人類史の汚点がヒーローを目指すようです 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
さて授業が始まって数日
皆の性格がなんとなくわかってきた頃、13号先生が
『今日中にクラス委員長と副委員長を決めてもらいます』
と発言
ホームルームの時間を使い、委員長決めを始めた
委員長になりたい人手を上げてというとびしっと挙げたのは雷鳴さんだけで、あとは逆に挙げなかった
「ええ!? 雄英高校ヒーロー科のクラス委員長だよ!」
「落ち着いて考えろ雷鳴、クラス委員長は先生が1年毎に変わるって説明したろ。最初にやるのは別に誰でもいいってのと、3年時のクラス委員長が同窓会やらのセッティング係になるし、そういうのはヒーローのビルボードチャートが高かったり、しっかり独立できそうな奴がやるべきだろ」
「逆に最初から皆を引っ張るって素養を高めるなら今からやるのもありだが、自分は皆を引っ張る実力か学力がありますって公言するのと同じだぜ」
「そ、そう言われると自信無いかも」
雷鳴さんも早まったかもと手を下げる
「実力順だとこの前の個性把握テストを参考にするのがいいんじゃないっすか?」
東條さんが意見を出し、それに皆も同調した
戦闘訓練とかでも活躍したのは強個性ではなく、相性と戦術によるものが大きく、頭の良さと発想力を各自見ることができていた
だからこそ、委員長決めは皆慎重になっており、最終学年で委員長をしている方が良いという判断で皆動いていた
だから1年の委員長に固執する者は少ない
『珍しいですね。例年であれば委員長の取り合いに発展するのに』
13号先生も首を傾げていたが、それだけ皆慎重なのだろう
強個性が多い故に制御に人一倍苦労をしてきた面々だ
慎重の方が都合が良いことを処世術として身につけているのであろう
『ふむ、ヒーローを目指す以上、積極性も武器なのですがね』
「積極性と蛮勇を履き違えるよりはマシだと思いますが」
那智が13号先生の言葉に意見をする
『ヒーローは人の見本にならなければならない職業ですし、夢を与える職業です。慎重なのもよいですが、格好良さ、美しさ等もヒーローとしての人気を考えると必要になってくるのです。それに積極的に動かないといざという時に尻込みしてしまいますよ』
まぁこの意見もご尤もだが
「でもね先生、長生きできるヒーローは慎重くらいが丁度良いと思いますけどね」
と意見をした
ヒーローはヴィランと直接戦闘をする職業柄、殉職率も非常に高い
トップクラスのヒーローでも5年に1人は亡くなっている
そういう業界である
ヒーローに夢を見るのも良いが、少なくとも1-Bのメンバーは夢よりも現実を見ていた
結局、委員長は個性把握テスト順で光円君が委員長、副委員長に那智がなり、委員長決めは終わった
学生食堂···雄英高校だとランチラッシュのメシ処と呼ばれている(というか看板にそう書いてある)ではヒーロー科だけでなく他の科の生徒も集まり、食事を楽しむ場所である
そこで仲良くなった女子の東條さん、白身さん、とろろさんと4人で那智は食事をしていた
「どう思う」
「料理酒···いや竹炭を米を炊く時に入れて匂いを消していると予想するよ〜」
「私もそう思う」
毎度食事をする度に白身さんととろろさんは食事の隠し味や調理法を味から逆算しようとする
「いや、まったくわからん。東條さんはどう?」
「まったくわからないっす」
普通の味覚の那智と東條にはそのクイズは難しすぎた
「そう言えば最近のニュースだとこの近くにオールマイトが来ていたらしいっすね」
「え〜東條ちゃんほんと〜」
「本当っすよ。ヘドロのヴィランを拳の勢いで吹き飛ばし、人質の少年を助けたらしいっすよ」
「うへ~、流石オールマイト、No.1ヒーローはすごいねぇ」
「いつか彼を抜かしたいよね」
「お! 那智ちゃん言うねぇ」
「でもオールマイトを抜かすとなると具体的にはどうするっすか?」
「やっぱり最強になるのが手っ取り早いんじゃない?」
白身さんがそういう言う
「最強って?」
「オールマイトが倒せなかったヴィランを倒せば最強ってことじゃない?」
「そんなヴィラン地球上に居るの?」
「居ないよねー、オールマイトが負けるビジョンが見えないよ」
「とろろが思うに、オールマイトを超える人気者になれば良いんじゃない?」
「人気者かぁ···」
「最近だと配信者系ヒーローとかも人気があるよ」
「配信者系ヒーローってやたらと炎上しているイメージが強いっすが」
「でも人気にはなれると思うよ〜」
