黒川あかねと話すだけ   作:推しの子ハピエンで終わりそうですかね?

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今回は本編に戻ってきました。
やっぱりみんなほのぼのしたのが好きなんだなって。シリアスも鬱展開も、原作と他の方の作品で十分だなって。


黒川あかねと話すだけ②

「ふっふっふー!」

「いつもよりアホっぽい笑い方してどうしたの?」

「……僕は機嫌がいいから、君のその無礼な言いようも許してやろう」

「はいはい、ありがとねー」

 

 ぴらぴらと紙を持ってやってきたのは緋彩。とても嬉しそうにしている。対するあかねは、最近よくするようになった呆れ顔。緋彩と会話をしていると高頻度でなっている。

 

「聞いて驚くなよ?」

「うん。緋彩くんに恋人さんができたとかじゃない限り驚かないよ」

「僕も彼女ができたら驚く」

「それは置いておいて、なんでそんなに喜んでるの?」

「そう! 見てみよこの結果を!!!」

 

 そう言って緋彩は手に持っていたテストをあかねに手渡す。それはもう満面の笑みを浮かべて。

 

「?! すごい! 全部しっかり100点だ!」

「まぁまぁまぁまあ、僕にかかればこれくらい余裕ってことですね!」

「うぅ、しっかり教えた成果が出てて私はすごく嬉しいよ」

「いやー本当にあかねさんが付き合ってくれたおかげだよ。ありがとう」

「ふふふ、どういたしまして。でも、緋彩くんが頑張ったのが一番の理由だよ」

「まぁあれだけやればこれくらいはね?」

 

 当然だよと鼻を高くして自慢する緋彩。

 

「ちなみにあかねさんは?」

「ん? もちろん私も緋彩くんと同じだよ」

 

 大した誇るように言うわけでもなく、さも当然だと言わんばかりにサラッと言ってのけるあかね。

 格の違いが現れている。

 

「とんでもねぇ女だ」

「む、私普通の女の子だよ」

「君を普通だと認めたら、世の中の普通の基準が壊れる」

「えー? じゃあどんな子なら普通なの?」

「うーん…………その質問めちゃくちゃ難しくない??」

「緋彩くんからしたら、私は普通じゃないんでしょ」

「まぁ、あかねさんは顔も頭も器量もいいからね」

「そ、そうかなぁ……」

「うん。あかねさん以上の人は会ったことないよ」

「ふ、ふふ……ありがとう」

「なのでこれからもどうか……どうか勉強をお教えください」

「……どうしよっかなぁ? 私も最近忙しくなってきちゃったからなぁ?」

 

 もはやあかね全肯定男となってしまった緋彩。あかねもその言葉にまんざらでもない様子である。

 つい、調子に乗ったあかねは緋彩を揶揄う。

 

「え? まじか、なら全然無理しなくてい───」

「教えられるよ」

「いやでもそんな無理しな───」

「教えてあげるよ」

「う、うん。よろしくお願いします?」

 

 我らが主人公緋彩くんは、ここまで距離が近かろうともあかねのファンであり、友人を自称している。そんなあかねに迷惑をかけることなどできるわけもなく、普通に遠慮しようとした。

 食い気味にあかねによって遮られたわけであるが。

 

「まかせて、これからも私が教えてあげるから」

「お、おう……なんかスイッチ入った? 

「んん、ちょっと取り乱しちゃった」

「ちょっとか?」

「全く取り乱してなかったけど?」

「主張が変わった」

「緋彩くんに染まってきちゃった」

「変な言い方はやめろ!」

「んん? 何が変な言い方なの?」

「心が汚れていたのは僕の方だったか…………」

「大丈夫。私は緋彩くんがどんな人でも受け入れてあげるよ」

「あかねさん…………!」

「だから、緋彩くんがさっき何を思ったのか、緋彩くんの口から教えて欲しいな」

「あかねさん……?」

 

 それあかねさんもわかってるんじゃ……と、真実に辿り着きそうになった緋彩だが、こんなにいい顔でいい声で、そんなこと考えるわけないなと思い直す。

 

 

 

「話はすごく変わるんだけどさ」

「うん」

「緋彩くんは私に恋人ができたらどうする?」  

「…………はぇ? え、えぇ? うーん、距離をおく」

「えっなんで……」

「彼女が男と二人で勉強会したり、遊んだり。挙句にはお昼食べたりしたら嫌じゃん」

「……確かにそうだね」

「でしょ? あかねさんの彼氏さんが気にしないと言ってくれたとしても、二人で何かするって事は多分しない!」

「じゃあ私から誰かと付き合い始めたら、緋彩くんは私と話さなくなるって事?」

「いや、別に話さないって事はないけどね? 今ほど仲良くっていうのは控えるよ」

 

 流石の僕でもそれくらいの常識はあるぜ、と言っておにぎりを頬張る。

 

「あ、まずはおめでとう言うかも」

「ふーん」

「ふーんって何よ、ふーんって」

「ふん!」

「今度はふん!? ……なんだよ、そんなに僕の対応に不満があるのか?」

「別にないけど」

 

