ウルカヌマラソンは定番ですよねー
「ねぇ、マスター。ダンジョン攻略するよりもっとイイことしましょうよぅ♪」
そう甘い声で囁くのは先ほどGFガチャで手に入れた小悪魔なサキュバスだった。
ぴょこぴょこ小さな翼を羽ばたかせ身体を俺に摺り寄せては誘惑する。
「ダメダメ、今は我慢して。夜になったら嫌でも俺は犠牲になるんだから……」
「マスターの眼が虚ろになっていく!? 昨日白メタの姐さんにナニされたの!?」
ははっ、ナニを知ってしまったらこっちの世界に戻ってこられなくなるぜ?
「私淫魔だから興味あるわ!! 夜が楽しみね!!」
「ふぇぇ」
誰か、俺の骨を拾っておいてくれ……
さて、俺達はDTGの3階へ訪れていた。
「ウルカヌ火山でマラソンするですって? 今から??」
「そだよ。ナーガは回復タイプだし俺達のパーティにとっては強力なモンスターになるよ」
ボスの中でも卵をドロップしてくれるナーガたん。
そう、昔はよく頑張ってウルカヌ火山を周回してゲットしたものだ。
まぁ赤ソニアを手に入れてからは育てるのもやめて使わなくなったけども。
「ちょっとマスター待って。ダンジョン潜ることは別に反対しないけど、夜になったら可愛がってもらうけども、私1人パーティでマラソンするとかマゾなの? だから姐さんにお尻を掘られて喜んでるの??」
「ほ、掘られてないし喜んでもないよ!」
そもそも奴にナニは生えてない。確認済みだよ……
「姐さん天使だからナニぐらい生やせるわよね」
「え、嘘だよね……?」
「天使は大体性別ないんじゃないの?? もしくは両性??」
「もう嫌だ! 何も聞きたくない!!」
パズドラの世界が優しさで満ち溢れてますように……
閑話休題。
「ふ~ん、フレンド出張サービス案内所ねぇ。デリヘルみたいなものかしら??」
俺と同じこと言わないで。
サキュバスはDTG3階の看板を見て俺にジト目を送ってくる。
「白メタ曰く、ここには他プレイヤーのBOX内で倉庫番しているモンスターをフレンドリーダーモンスターとして借りることができるんだってさ。無料レンタルでしかもお互いに友情ポイントがたまるメリットしかないサービスだそうだよ」
云うならば、元いた世界と違って倉庫番していたモンスターでもマスターのために活躍かもしれないサービスなのだ。
特に初心者にはオススメ場所だね。
育てたけど使わないレベルの高いモンスターを連れていくことだってできるんだ。
あいつ、ココのこと今さっきまで黙ってやがったんだよなー。
「やだ、マスターが凄くニヤケているわ。きっと可愛い女の子モンスターをレンタルするつもりだわ、ナニするつもりなの?」
「ナニもしないよ、ただちょっと楽しくお喋りしたいだけさ」
なんでそんなジト目なのー。
さて、受付のお姉さんに手続きしてもらって、フレンドリーダーを探そう。
ゴーレム、ライダー、アララちゃん、エンジェル、クーフー、ジーク、ADK、DDK、カムイ、ホムラ、ミネルヴァ、カグツチ、オロチ、ネプチューン、セレス、ヴィーナス、オオクニヌシ、スサノオ、アマテラス、緑オデン、ラクシュミ、パール、インドラ、ヴリトラ、イシス、お犬様等……
他にもドラゴンとかドラゴンとかドラゴンとかいたけど、彼らはレースが華だからね。
ただ、回復パ倍増系リーダースキルの子は、リストに載っていても貸し出し中となっていたり人気が高かった。
「あれ? 水ヴァルいるじゃん。この子お願いしていいですか?」
麗乙女・プリンセスヴァルキリー。
誰も貸し出し中ではなかった。
俺は運がよかった。
「あー、その子ですか。あまりオススメしませんが後悔しませんか?」
「え、どういうこと……」
「申し訳ありませんがこれ以上はちょっと……」
不安だけ煽られて守秘義務を発動させられた。
「そ、それよりも、俺達今からウルカヌ火山でマラソンするんですけど、もうここまで戻ってくるのがめんどくさいんでその子に今日半日付き合ってもらうつもりなんですけど、大丈夫ですか?」
こっちでは、ダンジョン潜る度にフレンドリーダーを1回1回換えなくても、半日ずっとレンタルすることもできる。
その分、相手プレイヤーの友情ポイントは溜まっていくらしいけども。
「それは本人直接に訊いてください。それでは呼び込みますね」
「あっ……」
やっぱりチェンジでと言いたかったけども。他に回復タイプの女の子は貸し出し中だったので仕方が無い。我慢しよう。
受付のお姉さんが水ヴァルを端末からを召喚させた。
本当にどういう仕組みなんだよ……
「ご指名ありがとうございます、レン様。半日よろしくお願いいたします」
「よ、よろしくね、水ヴァルさん……」
「けっ」
けっ、じゃないよサキュバスちゃん!!
