黒川あかねと話すだけ   作:推しの子ハピエンで終わりそうですかね?

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本当はバレンタインやりたかった。と言うか、書き上がってる。
けど、まだあっためておこうかなって……。
ホワイトデーあたりでバレンタインの話を投稿できるように、いい感じに時間の調整をしたい。

台本形式タグは要らなそうなことがわかりました!!
教えてくださりありがとうございます!


黒川お宅にお邪魔します

「うぅ……さむいよぉ」

「私も寒い……」

「秋ってもう少しあったかいイメージあったんだけど、気のせいか?」

「それは気のせいだと思うよ。ポスターとか見てご覧。マフラーとか付けてるから」

「確かにそうかも」

「緋彩くん校舎内でどこかいい場所知らないの?」

「知らない」

 

 あかねの言ういい場所は、もちろん人目につかない場所である。緋彩もそれがわかっているので、はっきり断る。

 

「あかねさんが友達作れば解決するんだけどなぁ」

「…………最近少し話す子できたもん」

「まじか?! 成長しててすごい!」

「ふふふ、でしょでしょ?」

「うんうん! その調子で教室で食べれるようになってくれ!」

「え?」

「え?」

 

 緋彩の言葉に固まるあかね。それを見て、なんか言っちゃったかと固まる緋彩。心当たりはない。

 

「固まってどうしたの?」

「え、えっと……教室でって?」

「? そのままの意味だけど? 教室で一緒に食べれるようになれば寒くなくない?」

「……! そうだね!!」

「うん????」

 

 キラキラを通り越して、もはやギラギラと輝く太陽のごとく瞳を光らせるあかね。緋彩の言葉の何が琴線に触れたのだろうか。

 稀に見るテンションの上がり具合に、緋彩は若干気圧されている。

 そんなに寒いの嫌だったの? などとトンチンカンな事を考えて、女の子は身体冷やさない方がいいんだっけなぁと勝手に納得するのが、緋彩クオリティ。

 

「私頑張って友達…………話せる子増やすよ!!」

「それって頑張るものだったか?」

 

 本人が頑張ると言うなら頑張るのだろう。

 

「あ、そうだ」

「ん? どうしたの」

「今度あかねさんの家に野菜届けてもいい?」

「すごく急だね?」

「親戚から貰ったらしい」

「それ貰っちゃっていいの?」

「お爺ちゃんがあかねちゃんにって」

「ん、わかった。ありがたくいただいとくね」

「そうしてください」

 

 と、ここでチャイムが鳴る。二人はいそいそと弁当を片付け、教室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは。月下です。野菜のお届けに参りました」

「こんにちは緋彩くん。お野菜ありがとうね」

「いえいえ、いつもあかねさんにはお世話になっていますから」

「そう? ありがとう。さぁ上がっていって」

「…………いいんですか?」

「いいのよ。あかねも部屋で待ってるわ」

「そう言う事でしたら……お邪魔します」

 

 夕食をご馳走してもらった事はあるが、とはいえそれ以来黒川家に行っていない。少々緊張しつつ、家に入る。

 

「あ、お母さん誰が来てた……緋彩くん?」

「お邪魔してます。前野菜届けるって言ったじゃん? 届けに来たんだ」

「そうなのよ。後でお茶持って行くから、あかねは部屋に連れていってあげて」

「うん。緋彩くん、こっちだよ」

「え? あ、うん。わかった」

 

 流れるように連行される緋彩。リビングでちょっと話して帰ると言う事を想像していたので、あかねの部屋に連れて行かれるのは想定外であった。女の子の部屋に入れてもらえる? ……マンガ的だ。などと考えているので余裕はありそうである。

 

「ここが私の部屋」

「ここですかぁ」

「うん」

「整理されてていいね?」

「何で疑問系?」

「部屋に入ったら褒めろとか教わってないし」

「褒めればいいと思うよ」

「おお! 確かに!」

「まあ、座ってよ」

「はーい、ありがとう」

 

 部屋の中心で二人は向かい合って座る。

 

「「……………………」」

 

 なぜか二人ともじっとしたまま話さない。

 あかねは普段通りの表情、緋彩はあかねが何も話さないことに困惑顔である。完全アウェイの空間で、部屋の主人にじっと見られるという状況に、流石の緋彩もなんともいえない気分である。

