黒川あかねと話すだけ 作:推しの子ハピエンで終わりそうですかね?
今回は本編に戻ってきました。
やっぱりみんなほのぼのしたのが好きなんだなって。シリアスも鬱展開も、原作と他の方の作品で十分だなって。
「ふっふっふー!」
「いつもよりアホっぽい笑い方してどうしたの?」
「……僕は機嫌がいいから、君のその無礼な言いようも許してやろう」
「はいはい、ありがとねー」
ぴらぴらと紙を持ってやってきたのは緋彩。とても嬉しそうにしている。対するあかねは、最近よくするようになった呆れ顔。緋彩と会話をしていると高頻度でなっている。
「聞いて驚くなよ?」
「うん。緋彩くんに恋人さんができたとかじゃない限り驚かないよ」
「僕も彼女ができたら驚く」
「それは置いておいて、なんでそんなに喜んでるの?」
「そう! 見てみよこの結果を!!!」
そう言って緋彩は手に持っていたテストをあかねに手渡す。それはもう満面の笑みを浮かべて。
「?! すごい! 全部しっかり100点だ!」
「まぁまぁまぁまあ、僕にかかればこれくらい余裕ってことですね!」
「うぅ、しっかり教えた成果が出てて私はすごく嬉しいよ」
「いやー本当にあかねさんが付き合ってくれたおかげだよ。ありがとう」
「ふふふ、どういたしまして。でも、緋彩くんが頑張ったのが一番の理由だよ」
「まぁあれだけやればこれくらいはね?」
当然だよと鼻を高くして自慢する緋彩。
「ちなみにあかねさんは?」
「ん? もちろん私も緋彩くんと同じだよ」
大した誇るように言うわけでもなく、さも当然だと言わんばかりにサラッと言ってのけるあかね。
格の違いが現れている。
「とんでもねぇ女だ」
「む、私普通の女の子だよ」
「君を普通だと認めたら、世の中の普通の基準が壊れる」
「えー? じゃあどんな子なら普通なの?」
「うーん…………その質問めちゃくちゃ難しくない??」
「緋彩くんからしたら、私は普通じゃないんでしょ」
「まぁ、あかねさんは顔も頭も器量もいいからね」
「そ、そうかなぁ……」
「うん。あかねさん以上の人は会ったことないよ」
「ふ、ふふ……ありがとう」
「なのでこれからもどうか……どうか勉強をお教えください」
「……どうしよっかなぁ? 私も最近忙しくなってきちゃったからなぁ?」
もはやあかね全肯定男となってしまった緋彩。あかねもその言葉にまんざらでもない様子である。
つい、調子に乗ったあかねは緋彩を揶揄う。
「え? まじか、なら全然無理しなくてい───」
「教えられるよ」
「いやでもそんな無理しな───」
「教えてあげるよ」
「う、うん。よろしくお願いします?」
我らが主人公緋彩くんは、ここまで距離が近かろうともあかねのファンであり、友人を自称している。そんなあかねに迷惑をかけることなどできるわけもなく、普通に遠慮しようとした。
食い気味にあかねによって遮られたわけであるが。
「まかせて、これからも私が教えてあげるから」
「お、おう……なんかスイッチ入った? 」
「んん、ちょっと取り乱しちゃった」
「ちょっとか?」
「全く取り乱してなかったけど?」
「主張が変わった」
「緋彩くんに染まってきちゃった」
「変な言い方はやめろ!」
「んん? 何が変な言い方なの?」
「心が汚れていたのは僕の方だったか…………」
「大丈夫。私は緋彩くんがどんな人でも受け入れてあげるよ」
「あかねさん…………!」
「だから、緋彩くんがさっき何を思ったのか、緋彩くんの口から教えて欲しいな」
「あかねさん……?」
それあかねさんもわかってるんじゃ……と、真実に辿り着きそうになった緋彩だが、こんなにいい顔でいい声で、そんなこと考えるわけないなと思い直す。
「話はすごく変わるんだけどさ」
「うん」
「緋彩くんは私に恋人ができたらどうする?」
「…………はぇ? え、えぇ? うーん、距離をおく」
「えっなんで……」
「彼女が男と二人で勉強会したり、遊んだり。挙句にはお昼食べたりしたら嫌じゃん」
「……確かにそうだね」
「でしょ? あかねさんの彼氏さんが気にしないと言ってくれたとしても、二人で何かするって事は多分しない!」
「じゃあ私から誰かと付き合い始めたら、緋彩くんは私と話さなくなるって事?」
「いや、別に話さないって事はないけどね? 今ほど仲良くっていうのは控えるよ」
流石の僕でもそれくらいの常識はあるぜ、と言っておにぎりを頬張る。
「あ、まずはおめでとう言うかも」
「ふーん」
「ふーんって何よ、ふーんって」
「ふん!」
「今度はふん!? ……なんだよ、そんなに僕の対応に不満があるのか?」
「別にないけど」
そんなにおかしな対応してないけどなぁ……と呟く。なら逆に、と
「僕が彼女できたらあかねさんはどうするの?」
