人類史の汚点がヒーローを目指すようです   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

8 / 11
戦闘訓練

 通常授業が翌日から始まり、プロヒーロー達が普通に先生をしているが、教師としても普通にわかりやすい

 

 そもそも教員免許を持っているということはプロヒーローになってから大学に行ったか大学に行ってからプロヒーローになったかの2種類だが、雄英高校の教員はほぼ全員が前者である

 

 質の高い教員を揃えられる校長や人事の方々に感謝しつつ、授業を受けるが、この時期の授業は殆ど中学の復習である

 

 新しいことも教わるが、出身中学がバラバラの関係上一旦均す必要がある

 

 まぁ雄英高校に合格しているようなメンバーなので基礎はできている

 

 そこからいかに積み上げていくかだが、ヒーロー科はヒーローになるための勉強もしなければならない

 

 ヒーローになるためには戦闘訓練、災害救助訓練に各種法令を覚えなければばならない

 

 ヒーローも公務員

 

 副業が認められ、そこから派生して個別の魅力が出てくるが、ヒーローになりたいなら戦闘能力か災害救助のどちらかは押さえなければいけない

 

 そもそも個性を使わなくても自衛隊や災害救助の組織は幾らでもある

 

 個人であるヒーローが活躍するためには彼らよりも有用であることを示さなければならないためヒーロー基礎学と呼ばれる授業の重要性は嫌でも気にする必要がある

 

 ヒーロー科は五教科にヒーロー基礎学の筆記と実技、試験があるため更に頑張らなければならない

 

 ちなみに先生は全員が余裕を持って3年生に上げたいとか、仲良くとか言っていたが成績が不振であれば普通に普通科に落とされる

 

 ヒーロー科からの除籍処分であり、隣のA組の相澤先生はそれを多発する先生で有名らしく、事実初日から1人除籍者が出たらしい

 

 まぁ除籍処分を受けても成績と元担任の許可があれば復学できる仕組みもあるらしい

 

 相澤先生は除籍を多発するが復学させている数も全ての先生の中で一番多い

 

 逆に一度除籍したら復学難易度がとんでもなく高い先生も居るらしい

 

 というか東條さんが1日でなぜそんなに情報を集められたのかのほうが気になる

 

 どこの業界にも情報屋みたいな人物が出てくるものなんだろうなと考えながらも、独自の情報網があったほうが便利だなと私も作ることを決意するのだった

 

 

 

 

 

 

 さてさて、昼休みが終わりヒーロー基礎学が今日は3時間もある日だ

 

 基本的にヒーロー基礎学は担任の先生が担当するため13号先生が教えてくれる

 

 彼女の得意とするのは災害救助であるが、最初の授業は戦闘訓練をするらしい

 

『では皆さん、事前に送ってもらった個性届と要望書に基づいた戦闘服、コスチュームを着てください』

 

 戦闘服、これはヒーローにとってとても大切な要素である

 

 スポーツ選手のユニホームのようにその人と覚えてもらえる為の服装であると同時に短所を消して長所を伸ばすサポートアイテムである

 

 例を出すとベストジーニストというヒーローが一番コスチュームを使いこなしているヒーローと呼ばれる

 

 繊維を自由に操る個性の関係上、服を着ている敵ならば無力化は容易いのだが、異型のヴィランには服を着ていない者もいる

 

 そういうヴィランに対して自身のコスチュームの繊維を使うことで捕縛を行う

 

 見た目のスタイリッシュさとコスチュームにより長所を伸ばしたヒーローの典型的な例である

 

 皆コスチュームに着替えていく

 

 私もコスチュームを意気揚々とケースから出して広げると

 

「···要望と違うやんけ!」

 

 バシッと戦闘服を投げ捨てた

 

 要望したのはスーツだったのだが、中に入っていたのはナチス親衛隊の黒勤務服と呼ばれるのと黒いコートだった

 

 説明書によると

 

『個性ナチスから連想しやすいナチス親衛隊風のコスチュームに仕上げました。コートは特殊繊維となっており、防弾、防刃、防火仕様です。ハーケンクロイツのワッペンを付けようと思いましたが流石に上司に止められたのでやめておきました。帽子もドクロ模様から鉄十字仕様に変更してあります。ヒーローとしての格好良さ重視です』

 

「格好良さ以前に人類史稀に見る悪なんですけど! くそったれ! この個性でどれだけ差別されたことか!! ···返品したいけど授業に遅れると不味い···ちくしょう」

 

 とりあえず服を着用して授業の会場に向かう

 