 

「なんか緋彩くんがここにいるの変な感じ」

「どういうこと?!」

「そのままの意味だけど?」

「一言目がそれなの?!」

「あ、悪い意味じゃないよ。安心して」

「悪い意味だって言われたら僕泣いてたよ」

「私そんなに酷いこと言わないよ!」

「というか、いい意味でいるのが変って相当変なこと言ってるけど?」

「だってなんか変な感じなんだもん」

「そりゃあ普段ここにいるわけじゃないからね」

「常駐する?」

「常駐とか日常生活で聞いたことないぞ」

「うちの子になる?」

「うちの子になる?!」

「冗談だよ」

「冗談じゃなかったらびっくりだよ」

「ふふふ、どこまで冗談なんだろうね?」

「なにそれこわい」

 

 ふう、と一息つく緋彩。それを見てあかねはにこりと笑う。

 

「何だよ笑って」

「うん? 緋彩くん緊張してたみたいだからさ」

「べべ別に緊張なんてしてないんですけど?」

「ふふふ、そういうことにしておこっか」

 

 緋彩の頬をツンツンとして言う。緋彩はすごく嫌そうな顔をして、()()()と手を払う。

 

「もう、そんな顔しなくてもいいじゃん」

「高校生にもなって、同級生の女の子からほっぺたツンツンなんて屈辱だ」

「そこまで言うの?! 緋彩くんに言われたら私泣いちゃうよ?!」

「あかねさんが泣く…………」

「なにを想像してるの???」

「そうなったら、『俺が悪かった。けど! 好きだから! 愛してるから!』とか何とか言って抱きしめるよ!」

「今適当に考えたDV彼氏?」

「ざっつらい」

「何かもっとこう……ひねりはないの?」

「ない! だって僕はDVとかされたこともなければ、したこともないから!」

「緋彩くんはなんかそういうのに晒されたことがなさそうだよね」

「うん。ない!」

「あっても気が付かなそう」

「……そうかもしれない」

 

 そう言われると、もしかしたらいじめられてた? と思ってしまうが、心当たりはないので多分いじめられてない。

 

「そういうあかねさんは、真面目だからすごい気にしそう」

「絶対気にしちゃう」

「僕みたいなメンタルであればどうにでもなるよ!」

「SNSで炎上なんてしたら、どうなるかわからないなぁ」

「簡単に炎上するようなもんじゃないでしょ」

「わからないよ? 今の社会何がきっかけで爆発するかわからないんだから」

「へー? 僕はそういうのに疎いからわかんないけど」

「緋彩くんテレビも見ないって言ってたもんね」

「歌番組は大好き!」

「ああ、好きそうだね」

「毎回僕の方が上手いって思いながら見てる」

「えぇ……? 嫌な見方」

「そんなことないだろ!?」

「実際うまそうだからもっと嫌」

「ぅえ? あ、SNS始めようかな」

 

 何の脈略もなくSNS開始宣言をする緋彩。

 

「いつもそうだけど、何で急に?」

 

 あかねはもはやこなれた様子で返事をする。

 

「カラオケバトルとかでやった曲を、次の日カラオケで100点取ってる動画を上げる」

「最低だ!!」

「なんで?! SNSってそういうことを発表する場所じゃないの?!」

「ただの嫌味だよ!」

「そ、そんなぁ……カラオケバトル放送後に現れる、歌うま天才イケメン高校生として名を上げられそうだったのに…………」

「そういう何気ない行動が人を傷つけるんだよ」

「はぁい……」

「私が教えなきゃだめかな?」

「そんなことない……です」

 

 しょんぼりとしながら返事をする。

 我らが緋彩は嫌なやつだったようだ。あかねが言うのだから間違いあるわけない。今後はあかねによるSNSについての授業も追加になりそうだ。

 

「僕SNSは触らないわ」

「そこまでしなくてもいいと思うけど?」

「僕はSNSの評価に囚われるような人間じゃないんだよ」

「それ、タイミングが今じゃなかったらかっこよかったのになぁ」

「授業追加されたくないだけだからね」

 