「緋彩くんに彼女…………」
「おい、想像できないみたいな反応はやめろ!」
「いやいや! そんな事はないよ! 緋彩くんも色々できるからさ」
どんな人と付き合ってるのかなぁって。
そう言うあかねに、緋彩も考え込む。
あれ? 僕が付き合ってるところ、僕も想像できなくね? と。
そもそも、僕こんなにイケメンでハイスペックなのに、今まで付き合ったことも告白された事もなくね? と。
そんな事に気がついてしまった緋彩。呆然とした表情を浮かべる。
「あ、あかねさん……」
「ん? どうしたの緋彩く…………本当にどうしたのそんな顔して」
「僕少女漫画に出てきてもおかしくないようなスパダリなのに、今まで漫画みたいな経験した事ないよ?!」
「うん。漫画みたいなことが現実で起こるのは、なかなかないと私は思うよ?」
「そうだけど! こんなにかっこいいのになんで!」
「そう言うところじゃないかな」
「何をいう! 僕は普段クールな感じで!」
「ボロ出してたんじゃないかな」
「え?」
「クールキャラじゃなくて、変な人だったんじゃない?」
愕然といった様子であかねをみる緋彩。口にはハンバーグが咥えられている。
「ぼ、僕が変な人だなんてそんなわけ」
「そう言うところだよ」
口元を指さして言うあかね。
そう言うところらしい。
「ま、まあそんな事はいいじゃないか」
「緋彩くんがいいならいいけどさ」
「どんな人かは置いておいて、僕が付き合い始めたとします!」
「うん」
「そしたらあかねさんはどうしますか! 答えてくださいはいどーぞ」
このままでは話が進まないだろうと思った緋彩は、割と強引にあかねに迫る。
わかったよと言って、弁当を片付けつつあかねは考え始める。
「えー? まずはねぇ」
「まずは? ……いくつかあんの?」
「その人の性格をみます」
「うん」
「振る舞いをもみます」
「うん」
「あとは、緋彩くんがその人のステイタス扱いされてないかみて……」
「うん」
「私も会話できそうな人かみる。それから……」
「まだあんの?! 多くない?!」
流石の緋彩もここまで何か言われると思っていなかった様子。予定としては、雑なおめでとうを言われた上で「僕はあかねちゃんにとってその程度の人だったんだ……ひどい!」と返して終わりだった。
想定外に多く飛び出した言葉に目を白黒させている。
「私唯一の学校内外で遊べる友達だよ?」
易々と離すわけないから。と言うあかね。
「普通におめでとね! で良くない?」
「それでもいいけど…………もちろん私との関係認めてくれる人なんだよね?」
「言い方ぁ!! 言い方が悪いよ! 僕とあかねさんはやましい関係みたいじゃないか!」
「緋彩くんも言ってたけど、恋人がいるのにこう言うことしてるのは良くないからね」
「認めて貰えばいいって話じゃなくないか?!」
「その時は私も一緒にお昼混ざってもいいんだよね?」
「それはどんな状態だよ」
「緋彩くんは彼女さんと私で両手に花状態だよ」
「そんなことしてたら僕すぐ振られちゃうぜ」
「そうしたら私とお昼食べれるね」
「黒川さんさてはやべー奴だな? これまで全く思ってなかったけど、やべー奴だな」
「ふふふ、流石に冗談だよ」
冗談だと聞けて安心した緋彩。好きな子と付き合い始めたのに、まさか友人に関係をぶち壊されそうになるとは思わなかった。
「だよね。まったく、真に迫ってて冗談に聞こえなかったぜ」
「私女優だからそれくらいはできるんだよ」
「まんまと騙された」
「緋彩くんが悪い女の子にいいようにされないか心配だからさ」
「あれ? 冗談なんだよね?」
「緋彩くんは私が悪い男に引っかかりそうになったらどうする?」
コロコロと変わる話題に、ポカンとした顔をしたのち少し考える。
「『あいつじゃなくて、俺にしとけよ(キリッ)』て言うかな」
「ふふふ、なら私も緋彩くんが悪い女の子に引っかかりそうになったら『あの子じゃなくて、私にしない?』って聞くね」
「なんじゃそりゃ」
「緋彩くんが言い始めたんだよ」
と、そこでチャイムが鳴る。
「ん、チャイムなっちゃったね」
「まずい、僕次移動教室だ。じゃあ先に戻ってるね! また明日」
「うん。また明日」
挨拶を済ませた緋彩はいそいそと片付け、駆け足で教室へと戻っていった。
「恋人…………か」
あかねのつぶやきは、誰かに聞かれる事なく、秋の空へと溶けていった。
台本形式なるものを最近知りました。
この作品も会話文多めなので、台本形式って事になるんでしょうか?だとしたらタグつけるべきか……?
月下緋彩
学校始まったので会う機会少なくて、ちょっと寂しい。
黒川あかね
冗談が多かった。
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