 そんなにおかしな対応してないけどなぁ……と呟く。なら逆に、と

 

「僕が彼女できたらあかねさんはどうするの?」

「緋彩くんに彼女…………」

「おい、想像できないみたいな反応はやめろ!」

「いやいや! そんな事はないよ! 緋彩くんも色々できるからさ」

 

 どんな人と付き合ってるのかなぁって。

 そう言うあかねに、緋彩も考え込む。

 あれ? 僕が付き合ってるところ、僕も想像できなくね? と。

 そもそも、僕こんなにイケメンでハイスペックなのに、今まで付き合ったことも告白された事もなくね? と。

 

 そんな事に気がついてしまった緋彩。呆然とした表情を浮かべる。

 

「あ、あかねさん……」

「ん? どうしたの緋彩く…………本当にどうしたのそんな顔して」

「僕少女漫画に出てきてもおかしくないようなスパダリなのに、今まで漫画みたいな経験した事ないよ?!」

「うん。漫画みたいなことが現実で起こるのは、なかなかないと私は思うよ?」

「そうだけど! こんなにかっこいいのになんで!」

「そう言うところじゃないかな」

「何をいう! 僕は普段クールな感じで!」

「ボロ出してたんじゃないかな」

「え?」

「クールキャラじゃなくて、変な人だったんじゃない?」

 

 愕然といった様子であかねをみる緋彩。口にはハンバーグが咥えられている。

 

「ぼ、僕が変な人だなんてそんなわけ」

「そう言うところだよ」

 

 口元を指さして言うあかね。

 そう言うところらしい。

 

「ま、まあそんな事はいいじゃないか」

「緋彩くんがいいならいいけどさ」

「どんな人かは置いておいて、僕が付き合い始めたとします!」

「うん」

「そしたらあかねさんはどうしますか! 答えてくださいはいどーぞ」

 

 このままでは話が進まないだろうと思った緋彩は、割と強引にあかねに迫る。

 わかったよと言って、弁当を片付けつつあかねは考え始める。

 

「えー? まずはねぇ」

「まずは? ……いくつかあんの?」

「その人の性格をみます」

「うん」

「振る舞いをもみます」

「うん」

「あとは、緋彩くんがその人のステイタス扱いされてないかみて……」

「うん」

「私も会話できそうな人かみる。それから……」

「まだあんの?! 多くない?!」

 

 流石の緋彩もここまで何か言われると思っていなかった様子。予定としては、雑なおめでとうを言われた上で「僕はあかねちゃんにとってその程度の人だったんだ……ひどい!」と返して終わりだった。

 想定外に多く飛び出した言葉に目を白黒させている。

 

「私唯一の学校内外で遊べる友達だよ?」

 

 易々と離すわけないから。と言うあかね。

 

「普通におめでとね! で良くない?」

「それでもいいけど…………もちろん私との関係認めてくれる人なんだよね?」

「言い方ぁ!! 言い方が悪いよ! 僕とあかねさんはやましい関係みたいじゃないか!」

「緋彩くんも言ってたけど、恋人がいるのにこう言うことしてるのは良くないからね」

「認めて貰えばいいって話じゃなくないか?!」

「その時は私も一緒にお昼混ざってもいいんだよね?」

「それはどんな状態だよ」

「緋彩くんは彼女さんと私で両手に花状態だよ」

「そんなことしてたら僕すぐ振られちゃうぜ」

「そうしたら私とお昼食べれるね」

「黒川さんさてはやべー奴だな? これまで全く思ってなかったけど、やべー奴だな」

「ふふふ、流石に冗談だよ」

 

 冗談だと聞けて安心した緋彩。好きな子と付き合い始めたのに、まさか友人に関係をぶち壊されそうになるとは思わなかった。

 

「だよね。まったく、真に迫ってて冗談に聞こえなかったぜ」

「私女優だからそれくらいはできるんだよ」

「まんまと騙された」

「緋彩くんが悪い女の子にいいようにされないか心配だからさ」

「あれ? 冗談なんだよね?」

「緋彩くんは私が悪い男に引っかかりそうになったらどうする?」

 

 コロコロと変わる話題に、ポカンとした顔をしたのち少し考える。

 

「『あいつじゃなくて、俺にしとけよ(キリッ)』て言うかな」

「ふふふ、なら私も緋彩くんが悪い女の子に引っかかりそうになったら『あの子じゃなくて、私にしない?』って聞くね」

「なんじゃそりゃ」

「緋彩くんが言い始めたんだよ」

 

 と、そこでチャイムが鳴る。

 

「ん、チャイムなっちゃったね」

「まずい、僕次移動教室だ。じゃあ先に戻ってるね! また明日」

「うん。また明日」

 

 挨拶を済ませた緋彩はいそいそと片付け、駆け足で教室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「恋人…………か」

 

 あかねのつぶやきは、誰かに聞かれる事なく、秋の空へと溶けていった。




台本形式なるものを最近知りました。
この作品も会話文多めなので、台本形式って事になるんでしょうか?だとしたらタグつけるべきか……?

月下緋彩
学校始まったので会う機会少なくて、ちょっと寂しい。

黒川あかね
冗談が多かった。


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