人類史の汚点がヒーローを目指すようです   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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アハト・アハト

 雄英高校ヒーロー科

 

 プロヒーローになるための養成校であり、全国同科中最も人気で最も難しく、偏差値は脅威の79である

 

 これは高校では最も高い数値であり、全国の秀才、天才達が我こそはと試験に挑む

 

 倍率は300にもなりどれだけ皆ヒーローになりたいかがよく分かる

 

 ただヒーローになりたいだけであれば他の高校も視野に入れるが、トップヒーローを目指すのであれば東の雄英高校か西の士傑高校のどちらかを突破していないとスタート地点がまず違う

 

 雄英高校出身というブランド

 

 雄英高校OBによる独自の情報網

 

 サポート科等の同校出身のサポーターによる手厚いバックアップ

 

 何よりNo.1ヒーローオールマイトの後輩ヒーローという肩書が卒業すれば着いてくる

 

 メディアの扱いも初っ端の知名度や人気も全然違う

 

 ベストジーニストやエッジショットといった年齢的に中堅の彼らも含め、雄英高校出身者がトップ10のうち4つを占めている

 

 そんな偉大な先輩方を排出してきた高校に那智は挑む

 

 

 

 

 

 

 

 

 雄英高校入試数日前、私はホークスに呼び出された

 

 ホークスと会うのは年に数回であり、ホークスに公安の後輩として教育を受けたりもしていた

 

「よぉ死神、雄英高校に進むんだってな」

 

 ホークスは私の事を死神という

 

 プロヒーローやヴィランの間で噂される死神

 

 暗殺依頼を幾つもの受けてきた弊害か、リヴァイアサンではなく死神というあだ名が独り歩きしていた

 

「ホークス先輩、なんですか? 貴方も私を激励してくれる感じですか?」

 

「いや、しょーじき俺はお前さんが今更学生をやって時間を潰すよりも裏の仕事をこなしてくれた方が俺の仕事が減るし、ヒーロー達の危機意識も高まるから裏に潜んでほしいが」

 

「嫌ですよ。私の夢はずっと昔からヒーローなのですから」

 

「お前のヒーローになりたい動機は不純だらけだがな。承認欲求と名声、あぁ、お前を売った家族に見返したいとか殺しをしたことへの正当化も含まれているか」

 

「···いけませんか?」

 

「いや? 最近のヒーローらしいとは思うぜ、どこまでも自己中で自分の正義を押し付けるのは。ただな」

 

 ホークスが翼の一部を刃に変え

 

「ヒーローと自身の正義を混同させるな。それはお前が殺してきたヒーローと同じだからな」

 

 パン

 

 床から生えた小銃から放たれた弾丸がホークスの持っていた刃に当たる

 

「自身の正義? 私は正義を持ちませんよ? 私の正義はナチスになってしまいますからね。ナチスは悪、これは揺るがない事実ですが、悪の個性を正義で使うことにより、よりヒーローとしてバエルでしょ」

 

「家族から捨てられた少女がプロヒーローに···No.1ヒーローになったら面白いでしょうね。ホークス先輩、私の夢はねぇ等しい不幸なんですよ。公安により管理される社会···オールマイトは自己犠牲により社会を良くした···私はねぇ皆の少しの不幸で大多数の幸福こそが正しい社会だと思うんですよ」

 

「···全体主義者め」

 

「どうしても個性の関係上寄ってしまうんですよ。思考が···私自身の考えなのか、個性に人格が宿り始めているかわかりませんがね」

 

「ホークス先輩も人のこと言えませんよ。大多数の幸福のために少数の危険分子を排除しているんですから」

 

「···」

 

「まぁ私らみたいに少し狂っているくらいが丁度よいんですよ。公安の駒としては。仲良くしましょうよ先輩」

 

「昔はもっと可愛げがあったのに、いつの間にか悪党になりやがって···」

 

 ガシっと握手をする

 

「俺の夢はヒーローが暇を持て余す世界だ」

 

「私の目指すヒーロー像は圧倒的な力です。武力による平和ですよ~」

 

「公安を裏切るなよ」

 

「恩を仇で返すほど恥知らずじゃないですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 雄英高校の入試は筆記と実技がある

 

 午前から国数英の3教科を行い、昼休みを挟み社会と理科を受ける

 

 そして最後に実技試験を受けるという流れになっている

 

「あぁ難しかった。でも普通科も筆記テストは同じの受けるんだよねぇ···そりゃ普通科の偏差値も高いはずだ」

 

 国立で学費も安いのでそれ目当ての学生もいるが、ヒーロー科でなくても雄英高校出身であれば有名大学や大手企業への就職にも役立つ

 

 何気に有名大学への進学率も全国トップクラスなのである

 

「あぁ、変な事考えてるわ···さて、実技試験の説明を受けますか」

 

 筆記試験の会場から実技試験の説明を行う大講堂に移動する

 

 受験番号の座席に座り辺りを見渡すと広さ的に数千人が入れるんだろうなというのがわかる

 

 そしてその大講堂で説明を行う教員は勿論この人物である

 

『今日は俺のライブにようこそー!! エブリバディセイヘイ!』

 

 ボイスヒーロープレゼントマイク

 

