔付けだ。お前の個性はどうしても偏見から入られるから、学生のうちに有名になっておけば嫌悪感も減るだろ」

 

「なるほど···わかりました! 3年間雄英高校へ入学して勉学してきます」

 

「あ、入試とかは裏工作とかできないから死ぬ気で残り1年勉強しろよ。偏差値79だからな」

 

「へっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピーピーガガガ

 

「リヴァ〜邪魔するで」

 

「邪魔するなら帰ってセーラー」

 

 多目的室の様な広い部屋にZ4と呼ばれるコンピューターが部屋に敷き詰められており、那智の体に無数のコードが伸びていた

 

「何しとるん」

 

「邪法で勉強を覚えてる。漢字とか英語とかの勉強はとりあえず覚えたから理科や数学の勉強として脳みそ以外に計算機を拡張して演算能力を高めているの。まぁこんな馬鹿でかい計算機でも初期型だから今のノートパソコンよりも性能は低いんだけどね。無いよりはマシ程度」

 

「ほーん、頑張っとるな、ほい、差し入れや」

 

「ハンバーガー20個···ありがたい」

 

「個性使うとエネルギーを消費するんやったな」

 

「エネルギーを補う為に体にボイラーを取り付けたよ。ほら」

 

 そう言うと那智の太ももから管が出ていた

 

「左右の太ももの中がボイラーになっていて、消化した後に重油を生み出して、それを体内で燃やして更に大きなエネルギーを取り出してる」

 

「なんか体に悪そうやな」

 

「一応健康診断では大丈夫だし、体に色々な装置を増設していってるからどんどん体が大きくなるんだよね」

 

「初めて会った4年前は130センチくらいだったのに、今じゃ180センチやからな」

 

「子供は大きくなるんやで(達観)」

 

「胸にも脂肪がつきやがって、このこの」

 

「ちゃんエッチ」

 

 見た目は完全にドイツ系の白人だが、戦艦のように大きな胸(Gカップ)も合わさってとても中学生には見えなかった

 

「模試とかどうや?」

 

「一応A判定だけど油断はできないかな」

 

「油断しないのはエエことやで」

 

「でも室長もケチよな、雄英高校の実技試験の内容とか知ってると思うのに教えてくれへんから」

 

「仕方が無いですよ。あと私もなるべく公平にやって勝ち取りたいですし」

 

「お、流石ヒーロー志望やな。考えが立派やで」

 

 セーラーと喋っているとドアが勢いよく開いて

 

「リコ登場! リヴァ! ご飯買ってきたよ! ありゃ! セーラーいたんだ」

 

「一足遅かったな。ハンバーガー20個先に差し入れたで」

 

「かぁ! ご飯の進む物を買ってきたんだけどなぁ」

 

「なになに?」

 

「じゃーん、モツ! 塩レモン、味噌ダレ、そしてピリ辛もあるよ」

 

「おお! ちょっと待ってね!」

 

 手を地面に置いて那智が力を込めると床からコンロが出てきた

 

「半径10メートル以内なら地面から物を生成できるようになったよ! 見てこのコンロ、古いタイプだけどちゃんとガスコンロになってるんだよ」

 

「ほへぇ、凄いなぁ、早速温めるか」

 

「はい、フライパン」

 

「本当何でも出てくね! とってもヒーロー向きの良い個性だと思うけどなぁ」

 

「えへへ、ありがとうリコ」

 

 実際那智のヒーローとしての適性は高い

 

 犯罪向きではあるが、大量の調理器具を出して食料さえあれば野外でも温かい食事を作ることができる

 

 毛布やコートを創り出して配るだけでもありがたがられるだろう

 

 生成できる物が限られている影響からか、創造の個性を持つ者達よりも低コストでより多くの物を作り出すことができる

 

 災害救助だけでなく直接的な戦闘能力も極めて高いのだが

 

「リヴァ、個性に負けたらアカンで。強い個性はそれだけ人格に影響出るからな」

 

「リヴァなら人の為に個性が使える良いヒーローになれるから受験頑張ってね! 私達協力するから」

 

「···ありがとう!」

 

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