「実力と人気を兼ね備えれば自然と実績も積み上げられるから···そしたらNo.1ヒーローになれるんじゃない」
「あとは事務所を巨大な組織にするとか? エンデヴァー事務所みたいに組織化すれば事件解決数も増えるしさ」
「まぁ私ととろろちゃんはお料理系ヒーローとして活動するから狙うなら料理番組のお姉さん枠かな」
「とろろは実家の料亭を継ぐよ〜」
「え? とろろちゃんの家料亭なの!?」
「あれ? 言ってなかったっけ」
「初耳だよ〜」
白身さんととろろさんが盛り上がる中、那智は人気という点について考えるのであった
自宅に帰り、まずヒーロー名を考える
「リヴァイアサンは公安のコードネームだから駄目だとして···親しみやすいヒーロー名···」
色々と書き出していくが、何故かヒューラーという単語に行き着いた
「指導者、総統···ナチスを連想してしまうけど···私は人を導くヒーローになりたい。この名前が合っている」
ヒーロー名が決まればSNSに専用のアカウントを作り、呟く
『ヒーロー高校に通うヒーローの卵です。ヒーロー名はヒューラー! 皆を導けるヒーローを目指して頑張ります!』
続けて
『動画配信をして私のヒーローとしての成長を見てもらいたいと思います! 1週間後に初配信動画を投稿します!』
と投稿をした
勿論作ったばかりのアカウントなのでいいねも閲覧も付かないが、決意表明である
パソコンの扱いは公安で基礎的な事は叩き込まれていたので、できなくは無い
ヒーローなので顔を売ってなんぼと顔出し配信にしようとしたが利用規約に『ナチスの思想を広める可能性のある動画』を規制すると書いてあったので瞳にハーケンクロイツが映ってしまう素顔での配信は動画がBANされる可能性があるからとサングラスを着用して撮影することにした
早速サムネ絵を描き、自己紹介動画を録画し、編集をしていく
出来上がった動画と一応公安所属なので室長に動画とやって良いかの許可を求めると
『俺もそういうの好きだから存分にやれ、BANされてからが本番だからな!』
とエール? を送られた
こうして1週間の準備をして動画配信を始めるのだった
『皆さん始めまして! ヒーローを目指す学生の【ヒューラー】です! 言いにくかったら総統って呼んでね!』
『今の社会はヒーロー飽和社会と言われるほどヒーローに溢れていると同時にそんなヒーローが食いっぱぐれないほど犯罪が今なお多く存在していますよね!』
『そんなヒーロー社会で人々を導ける様なヒーローになることが夢です! 目標は大きくオールマイトを超えること! 学生の妄言と言われると思いますがヒーローになるからには巨大な壁を乗り越えてこそ燃えるって奴です! プルス・ウルトラです!』
『自己紹介動画なので色々と説明していきます! まず何で配信を始めようと思ったか! 皆に覚えて欲しいからです! 無名のヒーローは人知れず人を助ける···格好いいのですが、ヒーローも職業、お金を稼がなければいけません。お金が稼げればサイドキックを雇って事件解決速度や怪我人を減らせると思います!』
『まぁ言ってしまえば人気とお金が欲しいから! 身も蓋もないね!』
『次、何でサングラスをかけているか。これは瞳の模様がMYチューブ君の規制に引っかかる可能性があったので隠してます! 許して!』
『これからバンバンゲームやヒーロー裏話とかをしていくから見てくれたら嬉しいな!』
『質問箱はこちらから! チャンネル登録をして応援してね!』
『それでは次回の配信で〜またね!』
約5分程の配信であり、ヒューラーチャンネルという名前で活動を開始し、少ししたら何故かディスカバリー広告に紹介されていた
「室長動画に何かしました?」
『あ、広告付けといたから。うちの部署お前を全面的にバックアップするから。リコもセーラーも動画の編集やるって気合い入ってたぞ。配信したら切り抜き作るし、コラボとかも引っ張ってくるから任せろ。一応ダミーの会社作ってそこのバックアップを受けている体でいくぞ』
「あ、はい」
実際挨拶動画は1日で2000再生され、有象無象蔓延るMYチューブで実績無しの新人の初配信2000再生は十分である
コメントも頑張れとかからヒーロー目指すなら動画配信しないで勉強しろ等のコメントが書かれているが気にすること無く、始めたからにはやりきる覚悟である
「ということで動画始めました」
クラスの皆に報告するという陽キャムーブをかまし、再生数に貢献するからとネタで開いたら普通に5000再生されているわ、チャンネル登録数も500まで増えているので皆びびっていた
「とりあえず順調に伸びれば皆も動画に出すから、よろしく!」
と皆も巻き込む宣言をするのであった