 それに、なくても困らないからとは緋彩の弁。

 

「はぁ、私そんな子に育てた記憶はないよ」

「育てられてないからな」

「あんなに小さくて可愛かったのに」

「育てられてないから」

「いつから外でクールキャラとか言う子になっちゃったんだろう」

「やめろ! 僕が厨二病みたいじゃないか!」

「中学生からだったのね」

「違わないけど!」

「安心して、誰も緋彩くんのことをクールキャラだなんて思ってないから」

「…………ぐすっ、なんで、何でそんなこと暴くの?」

「あ、泣いちゃった……よしよし。怖かったね? もう大丈夫だよ」

 

 シクシクと泣きまねする緋彩の頭を撫でるあかね。

 言葉で精神攻撃をしてから、物理的に慰め優しく接する。これはDV彼女の素質がある。

 哀れ緋彩。やべー女に引っかかったみたいだな。

 

「あかね、緋彩くん、お茶持ってきたわ…………あら? お邪魔だったみたいね」

 

 あかねが緋彩を撫でているとタイミング悪く(良く)、あかねの母が部屋に入ってくる。

 

「ちが! お母さん違うの! これは!」

「いいのよあかね」

「違うの!」

「緋彩くんあかねをよろしくね?」

「えっ? あっ、はい」

「はい? はいっていった?! 緋彩くん?!」

「ふふふ、じゃあ私はこれで。仲良くするのよ」

 

 おほほーと笑ってさっさと部屋を出ていくあかね母。

 残されたのは、顔を真っ赤にしたあかねと状況が飲み込めてない緋彩。

 

「…………何だったんだ? 僕何も考えずに返事したけど」

「知らない。緋彩くんなんて知らない」

「えっ? 待て待て待て」

 

 赤くしたままそっぽむくあかね。そんなあかねをジトっとした目で見る緋彩。

 

「急にあかねさんがおっきな声出したからわかんないけど、多分あかねさんの自爆でしょ?」

「うぅそうだけど……そうじゃないの」

「やれやれ全く困ったちゃんだぜ」

「困ったちゃんは緋彩くんのほうだよぉ」

 

 がっくりとした様子でと肩を落とす。先ほどまでとは真逆の構図である。流石に緋彩は頭を撫でるなんて事はしないが。

 

「はぁ……はい。お茶とお菓子どうぞ。せっかくだから食べていってよ」

「お、なら。いただきまーす」

「召し上がれ」

「あむ…………おお! おいしいねぇ」

「緋彩くんほどじゃないけど、私も作れるんだよ」

「わざわざ作ってくれたの?」

「野菜のお返しにって思って。たまたま今日作ってたんだ」

「すごく美味しいよ」

 

 市販のよりも美味しいかも。そう言ってパクパクとクッキーを食べ進める緋彩。その様子を微笑ましいものを見るような目で見ているあかね。

 さながらペットの食事を眺める飼い主。或いは、ちびっこにお菓子をあげてるお姉さん。

 要するに餌付けである。

 

「緋彩くん………………お手」

「? はい」

「……ん、よし」

「うん? うん」

 

 ……躾も同時に行われているのかもしれない。

 プルプルと震えるあかねを、何だコイツみたいな目で見る緋彩。しかし、その手がクッキーを離すことはない。かなり気に入っているようだ。

 その様子に、あかねは何かイケナイ扉を開いてしまいそうになったが、緋彩の目で正気に戻り、何でもないよと笑って誤魔化す。

 未だどこか緋彩を見る視線はおかしい気がするが、大天使あかねエルがそんな目を向けるわけがないので、気のせいだ。断じて気のせいである。

 

 あと残り数枚と言うところで、あかねが皿を引っ張る。緋彩は手を伸ばしかけたところで固まる。

 

「あかねさん? 僕もうちょっと食べたいんだけど」

「まだ食べたいの?」

「うん。食べたい」

 

 素直に答えると大体分けてもらえた経験から、頷く緋彩。その態度から、何となくそれを察するあかね。

 だからこれは、緋彩に社会はそんなに甘くないことを、このクッキーのように甘くないことを教えるための行為であって、決して別の意味があるわけではないと誰かに言い訳をする。