 雄英高校のヒーロー科の教員は全員がヒーローであるという決まりがあり、彼もヒーローと教員という二足の草鞋をしていながらも活躍する尊敬すべき立派なヒーローである

 

『それでは今年の試験内容を説明していくぜ!!』

 

『入試試験はズバリ10分間の模擬市街地演習! 市街地を想定した演習場でヴィラン役のロボットを破壊もしくは行動不能にしてもらうぜ!』

 

 配られていた資料を見ると仮想ヴィランの説明がざっくり書かれていた

 

 1ポイントヴィラン

 

 素早い、脆い

 

 2ポイントヴィラン

 

 バランス

 

 3ポイントヴィラン

 

 硬い、強い

 

(うーん、ざっくりし過ぎでしょ)

 

 この他にもう一種類ヴィランの写真が乗っている

 

 これに対して質問をした受験生が居たが、お邪魔ヴィランで、基本的に戦闘訓練を受けていない人ならば破壊不可能オブジェクトのような物だと説明された

 

(そう聞いちゃうと倒してみたくなるけど)

 

『勿論他人への攻撃等のアンチヒーロー的な行動は御法度だぜ〜』

 

『俺からの説明は以上だが、せっかく来てくれたリスナーのために俺から雄英高校の教訓をプレゼントだ。かのナポレオン·ボナパルトは言った。真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく物だと!』

 

『プルス・ウルトラ···更に向こうへ。それではリスナーの諸君、良い受難を』

 

 

 

 

 

 

 

 模擬市街地も幾つものグループに分けられており、その1つ1つの会場が小さな街みたいに広い

 

「さてどう倒すか」

 

 周りを見ると自信に満ち溢れている者、不安そうな者、準備運動をする者、精神統一をする者、持ち込んだ武器の最終点検をする者と色々だ

 

 体内では試験に合わせて色々とカスタマイズを始めている

 

 足にはプロペラが生え、腰辺りまで金属で覆われていた

 

 ストライカーユニットというストライクウィッチーズというアニメから構想を得て、それを自身の個性で再現できないかやってみたところ普通にできてしまったという物で、那智のできることは大半がこんな感じである

 

 ちなみにストライカーユニットは数種類あり、長距離を飛行できるが小回りが効きにくい双発レシプロ型(片足に2基のプロペラとエンジンが付いている、両足だと4基)、小回りが効き、バランスが良い単発レシプロ型、短時間だが音速をも超えるロケット型が存在する

 

 今回は単発レシプロ型である

 

 頭にはレーダーが回っており、情報を収集している

 

 異様な姿に驚く者も居たが、那智は気にせずに準備を整え、いつでも行けるように精神統一をする

 

『スタート!』

 

 予告無しのスタートの掛け声をプレゼントマイクが言い放ち、一気に演習場の上空に飛行する

 

「さて、今週のビックリドッキリメカはこいつだ〜」

 

「テッテレー···ゴリアテ!」

 

 ゴリアテ、大戦期にドイツが開発した誘導爆弾であり、時速10キロでリモコン操作により目標向かって進む爆弾で、小型の戦車にしか見えない外見と低い信頼性からネタ兵器扱いされている

 

 パカリと那智のお腹が爆撃機の様に開くと次々とゴリアテが空中から投下され、パラシュートでゆっくりと落下していく

 

 会場の奥の方に大量のゴリアテがばらまかれると、空を飛ぶ那智の腹から伸びる大量の有線の命令に従い、近くの仮想ヴィランに近づいてピーピー警告音が鳴ると爆発する

 

 上空でレーダーを回しながら敵をリサーチしつつ、ゴリアテの誘導で次々に爆発するという作戦だ

 

 勿論効率を狙うならゴリアテではなく滑空誘導爆弾であるフリッツXという無線誘導爆弾を使用した方が良いのだが、それは対艦攻撃用の兵器であり、万が一人の近くに落ちたら普通に死ぬので今回は見合わせた

 

 ゴリアテではなく普通に急降下爆撃でも良い気もするが、数をこなさなければならないことを考えるとゴリアテをばらまくのが安全面と効率面から良かったりする

 

 市街地の奥の方を数分で狩り終えるとデカ物が登場する

 

 お邪魔ヴィランの登場だ

 

「まぁお邪魔と言っても機械だし、装甲兵器に対してはこれが一番だろうねぇ」

 

 地面に降りると右手巨大な大砲···8.8 cm対空砲···アハト・アハトの登場である

 

 ドンドンドンドンと地面との設置面をロックし、キュルキュルキュルと大砲の角度を那智の意識で調節する

 

 ガシャンと砲弾が装填され

 

「ファイヤ」

 

 ドン

 

 アハト・アハトから放たれた徹甲弾がお邪魔ヴィランの顔面を貫通する

 

「アハハハ、流石アハト・アハト! デカ物だろうがイチコロだ!」

 

 徹甲弾による砲撃は想定していなかったのかお邪魔ヴィランは制御する頭を失い、膝から崩れ落ちて機能を停止した

 

『終了!! 試験終了だぜえ!!』

 

 プレゼントマイクの号令で実技試験は終了したのだった

 




こんな試験じゃないとアハト・アハトは出せないでしょうから出しました

アハト・アハト、こいつは素敵だ!大好きだ!

ちなみに対空砲と言ってますが、対戦車徹甲弾が撃てるタイプです
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