 まぁハーケンクロイツやSSの文字が無いのパット見軍服にしか見えないが、分かる人にはわかるだろう

 

 会場では様々な戦闘服を着た生徒達がズラリ

 

『皆さん集まりましたね。では今回の訓練の説明をします』

 

 まず会場は5階建ての廃ビル

 

 内部には特に物は置かれていないが、壁等で入り組んでおり、上手く使えば奇襲をすることもできるだろう

 

 敵役とヒーロー役の2対2に分かれ、敵は人質の人形を奪われたら負け、逆にヒーローは人質の人形を奪えば勝ちだが、双方人質の人形を傷つけたら強制的に負けというルールである

 

 また双方捕縛テープが配られ、そのテープを巻かれたら戦闘不能扱いである

 

 私とタッグを組むのは水野放君で個性は周囲の水分を集め、増幅して放つという個性で消防系ヒーローを目指しているし、水中でも水を噴出することで高速で泳ぐ事ができるらしい

 

「水があればエリアを水没できたりする?」

 

「できるが、増幅するといっても元となる水が必要だが」

 

「それは私が用意する」

 

 私達は敵役の第一試合に選ばれた

 

 ヴィラン側、ヒーロー側双方10分間の準備時間が与えられ、準備を始める

 

 ちなみにヒーロー側は東條さんと桜花君である

 

 東條さんの個性だと侵入されたら気配を消されて気が付かないうちに人形を持っていかれないので対策を講じる

 

 

 

 

 

 

 

 〜ヒーローサイド〜

 

「じゃあ侵入したら私が気配を消して進むから、桜花君はアシストをお願いっすね」

 

「おう! 戦闘は任せろ」

 

 意気揚々と入口に向けて歩くが、入口がコンクリートで防がれていた

 

「おいおい入口を塞ぐのありかよ」

 

「特に禁止とは言われてないし、10分間で準備ができれば良いんじゃないっすか?」

 

「まぁそれだったらこっちだって考えがあるぜ!」

 

 桜花君が鉄片矢(鉄芯)を出してきた

 

「桜花君、それは何っすか?」

 

「鉄片矢といって、特殊合金の矢みたいなもんだな。人に向けたら危ないんだけど、こういう障害物を破壊するにはうってつけのサポートアイテムだ」

 

 桜花君が数本の鉄片矢を空に投げると、向きを変えてコンクリートで防がれた入口に突き刺さった

 

 メキメキと音を立てて亀裂が入り、中に突入しようと近づくと

 

「「水?」」

 

 亀裂から水が漏れていた

 

 次の瞬間亀裂が裂けて、ビル内部から大量の水が流れ出た

 

「「うわぁぁぁぁ!」」

 

 濁流に飲み込まれて押し流されるヒーロー組

 

 混乱から立て直して再度ビルに突入すると中は真っ暗になっていた

 

「見えないっす!」

 

「ヴィラン側もこれじゃあ見えないんじゃないのか?」

 

 

 

 

 〜ヴィランサイド〜

 

「残念、こっちは赤外線の暗視ゴーグルをつけているんだよね」

 

 ビルの窓を塞ぎ、光源となる物を片っ端から破壊した事で会場は真っ暗となっていた

 

 こっちは赤外線ゴーグルと音波探知でヒーロー側の位置情報はわかっているし

 

「水野君、3番ポンプに放水」

 

「あいよ!」

 

 水を増やせる水野に那智が作り出した貯水タンクと水を使い、ポンプで階層を指定して水を流していく

 

 上に向かおうとすれば濁流に流されるし、耐えても、第二波、第三波と水攻めが続く

 

 結局ヴィラン側が時間いっぱいまで粘り、勝ちを収めた

 

 総評としてはヒーローに何もさせないのと下準備の段階で勝負が決まっていたという見ていた生徒達から評価を受けた

 

 で、この試験、双方人質が居る関係上大技を出すことができなく、ひたすら地味な画角が続く

 

 授業が終わり13号先生が

 

『いかがでしたでしょうか。ひたすら地味でストレスが溜まる授業だったと思いますが、ヒーローの現場はこんな事が日常茶飯事です。ヴィランは人質を使い、有利な条件にしようと動いています。そういう状況下でも素早く正しい動きができるようにきたえていきましょう!』

 

 個性が強い面々は今回の訓練でいかに精密操作しなくてはいけないかをしっかり学び、糧にしていった

 

 那智も初回から奥深い授業をさせてもらったと関心し、その日を終えたのだった

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。