 

「欲しいなら言うこと…………あるよね?」

「? クッキーちょうだい」

「うーんどうしよっかなぁ〜」

「あかねさんも食べたいの?」

「ちがう」

「違うのか」

「そう言うこと言う緋彩くんにはあーげない」

「あっあっあっ! 僕のクッキーが!」

「んーおいしい」

 

 これ見よがしに見せつけて食べる。

 そしてクッキーは緋彩のだけではない。

 

「ほらほら、なくなっちゃうよ? いいの?」

「よく考えたら僕がほとんど食べたしいいかなって」

「…………」

 

 途中まではいい反応していたのに。

 

「よくないよね?」

「続けるんだ」

 

 続けるらしい。

 緋彩の手が届かない位置に皿を置き、一枚摘む。

 むむむ、と頭をひねる緋彩。女優から、いきなりアドリブを要求される素人という構図に白目剥きそうである。台本をくれという心情。

 

「あ、そのクッキー美味しそうだなー。僕も食べたいなー。誰か近くにクッキーくれる子いないかなー」

 

 何とか捻り出すものの、酷い棒読み。やる気が疑われる。

 もちろんない。

 

「じゃあ私が特別にあげよう!」

「やったー嬉しい素敵! あれでいいんだ……? 

 

 合格だったらしい。

 緋彩くんの大根演技に、大女優あかねはにっこり。思い通りにことが進んで気分がよさそうである。

 

「はい、食べていいよ」

「え? ありがとう」

 

 さっきまでのは何だったのか、つまんだ一枚を差し出す。緋彩はそれを受け取ろうとして身を乗り出す。

 が、ひょいっと取ろうとした手をされられる。

 

「食べないの?」

「え?」

 

 再び、あかねがつまんでいた一枚を差し出され困惑する緋彩。もう一度取ろうとして、先ほどと同じように避けられる。

 

「くれないの?」

「私の手から食べればいいんだ…………」

「え?」

 

 口に出しかけてハッとする。私これじゃやばいやつだ。

 緋彩もあかねの言葉を聞いて、訝しみ始めている。僕もしかしてペットか何かかと思われてるの? 

 

「は、はい。あ、あーん」

「え?」

 

 テンパってアーンをするという暴挙。それじゃあ何も行動は変わっていない。Sっ気のあるやり方か、目をぐるぐるにしてやるかの違いだけで結果は何も変わってない。

 なぜ、適当に誤魔化して渡さなかったのだ。

 緋彩相手なら、適当なことを言えば勝手に納得してくれるというのに。

 

「ほら! 速く食べて!!!」

「え、あ、あーん?」

 

 先ほどまでは緋彩から離していた手を、今度は逆に、体ごと近づけて食べさせようとするあかね。緋彩はその勢いに飲まれて、半ば横になりながら食べさせられている。

 

「はい! はい! はい!」

「あむ、いや、そんなに一気には……むぐぅ?!」

 

 次々と口元にクッキーを近づけられ食べされられている。

 何で僕こんなことされてんの? 疑問に思いつつも残りのクッキーを食べ切る。

 

「あかね、緋彩くん、お茶のおかわりいるかし………………やっぱりお邪魔だったみたいね」

 

 あかね、緋彩は今度こそ完全に固まる。

 

 側から見れば2人の体勢は…………

 

「まっ、待ってお母さん! 本当に! 本当に勘違いなの!」

「ぼ、僕からも違うって言わせてくだ……?!」

 

 悪い? ことは続くもので、すでに慌てていたあかねは、更に母親の登場という想定外の事態にもはや暴走状態。

 元からよくなかった体勢は崩れ、緋彩に上から覆い被さる形になってしまう。

 緋彩は緋彩で大慌て、友達の家に野菜を届けに来ただけなはずなのに、何でこんなことになっているんだよ?! と言った心情。もちろん変な姿勢で食べさせられていたので、上から加わった重さに耐えられることはなく潰れる。

 

 少し顔を動かせばお互いの唇が───

 

「うふふ、ごゆっくり〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この後の空気はご想像にお任せします。

バレンタイン書いた後すぐに書いたやつだからそっちにやりすぎてる感。………別にいいか。

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