いきなり不機嫌になっちゃったよ、この子。
あれだけフレンドリーダーに頑張ってもらって自分は楽しようと悪魔的な笑みで画策していたのも無きにしも非ずな小悪魔ちゃん。
明らかに水ヴァルを見て嫌そうな顔をしている。
あまりの美しさに嫉妬しているのかな……?
機嫌直してサキュバスちゃん!!
「い、今からウルカヌ火山にマラソンするのだけど、パーティはサキュバス1人なんだけども、あと半日なんだけども……いいかな?」
「別に構いませんよ、お好きにどうぞ……」
ただサキュバスが不機嫌になった理由は少しわかったかもしれない。
この子、俺を見る目がとてつもなく冷たいのだ。
「マスター、ここに姐さんいなくてよかったね。じゃなきゃマスターのお尻が原型を保てなってるわ、きっと」
「え、それどういう意味だよ……ッ!??」
お前がナニを言っているのかわからないよ。
もの凄く不安になるんですけど!??
さて、そんな不安を抱きながら、水ヴァルさんに冷ややかな視線を注がれ、サキュバスが俺の腕に抱き、それを見てさらに水ヴァルの視線が冷たさを増しながら2階へと移動してはダンジョンに転送される。
【ウルカヌ火山】の第4ステージ【炎の蛇女】、いざ参るッ!!
……と意気込んだものの、何周すればナーガが卵ドロップしてくれるんだろうかと思うとため息だって出るさ。
「マスター、私のデビュー戦ちゃんと見ててね♪」
「はいはい、ちゃんと見ててやるから余所見しないでね」
あんな小さくて可愛い子にウインクされて投げキッスされたら少しニヤケたりもするよ。
おっと、ドロップ操作をミスった。こいつは参ったな、はっはっはっは………
「は……ッ!?」
「ふん。ちゃんとパズルしてもらいたいですね……」
「ふぇぇ、ごめんなさーい」
今のニヤケ顔を水ヴァルさんに見られてしまった!?
凄く冷たい目で注意されたぁ!!
「なによ、ちょっとした凡ミスじゃない」
おいおい、そこで反応しないでサキュバスちゃん!
「そのちょっとした凡ミスで足でパーティを壊滅させるのですよ、おバカ」
「誰がおバカですって~!?」
「こらこらバトル中に喧嘩しないで、お前らは白メタか!?」
なんだよ、お前らは白メタか!?って……
自分のツッコミがおかしくなるくらい動揺していたり。
「とにかく目の前の敵をやっつけて!」
俺はいつも以上にドロップを操るスピードが速かったり、あとサキュバスのリーダースキルもあってコンボが無駄に作れた。
「っ……!? 少しはやるようですね……」
「ふん、あったり前じゃない、なんたって私とマスターの愛の共同作業なんだから!!」
いや、意味がわからないよ。
水ヴァルの言っていた通り、たぶんこの子おバカだ。
まぁ可愛いからいいけどね……
雑魚モンスターは一掃した……けど、この後がねーすっごい気まずい雰囲気の中マラソンするの。
今5周目のボス戦……
「また来たわね、変態冒険者!」
「今度こそ返り討ちにしてやるぜー!!」
「今夜の晩餐は絶対に変態男の肉祭なのだ~!!」
血の気盛んなナーガたん達と衝突しては卵はドロップ無し。
「うへ~、またドロップしなかったわねー。マスター……」
「まぁまだ5周目だからねー」
そのさらに倍の10周目でもドロップしなかった。
「「ふぇぇ……」」
「………」
根気は必要だよね。
「冒険者…もとい今やパズラーと呼ばれる方たちは大体ここのマラソンを目安50周ぐらいはすると窺っております」
「50ですって!??」
「でも、それはあくまで目安で運が悪ければ100周でも卵ドロップしないこともザラにあるらしいね。運が良ければ10周ぐらいで落ちる強運の持ち主もいるけど」
「アハッ、アハハ……こんな暑いところでマラソンして皆変態だわ。もちろんマスターもね」
サキュバスに変態呼ばわりされた俺達。
確かに非情に暑い。
俺達は一旦外に出て冷房の利いた室内で休憩する。
次はお茶買って持っていこう。
俺達の戦いはまだ始まったばかりだ……
そして、14周目で事件が起きる。
この素晴らしきパズドラ世界で彼女が少しでも救われますように……
はい、いらんストーリーを書き加えたことによって前編後編に分けて投稿します。
後編ダッシュで書いて投稿しますよーーーー!!